1997年1月号Vol.2
【巻頭言】地域情報化とイントラネット
株式会社TKC代表取締役社長 飯塚真玄
新春を迎えるにあたり、謹んで皆様のご多幸とご繁栄をお祈り申し上げます。
さて私どもは、多くの地方公共団体の方々から、本年は昨年にも増して地域情報化への取り組みが進む年になるとお聞きしております。地方行政のあらゆる分野において、新しい課題への挑戦が始まろうとしています。そのような熱気は、国の施策と共に、情報通信技術のめざましい進歩に支えられたものとなっています。
平成6年12月に決定された国の行政情報化推進基本計画によりますと、「行政のあらゆる分野において情報通信技術の成果を普遍的に活用し、行政の質の高度化、国民サービスの質的向上を図ること」を目的とし、これを実現するために情報通信技術と情報システムを導入して「紙」から電子化された情報の処理に移行する、となっています。
このような国の方針に従って、地方行政の分野においても『デジタル革命』の波が押し寄せることになるでしょう。
そのような地域情報化を実現し、支える社会的基盤となるのが『ネットワーク』と『情報システム』です。これらのインフラの整備は、情報通信技術の飛躍的な進歩と世界的規模でのユーザー数の拡大に伴い、ますます容易かつ低コストのものとなって来ました。たとえば光通信が全国的規模で整備されるのも、もはや時間の問題です。NTTの説明によれば「すでに情報化を実現するための情報通信技術は存在」し、「一般の加入電話回線の光ファイバー化は2010年には完了する見込み」とのことです。
また、ネットワークの世界も『インターネット』や『イントラネット』の登場により一変しました。インターネットは、わずかな投資で家庭のパソコンからも利用できます。すでに世界中で少なくとも500万台を超えるサーバーに接続され、1億台以上のパソコンから利用されていると言われています。この驚異的なスピードで成長するコンピュータ・ネットワークに、情報が最大の価値を持つ、高度情報化社会の到来を実感できます。すでに「デジタル革命」は、草の根レベルでも始まったと言えるでしょう。
このインターネットの持つ優れた情報技術を組織内部の目的に応用したネットワークが『イントラネット』です。その基盤技術はインターネットの場合と全く同じで、容易にかつ低コストで構築することが可能となります。また、両者を併用すれば組織の内と外がスムーズにつながります。そのため地方公共団体においても、情報インフラとして最も優れたネットワークと言えるでしょう。ただし、これらはオープンなネットワークですから、行政サービスへ応用するためにはセキュリティ機能の充実が前提になりますが、この上に行政情報システムを構築してはじめて行政の情報化が完成できるものと考えています。
TKCは、行政情報システムの開発・提供を通して「住民福祉の増進に貢献する」という創業以来の経営理念を追求して参りました。今後も最新のコンピュータ・テクノロジィを駆使し、行政事務処理の専門性を発揮し、全力で皆様のご支援をさせて頂きたいと念願しております。
掲載:『新風』1997年1月号