1999年7月号Vol.13

【特集:CASE2】情報システムの有効活用で課税事務を500時間削減

業務の効率化/栃木県今市市

総務部税務課 手塚志郎課長 / 大島仁章主幹 / 平 一彦主事 / 坂本哲志主事 / 吉田勝紀主査

所在地
栃木県今市市本町1番地
電話
0288-21-5113
人口
6万1896人(平成9年国勢調査)
面積
242.56平方キロメートル
URL
http://www.city.nikko.lg.jp/

──市の概要をお聞かせください。

手塚 今市市は江戸時代から日光街道の宿場町として栄えたところで、最近では首都圏から2時間と至便なことから県内一二市中もっとも高い人口増加率となっています。平成8年度からは『第六次今市市振興計画』をスタートし、いま市民参加型の市政運営を目指して〈一層の正確・公平・能率〉を掲げた行財政改革に取り組んでいます。申告受付システムに着目したのも、そのような背景があってのことでした。

大島 今市市では人口増加に伴い申告受付件数が毎年三パーセントずつ増え、平成11年度には9000件を超えました。これに対応するため市役所では15名の職員を配置し、通常の申告期間に加えて2月1日?15日まで市民税の受付業務を行っていますが、処理件数は1日300件にもおよび担当者は四月末まで休日返上で作業にあたっていました。限られた期間に膨大な課税処理をこなすのが宿命とはいえ、毎日四?五時間の残業は職員の健康管理面でも心配です。疲れると仕事の生産性も落ちますしね。

 しかも、この時期には人事異動も重なるため、三月と四月を比べると、職員数は同じでも実際の組織全体の処理能力は三?四割ダウンを余儀なくされていました。このようなことから業務の精度アップや生産性向上を狙いシステムを導入したわけです。

4月からは残業時間ゼロに

──システムを導入してどのような変化がありましたか?

 本来ならば申告会場で入力まで終わらせるのが理想です。しかし、1月中にすべての企業が給与支払報告書を提出してくれればいいのですが期限を過ぎてから届くものも多く、この処理が申告期間にずれ込んでしまうのが現状です。ならば、実態に即した形でシステムを有効活用しようと、今市市の場合は敢えて申告受付はそのままとして、システムでは入力処理だけを行うという分散処理にしています。受け付けた申告書はその日のうちに入力しました。

 いわばシステムを機能限定で利用しているわけですが、それでも効果はあったと思います。毎年この時期は休日出勤と残業が当たり前なのですが、今年はほとんど休日出勤せずに済み、4月になってからは残業もほぼゼロとなりました。具体的には、昨年まではこの作業に2500時間かかっていましたが、今年は2000時間に減ったんです。これを金額に換算すると、およそ100万円の削減です。当初の導入目的は業務精度の向上でしたが、結果的に課税事務にかかる時間とコストも削減できました。

坂本 今回は、初めてということもあり税法を理解している職員が入力を担当しましたが、ほぼ当初の計画通り三月中には課税処理を終えて4月以降はエラーチェックに専念できました。「この数字はここに入力する」という簡単な約束事さえ理解すれば後は機械的に作業するだけですから、来年以降は税法に不慣れな職員でもある程度の処理を任せることができるでしょう。そうすれば、より多くの効果が期待できると思います。また、従来は0と6のような数字の間違いや桁違い、あるいは老年者の所得制限のチェック洩れなど、十分に確認したつもりでも単純ミスが起こりがちでしたが、システム上でチェックされるためこの点がかなり改善されました。

 それに該当検索が不要になったこともあります。四月になると申告者から「証明書を発行してほしい」という依頼がありますが、従来は日付ごとにファイルした申告書から手作業で該当者を探していたわけです。このシステムでは氏名を入力するだけで検索できるのですから、住民サービスの向上にもつながっていると思います。

必要な成果を最少のコストで

──今後の展望はいかがですか。

吉田 システム導入で一番の収穫だったのは、単純作業が減ったことで職員に自分自身の作業を見直す時間的余裕が生まれたことだと思います。組織全体としての効率化を図り、業務精度をよりベストに近づけるためには、やはり職員1人ひとりが常に〈考えて→実行して→見直す〉ことが欠かせませんからね。

 改善すべき点はまだありますし、我われも現状に満足しているわけではありません。そのためにも、TKCには早い段階でOCR(光学的読取装置)での読み取りを可能にしてほしい。そうすれば、さらなるスピードアップが期待できますから、このような研究開発もお願いします。

大島 そうですね。自治体は「最少のコストで最大の効果を」と言われますが、これからは「必要な成果を最少のコストで提供する」ことが求められると考えています。行財政改革といっても必要な成果を求めるためには、たとえコストが増加しても市町村は対応しなければなりませんから…。

 行政の事務や事業を見直し、組織全体の効率化を図るためには、情報システムの整備が不可欠です。でも、これからは自治体とシステム提供会社との関わり方も、単に ユーザーと業者 という関係から変わっていくのではないでしょうか。TKCには、受託会社という立場ではなく、今後は長期的な視野に立って各市町村をリードする役割を担ってもらうことを期待しています。(押田 格)

記者の目

今市市では『TASK申告受付支援システム』を受付後の入力作業に使用し、大きな効果を発揮している。「このシステムは小規模団体にとっては大きな導入メリットがあるね」と対談を終えて大島主幹の一言。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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