1998年10月号Vol.9

【巻頭言】まず歩こう。歩きながら考えよう。考えながら歩こう。

全国市町村保健活動連絡協議会会長 滋賀県野洲町社会福祉協議会会長 宇野 勝

 総務庁によると、わが国の65歳以上の高齢者人口は、平成9年6月に14歳以下の年少人口を上回り、10年9月には2049万人、総人口の16.2%を占めるに至った。この傾向は今後も続き、平成25年には3000万人を超え、33年には3337万人に達する。このような情勢の中、保健と福祉行政の果たす役割はますます重要となる。

 私は昭和42(1967)年から7期28年間、滋賀県野洲町の町長を勤めたが、この間は、まさに高齢化社会に向けた挑戦の連続だった。〈真に福祉の必要なところへ福祉の光を当てる〉ことを掲げ、昭和57年度には寝たきり老人の調査を実施。また、63年度には訪問介護等在宅ケア総合推進モデル事業の指定を受け、さらに平成三年度には日本初の公設民営方式による特別養護老人ホームを整備するなど、町独自の老人保健福祉計画を推進してきた。その経験から、以下の提言をしたい。

 まず、〈高齢者の面倒を見ることは町の行政の責任である〉ということだ。少子高齢化対策は国の仕事ではない。寒い地域には寒い地域に合った家の建て方があるように、地域に合った福祉のやり方があるはずだ。地域のことはその地域の人が一番よく知っているのである。

 二点目が〈保健婦の専門性を生かし、十分に活躍できるよう支援する〉ことだ。今後、少子高齢化福祉を拡大するには保健婦へ期待するところが大きい。野洲町では、平成4年度から保健婦と町の福祉高齢課の課長がペアを組んで老人宅を訪問するなど、保健福祉サービスの一体化を図ってきた。このように、保健婦との連携・支援により、“サービスの充実”と病気の悪化や寝たきりを防ぐ“健康づくり”を総合的に推進することが必要だろう。

 三点目が〈ボランティア組織の拡大を支援する〉ことである。地域特性に見合ったきめ細かな福祉サービスを効率的、総合的に提供できる体制作りにはボランティアが欠かせない。既存団体の活動を支援すると同時に、学校教育においてもボランティア体験を取り入れるなど福祉の裾野を拡げる努力をすべきだろう。

 最後に、より良い介護に向けて〈まず歩こう、歩きながら考えよう、考えながら歩こう〉ということだ。介護保険制度の課題は多いが、「計画ができるまでサービスはしない」ということではいけない。まず第一歩を踏み出し、直面する問題を考え、反省して改善しながら歩み続ける…その姿勢こそが必要だ。(談)

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