1998年4月号Vol.7

【巻頭言】公的介護保険制度の創設について

国民健康保険調査会 代表 阿藤正男

 平成6年3月、厚生省は「21世紀福祉ビジョン」を策定し、その中で新ゴールドプランの策定と新介護システムの構築を提言。同年9月、社会保障制度審議会は社会保障将来像委員会の報告を了承、公的機関としては初めて『公的介護保険』の創設を提起している。

 なお、同委員会は社会保障の理念等の見直しとして、従来の救貧的最低保障から「広く国民に健やかで安心できる生活保障をする」ことに目的が移っていることを指摘し、今後の社会保障を推進する基本原則として、①普遍性、②公平性、③有効性、④総合性、⑤権利性、の5原則に基づいた施策の展開を説いていることに留意したい。

 紙面の制約から法案国会提出後の経緯や制度の具体的内容全般に言及することはできないが、ともあれ昨年12月9日に「介護保険関連3法案」の可決成立をみたところである。

 介護保険制度の狙いは、①老後の最大の不安要因である介護を社会全体で支える仕組みをつくること(すでに介護する者の2人に1人は60歳以上で要介護者数は2025年で520万人と推計)、②社会保険方式により給付と負担の関係を明確にし、措置ではなく権利として利用できる仕組みをつくること、③利用者の選択により多様な事業実施主体から保健・医療・福祉サービスを総合的(横断的)に受けられる仕組みをつくること、などである。

 保険者は市町村で、国や都道府県等が重層的に支え合う制度であり、国や都道府県は基盤整備の推進などその責務は重大であるが、直接実施にあたる市町村はこの制度を「誰もが、いつでも、どこでも」必要な介護サービスを受けられる制度(所得とは関係なく普遍的に総合的な介護サービスを提供する)につくり上げる努力が求められる。

 したがって、市町村は介護に関わる地域の資源や活力を総動員し、地域の特性に応じた多様な支援策を組み合わせ、要介護者に対する最良のシステムを構築し、最適な組み合わせによるサービスを提供するケア・マネジメントが最も重要となる。

 さらに、市町村はサービスの直接的な提供にとどまらず、進んで優良なサービスを提供できる事業者の育成・活用を図るとともに、事業者間の調整、利用者の立場に立ったサービスの評価とチェック、および苦情処理など利用者の権利擁護の役割を果たすことが必要となる。

 そのためには、〈市民参加〉と〈情報公開〉を前提とした介護保険事業計画の適確な策定が大切であり、前述の機能を遂行できる組織と責任体制の整備が不可欠である。

 2年後の施行に向け、公的保険でこその十分な供給ができるよう万全の準備が期待される。

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