2013年10月号Vol.92

【巻頭言】番号制度を活用し、新たなサービスを

千葉県千葉市総務局次長(CIO補佐監) 三木 浩平

三木浩平氏

みき・こうへい
●米国アメリカン大学にて社会学修士。コンサルタントやCIO補佐監として国や自治体の情報通信政策に関わる。日本総合研究所副主任研究員、三菱総合研究所主席研究員等を経て、2013(平成25)年4月より現職。「社会保障・税に関わる番号制度に関する国と地方の事務レベルの協議の場」委員、「地方公共団体における番号制度の活用に関する研究会」委員。

 番号制度が始まる。制度では、法定事務以外に自治体の条例によるサービスも可能とされているが、独自サービスへの取り組みは自治体によって大きな差が生じる可能性を持っている。つまり、法定事務対応のみで手いっぱいとなり独自利用の検討すらされない団体が出てくる一方で、首長から積極検討の号令がかかった団体ではユニークなサービスを競う──といった状況だ。千葉市についていえば後者である。そこで、現在検討中の施策について紹介したい。

 検討の出発点は、番号法の解釈である。法制度上、独自利用はどの程度許容されるのか。結論から言えば、制度のコアな領域では独自利用が難しく、その周辺領域であれば可能性がありそうだ。

 庁内の情報連携については、千葉市では従来から宛名番号を利用しており、国の制約を受けてまで個人番号を利用するメリットは少ない。また、自治体間の情報連携についても、当市の条例に従って、他市が個人情報を提供してくれるのか懸念が残る。

 一方で、可能性のある領域が周辺分野だ。例えば、個人番号カードのICチップの空容量、マイ・ポータルのID/パスワード認証による機能、そして法人番号等がそれにあたる。

 個人番号カードは、住基カードが当初目指したマルチタスクなカードを実現できる可能性がある。つまり、ICチップに図書館カードや施設利用カード、印鑑登録カードといった他の行政カードを統合するという考え方だ。お薬手帳や健診結果、救急搬送時に必要となる病歴など本人合意のもとで情報携帯ブリーフケースとして利用する方法もある。いずれにしても、日常的に使う機能、市民が必要と感じる機能を搭載できるかどうかが、新カード普及の成否を握る。

 マイ・ポータルでは、IDとパスワードでも使える機能が検討されていると聞く。重要な手続きの多くは、引き続き窓口での本人確認が必須となるが、重要手続きに続く各種案内について、タイムリーかつ簡便な手続きへのニーズは高い。例えば、出生届の後、新生児訪問、母親教室、乳幼児予防接種等の案内が続く。これらは母親が子育てしながら携帯電話等で案内を受けたり、予約することができれば助かるのではないか。

 法人番号は、隠れた利活用フロンティアといえる。個人番号の利用には特定個人情報保護評価など相応の制約が課せられるが、法人番号は自由な利用ができる。そこで、マイ・ポータルの法人版、ビジネス・アカウントを作ってみてはどうか。各法人が公共団体と取引するためのポータルサイトである。現金の収受を行うアカウントの登録や入札資格情報の確認、ライセンス更新、調達情報の案内、行政との簡易な書類のやり取りなど、自治体と事業者の両方の事務の簡便化につながるのではないだろうか。複数の手続きで同じような書類のやり取りをしているのであれば、集約効果が期待できる。

 制度の制約の中でも、さまざまなサービスが実現可能であり、自治体の特徴を際立たせることになるだろう。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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