2012年10月号Vol.88

【巻頭言】クラウドで、災害に強いまちづくり

茨城県潮来市 総務部長 窪谷俊雄

 潮来市(人口2万9841人:平成24年9月1日現在)は、茨城県の東南部、千葉県との県境に位置し、四季を通じて穏やかな気候であり、霞ヶ浦・北浦などの湖や川に囲まれた自然豊かなまちです。5月、6月には、市の代表的なイベントである「あやめまつり」が開催され、80万人を超える観光客のみなさまに訪れていただくなど、水郷の里として全国的にも知られています。

 潮来市は、今年8月に基幹系システムをクラウド化しました。きっかけは、昨年3月11日に発生した東日本大震災です。

 被災規模の大きい市町村では庁舎の倒壊や戸籍、住基といった重要データの消失などが発生し、その報道に驚きました。潮来市の庁舎や情報システムに大きな被害はありませんでしたが、今後同様な災害の発生に備え、対策を早急に検討しようという機運が高まりました。そこに、総務省が平成23年度補正予算で事業費33億円の「被災地域情報化推進事業」を創設したことで、「クラウドサービスによる業務継続性の確保」の現実化に向けて一挙に動き出しました。市長のトップダウンや職員の協力で、わずか1か月間という短期間でクラウド化を決定したのです。

 潮来市では、これまでにも当初分の納付書印刷、製本、封入封緘などの業務をアウトソーシングしてきましたが、基幹系システムそのものを外部で運用することは、情報政策担当くらいしか考えていませんでした。確かに、庁舎内で情報システムを運用し管理できた方が、安心できるという考え方は分かります。特に自庁処理方式の市町村であれば、データを外部に預けることについて抵抗もあるでしょう。しかし、今回のように庁舎が倒壊するような震災が再び起きた場合に備えて、「業務継続性の確保」を優先することは重要です。 その点、クラウド化は業務継続性の確保はもちろん、市民の生活を支える重要な基盤となります。

 クラウド化して約1か月が経過しましたが、各課ではシステムを移行したことさえ気づかないほど業務への支障はありません。また、情報政策担当でもシステムのバージョンアップ作業時の立ち会いが不要になるなど運用管理が大幅に改善されました。今後はハードウェア経費や、サーバ室のセキュリティ確保などの維持・管理費についてのコスト削減効果も期待しています。

 また、基幹系システムに加えて、財務会計システムもクラウド化しました。これは、直接住民サービスに影響を与えるものではありませんが、支払情報などが含まれているため、紛失や損失のリスクを回避する必要があると判断したものです。今後は業務システムについても、その特性や住民サービスへの影響などを勘案し、クラウド化を進めていきます。

 今後5年間は復興に最優先で取り組んでいくことになります。そのプロセスにおいて、例えば道路管理台帳の電子化などのIT活用も有効な手段になると思っています。復興までは長い道のりが続きますが、“安心・安全なまちづくり”に向けて、情報システム職員と各課職員が一丸となって業務継続性の確保に取り組んでいきます。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

※掲載団体様への直接のお問い合わせはご遠慮くださいますようお願いいたします。

  • お客様の声
  • TKCインターネットサービスセンター「TISC」のご紹介