1999年4月号Vol.11

【TKC地方行政研究センターから】個人住民税における恒久的な減税及び減税実施に伴う減収の補てん措置について

特別研究員 逸見幸司

個人住民税の恒久的な減税の概要

 平成11年度の地方税制改正においては、最近の厳しい経済状況等を踏まえ、景気に最大限配慮して、個人住民税については、次のような内容の実施期限の定めのない恒久的な減税を実施することとされています。

①市町村民税所得割の税率のうち、課税所得金額700万円超の部分に適用される税率を12%から10%に引き下げる。
②定率減税として、その者の個人住民税所得割額から、その年度分の個人住民税所得割額の15%相当額(当該金額が4万円を超えるときは、4万円)を控除する。
③特定扶養親族(年齢16歳以上23歳未満の扶養親族)に係る扶養控除の額は、現行の控除額(43万円)に2万円を加算する。(平成12年度分の個人住民税から適用)

今回の減税の特徴

 地方財政の状況は、景気低迷の長期化を背景とする大幅な税収減、累次の経済対策における歳出増や大幅な減税により急速に悪化してきており、平成11年度の通常収支においては、今回の税制改正前で10.4兆円余という巨額の財源が不足すると見込まれます。

 今回の個人住民税の恒久的な減税の特徴は、地方財政がこのように未曾有の危機的な状況下にあるにもかかわらず、景気に最大限配慮することとして、地方財政の円滑な運営に十分配慮しながら、恒久的な減税に地方も応分の負担(所得税2.9兆円、個人住民税1.1兆円)をすることとされたことです。

 また、もう一つの特徴は、今回の個人住民税の減税が定率方式によって行うこととされたことです。平成10年度においては、できるだけ早期に減税の効果を発揮させる必要があること等から、単年度限りの異例の措置として、住民税として初めて定額方式による減税が実施されましたが、この方式によると課税最低限が大幅に引き上げられることになり、地域社会の費用を住民がその能力に応じて広く負担を分任するという住民税の性格から、この定額方式による減税には問題があると指摘されていました。今回、減税の方式が定額方式ではなく定率方式によることとされたことは、負担分任という住民税の基本理念が辛うじて維持された

恒久的な減税の実施に伴う減収対策

 平成11年度の地方財政においては、今回の国・地方の税制改正による恒久的な減税の実施により歳入が2.6兆円減収すると見込まれます。そのうち、地方税の改正による恒久的な減税の実施に伴う地方税の減収が1.07兆円、国税の改正による恒久的な減税の実施に伴う地方交付税の減収が1.53兆円となります。

 このため、平成11年度の地方財政対策においては、これらの減収によって平成11年度の地方団体の財政運営に支障を来すことのないよう配慮することとし、次のような補てん措置を講ずることとされています。

1 地方税の減収に対する補てん措置
①国のたばこ税の一部移譲…1100億円
②法人税の交付税率の引上げ…500億円、32%→35.8%(平11 32.5%)
③地方特例交付金(仮称)の創設…6400億円(地方税の代替的な性格であり不交付団体にも交付する)
④減税補てん債により減収総額の4分の1を補てん…2700億円

2 地方交付税の減収に対する補てん措置
交付税特別会計借入金(借入金については国と地方が折半して負担する)により補てんする。

逸見幸司
1959年自治省入省。税務局企画、直税各係長、課長補佐、税務管理官、市町村アカデミーおよび(財)資産評価センターの調査研究部長を経て現職

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