2013年10月号Vol.92

【特集】待ったなし番号制度

──制度導入に向け、いまやるべきこと

総務省自治行政局 住民制度課長 篠原俊博氏

「地方公共団体における番号制度導入のガイドライン」が提示され、全国47都道府県での説明会がスタートするなどいよいよその歩みを進めた番号制度。ガイドラインのポイントとともに平成28年1月の番号の利用開始に向け、市区町村ではいま何をすべきか、総務省自治行政局住民制度課長に聞く。

篠原俊博氏

──「地方公共団体における番号制度の導入ガイドライン」(以下、ガイドライン)について、概要を教えてください。

篠原 ガイドラインについては、2年前から検討を始め、平成24年9月に中間とりまとめとして一度公表しています。今回、最終とりまとめという形で地方公共団体向けに提示しました。

 その内容は大きく3部構成となっており、第1章「地方公共団体における番号活用について」では、宛名番号などの活用事例を紹介しています。ここでは、福岡県粕屋町様など6団体の事例を取り上げました。第2章「番号制度に対応したシステム構築について」では、システム改修要件などシステム改修にかかる部分のガイドラインをお示ししています。第3章「番号制度に対応した個人情報保護対策その他地方公共団体が行うべき措置について」では、個人情報保護対策を中心に地方公共団体が番号制度を導入するに際して留意すべき事項や措置しなければならない事項をまとめました。

──「中間とりまとめ」からの変更点を教えてください。

篠原 第1~2章については、中間とりまとめに見直しを加えたものとなっています。ここで大きなポイントとなるのが、新たに追加した「団体内統合宛名システム」(第2章第4節)です。これは、既存業務システムで管理している宛名情報を統一的に管理するというもので、各業務システムを統括するような位置づけとなることをイメージしています。

 今回の番号制度対応で一番素直な対応策となるのは、情報連携の対象となる全ての既存業務システムに個人番号を持たせるという方法でしょう。しかし、そうなると全てのシステムで改修が必要となります。また、個人番号自体も各業務システムで扱うとなると個人情報保護対策の観点から各業務システムにおいて相応の注意と規制をかける必要があります。「団体内統合宛名システム」の目的は、そのような既存業務システムの改修範囲等の局所化にあります。

 なお、すでに一定の宛名管理の統一を済ましている団体については、個人番号を追加するなどの改修を実施していただくことになります。しかし、宛名管理システムを未整備の団体では、番号法別表第2に掲載されている事務について新たに団体内統合宛名システムを整備していただくことになります。

個人情報保護対策の概要

──新たに追加された第3章について教えてください。

篠原 第3章は、中間とりまとめでは触れていない「番号制度における個人情報保護対策」についてまとめています。この章のポイントは2点です。

 一つは「条例改正」で、自治体では、まず番号法第31条に基づき、行政機関個人情報保護法等の読み替え規定(番号法第29条、第30条)の趣旨に沿って個人情報保護条例を改正していただく必要があります。具体的には、特定個人情報の「目的外利用」「提供」「開示・訂正・利用停止」などについて番号法と整合させることとなります。また、それ以外にも地域の独自性に基づく規定が定められていて、番号法における規定との間に整合性がとれていない場合には条例改正等の検討が必要です。例えば、個人情報の外部提供にかかる規定を定めている場合などがこれにあたり、その場合には番号法第19条の各号における規定と矛盾が生じていないか確認していただく必要があります。

 加えて、個人番号を番号法別表第1に規定されていない独自事務で利用する場合は、条例で規定していただく必要があります。

 二点目は「特定個人情報保護評価」を実施しなければならないということです。

 特定個人情報保護評価とは、「特定の個人情報ファイル」の保有・変更にあたりプライバシーや特定個人情報へ及ぼす影響を事前に評価し、その保護のための措置を講じる仕組みのことをいいます。欧米諸国のプライバシー影響評価に相当します。具体的には個人情報ファイルを保有しようとする機関が、保有することでどのようなリスクが生じ、それをいかに軽減・緩和するかを所定の様式の評価書に記載して公表するというものです。

──事前評価とのことですが、いつ実施する必要があるのでしょうか。

篠原 個人情報保護評価を実施するタイミングは、個人情報ファイルを保有しようとする前に実施しなければなりません。そのため、まずはシステムを開発(改修)する前までに実施しておく必要があるということになります。

