1998年4月号Vol.7

【ユーザー訪問】農家経営の安定と発展を支えるNOSAIネットワーク

栃木県農業共済組合連合会

総務部電算課長 木村一典氏 / 総務部電算課長補佐 石川雄紀氏 / インタビュー 栃木営業課 海老原敏夫

──まず農業共済について教えて下さい。

木村 農家の相互扶助を基本として、国の災害対策の一環として制度化されたのが「農業共済制度」で、引受面積20アール(一部地域は25アール)以上の農家は共済への加入が義務づけられています。そして、この事業を運営するのが「農業共済組合」です。これは昭和22年に制定された農業災害補償法によって、国内で唯一公共的な組織として設置されました。事業の流れは、農林水産省、連合会、組合の三段階制をとり、それぞれが共済事業運営の責任を分担しています。現在、栃木県内には9つの組合がありますが、一部の都道府県では、行政が農業共済組合に相当する業務を担当している場合もあります。

石川 農業共済は、①米・麦など農作物、②蚕繭、③家畜、④果樹、⑤大豆など畑作物、⑥ハウスなど園芸施設、⑦住宅や作業場など建物、の7分野に対して自然災害、病虫害などによる損害を補償する制度です。栃木県の場合、このうち農作物と建物共済が契約総額の9割を占めています。

──栃木県は、自然災害が少ない地域だと思いますが、どんな被害があるんですか。

木村 通常の年では、米の病虫害は少なく風雨害が一部地域に発生する程度です。自然災害としては、米不足と騒がれた平成5年の冷害の被害が甚大でしたね。栃木県では半数以上の農家に被害が発生し、ひどい場合は収穫皆無という農家もあり約113億円の農作物共済金が支払われました。これは制度始まって以来の被害額です。

10年度からネットワークを試験運用

──過去の電算化の経緯を教えて下さい。

石川 昭和53年、大量データを扱う水稲の引受についてTKCにバッチ処理を委託したのが、最初の電算化への取り組みです。その後、昭和61年になってオフコンを導入して経理や給与計算など事務処理を、次いで農業共済事業処理を、順次システム化し活用してきました。

 ところが、ここにきて国の将来ビジョンとして、農林水産省から共済組合までを結ぶ『農業共済ネットワークシステム』構築計画が打ち出されました。このシステムは農業共済事業の事務処理の迅速化、適正化、効率化を図ることを目的に構築されるもので、現在、農林水産省と社団法人全国農業共済協会が全国共通システムを開発しています。

木村 これまで全国の農業共済組合が、外部委託やオフコンで処理してきた農業共済事業と総務関連業務が、12年度から一斉に農業共済ネットワークシステムへ切り替わるわけです。新しいシステムが動き出すと、事務の効率化・経費削減・情報の共有化などいろいろなメリットがあると思いますが、一番大きな効果はネットワークが職員の考え方や価値観を変え、結果的に業務プロセスの革新につながるということでしょう。このシステムの本格運用に先立ち、栃木県では10年度から、組合と連合会を結ぶネットワークシステムの試験運用を実施することにしました。TKCにネットワークの構築およびサポートをしていただき、サーバ10台、クライアント86台という一大ネットワークが、4月1日から稼働します。

──この試験運用の目的は何ですか。

石川 目的は2つあります。第一に、組合によってかなり情報格差があるため、導入準備として1年間かけて各組合の組織体制を整備するためです。また、一般にC/Sシステムはメリットの面ばかり強調されますが、オフコンシステムとは異なり、システムの管理・運用は、すべてユーザー自身で行わなければならないわけです。C/Sシステムでは、どのようなトラブルが発生し、保守にかかるコストはどの程度か、サポート体制や規則、運用基準をどうするのかーーこれらを検証するのが第二の目的です。特にセキュリティ面では、大手銀行やデパートなどで顧客情報の漏洩が相次いでおり、我われも万が一の場合を考えて、情報の管理体制や責任所在を明確にしておかなければならないと考えています。

いずれは市町村と土地情報の共有化も…

──組合間の情報格差をなくすために、どんな方策を考えているのですか。

石川 すでに1年前から、体制整備に着手しています。まず、各組合にパソコンチームを組織し、中核をなす人材育成を始め、彼らが中心となって職員向けにパソコン研修を実施したり、導入後の組織体制の検討などを進めてきました。パソコン研修については、TKCの協力により、昨年1年間で初級者8回、中級者5回、上級者3回の各コース(2日間)を実施した結果、ほとんどの職員がパソコンの基礎知識を身につけることができました。そこで今年度は、中級者コースを増やし、上級者については昨年と同じメンバーで、より実践的な研修を計画しています。

──今後の課題は何ですか。

石川 10年度はあくまでも試験運用ということで、外部委託やオフコンなどと並行処理をしながら、C/Sシステムへデータ移行準備を進めます。当面の課題は、従来通りの処理が支障なくできるようにすることですね。

木村 「日本が食糧難だ」といっても信じられないかもしれませんが、いま日本の農地で賄えるのは、わずか5000万人分の食料しかないともいわれています。我われは、そんな脆弱な基盤の上で生活しているんです。農業人口が激減しつつある中、人間の生活に欠かせない“食”を提供する農家経営を安定させ、発展させることが農業共済組合の仕事であり、この点、農業共済ネットワークシステムという電子的なネットワークが、我われ『NOSAIネットワーク』の強い基盤となることを期待しています。ネットワークの利点を最大限に引き出すためには、いずれ、市町村をはじめ関係機関と情報をやりとりすることなども検討課題となるでしょう。そのためにも職員研修や組織づくりに今後とも努めたいと考えています。

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