1996年10月号Vol.1

【ユーザー訪問】インターネットで未来へ飛躍する南那須

栃木県南那須町

企画課 片岡恵一課長 / 企画課 小川祥一副主幹

所在地
栃木県那須郡南那須町大字大金240
電話
0287-88-7111
人口
1万3,247人
面積
81.56平方キロメートル

──なぜ、町のイメージキャラクターがくじらなのですか。

片岡 バイパスのトンネルを掘っていた時、1000万年前のくじらの化石が発掘されたことがきっかけでイメージキャラクターに採用しました。南那須のホームページにアクセスすると最初に登場するのがこの『クーちゃん』です。

小川 今年5月、南那須町の中学生が姉妹都市である米国ウイスコンシン州メノモニー市にホームステイに行ったのですが、現地に行った中学生が「周りが英語ばかりで緊張していたところ、ホームページのクーちゃんを見てホッとした」と言っていました。このホームステイの日程調整や現地でのスケジュールもインターネットで打ち合わせを行いました。時差があるので電話による打ち合わせは大変でしたが、電子メールだと時間を気にせずにすみ便利ですね。また6月にはメノモニー市の方が来られたのですが、言葉で説明するよりも英語版のホームページを見た方が簡単に理解できたようです。

片岡 実は、このメノモニー市訪問に合わせて電子メールの開通式を行ったわけですが、TKCの担当の方が頑張ってくれまして1ヵ月という短い期間でホームページを立ち上げることができました。

──ホームページを開設された狙いは何ですか。

小川 町の広報活動は毎月発行している広報誌と月2回発行するお知らせ版の2種類がありますが、いずれも内側に向けた情報発信です。一方、外部への広報としては新聞やTVなどがありますが、なかなか全国的な情報発信まではできませんでした。この点、インターネットであれば日本といわず国際的な情報発信も可能です。まずは南那須町を知っていただき「行ってみたいなぁ」と感じてもらえるような情報源にしたいと考えました。

──反響はいかがでしょうか。

小川 かなりの方が見てくれているようで、「南那須町がうらやましい」、「デザインがよくできている」など電子メールがたくさん届いています。職員の反応は、これまでは栃木県生涯学習のパソコン通信システムや土木積算・水道などの業務でシステムを操作する人以外は、パソコンを覚えるチャンスもなく敬遠する人も少なくありませんでした。しかし、C/Sシステムの登場によってネットワーク端末がパソコンに変わりつつあり、また電算管理委員会や行政改革検討委員会において"事務の見直しにパソコンをどう活用していくか"の検討を始めるなど、行政体を取り巻く環境がここにきて大きく変化しています。そこへホームページ開設が重なったこともあり、職員のパソコンへの関心度はぐんと増しました。

観光物産品PRや国際交流に活用
ホームページは町民の誇り

片岡 町民には個人的にインターネットに接続している人もいるのですが、中にはお客さんや銀行の方が来た時に「これが南那須のホームページだ」と宣伝してくれる人もいます。地元意識というのでしょうか、他の町に住む人からホームページを褒められて「わが町の誇り」と感じてくれる住民も増えているようで、我われとしても頑張った甲斐がありますね。また、南那須町ではパソコン教育のため、早くから各中学校へパソコンを設置しましたが、現在の機種ではインターネットを見ることはできません。いずれ最新機種を各校に導入し、環境を整備したいと考えています。

──とても意欲的に取り組んでおられるのですね。

片岡 一般的に行政は、経験がないものや他の町がやっていないことには尻込みする傾向がありますが、南那須はもともと新しいことにも進んで取り組む町だという下地があります。昭和62年に建国したミニ独立共和国『大金いかんべ共和国』をはじめ町おこし事業もいろいろやっていますし、そんな感覚があったからインターネットにもトライできたのでしょう。現在は町の観光物産品の情報発信が主な内容ですが、今後は町民レベルでの国際交流を推進したり、他の市町村と情報交換を行うなど、インターネットをいろいろなことに活用していきたいですね。個人的には諸外国では住民が町づくりにどう関わっているか、福祉施策はどうなっているかなどに興味があります。

小川 インターネットは情報を常に更新していかなければ見てもらえなくなります。また、コンテンツ(内容)も単なる『町のお知らせ』だけではホームページを開設した意味がありませんので、内容充実のために町民を交えたインターネット研究会を実施して、コンテンツの研究を行い常に新しい情報の発信を心がけたいと考えています。また、住民向けに休日や夜間を利用したインターネット体験会も計画中で、さらに町民にある程度パソコンが普及した段階で町に対する要望を電子メールで寄せてもらうことも検討したいですね。

──ホームページを開設しようと考えている市町村へ、何かアドバイスをいただけますか。

小川 やはりその町独自の目標やホームページをどのように利用していくか、あるいは例えば姉妹都市があればインターネットを使ってどのようなコンタクトを図るのかなど将来を考えて開設すべきだと思います。"町にはどんな特徴があるのか、その中で何を訴えていくのか"をきちんと見極める。このテーマが決まればデザインやホームページの見せ方、見てもらうための話題選定などは自ずと固まってくるでしょう。また運用面ではURLと呼ばれるホームページの住所を機会あるごとに広報する必要がありますし、また、いろいろなホームページから自分のホームページへボタン操作ひとつで簡単に移動できるような環境を作ることも大切です。南那須町ではこれまでに20ヵ所程度のホームページとリンクさせました。

「他がやっているから」は失敗の素
町独自の特徴やテーマを明確に

片岡 行政の考え方の根本には「町民の税金は町民のために直接使う」ということがあります。そのため「なぜ町民の税金を使って、町に住んでいない人のためにインターネットでサービス提供をするのだ」という考え方もあるでしょう。しかし、そんな原則論ばかりを考えていると町の活性化のための運動や事業が限定されてしまいます。役場として頭を切り替えなければいけないのではないでしょうか。

小川 今後は、絶えず情報を発信していかないと地方はそっぽを向かれてしまいます。また、自治省が推進している住民記録システムのネットワーク化の問題をはじめ、いずれ国民健康保険の決算状況や、毎月の推定人口の出力票などの提出も通信回線でデータ送受信する時代が来るでしょう。南那須町では平成9年度にC/S型の財務会計システムを稼働する方向で検討を始めましたが、将来的にはイントラネットへの期待も高まってくると思います。システムが進化するにつれて、行政サービスの向上に対する要望もどんどん出てくるでしょう。その時に慌てないよう時代を先取りした検討を行い、時代に即して実施できる基盤は作っておく必要があるのではないでしょうか。(井村 薫)

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