2014年1月号Vol.93

【トレンドビュー2】番号制度導入後のコンビニ交付の展望

地方自治情報センター(LASDEC) 研究開発部主席研究員 井上 賀博

 コンビニ交付は、コンビニ事業者が設置したキオスク端末で、市町村の発行する証明書等を自動交付する仕組みです。平成25年12月末現在では、セブン-イレブン、ローソン、サークルKサンクス、ファミリーマートの四つのコンビニ事業者が参加しています。他の業態でも検討中の事業者があり、参加していただけることを期待しているところです。

 コンビニ交付の参加団体は、平成25年12月末に77団体の参加となりました。他にも10団体からお申し込みいただいており、すべてがサービスを開始すると、87団体の参加となります。

 コンビニ交付が可能な証明書等は、住民票の写し、印鑑登録証明書、各種税証明書、戸籍証明書、戸籍の附票の写しに加えて、平成25年12月より住民票の記載事項証明書が可能となりました。

 交付通数の実績は、平成25年11月の1カ月間に3万7943通が交付されており、対前年同月比では2倍超となっています。

番号制度の影響

 本来、番号制度は全国民に個人番号が付番され、本人確認のための住民票の写し等が不要になる非常に利便性の高い制度です。しかし、利用できる業務が社会保障、税および防災に限定されており、また民間での利用も3年後を目途に検討を開始するとされています。どうやら、"今すぐ"住民票の写しや印鑑登録証明書、戸籍証明書等が不要となる世の中の実現とまでにはいかないようです。したがって、コンビニ交付は、さらに便利な世の中が実現するまでの間、"今すぐ"市町村窓口の効率化や住民サービスの向上が実現できる、効果的な取り組みといえます。

 なお、番号制度がスタートすると、住民からの申請により個人番号カードが交付されるようになります。これまでの住民基本台帳カード(以下、「住基カード」という)とは比べ物にならないほどいろいろなサービスに利用できるものとされており、多くの国民が交付を受けるようなカードになると考えます。コンビニ交付についても、現在は住基カードで実施していますが、個人番号カードで利用できるように致しますので、参加団体や参加事業者、利用件数等が、飛躍的に伸びてゆくものと期待しています。

個人番号カードによる実現方式

 コンビニ交付は、現在、住基カードの「条例利用」で実現しています。これは、ICチップの中にコンビニ交付用の利用者IDを書き込んでおき、コンビニ交付を利用する際にそれを読み出して個人を特定する技法です。この技法は、個人番号カードにおいても可能となります。なお、条例利用にはLASDECが開発し、希望する団体に無償で提供しているICカード標準システムが必要になりますが、このシステムも個人番号カードに対応していきます。

 また、個人番号カードには、公的個人認証サービスの電子証明書が2種類搭載されます。そのうちの「利用者証明用電子証明書」を利用する技法も実現します。個人番号カードには、交付時点でこの電子証明書が標準搭載されることから、コンビニ交付を利用する際には、この電子証明書情報を読み出して個人を特定します。

 従来の条例利用の技法には、コンビニ交付以外の条例利用サービスも実施できるといったメリットがありますが、個別のカードへコンビニ交付用の利用者IDを書き込むことが必要になります。

 一方、電子証明書の場合、個人番号カードに標準搭載されており、すぐにコンビニ交付で利用が可能になります。ただし、証明発行サーバや自動交付機の改修が必要になります。これら二つの技法のうちどちらの技法を使うかは、市町村が自由に選択できます。

 なお、誤解されている方もいらっしゃいますが、番号制度が開始されても住基カードが即座に無効になってしまうわけではなく、有効期間が残っている間は利用することができます。平成27年12月までにコンビニ交付を導入している市町村では、①そのまま条例利用の技法により、住基カードに加えて個人番号カードでもコンビニ交付が可能となります。また、②個人番号カードにおいてのみ電子証明書の技法を利用することも可能です。その際には、証明発行サーバにおいて、条例利用の技法と電子証明書の技法を両立させることで、実現することが可能となります。

 これらの技法の選択は、必ずしも番号制度発足時にしなければならないわけではなく、システムの更新時期等、市町村にとって最も都合の良いタイミングで行うことが可能です。運用面や価格面等、いろいろな評価軸の中で選択していただければよいと考えます。

個人番号カードによるコンビニ交付の実現パターンイメージ図

 なお、現在コンビニ交付を含めて、住基カードの条例利用を行う際に団体が自主財源により支出した事業費については、特別交付税により「上限5000万円、2分の1」の条件で措置されます。電子証明書の技法によるコンビニ交付の導入に対しても同様の措置が期待されるところです。方式の選択には、財政措置も勘案するとよいでしょう。

コンビニ交付の将来の方向性

 コンビニ交付の将来については、すぐれた住民サービスとして定着していくものと確信しており、より多くの市町村や事業者にご参加いただけるものと思っています。また、今すぐ住基カードでコンビニ交付を開始することについても、市町村にとって全く不利益はないと思っています。混雑する窓口で住民対応する市町村職員の皆さまの負担を一刻も早く、軽くして差し上げたい──コンビニ交付には、それを実現する可能性があると考えます。

 特に、現時点でまだ参加していない市町村においても、より積極的な検討が進むことを期待しています。流行語大賞にもなりましたが、まさに「今でしょ!」だと思っています。何かご不明な点がありましたら、遠慮なくお問い合わせください。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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