2012年4月号Vol.86

【特集2】自治体クラウドに挑む
当初課税などの業務は、どう変わるのか

特集座談会では、「市区町村の現場には変化への“不安”とともに、詳細な情報が“不足”していることへの“不満”がある」との指摘がなされた。確かに、自治体クラウドというとネットワークやシステムの仕組みばかりが語られ、業務への影響など具体像はなかなか見えてこない。そこで一例として、従来あまり語られてこなかった大量一括処理など周辺業務について、クラウド活用でどう変わるのかを考えてみる。

 昨年2月、総務省において「地方自治体へのクラウド導入の全国展開に係る意見交換会」が開催されました。これはクラウドサービスの提供事業者を対象に、総務省の取り組みなどについて意見交換が行われたものです。会合では平成23年度の取り組みとして、相互運用性を確保するための共通ルールの構築や情報セキュリティの確保・向上など「導入環境の整備」とともに、自治体がクラウドを導入するにあたり検討すべき「導入効果」の整理を行う方向性が示されました。

 この導入効果について、会議資料『クラウドサービス導入による効果提案項目(例)』を見ると、「ペーパレス化支援」や「バッチ処理計画策定の最適化」、「周辺業務を含めた共同処理(アウトソーシング)」にも言及しています。市区町村がクラウド導入を検討する場合においても単なるネットワークやハード、ソフト中心の話ではなく、こうした周辺業務の効果にも着目すべきといえるでしょう。

大量一括処理が一変する

 では、クラウドで周辺業務がどう変わるのか、TKCの例で考えてみます。

 TKCでは今春、「TKC行政クラウドサービス」の提供を開始しました。これは基幹業務と住民向けサービスを支援する「TASKクラウドサービス」と、大量一括処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」の二つのソリューションからなるサービスです。

 またTKCでは、昭和40年代から“ノンカスタマイズ”を原則としたパッケージシステムを展開し、庁内のシステムとデータセンターでの大量一括処理を組み合わせた独自サービスを展開してきました。「TKC行政クラウドサービス」は、こうした当社の強みを活かしながら、新たに柔軟性や拡張性、安全性といったクラウドの特長を採り入れたものです。

 なかでも「TASKアウトソーシングサービス」は、これまでの大量一括処理のイメージを一変させると考えています。

 例えば、当初課税業務など大量のデータ処理を行う場合、これまでは庁内のサーバ等に相当の負荷がかかっていました。しかし、これからはTKCインターネット・サービスセンター(TISC)のリソースを活用することで、システムへの負荷を気にせず処理することが可能となり、業務時間外の作業や夜間の立ち会いなどがなくなります。

 また、担当者のパソコンから直接、処理のスケジューリングや条件変更、処理状況の確認などが可能となるため、情報主管課が各課の業務スケジュールを調整する必要がありません。さらに定型業務のほか、突発的な非定型業務の集計や税額の見込み試算などのシミュレーションなども容易に行えます。

 クラウド環境で処理された結果は、イメージファイル(PDF)や二次加工が可能なデータ(CSV)としてTISCに保管され、手元のパソコンからいつでも検索・確認することができます。これによりペーパレス化はもちろん、データを有効活用して通知書等の発布前確認や業務特性に応じた独自集計が行えるなど、業務の幅もぐっと広がります。

 加えて、納税通知書などの封入・封緘・発送作業もアウトソーシングできるため、庁内に高速プリンタや製本機等を用意する必要がありません。

 このように周辺業務については、クラウドにより作業負荷の軽減や業務の効率化が確実に進むといえるでしょう。

“不”の解消へクラウドも進化

 一方、自庁処理を行ってきた団体では、外部へ委託することによる情報漏えいや、納期や処理の融通が利かなくなることへの不安をもっています。その場合、情報セキュリティ面では、やはりISO27001の認証取得やプライバシーマークの付与を受けた事業者を選択することが大前提であり、サービス面では個々の団体の実情に合わせ柔軟な対応が可能なものを選ぶことが肝要といえます。

 これらについては、TKCでも最高度の情報セキュリティ対策といったインフラ面に加えて、当社社員がすべての処理を行うなど運用面でも万全のサービス体制をとっています。また、オペレーションの自動化によって人的ミスを極力排除する仕組みや複数担当者によるチェック体制の構築、さらに定期的に確認・運用方法を見直すなど、業務品質の維持向上へも継続的に取り組んでいます。

 さて座談会では、そのほかにもさまざまな不安が指摘されていましたが、残念ながらクラウドの将来像を予測することは極めて困難です。ただ見方を変えれば、クラウドは不変のものではなく“進化の過程”にあるからこそ、使い方次第でさまざまな可能性を秘めているともいえます。

 いま市区町村が直面する課題には、コスト削減や業務の効率化、業務の継続性の確保などがあります。しかし、長期的な視野に立てば、自治体クラウドとは単なる情報システムの見直しではなく、住民の満足度を向上し活力ある将来のまちづくりを見据えた基盤づくりだといえます。市区町村では、これまでにも電子自治体の構築へ取り組んできましたが、業務プロセスなどでの大きな変化はありませんでした。自治体クラウドはこれを一変させます。国も自治体クラウドの推進へ積極的な姿勢を見せており、数年後にはクラウドが当たり前となることでしょう。

 だからこそ、中長期の視点から個々の状況に応じた最適なサービスを選択し、サービス提供事業者も巻き込んで継続的な改善を続けていくことが重要です。TKCとしても、お客さまとともに自治体クラウドの進化と“不”の解消へ、貢献していきたいと考えています。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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