2014年4月号Vol.94

【トレンドビュー1】オープンデータへの取り組みと、活用の可能性

静岡県裾野市 企画部 企画政策課

 オープンデータとは、機械判読に適したデータ形式で、かつ広く一般的に二次利用が可能なライセンスで公開されているデータのことです。

 最近では、行政が持っている公共データ(例えば地理空間情報や防災・減災情報、調達情報、統計情報など)を、民間にも活用してもらうことを目的に公開することの代名詞にもなっているようです。東日本大震災の際には避難地の情報や関連するデータがなく、これらを整備するために多くの時間と手間がかかったそうですが、このようなことをなくすためにもオープンデータは有効な手段といえます。

 具体的に想定される活用例としては、バス停の位置や時刻表を組み合わせた乗り継ぎ検索での活用や、ごみ収集日の情報から翌日のごみ出しを通知するメールサービスへの活用、などが挙げられます。

 こうしたオープンデータの推進によって、新たなビジネスチャンスの創出や市民生活の利便性の向上に加え、行政の透明性や信頼性の向上、官民(市民)協働、行政の効率化なども期待されています(図)。日本ではまだ取り組みが始まったばかりですが、国際的には大規模なサービスやビジネスも登場しており、日本でもこの動きは加速していくでしょう。

オープンデータイメージ図

 裾野市では、昨年11月よりデータの公開を開始しました。これにより、地域資源としての情報を共有する仕組みを構築することができるとともに、新しい取り組みに挑戦していく裾野市の姿勢もアピールすることができると考えています。

取り組みの経緯

 平成25年6月14日、政府は新たなIT戦略として「世界最先端IT国家創造宣言」を閣議決定し、国・地方が一体となってオープンデータの推進、およびビッグデータの利活用の推進への取り組みをスタートしました。さらに6月19日には、英国で開催されたG8サミットで各国首脳が「オープンデータ憲章」に合意し、政府が保有するデータの原則公開など5原則が盛り込まれました。

 こうした状況を踏まえて昨年8月、静岡県が全国都道府県に先駆けてオープンデータのポータルサイト「ふじのくにオープンデータカタログ」の公開を開始しました。また、国も12月に中央省庁など21機関が持つデータ約9400種類を横断検索できるサイト「DATA.GO.JP」を開設するなど、オープンデータ推進の動きが活発になってきました。

 裾野市では静岡県に同調し、昨年10月にオープンデータの整備に着手。11月に県のポータルサイトへデータを掲載したのを皮切りに、オープンデータポータルサイト「LinkData」を活用して次々と情報を公開しました。平成26年3月1日現在で30の情報を公開しています。実現にあたっては、静岡県情報政策課にさまざまなノウハウや知識を提供していただきました。

 現在、裾野市はオープンデータの取り組みが活発な自治体として、さまざまなメディアに取り上げられるようになりました。しかし、どんなに行政がオープンデータの公開に力を注いでも、住民や企業などにデータが活用されないままでは、取り組み自体が無駄になりかねません。

 実際に取り組んでみて、データを公開することよりもその次のステップへ進むことが最も大変だということが分かりました。

目的は「公開」ではない

 裾野市に限らずデータをいかに活用してもらうかは、オープンデータに取り組む自治体共通の課題です。これを打破するために、アプリコンテストやアイデアソン(※1)、ハッカソン(※2)が全国で行われています。こうした取り組みは、オープンデータの存在を市民の皆さんに知ってもらう意味でも有効な手段であり、いずれ裾野市でも開催できたらと考えています。

 もう一つの課題として、継続可能性を維持しながら無理なくデータを更新していく業務フローや仕組みをつくる必要がある、ということが挙げられます。

 もし、裾野市のデータがアプリやWebサービスとして活用してもらえることになったとしても、内容が古かったり間違っていたりしたら、そのサービスのみならず市の信頼性も失いかねません。そのため、まずは現在公開している情報を適切に更新し続けることが欠かせないと考えています。

 さらにオープンデータの取り組みは、本来の目的である「市民生活の利便性の向上」につながるような、実のあるものとなるよう進めていくことが求められます。そのためには、手持ちの情報を洗い出し、アプリやWebサービスに活用されることを想定したデータの公開を進めるとともに、データを活用しようとしている企業や市民のニーズを捉える努力も必要になります。

 データを公開して終わりではなく、しっかりと“その先にあるもの”を見据えて、活用してもらえるような努力を続けることが、われわれに課された責務だと感じます。

地域や近隣団体との連携も視野に

 アプリやWebサービスの開発を誰かが進めてくれるのをただ待っていても、オープンデータの活用は進まないでしょう。その点では、市内や近隣自治体にあるIT企業や教育機関への働きかけや連携を進めることで、地域としてのIT開発スキルの向上やノウハウの蓄積が期待されます。

 また、近隣の自治体と連携を進めることも重要です。これにより裾野市民だけでなく、お互いの自治体で通勤・通学する方へもサービスが提供できるようになります。今後は、このような自治体の“境界線”を超えた便利なサービスが必要とされているのだと考えています。

 自治体が今、直面している課題は多岐にわたります。そして今後も増えることでしょう。これらの課題を解決するために、あるいは解決に向けた協働パートナーを見つけるためにも、今後はオープンデータとそれを支える裏方としての自治体の取り組みが、なくてはならないものになるのではないでしょうか。

(※1)アイデアとマラソンを合わせた造語。特定のテーマについてグループ単位でアイデアを出し合い、それをまとめていくイベントのこと
(※2)ハッキングとマラソンを合わせた造語。特定のテーマに興味や知識を持つ技術者などがグループごとにソフトウエアを開発・改良し、その完成度を競うイベントのこと

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