1998年7月号Vol.8

【戸籍こぼれ話】平成離婚事情

地方公共団体事業部顧問 石井利光

 戸籍情報のコンピュータ化のための移行作業に従事していると種々の戸籍に出会いますが、その中でも人生の機微に触れた思いのする戸籍に出会いますと何ともやり切れない思いのするもの、腹立たしくなるものなど悲喜こもごもの感慨があります。

 最近の戸籍届出事件の数をみると近年目立つものに離婚の件数の増加、戸籍法77条の二の届出の増加があります。「別れた後は、顔を見るのも嫌」、「子供には絶対会わせない」、「思い出したくもない。思い出しただけで超むかつく」という言葉が並ぶと離婚の話かとおおよそ見当がつくでしょう。そうです、これからするお話は離婚に絡んだ問題です。

 今年4月22~24日の朝日新聞の社会面に連載記事で〈友達離婚―どうするあなたなら…〉というのがあったのを覚えてますか?

 これを見ると、今までのような離婚の形態とはだいぶ様変りしていることに気付かされました。離婚をした後でも一緒に食事をしたり旅行に行ったりしている元夫婦とか、元の夫が夜来て子供を風呂に入れ寝かし付けてから自分の家に帰って行く。もっと進んでいるのは、「私達は、6年前に離婚したのだが、今でも元夫も子供も同じ屋根の下に住んでいる。別れたのは、夫の母から過度の期待が掛けられたからだ」、「“夫婦はややこしい。ニュートラルな関係に戻ろう”と妻が提案し、それに応じただけで今も夫婦だった頃と同じいい関係が続いている」というような手紙が新聞社に寄せられたとの記事があったのには、驚きとともに時代の違いを感じました。

 女性の学歴の向上と社会進出に伴い社会的地位も向上し、男女平等の思想が否応なしに社会にも家庭にも浸透してきていることは、厳然たる事実であります。しかし、これを受け入れる受け皿である社会環境が必ずしも満足すべき状態でないことは、皆様もご承知のとおりです。このことから、折角つかんだ幸福な家庭生活が犠牲を強いられる事例が多々ありますが、そのような中で離婚が増加しています。

 離婚の原因の多くは性格の不一致が大多数を占め、しかも協議による離婚が90%以上というのが実情です。協議による離婚制度があるのは、世界でも数ヵ国程度です。この制度が良いか悪いかは評価の別れるところですが、昭和初年まではともかく、戦後特に平成に入ってからは、私見ではありますが、日本のように人情の厚い国では一方的な追い出しは言われているほどに多くはないと思っていますが、いかがでしょうか? 近頃では、時には男性の方が追い出される傾向になっていて、いわゆる「定年離婚」などはさしずめこの部類に入るのではと思っています。

 ちなみに平成8年度の全国の離婚件数がどの位あるかを法務省の統計によってみますと、21万7181件(前年度比1万4235件増)となっていて、この内の7万7616件(離婚件数比35.7%)が「婚姻当時の氏を引き続き使用したい」としています。この婚姻当時の氏を使用したいというものの多くは、離婚した妻が子を引き取るが子と母と氏が違ってしまうのでこれを避けるためにするもので、昭和51年の法改正により創設された制度です。これなどは、夫婦別氏制度が創設された場合はどうなるのか興味のある制度です。ついでに婚姻の件数を申し上げますと婚姻は前年比897件減の81万2912件となっています。

 このように、離婚後の生活実態が暗さを払拭するのに伴い、離婚後の2人の関係も様変りしてきて次のような戸籍が現出するのもそう遠くないと思っています。

戸籍

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