1997年10月号Vol.5

【TKC地方行政研究センターから】固定資産税:宅地の据置年度の価格修正と修正基準

研究員 土屋修一

負担水準の導入

 固定資産税の土地に係る本年の税制改正のポイントはやはり最近の地価動向や、9年度評価替えの結果を踏まえて導入された商業地や住宅地に対する新しい形の負担調整措置でしょう。

 従来の地価上昇一方のパターンでの「評価上昇率に対応する負担調整率」から一転、「地価下降に対応する負担率」を考える必要性が出てきたわけです。

 ここで、新しく登場したのが「負担水準」という考え方です。

 算式では、(負担水準=前年度課税標準額/新評価額)で示され、新評価額というのは本来負担すべき額の基礎になる額であり、前年度課税標準額は、いわば直前の現実に負担している額の基礎になる額ですからこの両者を比較して現状の負担の割合なり、程度なりを水準として捉えようとする趣旨であると考えられます。

 このような「負担水準」の導入により、これを基準として商業地、住宅地等について、あるものは引き下げ、あるものは据え置いて地価の下落に対応するとともに、この負担水準が一定未満の土地については、その区分に応じて一定の率により、なだらかな負担を求めるという調整措置が講じられたものです。

据置年度の価格の修正

 次に、この改正でもう1つの特色は、据置年度における価格の修正という特例措置が講じられたことがあげられます。

 固定資産税では、その評価額はいうまでもなく法律上、基準年度の価格をその翌年度と翌々年度は据え置くこととされていますが、その時期に当たる平成10、11年度において、価格事情が一定の面的な広がりをもった地域でさらに地価の下落傾向がみられる場合にはその価格に修正を加えることができるという特例措置が講じられました。

 ところで、この両年度における宅地価格の具体的な修正方法については、この法改正で自治大臣が修正基準を定め、告示することになっていたところですが、さきにその基準、正確には「平成10年度又は平成11年度における土地の価格に関する修正基準」が去る8月5日付(自治省告示第126号)をもって告示されたところです。

修正基準の概要

 この基準の主な内容としては、まず、地価の下落地域の把握方法について、市街地宅地評価法適用地域にあっては用途地区、その他の宅地評価法適用地域にあっては状況類似地区を単位としてこの地区を基本に宅地を区分し、その区分ごとに市町村長が把握した下落状況からみて最も適切であると判断した修正率を適用する。この場合、市町村長はその地区内の価格の下落状況に幅があり、一律の修正率の適用が不適当な場合には、これらの地区をさらに区分できる。

 次に、価格の下落状況の把握については、都道府県地価調査及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価を活用し、平成10年度については平成8年1月1日から平成9年7月1日(平成11年度の修正については、平成10年7月1日)までの下落状況を把握して修正率を求める。

 さらに、平成9年度又は平成10年度において、既に価格の修正を行った宅地については、重複修正を避けるための調整として、平成10年度においては「9年度における修正後の価格と、10年度の下落状況から求めた修正後の価格のどちらか低い方の価格」によって、平成11年度においては「9年度又は10年度における修正後の価格及び11年度の下落状況から求めた修正後の価格のいずれか最も低い価格」によってそれぞれ修正価格を求めるものとする。等となっています。

研究員 土屋修一
1937年香川県生まれ。52年香川県庁、60年自治省入省。税務局固定資産税課、固定資産鑑定官等を経て、93年(財)資産評価システム研究センター勤務、96年TKC入社

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