1997年4月号Vol.3

【TKC地方行政研究センターから】個人住民税の税率改正等について

研究員 逸見幸司

 平成9年度の税制改正においては、平成6年11月の税制改革に伴う市町村の減収補てんのため、個人住民税および地方のたばこ税の税率の調整により都道府県から市町村への税源移譲を行うこととしている。

 本稿においては、このような税率調整が行われた背景について述べることとする。

個人住民税の制度減税

 平成6年11月の税制改革においては、個人住民税の負担軽減のため、次のような制度減税が平成7年度および平成8年度において実施された。

・税率適用区分の改正
 最低税率5%の適用範囲を160万円から200万円に、最高税率15%の適用範囲を550万円から700万円にそれぞれ引上げられた。

・各種控除の引上げ
 基礎、配偶者および扶養の控除額を31万円から33万円に引上げる等各種控除が引上げられた。

・給与所得控除の控除額の引上げ(平成8年度に実施)
 なお、この制度減税による減収については、地方団体の財政運営に支障を来さないよう地方財政法第5条の特例として減税補てん債を発行して対処することとされた。

地方消費税の創設

 また、この税制改革においては、地方分権の推進、地域福祉の充実等のため地方税源の充実を図る観点から、消費譲与税に代え、道府県税として地方消費税が創設され、平成9年4月1日から実施することとされた。

 そして、この地方消費税の創設の際、市町村民税の制度減税および消費譲与税の廃止による減収を補てんするため、地方消費税交付金制度を創設し、地方消費税の収入額の2分の1を市町村に交付することとされた。

減収補てんのための税源移譲

 さて、平成6年11月の税制改革においては、地方交付税を含めた地方財政全体として減収が生じないよう措置された。

増減収フレーム

 しかし、市町村に交付されることとなる地方消費税交付金を含めた地方税関連で見ると、道府県税関連で2,625億円の増収が見込まれるのに対し、市町村税関連で2,725億円の減収が見込まれるということになる(増減収フレームの表を参照)。

 このようなことから、平成9年度の税制改正においては、市町村の減収を補てんするため、平成9年度からの地方消費税の実施に当たって、都道府県と市町村との間の均衡を図り、個人住民税と比較的税源の偏在が少ない地方のたばこ税の税率を調整することとし、都道府県から市町村へ2,675億円(所得割1,191億円、たばこ税1,484億円)の税源移譲を行うこととされたものである。

 なお、これは、地方税全体としての納税者の総合的税負担は変えない方向で、かつ、現行の地方税体系の基本的枠組みの範囲内で措置することとしたものである。

特別研究員 逸見幸司
1959年自治省入省。税務局企画、直税各係長、課長補佐、税務管理官、市町村アカデミーおよび(財)資産評価センターの調査研究部長を経て、96年TKC入社

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