1997年7月号Vol.4
【わがまち・わがむら・わが自慢】アルプスの風光る村
長野県安曇村 加藤忠義
安曇村は中部山岳国立公園の上高地・白骨温泉・乗鞍高原を抱えた観光の村で、年間延べ300万人の旅行者を迎えています。
人口2500人の小さな村ですが、その面積は402平方キロと県下3番目の広さを誇ります。松本市の西方に位置する村は岐阜県と境を接し、村から見渡す北アルプス- 槍ヶ岳・穂高岳・乗鞍岳など3000メートル級の山々は“日本の屋根”と称されています。
これらの山々は古くは松本藩の木材生産の地で、多くの仙人の仕事場でした。それが明治中期、英国人宣教師ウェストンが北アルプスの登頂を試み、その偉容を広く紹介したことから、わが国にもスポーツとしての登山が発祥。以来、多くのアルピニストがここを訪れています。
いま、安曇村では北陸と関東を最短ルートで結ぶ『中部縦貫道安房トンネル』の建設が進み、今秋、開通する予定です。トンネルの開通で、これまで半年間は通行止めとなっていた地域が通年通行できるようになり、人の移動や物流が活発になるものと期待されています。
さて、上高地は全国でも比類ない景勝地として知られていますが、村ではここの環境保全のため、マイカー規制や下水道整備を実施するほか、将来に向け登山鉄道の建設も研究中です。
また、古くから湯治場として栄えた白骨温泉は、乳白色の硫黄泉で「3日入ると3年は風邪をひかない」といわれていますが、ここの野天風呂をはじめ乗鞍高原の『湯けむり館』など温泉利用施設も好評です。
“アルプスの村”安曇村はいま新緑に包まれ、1年のうちで最も美しい季節を迎えています。
掲載:『新風』1997年7月号