2012年1月号Vol.85

【巻頭言】不断の努力で、税務行政のさらなる進化を

財団法人地方自治情報センター 前理事長 小室裕一

小室裕一氏

●小室裕一(こむろ・ゆういち)
1974(昭和49)年、東京大学法学部卒、自治省(現総務省)入省。兵庫県、群馬県、大阪市、青森県総務部長等を経験。総務省にて住民基本台帳ネットワーク、平成の大合併、税源移譲を推進。自治大学校長等を歴任し、2006年、自治税務局長にて退官。立教大学経済学研究科特任教授等を経て、2007年、財団法人地方自治情報センター理事長(2011年3月退任)。現在、三井生命保険株式会社顧問、日本加除出版株式会社顧問。練馬区区民協働推進会議委員、先端技術戦略推進機構理事。

 税務行政の電子化の歩みは止まらない。税制は社会の変化に対応して進化するものであり、制度自体も多面的で厳正な手続きを伴う。そのため事務処理のあり方も、時代とともに個別システムの開発からネットワークの活用へと進展を遂げてきた。

 思い返せば12年前の正月、コンピュータの2000年問題対策に追われていた頃、e─Taxの実現に向けて、筆者も参加した「国税庁申告手続の電子化等に関する研究会」(座長・水野忠恒一橋大学法学部教授)の議論が大詰めを迎えていた。住民基本台帳法が前年8月に改正され、「住民基本台帳ネットワーク」が構築へ向けて動き出したのもちょうどその頃のことだ。そして、その後の電子政府・電子自治体の実現という流れのなか、「e─TaxとeLTAXの普及」や「国税連携の実現」、「年金等の現況証明の省略・簡素化」など、国民の利便向上と行政の効率化が推し進められてきたのである。

 いま新たな年を迎え、今春以降、外国人住民が住基システムへ加わり、また「コンビニエンスストアにおける証明書等の交付」では住民票と印鑑証明に加えて戸籍・納税等証明の交付がスタートする。まさに平成24年は一つの転換点となる。

 今日に至るまでには、自治体の方々や地方税電子化協議会をはじめ関係者の懸命な努力があった。なかでも地方税では近年、外形標準課税や課税自主権の強化、3兆円の税源移譲、固定資産税の均衡化など大きな変革が相次ぎ、また税と密接に関わる社会保障・福祉の面でも介護保険の創設、年金改革、高齢者医療などの改変が行われてきた。

 そうしたなか、税務行政においてもコンビニ納付や滞納処理の共同化などに加えて、長年の懸案だった年金からの特別徴収の実施にこぎつけてきた。昨年には国税連携も実現し、国税当局・地方税部局の連携は新たなステージに進んだといえよう。これらはLGWANの整備や個人情報保護の仕組みがベースとなっている。その実現に向け、各団体では業務フローの変更やシステム改変をはじめセキュリティ(地方自治情報センターのeラーニングによるセキュリティ研修は昨年の受講者が10万人を突破)、個人情報保護、予算確保など大変な苦労があったが、その成果は税務行政に多大な効果をもたらした。

 そして、いよいよ本格的な電子申告時代の幕が開いた。国税の電子申告が成果を収めるなか、とりわけ法人は地方税の電子申告を熱望している。まだ実施に至っていない自治体もあるが、法人関係の地方税の電子申告はまったなしの状況だ。全団体が足並みを揃えぜひとも成功させて欲しい。このことが地方税への信頼となり、検討される住民税の現年課税や地方消費税の徴収(消費税の徴収支援)にもいずれはつながることと思う。

 社会保障と税の一体改革論議が本格化し、共通番号についても期待が高まる本年は、まさに地方税の電子申告にとっても飛躍の年となろう。関係者の皆さんの奮闘で大きな成果が生まれることと確信している。

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