1997年1月号Vol.2

【TKC地方行政研究センターから】固定資産税に係る土地の評価基準の改正について

研究員 土屋修一

 新年の幕開けとともにいよいよ平成9年度の固定資産税の賦課期日を迎えることになりました。

 昨年は通常の評価替え事務に加えて地価下落地域の評価額を急ぎ修正するなどの対応に大変だったと思います。

 しかし、この点も含めて固定資産税の土地評価のまわりの大きな動きの1つは、昨年9月初めの、土地の評価基準改正だったのではないでしょうか。

7割評価、価格調査基準日を評価基準に明記

 この改正内容については既にご案内のように、一つにはこれまで評価基準の依命通達に示されていた宅地評価について、地価公示価格等の一定割合、つまり、7割程度を目途とするいわゆる7割評価を当分の間実施することと、その価格調査基準日を基準年度の初日の属する年の前年の1月1日とすることが、この評価基準自体に、新たに経過措置として規定されました。

 ここで、平成6基準年度から採りいれられたこの7割評価等に関連して、このような重要な取扱いを依命通達で示すことは租税法律主義に反するのではないかという議論や、素朴な議論もあったところですが、これについては、売買実例価額から適正な時価を導き出すという固定資産評価基準の基本的な考え方を維持することは勿論、その適正な運用を図るためにその解釈基準として地価公示価格等の7割程度という、より分かり易い具体的な判断基準を示したにすぎず、ましてや課税要件の1つである課税標準を新たに定めたものではないので租税法律主義に反するものではないと解されていたものですが、この改正で評価基準に位置づけされたことで、改めて説明するまでもなくこの点がより明らかになりました。

 もっとも、この評価基準自体について租税法律主義や法的拘束力の面から異議を唱える向きもありますが、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする(憲法第84条)」との条文に照らしても、固定資産評価基準は、固定資産の評価について全国的な統一を図り、市町村間の評価の均衡を維持するため、まさに、地方税法がその制定を自治大臣に命じ(第388条1項)、そして、市町村長は、この評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならない(第403条1項)、とされていることからも明らかであり、また、今までの判決例を見ても、いずれも法律(地方税法)が固定資産評価基準に期待している立場が理解され、認められていますから問題はないと思われます。次に、評価替えに伴う価格調査基準日の評価基準への明記についても、従来、各評価替え(基準)年度の運営通達の中で示されてきたところですが、これも7割評価の問題と同じく個別通達から評価基準にいわば格上げされ、明確な法令形式に則った運用がされることになりました。

平成9年度の地価下落地域の評価額修正の取扱いを規定

 二つには、平成9年度の宅地の評価替えについてはその調査基準日(平成8年1月1日)以降の地価の下落の動向にも対処するため自治省税務局長通達等個別通達でこのような地価下落地域の宅地評価額については修正できることとされましたが、これについても改めて、この評価基準にその旨明記されたものです。この取扱いの内容については前号でご紹介したとおりです。

画地計算法等の改正

 そして、その三つ目には、奧行価格補正率表、側方路線影響加算率表や、不整形地補正率表等の画地計算法等の改正です。

 画地計算法については、この固定資産評価基準が制定された後ほとんど実質的改正はなかったものですが、近年の土地利用、土地取引の実情を踏まえ、実態に合うよう内容が大幅に改正されたものといわれています。

 また、特に商業地については、近年の大都市を中心とした建物の高層化、大型化に対応できるよう、用途地区区分が「高度商業地区(特)」と「高度商業地区(監)」に分割され、それぞれに対応する補正率が定められたところです。

 ところで、このような評価基準の改正、ことに前記2点の依命通達や重要な通達等を評価基準に取り込むなどして法令の形を整えることは、納税者の理解を得るにも、今後の審査の申出や訴訟の対応にも、いろんな形で後方支援となり、特に今の時期に必要な意味がある改正ではないかと思います。

研究員 土屋修一
1937年香川県生まれ。52年香川県庁、60年自治省入省。税務局固定資産税課、固定資産鑑定官等を経て、93年(財)資産評価システム研究センター勤務、96年TKC入社

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