 評価書の様式には、「しきい値評価書」「重点項目評価書」「全項目評価書」の3種類があります。評価の実施にあたっては、特定個人情報ファイルの対象者の人数によって評価する項目が変わります。(a)ファイルの対象人数が1000人未満である場合は、評価を実施する必要はありません。(b)対象人数が1000人以上1万人未満の場合は、「しきい値評価」のみを実施します。(c)対象人数が1万人以上10万人未満の場合は基本的には「しきい値評価」のみを実施しますが、特にリスクの高いファイルのみ「重点項目評価」を実施します。(d)対象人数が10万人以上30万人未満の場合は「重点項目評価」を実施しますが、特にリスクの高いファイルについては「全項目評価」を実施します。(e)対象人数が30万人以上の場合は、全て「全項目評価」を実施することになります(下図参照)。

──実務的にはどのような作業を行うことになるのでしょうか。

篠原 平成24年11月に、内閣官房より『特定個人情報保護評価指針素案(中間整理)地方公共団体・地方独立行政法人向け』が公表されており、現在その改訂作業中ですが、まずはそちらをご確認いただければと思います。基本的には担当者自らが評価を行い、評価書の設問に回答していくことになります。しきい値評価であれば数値の記載のみとなり、重点項目評価以上では内容を記述していただく形式になっています。評価書は作成後公表していただくこととなりますが、第三者による点検や国民の意見聴取については全項目評価のみ実施を義務づけています。

「個人番号カード」の概要

──平成27年10月より個人番号の付番と通知が始まりますが、番号通知の流れについて教えてください。

篠原 平成26年4月に、地方公共団体システム機構(以下、機構)が設立されます。そして翌27年10月からいよいよ個人番号の付番および通知が開始されることになります。

 個人番号については、市町村長が住民票コードを変換して生成することになります。具体的な流れとしては、①市町村長が機構に住民票コードを通知する、②機構が個人番号を生成し、市町村に通知する、③市町村長が住民に「通知カード」により通知する──ことになります。

 なお、通知カードについては各市町村が個別に印刷すると割高になることから、機構が委託を受けて一括印刷を行い、郵送する方法を検討しています。この通知カードは個人番号を券面に記載しているものの、顔写真がないため民間での身分証明書として利用することは想定していません。具体的な用途としては、個人番号カードの交付を受けるまでの間、行政機関の窓口等で個人番号の提供を求められた際に利用することを想定しています。ただし、番号法に基づく本人確認のためには、通知カードのほかに主務省令で定める書類(免許証等)の提示が必要です。

 個人番号カードの交付は、住民の交付申請に基づいて行われることになります。申請書については、通知カードを送付する際に同封する方法を検討しています。住民からの申請に基づき、①機構側でカードを作成し、市町村長に送付、②市町村長が住民に通知、③住民が来庁し本人確認を実施した後交付──という流れになります。

──個人番号カードと住基カードの違いについて教えください。

篠原 個人番号カードと住基カードの違いは大きく二つあります。一つは住基カードでは顔写真の記載について選択制だったのに対して、個人番号カードは必須となっている点です。もう一つが住基カードには住民票コードなどの番号記載はありませんでしたが、個人番号カードではおそらく裏面に個人番号が記載されることになります。これは、個人番号カードが本人確認と個人番号の真正性を確認するという二つの機能を持ったためで、これにより顔写真と個人番号の記載が必須となっています。

 なお、交付手数料については、住基カードでは自治事務ということもあり、公的個人認証も含めると標準で500円+500円の1000円がかかっていました。個人番号カードは法定受託事務になりますので、交付手数料については住民や市町村にできるだけ負担にならないよう財政当局と折衝を続けてまいりたいと考えています。

制度運用は地方公共団体が核に

──ガイドラインが提示され、いよいよ番号制度の運用に向け、動き出した感じがしますね。

篠原 そうですね。今回の番号制度では導入作業に加え、制度の運用開始後も複数の課が関係することになります。そのため、まずは今すぐ番号制度について庁内全体を統括する課を決定していただきたいと思います。

 これまでの日本には、複数機関に存在する個人の情報が同一人の情報であるということを確認するための基盤がありませんでしたが、今回、番号制度の運用が開始されることで一つの行政事務処理の基盤が整備されます。

 その用途は、現時点では社会保障と税制度に限定されていますが、非常に応用性の高いインフラのため将来は行政事務全般で利用することも考えられます。そのためには法整備や国会での議論はもとより、多くの方のご意見が必要になります。最終的には個人情報の保護に十分配慮した上で、行政分野以外の分野まで活用できれば社会にとって非常に便利なものになると考えています。

 番号の運用が開始されれば、中心となるのは間違いなく地方公共団体の皆さんです。便利で効率的な社会を目指して共にがんばっていきましょう。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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