2013年10月号Vol.92

【トレンドビュー2】今後の新地方公会計の推進に関する研究会 中間とりまとめの概要

──地方公会計の展望

総務省 自治財政局財務調査課 課長補佐 鷲頭 美央

 総務省では、地方公会計をさらに推進していくため、平成22年9月に「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」(以下、研究会)を開催し、現行の予算・決算制度を前提とした上で議論を重ねてきましたが、平成25年8月に「中間とりまとめ」を公表しましたので、この概要と今後に向けた取り組みについて解説します。なお、ここでいう地方公会計とは、主として発生主義に基づく財務書類を指しています。

地方公会計の現状と課題

 現在の地方公会計の整備については、平成17年12月に閣議決定された『行政改革の重要方針』等を通じて、地方においても国と同様に資産・債務改革へ積極的に取り組むことが明確に位置付けられたことに始まります。

 このような中、総務省では、平成18年度より「基準モデル」と「総務省方式改訂モデル」の二つの作成モデルを地方公共団体に示し、財務書類の作成を要請してきました。その結果、地方公共団体の平成23年度決算に係る財務書類の作成状況(平成25年3月末現在)は、全団体の96%が作成済みまたは作成中となっており、着実に財務書類の作成が進んでいます。

 その一方で、固定資産台帳の整備に十分つながっていないことや、複数の作成方式があることにより比較可能性が低いこと等について指摘されており、作成基準のあり方が課題となっています。

 また、平成25年6月14日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針~脱デフレ・経済再生~』においても、地方における公共サービスの可視化の推進として、ストックも含めた財務情報の透明化を進め、企業会計原則を前提とした地方公会計の整備を促進することが位置付けられ、より一層の取り組みが求められています。

「中間とりまとめ」のポイント

 そこで、このような現状に対処するため、「中間とりまとめ」では、地方公会計整備の意義について改めて整理するとともに、今後、地方公会計の推進を図るためには、全ての地方公共団体に対し、地方公会計整備にあたっての標準的な考え方・方法を示す基準の設定が必要であることが示されました。

 また、標準的な基準の設定にあたり、財務業績の考え方については、地方公共団体の行財政運営の特性を踏まえ、①一会計期間の経常的な費用がどの程度あり、②それが税収等の財源によってどのように賄われ、③固定資産の増減等を含め、将来に引き継ぐ純資産がどのように変動したかを示すことによって評価することが適当である──とされています。さらに、地方公共団体の行財政運営の特性をより正確に説明していくため、必要となる注記や別表等で付加すべき情報についても、併せて示されています。

 なお、財務業績をどのようにそれぞれの財務書類へ表していくかという点については、分かりやすさや既存の財務書類との継続性等に配慮の上、今後さらに具体的な検討を進めていくこととしています。

 「中間とりまとめ」におけるもう一つのポイントは、固定資産台帳の整備と複式簿記の導入の必要性が示されていることです。

 固定資産台帳の整備については、資産・債務改革のみならず、公共施設の維持管理・更新等の把握の観点からも必要不可欠であるとされています。一方で、固定資産台帳を整備済みの地方公共団体が全体の2割に満たず、整備済みであってもその内容や精度にばらつきがあることから、いつまでにどの程度のものを整備すべきかについては、地方公共団体の規模の違い等も踏まえて、引き続き実務的な検討を進めていくこととしています。

 複式簿記の導入についても、より検証可能性を高め、正確な財務書類を作成するために必要不可欠であるとされています。一方で、多くの地方公共団体が総務省方式改訂モデルを採用し、本格的な複式簿記を導入していないことから、いつまでにどの程度のものを導入していくかについては、地方公共団体の規模の違いや財務会計システムの課題等も踏まえて、引き続き実務的な検討を進めていくこととしています。

 なお、今後実務的な検討を進めていく上で留意すべき点としては、このほかに、開示等にあたってのわかりやすい表示等、活用の充実等、地方公会計の推進に貢献する人材の育成・教育、地方公共団体における事務負担等、地方全体に係る連結等の取扱い、実務の円滑な実施に向けた全体的なロードマップの提示、といった点が示されています。

今後の地方会計推進のスケジュール案イメージ図

今後に向けて

 以上のように、「中間とりまとめ」では、全ての地方公共団体に適用する標準的な基準を設定し、地方公共団体の行財政運営を的確に示すための財務業績の考え方および固定資産台帳の整備や複式簿記の導入の必要性等について、今後に向けた方向性が示されているところです。なお、基準の詳細な設計、固定資産台帳の具体的な整備方法等については、それぞれ作業部会を研究会の下に立ち上げ、実務的な検討を進めていくこととしています。

 いずれの作業部会もできるだけ早期に立ち上げ、平成25年度末を目処に議論を取りまとめる予定であり、その後、研究会における「最終とりまとめ」を目指すこととしています。

 ※研究会の開催状況や「中間とりまとめ」については、総務省のホームページにも最新情報を掲載しておりますので、併せてご参照ください。

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