1997年7月号Vol.4

【巻頭言】市町村に期待される国保と地域住民の健康づくり

国民健康保険調査会代表(元厚生省保険局国民健康保険指導管理官) 阿藤正男

 約40年前、係の一員として担当した国民健康保険法の全文改正(現行法)は、保険料(税)の適正賦課はもとよりのこと、国庫負担と財政調整によって負担と給付の公平を図りつつ、国民皆保険を実現することとしたものでありました。

 時は移り、人口の高齢化が急速に進む中、国保の運営は大変厳しいものとなってきました。

 周知のとおり、健保等との連携など適用の適正化の問題、保険料(税)の賦課・徴収の改善問題等市町村等国保保険者の取り組むべき課題は多いが、これらについては様々な対策が示され、また、保険者自体いろいろ努力や工夫もされているところでもあり、その一々について述べることはこの小文では割愛します。ただ、敢えて一言強調したいのは、この情報化時代いろいろなデータを駆使して、国保事業の内容や状況などすべての情報を住民に判り易く、十分に開示することです。

 ところで、国保運営はいまや社会的・経済的諸条件の構造変化により、他制度間のみならず市町村間格差も拡大し、現行の仕組では、最早、困難な状況におかれているといっても過言ではありません。すなわち、まず経営主体の問題があり、現在の市町村を保険者としているところに限界があります。

 私見としては、市町村の大幅な合併は百年河清を待つ感があり、また、医療保険の一元化等の課題もありますが、地方分権推進の折柄、財源の移譲や国庫負担の是正等を前提として、市町村の機能活用の上で、その経営主体を都道府県等広域自治体とし、さらに都道府県間ないし被用者保険等との財政調整をするという考えがあります。

 国民としては、誰でもが何処ででも保険の給付(特に医療給付)が受けられる皆保険の維持が第一でありますが、もう一つ大切なことは、国保の被保険者であろうが、健保等の被保険者であろうが、負担と給付が公平・平等であることです。供給体制の整備改善も急務であり、まさに現状は“等しからざるを憂う”であります。ともあれ、首長以下の姿勢・熱意と実行力によって、その成果が大いに期待できるものは住民の健康づくりです。諸条件に格差はあっても、保健と医療と福祉の連携、住民の協力・参加等によってマイナスの条件を克服し悪循環を断って、病人を減らし、受診率を引き下げた地域や市町村は少なくありません。

 まさに、地方の時代、情報化の時代にあって、その権限の拡大とともに、介護対策も含め、地域住民に密着した住民のための市町村の施策、都道府県の役割に期待されるところはまことに大きいものがあります。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

※掲載団体様への直接のお問い合わせはご遠慮くださいますようお願いいたします。

  • お客様の声
  • TKCインターネットサービスセンター「TISC」のご紹介