2012年7月号Vol.87

【ユーザー事例2】LGWANの活用で、コストと安全性を確保する

庁内情報系ソリューション「公会計システム」 > 栃木県那珂川町

栃木県那珂川町 企画財政課 課長補佐兼情報管理係長 大武 勝氏

住所
栃木県那須郡那珂川町馬頭409番地
電話
0287-92-1111
面積
192.84平方キロメートル
人口
18,718人(平成24年6月1日現在)
URL
http://www.town.tochigi-nakagawa.lg.jp/
大武勝氏

大武勝氏

──栃木県那珂川町では、東日本大震災において震度6弱という烈震に見舞われ、庁舎損壊の被害を受けました。

大武 那珂川町は、平成17年10月に馬頭町と小川町の合併により誕生したまちです。旧馬頭庁舎、旧小川庁舎をそれぞれ現在も使用していますが、東日本大震災で両庁舎ともに一部損壊の被害を受けました。現在は、応急措置として危険箇所にあたる両庁舎の2階部分を解体・撤去して1階部分への荷重軽減を図るとともに、本庁舎機能の一部移転などにより行政事務を継続している状況です。幸いサーバ等は震災の影響を受けませんでしたが、住民の生命や財産、健康で安全な暮らしを守るという使命を持つ自治体として、改めて「行政情報を安全な場所で保管すること」「業務継続性の確保」の重要性を痛感させられる出来事でしたね。

──そうしたなか、平成24年3月に財務会計システムをクラウド版へ移行されたわけですが、その経緯を教えてください。

大武 以前、基幹系システムを更新する際にハウジングサービスを検討したことがありましたが、その時には本庁舎とデータセンターを結ぶ専用回線の敷設コストが高く、採用を見送った経緯があります。そんな折、財務会計システムの機器の更新時期を迎えるにあたり、どうしようかと考えていたところへLGWANを活用したクラウドサービスの提案を受けたんです。

 そこで、従来のようにサーバ機器を更新して庁内に設置して利用する場合とのコスト比較を行ったところ、クラウドサービスの方が年間で200万円、5年間で1000万円の費用を削減できることがわかりました。その要因は、①クラウドの通信インフラとして既存のLGWAN回線を利用するため専用回線の敷設が不要、②サーバ機器の運用・保守にかかる費用の削減──でした。

5年で1千万円のコスト削減へ

大武 一方でLGWANを利用することには懸念もありました。それはLGWANの帯域の問題です。県内はLGWANの帯域が3Mbpsと狭く、果たして実務に耐えられるのかが不安でした。そこでTKCに同様の環境で検証してもらったほか、実際にLGWANを介して「TASKクラウド公会計システム」のテストサイトへアクセスし、実務に耐えるかどうかの検証を行いました。その結果、まったく不都合は認められず、「これならばクラウドでいける!」と確信しましたね。

 クラウドへ移行して数か月が過ぎましたが、庁内でシステムを運用していた時と比べても処理スピードなどに何ら遜色はありません。

次代を見据え、安全管理対策など見直し

──クラウドサービスの活用にあたり、準備されたことはありますか。

大武 まず取り組んだのは「情報セキュリティポリシー」の改訂です。情報セキュリティポリシーの評価や見直しについては、情報セキュリティ委員会に諮る必要があるため早めに着手しました。というのも、那珂川町ではこれまでサーバの庁外設置を認めていなかったんです。

 そこで、セキュリティ対策として新たに「クラウド」の項目を追加し、また外部ネットワークとの接続に関しては、特に重要度の高い情報を扱うクラウドサービスの場合は「LGWAN回線を使用する」ことを追加するなど、情報セキュリティ対策基準の改善を行いました。

 さらに、クラウド化に伴うリスクと課題を整理し、その対策について取りまとめました。移行を最終判断するにあたっては、これを踏まえてシステムの機能やデータセンターのセキュリティ対策などの要件を提示し、それぞれの項目についてチェックを行いました。その結果、クラウドサービスの活用により、自然災害など万一の事態が発生しても行政情報は安全な場所で守られ、業務の継続・早期復旧ができると決断したわけです。

──それらはLGWANだからこそ実現できるわけですね。

大武 そうですね。やはり最大の決め手となったのは、情報セキュリティと業務継続性を「LGWANを活用したクラウド」で実現できることです。基幹系・情報系を問わず、クラウドサービスの活用は今後さまざまな分野で浸透するでしょうし、いずれは番号制度の導入などにより外部とのデータ連携なども想定されます。そうしたなかで、LGWANの重要度はますます増していくと思います。

 いま、那珂川町ではまちの将来像なども見据えながら、新たな庁舎を整備する方向で検討が進められています。庁舎は住民が誰でも利用しやすく親しみやすい施設であるとともに、大規模災害の発生時には救助や復旧活動の中枢機能を担うことになります。地域防災の拠点としての“灯”は絶対に落とせないんです。

 同時に、情報システムについても将来を見据えて柔軟に対応できる環境整備が欠かせません。「行政の情報化」というと、古くは人員削減や事務の効率化が目的でしたが、いまや「住民サービスの向上」のための手段として明確に意識されるようになりました。しかし、業務の多様化に合わせて情報資産もどんどん増やすという従来姿勢は見直さなければ…。

 費用対効果の観点からも、将来的にはすべてのシステムがLGWANを利用したクラウドへ移行できればいいとは思いますが、那珂川町で実現するまでには情報セキュリティの対策基準やルールをどうするかなどまだ十分な検討が必要です。クラウドはまだ始まったばかり。安全や利便性、コスト削減の点で、よりよい提案があればそれを検討しながら、じっくりと自分たちに最適な仕組みを考えていきたいと思います。

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