2013年7月号Vol.91

【特集1】番号制度、いよいよ準備段階へ

──制度導入に向け、どんな作業が必要か?

総務省大臣官房企画課 個人番号企画室長 藤井雅文氏

平成25年5月31日に公布された番号法による「番号制度」。いよいよ制度導入に向けた準備段階に入ったといえる。
この夏を目途に地方公共団体に対する「ガイドライン」も取りまとめられる予定だ。本特集では、制度の概要や市町村に求められる準備事項について、総務省大臣官房企画課個人番号企画室長に聞く。

藤井雅文氏

──番号法がいよいよ成立、公布されましたね。

藤井 「社会保障・税番号制度」(以下、「番号制度」)については、法案が昨年11月に衆議院の解散により廃案となりましたが、その後、政府として、再度、必要な修正を加えて社会保障・税番号制度関連法案として平成25年3月1日に閣議決定し、国会に提出されました。その後、衆議院、参議院の審議を経て、平成25年5月24日に参議院で可決、成立し、31日に公布されました。

──総務省大臣官房企画課個人番号企画室の役割を教えてください。

藤井 番号制度全体については内閣官房の所管となりますが、総務省では、行政機関間の情報連携を行う基盤となる「情報提供ネットワークシステム」の運用管理等を担うことになります。情報提供ネットワークシステムについては総務省に設置することとなりますが、その運用に向けた準備が必要となってきます。これらを担うのが個人番号企画室の役割です。

番号制度の仕組みと効果

──制度の目的、仕組みについて教えてください。

藤井 番号制度とは、「複数機関に存在している個人の情報を同一人の情報であるということの確認を行うための基盤」です。社会保障・税制度の効率性、透明性を番号制度の導入により高め、住民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤(インフラ)になります。

 番号制度の仕組みとしては、大きく三つの柱があると考えています。一つ目は「付番」です。付番については、各市町村長が住民票コードをもとに生成する個人番号を指定することになります。そのため、住民票を持っている方全員に個人番号を付番します。そして、この個人番号を「通知カード」により各個人に通知することとなります。なお、個人番号の生成については、地方共同法人として設置される予定の地方公共団体情報システム機構が行うことになっています。

 二つ目は、「行政事務における番号利用と本人確認」です。「行政手続における個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下、「番号法」)では、別表第1に定められた93の事務について個人番号の利用ができることになっています。具体的には生活保護の決定や、介護保険の給付事務、地方税の徴収など社会保障、税、災害対策の分野の事務が限定的に規定されています。なお、番号法ではこれら別表1に規定された事務だけではなく、各地方公共団体が条例で定める社会保障、税、防災に関する事務等について、個人番号を利用できることとなっており、地方公共団体の自主性が出せるようになっています。また、番号法の附則では、個人番号利用の事務の範囲について、法律の施行後3年を目途に、見直しについて検討することとされており、法施行後の状況等を見ながら検討することとなっています。

 本人確認について申し上げますと、個人が個人番号を利用する際に、本人であること、自分の個人番号の真正性を確認することであり、具体的には個人番号カードを本人が手続窓口等で提示して、本人確認を行うこととなっています。

 三つ目は、「行政機関間における情報連携」です。これはそれぞれの行政機関毎に管理している同一人の情報をひも付けし、相互に活用するというものです。具体的には、国の機関に対して市町村が保有する税情報を提供する、都道府県で管理している障がい者関係情報を関係機関に提供する──などが挙げられます。なお、この情報連携を行うことができる事務については、番号法の別表第2に限定的に列挙されています。

──番号制度導入により、どのような効果があるのでしょうか。

藤井 番号制度導入の効果は、三つあると考えています。

 一つ目は、「社会保障・税の給付と負担の公平化」がなされるという点です。情報連携の仕組みにより所得情報等を得ることができるようになることにより、二重給付や給付の過誤、漏れなどが防止でき、これにより公平化が図られるということです。

 二つ目は、「行政事務の効率化」です。例えば、国税・地方税の課税徴収事務における個人番号の利用により、確定申告書類や給与支払報告書、各種法定調書などに個人番号を付記することなどにより、効率的かつ正確な名寄せ・突合が実施できるようになります。

 三つ目は、「住民の利便性の向上」です。行政機関間の情報連携が可能になることで、パスポートや児童扶養手当、国民年金保険料の免除手続きなど、これまで行政機関に対してさまざまな申請をする際に必要となっていた所得証明書や納税証明書、住民票などの添付書類が不要となり、そのために住民の皆さんが役所(役場)へ出向く必要がなくなるなどの効果です。

今夏目途にガイドラインを提示

──市町村側の準備としては、今後どのようなことが想定されますか

藤井 現在、予定されているスケジュールでは、平成27年10月から個人番号を付番し、住民に通知していくことになります。そして平成28年1月より個人番号の利用が開始され、平成29年1月からまず国の行政機関間での情報連携が開始され、平成29年7月からは地方公共団体も含めた情報連携が始まります。

 このため市町村においては、平成26年度から平成27年度にかけてさまざまな準備に取り組んでいただくことが必要となってきます。

 それは次の三点になります。まず、一つ目は、各地方公共団体における必要なシステムの整備です。各市町村で個人番号を利用するためには、「住基システム」「税システム」「宛名システム」「福祉関連システム」など各市町村で構築されているシステムの改修が必要となります。また、行政機関間の情報連携等を行うために新たに「中間サーバー」を設置することになります。この中間サーバーのソフトウエアについては、国で一括開発し配付することにしていますが、ハード整備や導入などの作業は、市町村で実施していただくことになります。

 二つ目は、必要な条例等の整備です。社会保障の分野などで、各地方公共団体で実施している単独事業等についても、独自に条例で定めることで個人番号を利用できるようになるため、そのための条例改正について検討することになります。また、個人情報保護条例等についても、現在の規定の内容に照らして、必要な改正について検討することが必要になります。

 三つ目は、個人番号の利用を踏まえた業務改革や組織体制の見直しについての検討です。番号制度は、先ほど申し上げました目的を達成するためのあくまで手段にすぎません。重要なことは、その手段をどのように活用していくかです。そのため、例えば総合窓口の導入など、住民サービスの向上や行政の効率化に結びつけるための方策を、体制面も含めて各地方公共団体で検討していただきたいと思います。

 なお、システム整備を含め、各地方公共団体で必要となってくる準備事項等の具体的内容については、現在、総務省で「ガイドライン」として取りまとめているところであり、本年の夏を目途にお示しするため準備を進めています。

──そのガイドラインの公表を踏まえて、市町村側でも、いよいよ平成26年度からの準備に着手するということになりますね。

藤井 そうですね。今回の制度導入のための準備としては、3~4年のスパンでの作業が必要となります。

 今後、総務省としては、中間サーバーのソフトウエアの一括開発に着手し、また、内閣官房においても情報提供ネットワークシステムの開発等に着手していくこととなります。申し上げたとおり、今後、市町村における準備作業が生じますが、番号制度の円滑な導入に向け、国と地方が一体となって必要な準備を計画的に進めていくことが必要になりますので、よろしくお願い致します。

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