1998年7月号Vol.8

【ユーザー訪問】情報公開条例施行に向けてグループウェアで新たな一歩を踏み出す

長野県丸子町

企画財政課政策調整係 手塚 明氏

所在地
長野県小県郡丸子町大字上丸子1612
電話
0268-42-3100
人口
2万5321人(平成10年5月1日現在)
面積
105.7平方キロメートル

──情報公開条例を制定されるとうかがいましたが、準備体制はどうされているのですか。

手塚 平成9年7月に、30~40代を中心とした職員7名による情報公開制度プロジェクトチームを発足し、11年4月の条例施行に向け準備を進めています。これまでは神奈川県逗子市や埼玉県蕨市へ視察に行ったり、関東弁護士会が主催した情報公開シンポジウムに参加するなど、情報公開制度についての理解と制定準備の進め方の検討が主な活動内容でしたが、今年になってからはより具体的な検討作業事項が増えてきましたね。条文作成だけならば先進地の例を参考にすれば簡単にできますが、やはり情報公開という制度を職員が理解しながら体制づくりをしなければ円滑な運用ができません。このため、近くプロジェクトチームが核となり新たに検討委員会を組織し、各部署とのヒアリングや職員研修などを行う計画です。

 また、制度を利用するのは住民であり、行政が一方的に制度を作るのではなく、住民による「情報公開制度懇話会」を設置して意見を聞くほか、7月には無作為に1500人ほどを抽出して住民アンケートも実施する予定です。

──住民志向の体制で進めているんですね。

手塚 はい。情報公開条例の目的が「開かれた行政」ですから、作る課程から開かれていなければならないというのが堀内憲明町長の考え方です。一般に情報公開というと〈請求があるから見せる〉と考えられがちですが、丸子町では積極的に〈情報を提供する〉というスタンスでやっていきたいと考えています。個人情報の保護を意識しながら、できるだけ情報を公開する方向で具体的な検討事項をつめていきます。

──情報公開の対象者はどうお考えですか。

手塚 それも今後の検討事項ですが、対象者を限定しても住民が町外の人に頼まれれば同じことですから。ならば「何人でも」でいいのかな…と思っています。

「情報公開」と「情報提供」

──条例準備の段階で一番ネックとなるのが文書管理だと思いますが。

手塚 そうですね。これまで、ファイリングシステムで文書管理していたのですが、いつのまにか管理体制が崩れてしまいました。文書整理の目的は何かの時に文書をすぐ探し出せることであり、それにはコンピュータが適しています。そこでTKCと協力して文書管理システムを作り、平成10年度から、すべての文書件名をグループウェアで管理。次の段階で文書自体の登録も考えています。単に件名登録だけならばグループウェアまでは必要ないのですが、文書管理の目的には、すぐ検索できることに加えて「情報の共有化」がありますから。特に電子情報の公開まで考えると、普段作られている文書情報をうまく整理して、いつでも提供でき、かつ自分たちも利用できる状況にしておかなければなりませんのでグループウェアの採用に踏み切ったわけです。

──将来を意識されているんですね。ところで情報公開の総合窓口などはどうされるのですか。

手塚 機構的な話はまだはっきり決まっていませんが、プロジェクトチームとしては専任部署の設置が望ましいと報告しています。ただ、情報公開制度がスタートしても町クラスでどれだけの請求が来るか不明ですので、文書管理業務などとの兼務が現実的かと思います。丸子町のように情報公開と一緒に個人情報保護の条例を作る市町村も少なくありませんが、当面は行政情報の公開よりも「自分の内申書を見たい」など本人に関する情報公開請求が多いのではないかと考えています。これまでも希望者にはできる限り対応してきましたが、制度的に保障されることで行政としても正確な業務の流れを築き、文書作成から保存・廃棄に至るまで規則に則って確実な事務処理ができるような仕組みにしたいと考えています。

──文書作成と管理のルールを教えてください。

手塚 情報は個人で抱えているよりも、共有することでより価値が出ます。そこで、できるだけ職員共有の財産となるよう利用するソフトをWordとExcelに統一しつつあります。また、新システムに合わせて文書管理の運用方法を変更しました。従来は個人ごとに分類の判断に差があるなど曖昧なケースがあったのですが、システムでは「一件一簿冊方式」、つまり誰が見ても明確に判断できる単位、これ以上分けられないという単位でファイルを作ることとしました。さらに、どこに分類してよいか判断できない文書は無理に分類せずに課や係別の共有綴りに入れるようにしたんです。とにかく必ずグループウェアで件名情報を登録してもらえば検索は簡単ですからね。

開かれた役所を目指して

──一昨年からC/Sシステムで財務情報も稼動していますが、今後の計画を教えて下さい。

手塚 文書管理の面では、まだ台数の制限もあってパソコンの利用を件名登録に限定していますが、サーバのハードディスクを増設し、すべての文書情報を蓄積できるような環境を早急に整えたいと考えています。いずれ1人1台のパソコン環境が整えば、グループウェアによる稟議システムへと発展させていきたいですね。

 情報公開プロジェクトとしては、問題点をひとつずつ洗い出し地道に検討を重ねていくだけです。このプロジェクトチームは来春の条例制定とともに役割を終えますが、その後は新たな組織で条例の運用や充実を図っていくことになるでしょう。将来的には情報提供も手段を限定せずに、利用者がほしい情報をほしいメディアで入手できるような形態になれば便利だと思います。

──情報公開をきっかけに、町民の身近な存在となるよういろいろ工夫されているんですね。

手塚 そうですね。情報公開への対応がきっかけとなって庁舎3階フロアのレイアウトを変更してオープンカウンターとし、執務スペースが開かれた雰囲気となるようにしました。また、個人使用のキャビネットを削減するなどして共有部分を増やし、来庁者のプライバシー保護等を考慮した接客スペースも作りました。雰囲気が良くなったと来庁者の方の評判はいいようです。これからは職員全体が住民を志向する開かれた組織づくりが必要でしょう。そのためにはまず環境を変えようと。これがさらに発展して職員の意識改革へとつながっていけばいいと思います。(佐藤誠一)

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