1998年1月号Vol.6

【TKC地方行政研究センターから】住民基本台帳の住民票コードと納税者番号制度との関連について

特別研究員 逸見幸司

住民基本台帳ネットワークシステムの構築

 平成9年6月に自治省から住民基本台帳法の一部改正試案が発表されました。自治省としては、これを基に各省庁との調整を経て改正案をまとめ、通常国会に提案したい意向のようです。

 さて、その改正試案によれば、今後の高度情報化、高齢化、地方分権の流れに対応し、行政サービスの向上、行政の効率化・高度化に資するため、住民基本台帳に記録された本人を確認するための情報(氏名、住所、性別、生年月日、住民票コード、関連異動情報)を市町村を越えて全国共通に利用できる市町村・都道府県・指定情報処理機関(全国センター)をオンラインで結んだ『住民基本台帳ネットワークシステム』を構築することとしています。

住民票コードの付番及び国の行政機関などへの情報提供

 このため、住民票の記載事項として新たに『住民票コード』を追加し、電気通信回線に接続された電子計算機の利用による市町村の区域を越えた住民基本台帳に関する事務の処理、国の行政機関などへの本人確認情報の提供などを行うための体制を整備するとともに、これに関する本人確認情報の保護措置を講ずることとしております。

 このように、今回の改正試案では、住民票に新たに「住民票コード」を記載することとし、また、国の行政機関などでのこのシステムの利用については、法令で利用機関及び利用目的を限定したうえで、これを認めることとしています。この点が納税者番号制度の創設との関連で注目されます。

納税者番号制度の付番方式

 ところで、納税者番号制度については、従来から、税制調査会において、納税者の所得などをより正確に把握し、一層適正・公平な課税を実現するための有効な制度として検討が行われてきています。同調査会においては、「今後とも、国民の受け止め方を十分把握しつつ、納税者番号として利用しうる番号の整備状況等を見極めながら、従来指摘してきた諸課題について更に検討を深めていく必要がある」とされています。そして、更に検討を深めていく必要があるとされた諸課題の中には、個人の番号付番方式の問題があります。番号付番の方式としては、公的年金番号を利用する『年金番号方式』(アメリカ方式)と住民基本台帳を利用する『住民基本台帳方式』(北欧方式)が考えられます。年金番号方式の場合は、全国民共通の基礎年金を基にした番号です。これには公的年金に加入していない者には付番されないという問題がありますが、公的年金という国民に受益を伴う行政分野で利用される点で、比較的受け入れやすいと考えられます。

 一方、住民基本台帳方式の場合は、住民基本台帳を基にした番号です。これについてはすべての国民に出生の際に自動的に番号が付番されるため、中には抵抗を感じる人がいると考えられますが、身近な市町村が番号を付番し、管理するので、抵抗感が少ないとの意見もあります。

 このように、いずれの方式にも一長一短がありますが、その付番方式が住民基本台帳方式によることとなれば、その番号の付番は住民票コードによることとなるので、住民票の記載事項に新たに住民票コードを追加し、そのネットワーク化を図ろうとする住民基本台帳法の改正は、納税者番号制度の創設の論議に大きな影響を及ぼすと考えられます。したがって、納税者番号制度の創設の観点からも、この法律の改正の動向を注目しておく必要があります。

特別研究員 逸見幸司
1959年自治省入省。税務局企画、直税各係長、課長補佐、税務管理官、市町村アカデミーおよび(財)資産評価センターの調査研究部長を経て、96年TKC入社

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