2015年4月号Vol.98

【レポート】番号活用や業務改善など
12市町が共同研究へ

今年1月、5府県の12市町が集まり「社会保障・税番号制度対応システム研究会」を発足した。
研究会の狙いや今後の展望など、会長市・栃木県鹿沼市と副会長市・栃木県矢板市に聞く。

図 社会保障・税番号制度対応システム研究概要

──社会保障・税番号制度対応システム研究会を発足した経緯は。

 今年10月に付番・通知が、また来年1月からは個人番号カードの交付が始まります。しかし、制度施行を目前にして個々の自治体にはまだ多くの不安や課題があるのも事実です。

 例えば、制度施行の期限までに導入準備を確実に終えることが求められますが、そのためには膨大な情報を読み解く必要があり、これがとても大変な作業となっています。また、番号制度は業務への影響範囲も広く、また業務フローも大幅に変更となることが予想されます。そのため、職員の理解や意識を高める必要がありますが、まだまだ十分とはいえません。

 さらに、番号制度に関する条例整備についても、多くの自治体が今年9月議会に照準を合わせていると思います。しかし、9月は決算の議会でもあり、負荷分散のためにどのようなスケジュールで準備を進めていけばよいのかも頭の痛い問題です。

 そうした不安や課題について個々の自治体だけで解決を図るのは困難です。そこで、多くの仲間と情報交換を行い番号制度への円滑な対応を目指そうということで、「社会保障・税番号制度システム研究会」が発足されました。

 メンバーは栃木県、茨城県、埼玉県、大阪府、和歌山県の12市町で、栃木県庁をオブザーバーに迎えています。今年1月28日に初会合を開き、当日は9市町の総勢50名が集まりました。

 研究会では、平成28年3月末までを活動期間として、実務担当者や情報システム担当者が集まり、制度・技術の両面から「理想的な業務フロー」や「それを支援するシステム」などについて検討を行います。県域を超えた12市町が協働し、意見交換や互いに知恵を出し合うことによる相乗効果を期待しています。

自治体の枠を超えた協働

──具体的にどのような活動を予定しているのでしょうか。

 番号制度の検討にあたっては、影響する業務範囲が広く、テーマが多岐にわたることから、研究会本会に加えて関係課の担当者で構成する「住基」「税務」「社会保障」の三つの分科会を設けディスカッションを行います。

 初会合では本会で番号制度の最新情報などを共有した後、それぞれの分科会で、番号付番や番号利用、宛名の整備など制度導入に伴う業務上の変更点やこれに伴うシステム対応の在り方について検討を行いました。

 庁内で研究会への参加者を募る際、当初は本当に人が集まるか不安もありましたが、みんなが積極的に参加したことで、結果的に大人数となった団体もありました。やはり、職員の多くが番号制度に対する不安を抱え、他団体と意見交換ができる機会を心待ちにしていたということでしょう。

 実際に初会合では予想以上に活発な議論がなされ、またオブザーバー(栃木県)とも意見交換を行うなど、非常に有意義な場となりました。

 今後の活動としては、平成27年度に2回の会合を予定しています。ただ、分科会やテーマによっては会合を増やすことも検討しています。また、現在の三つの分科会のほか、必要に応じてネットワーク等「情報システム部門」の分科会の開催も視野に入れています。

──研究成果は、どのように生かされますか。

 研究会で議論した内容はその都度、報告書にまとめ、他団体へも広く公表する予定です。これは、より多くの自治体にできるだけ早く情報を提供し、それに対する意見を収集することで、さらに内容の濃い議論へ発展させていくことを期待しているためです。

 一部の自治体だけの意見では、偏りが出る可能性もあります。ぜひ、庁内会議などの場で報告書を確認し、気づいた点や意見・要望などを研究会事務局(TKC)までお寄せください。また、研究会の検討結果は今後、TKCのシステムやサービスに反映されます。実務家の意見を最大限反映させることで、より多くの自治体にとって使いやすいものになることを期待しています。

新サービスや
業務改善も視野に

──研究会の今後のテーマは。

 研究会の本会・分科会それぞれの議論を深めるとともに、せっかく12市町が集まっているので、お互いの考えや取り組み事例の共有なども図っていきたいと思います。そうして互いに刺激し合うことで、さらに内容の濃い研究会となるのではないでしょうか。

 また、番号制度への〝対応〟に関する議論にとどまらず、中長期的な視点から番号制度で何が実現できるのかといった〝活用〟についても共同で研究していきたいと考えています。例えば、個人番号カードを活用した「新たな住民サービス」や「業務改善」などの研究を想定しています。

 特に、個人番号カードにはICチップが搭載されているため、さまざまな活用方法が考えられます。住民サービスや業務での具体的な活用方法と普及策、あるいは情報セキュリティーとの兼ね合いでどこまで実現できるのか──などを議論し、その結果をさらに多くの自治体に検討いただくことで、より使いやすく便利なシステムやサービスとして具現化していければいいですね。

 番号制度はまだまだ見えない部分が残されています。「マイポータル」や「マイガバメント」についても、今後国から詳しい情報が開示されるでしょう。そのような中、番号制度に対応するだけでなく、制度を業務やサービスに生かし上手に活用していくためには、多くの自治体やベンダーが協力していくことが必要だと考えています。このシステム研究会が、それを実現する一つのきっかけになることを期待しています。

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