1998年10月号Vol.9

【TKC地方行政研究センターから】電磁的記録等による住民税関係帳簿書類の保存方法等の特例の創設について

特別研究員 逸見幸司

 地方税法等の一部を改正する法律(平成10年法律第27号)により、電磁的記録等による帳簿書類の保存方法等の特例が創設されました。これにより、個人住民税については、次のような内容の特例が設けられました(法六章)。

帳簿書類の電磁的記録又はCOMによる保存

 個人住民税においては、その年において不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行う個人で、その年の前々年中又は前年中の所得について所得割を課されたもの(以下「保存義務者」といいます)は、これらの業務に関して作成し、又は受領した帳簿及び書類を五年間保存しなければならないこととされています。

 今回の特例においては、その保存義務者は、その帳簿書類の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合であって、住所所在地の市町村長の承認を受けたときは、一定の要件の下で、電磁的記録又は電子計算機出力マイクロフィルム(COM)によってその保存を行うことができることとされました。

 なお、電磁的記録とは、情報(データ)それ自体あるいは記録に用いられる媒体のことではなく、一定の媒体上に情報として使用し得るものとして、情報が記録・保存された状態にあるものをいいます。具体的には、情報がフロッピーディスク、コンパクトディスク、磁気テープ等に記録・保存された状態にあるものをいいます。

電磁的記録等による保存の対象となる帳簿書類

 電磁的記録又はCOMによる保存の対象となる帳簿書類は、手書き等電子計算機を使用しない過程を踏まずに、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する次のような帳簿書類です。

1 仕訳帳、総勘定元帳、補助記入帳、補助元帳等の帳簿
2 損益計算書、貸借対照表等の決算関係書類
3 相手方に交付する領収書、請求書等の写し

 なお、これには、会計事務所等に委託して作成するものも含まれる場合があります。

電磁的記録等による保存の要件

 電磁的記録又はCOMによる保存に当たっては、適正な課税を確保するため、次の要件を満たすことが必要であるとされています。

1 真実性の確保のための要件
●電磁的記録の訂正・削除・追加の事実及び内容を確認することができる電子計算機処理システムの使用
●帳簿間での記録事項の相互追跡可能性の確保
●電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け
●COMの作成過程等に関する書類の備付け

2 可視性の確保のための要件
●見読可能装置(ディスプレイ等)の備付け等及び検索機能の確保
●COMの索引簿の備付け及びCOMへのインデックスの出力
●当初三年間における電磁的記録の並行保存等(COMの場合)

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存  

 保存義務者は、電子取引を行った場合には、その電子取引の取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項)に係る電磁的記録(これを出力した書面及びCOMを含む)を保存しなければならないこととされました。なお、電子取引には、EDI(電子データ交換)取引及びインターネット等による取引も含まれます。

へんみ・こうじ
1959年自治省入省。税務局企画、直税各係長、課長補佐、税務管理官、市町村アカデミーおよび(財)資産評価センターの調査研究部長を経て、96年TKC入社

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