1999年10月号Vol.13

【TKC地方行政研究センターから】固定資産の価格等に係る不服審査申出制度の改正について

特別研究員 土屋修一

 次の評価替えに係る固定資産税の賦課期日がもう目前ですが、固定資産評価審査委員会に対する審査の申出制度については、本年度の税制改正により、大幅に改正されたこと、すでにご案内のとおりです。その骨子としては、

 第一に、従来から長い間、非常に要望の強かった審査申出期間の延長の問題、すなわち納税通知書を見た時点ではすでに審査申出期間経過後であり、かつ価格の据置制度との関連で次の評価替えまでその申し出ができないということ

 第二に、現行の審査委員会における審査期間が長期に過ぎるのではないかという運営方法ないし審理促進方の指摘があることの二点について画期的な改善が図られています。

 以下、旧聞に属しますが、改めて改正事項のうち主なものを掲げてみます。

(1)審査申出期間の延長について

 審査申出期間が、縦覧期間の初日から、納税通知書の交付を受けた日後30日までの間に延長されました。
 従来、審査申出期間の終期は、縦覧期間の末日後10日までとされていましたが、前記の趣旨から納税通知書の交付を受けた日後30日までの間に申し出ができることとされたものです。

(2)審査申出事項の合理化

 審査申出事項の対象を「固定資産の価格」に限定することに改められました。
 従来、特例適用後の課税標準額や納税義務者等、評価額以外の事項も審査申出できることになっていましたが、このような事項は課税庁としての市町村長の認定の問題として、行政不服審査法の不服申立において取り扱われるべきであるとの指摘がなされていました。
 今回の改正では、これを受けて審査委員会については、評価に関する不服を審査決定する機関としての位置づけを明確にするため、課税標準額や納税義務者等は審査申出事項から除外し、審査申出できる事項を「価格」のみに限定することとされたところです。

(3)審理手続きの合理化

 審査委員会の審理手続きについては従来、規定上必ずしも明確でない面も指摘されていましたが、この改正で行政不服審査法と同様に審理は書面によることを規定し、市町村長の弁明書提出、審査申出人の反論書の提出の手続きを明記することにより「書面審理主義」が明確化され、また、口頭審理についても審査申出人の申請があった場合には必ず意見陳述の機会を与えなければならないこととして口頭審理の意味合いが明らかにされました。

(4)審査委員会委員の任期、定数の改正等

 以上のほか、審査期間を短縮する方向での効率的な委員会の運営を図る趣旨から、口頭審理における審査長の指揮権の明規や、審査委員会委員のうち、住民・納税義務者の充足構成要件三分の二の撤廃、さらに委員の任期・定数の合理化等々にわたって改められました。

 さて、以上の改正規定は、原則として、いよいよ平成十二評価替え年度から適用されることになりますが、過去、納税者対策としての最近の改善実績を振り返っても、標準地における路線価の公開、納税通知書の内訳書の添付等々、逐次その理解と協力を得るための改善努力が積み重ねられてきたところであり、さらに、今回のこの審査申出制度の改正は、それらの方向性にさらなるカンフル剤の投与として、広く住民・納税者から歓迎され、関係者の労苦が報われることになるのではないでしょうか。

土屋修一
1937年香川県生れ。52年香川県庁、60年自治省入省。税務局固定資産税課、固定資産鑑定官等を経て、93年(財)資産評価システム研究センター勤務、96年TKC入社

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