2013年4月号Vol.90

【特集1】平成25年度
地方税制改正のポイント

総務省自治税務局企画課課長補佐 天利和紀氏

平成25年度税制改正では、「成長と富の創出の好循環」の実現に向け、さまざまな税制上の措置がなされると同時に、社会保障と税の一体改革の着実な実施に向けた税制上の措置が盛り込まれている。
そこで本号では、総務省自治税務局企画課課長補佐の天利和紀氏に『平成25年度税制改正大綱』における地方税制改正のポイントをまとめていただくともに、これに伴うシステムへの影響、また電子納税など収納手段の多様化について整理する。

平成25年度税制改正の経緯

 平成25年度税制改正は、19年ぶりの越年作業になるなど異例の経過をたどることとなりました。それは平成24年8月10日に成立した消費税率(国・地方)の引き上げを含む税制抜本改革法における残された課題その他の検討課題がある中で、11月16日に衆議院が解散され、12月16日の総選挙の結果、12月26日に自民党・公明党の連立による第二次安倍晋三内閣が発足したことから、税制改正の仕組みが大きく変わったことによります。

 民主党政権下においては、財務大臣を会長、総務大臣等を会長代行、各省副大臣等をメンバーとする政府税制調査会において税制改正の議論が行われてきました。平成25年度税制改正においても、10月19日に第1回の政府税制調査会が開催されて以降、11月14日までに7回にわたって議論が行われてきましたが、衆議院の解散により開催が見合わされることとなりました。

 総選挙後の自民党・公明党連立政権においては、毎年度の具体的な税制改正は、与党の税制調査会で議論が行われることとなりました。平成25年1月7日には、新藤義孝総務大臣および麻生太郎副総理兼財務大臣出席の下、自民党税制調査会(会長・野田毅衆議院議員)の総会が開催され、平成25年度税制改正に向けた議論がスタートし、約2週間半という短期間にほぼ連日議論が行われました。

 また、公明党税制調査会(会長・斉藤鉄夫衆議院議員)においても平行して議論が行われ、自民党・公明党の間では、与党税制協議会において意見の調整が行われました。

 こうした経緯を経て、1月24日、自民党および公明党は「平成25年度税制改正大綱」を決定しました。

 これを受け、政府においても、与党の税制改正大綱のうち平成25年度に具体的な改正を行うものについて、1月29日に「平成25年度税制改正の大綱」として閣議決定を行いました。

地方税の改正の概要

 与党の税制改正大綱においては、地方税について「『地方・地域の元気なくして国の元気はない』という考え方のもと、自らの発想で特色を持った地方・地域づくりができるよう、地方分権を推進し、その基盤となる地方税の充実に努める」との方針が示されています。

 平成25年度税制改正における地方税の主な改正の概要は次の通りです。

「復興支援のための税制上の対応」

 東日本大震災に係る津波により甚大な被害を受けた区域については、市町村長が指定する区域における土地および家屋に係る固定資産税および都市計画税について課税免除等を行う特例措置が設けられていましたが、平成25年度も引き続き当該措置を講じることとされています。

「住宅取得に係る措置」

 住宅取得については、消費税率引き上げの前後における駆け込み需要およびその反動等による影響が大きいことを踏まえ、一時の税負担の増加による影響を平準化し、緩和する等の観点から、住宅ローン減税の拡充をはじめとする税制上の措置を講じることとされました。

 このうち、個人住民税においては、所得税の住宅ローン控除の適用者について所得税から控除しきれなかった額を個人住民税から控除する措置を平成26年1月1日から4年間延長することとし、その限度額については、平成26年4月1日以降は、現行の5%(最高9.75万円)から7%(最高13.65万円)に拡充することとしています。この措置による平成27年度以降の個人住民税の減収額は、全額国費で補填されることになります。

「金融所得課税」

 金融所得課税の一体化のため、上場株式等の配当および譲渡損益の間でのみ認められている損益通算の範囲を、一定の公社債等の利子などや譲渡損益に拡大するとともに、非課税とされている公社債等の譲渡益について、申告分離課税の対象とすることとしています。

 また、法人に係る道府県民税利子割を廃止することとしました。なお、法人の利子は、住民税法人税割として課税されるため、法人の税負担に変更はありません。

「納税環境整備」

 国税に係る延滞税・利子税・還付加算金について、現在の低金利の状況に鑑みて引き下げられることに合わせて、地方税に係る延滞金・還付加算金の利率を引き下げることとしています。具体的には、現在の金利水準(平均貸出約定金利1.0%)を前提とすれば、延滞金は現行の14.6%を9.3%(納期限後1カ月以内の場合、現行4.3%を3.0%)に、還付加算金は現行の4.3%を2.0%に引き下げることとなります。

「税負担軽減措置等」

 固定資産税や不動産取得税等に係る特例(税負担軽減措置等)について、平成24年度末で期限が切れるものについての延長や、新たな特例の創設、整理合理化等を行っています。

 その中で、国が一律に定めていた内容を地方自治体が自主的に判断し、条例で決定できるようにする「わがまち特例」についても、固定資産税の特例(大規模災害時の避難者や帰宅困難者のための備蓄倉庫に係るもの)について導入することとしています。

「車体課税の見直し」

 このほか、自動車取得税および自動車重量税については、与党税制改正大綱において見直しの方向を示された上で、平成26年度税制改正において具体的な結論を得ることとされています。

 このうち自動車取得税については二段階で引き下げ、消費税10%の時点で廃止する一方、消費税10%段階で、自動車税において環境性能等に応じた課税を実施するなど、安定的な財源と併せて地方財政へは影響を及ぼさないという改革の方向が示されています。

地方税法の一部を改正する法律案の概要

主な税負担軽減措置等

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