2013年4月号Vol.90

【巻頭言】地域連携に応える地方公共団体の役割

東京大学高齢社会総合研究機構 特任研究員 井堀幹夫氏

井堀幹夫氏

井堀幹夫氏

 いま高齢化が進展し、住民の生活圏域における医療、介護、予防、生活支援、住まいに関する包括的かつ継続的にサービス提供する「地域包括ケアシステム」の整備に向けての取り組みが注目されています。その実現に向けては、地域の関係者が一体となって連携しサービス提供する動きが全国で高まっており、地方公共団体の関わりが期待されています。

 とりわけ、在宅医療と在宅ケアのサービス強化については、地域の医師、看護師、ケアマネージャー、薬剤師、ヘルパーなどの専門職が、事業主の枠を超えて高齢者一人ひとりを担当するチームを編成して、高齢者の日常生活を支えるために連携する地域が増えつつあります。

 地方公共団体には、いまこそ地域の関係者の連携をサポートする窓口としての役割を担って、超高齢社会に有効な地域資源の活用と質の向上につながるまちづくりに関わることが求められています。

 平成25年1月、東京大学高齢社会総合研究機構では、全国の地方公共団体や診療所、介護事業者、郡市医師会などを対象に在宅医療と介護の連携に関するアンケート調査を行い、約1130団体における地域連携の実態について把握しました。それによると、地域連携による看護・介護に関する情報共有は72%という高い比率ですでに実施していることが確認できました。なお、その共有にICTを利用している団体はまだ全体の約12%と少数ですが、今後「ICTを利用して連携したい」と考えているところは55.6%と多くの団体が期待していることが分かりました。また、41.5%の団体は「ICTを利用するかどうか分からない」としていますが、実際にICTを活用している団体にその利用効果を尋ねると「患者(利用者)のケアの質の向上につながった」「関係者間での協力体制が深まって負担が軽減した」などの質問に、約70%の団体がICTを利用して効果があったと評価しています。これは、今後の情報システムの普及に期待できることだといえます。

 一方、課題については、「費用負担の軽減」「個人情報の取り扱いに対する不安」「標準化された連携基盤の整備が必要」などの意見が多く、約50%を超える団体が課題としています。特に、地方公共団体については、他団体に比べて、慎重かつ消極的に捉えている傾向が見られるのは残念な状況にあります。

 超高齢社会を背景に高まる地域包括ケアシステムのニーズに応えるためには、これら課題の解決に役立つ“地域全体で共同利用できる住民の生活を支援するクラウドシステム”の利用が有効です。今後の地域包括ケアシステムの進展には、このクラウドシステムの活用が大きなカギを握っているといえるでしょう。

 また、マイナンバー法の成立により、超高齢社会の住民生活に効果のある番号制度の進展が期待されます。公正で信頼性の高い番号制度を確保するためにも地方公共団体には、その推進役としての重要な役割を果たすことを期待しています。

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