2016年4月号Vol.102

【カード活用事例】「ぬくもりのあるICT」による地域づくりを推進

カード活用事例 > 鳥取県南部町

健康福祉課 課長 山口俊司 氏

住所
鳥取県西伯郡南部町法勝寺377-1
電話
0859-66-3112
面積
114.03平方キロメートル
人口
11,226人(平成28年2月末日現在)
URL
http://www.town.nanbu.tottori.jp/
鳥取県南部町

――マイナンバーカードの利活用を見据え、鳥取県南部町では平成26年度に公的個人認証サービスを使った実証事業が行われました。

山口 南部町では、これまで「がん征圧宣言の町」として健康づくりや、地域包括ケアなどの福祉関連の分野へ熱心に取り組んできました。そのような中、地域課題である少子高齢化への対策と、新産業の創出を目的として実施したのが、「なんぶスマートライフ・プロジェクト推進事業」です。本事業では、ケーブルテレビ網とICカードを活用し、地域住民の健康づくり、高齢者・子ども見守りサービスの実現可能性を検証しました。

 内容としては、マイナンバーカードの利活用を見据え、平成27年2月から1カ月程度の期間を使い同カードによる個人認証で、①行政が保有する健康診断受診履歴データを閲覧する仕組みの構築、②高齢者の見守りサービス、③子どもの行動履歴管理、の三つについて取り組みました。

利用者を意識しできるだけシンプルな仕組みに

――具体的には、どのようなことをされたのでしょうか。

山口 まず、健康診断受診履歴データの閲覧と高齢者の見守りサービスについては、町内の高齢者50名に対してマイナンバーカードを模したICカードを配布するとともに各家庭にカード読み取り装置を設置し、ケーブルテレビを利用して実施しました。ケーブルテレビを活用したのは、町内94%とほぼ全世帯に普及している点と、普段から利用しているテレビであれば高齢者にも比較的抵抗なく受け入れてもらえるのでは、と考えたからです。やはり高齢の方にタブレットを配布して、IDやパスワードを入力してもらうというのはハードルが高いですからね。

右写真

 加えて、システムの操作もできるかぎりシンプルなものにしました。毎日、テレビをつけた時にカードを読み取り装置にタッチしてもらって個人認証を行い、リモコンを利用して「今日の体調は『よい』『悪い』」「薬はちゃんと飲んだか」など、いくつかの設問に答えていく――そうすることで簡単に自身の健康状態を登録できる仕組みとしました。それ以外にも、家族からの伝言内容を見たり、町からのお知らせや簡易な健康診断などもリモコン操作で受けられるようにしました(右写真)。

 この仕組みを利用すれば、例えば一定期間入力がない場合、担当者にアラートを飛ばすことで該当者の状況を確認に行くことができます。また、入力してもらった健康診断の結果は、健康管理センターで見られるようにしているため、町で管理している定期検診情報の補足情報にしたり、定期検診を受診されていない方については体調を判断する材料とすることができました。

――子どもの見守りサービスについてはいかがですか。

山口俊司 課長

山口俊司 課長

山口 西伯小学校の5年生を中心に児童51人の世帯に協力いただき実施しました。内容は、小学校や福祉センター、図書館、公民館など町内7カ所に合計10台のタブレット端末を設置し、子どもが立ち寄った際にカードをかざしてもらう。そうすると保護者にメールで通知がいくというものです。また、各家庭にはICカードの読み取り装置を設置し、テレビを使って子どもの行動履歴も閲覧できるようにしました。

――住民の反響はいかがでしたか。

山口 実施前は、何となく得体が知れないということで躊躇されたり、個人情報の安全性を心配する声もありました。しかし、実証後のアンケートでは、いずれのサービスについても好意的な意見がほとんどでした。特に、高齢者の見守りサービスについては、6割の方がサービスに対して対価の支払い意思を示しており、その許容金額は平均で月額488円でした。残りの4割の方の意見も「サービスが要らない」ということではなく、行政サービスとして無料で実施してほしいというものでした。

 子どもの見守りサービスについても、7割を超える方から「安心感が向上する」との評価をいただきました。

その先を見据え サービスの充実を

――今後の取り組みを教えてください。

山口 住民の反応からも、今回の実証事業でサービスの有用性や可能性は確認できました。その一方で、実用化に向けてはまだ課題もあります。例えば、高齢者の見守りサービスでは入力してもらった健康情報をデータとして蓄積するだけではなく、個別のアドバイスに生かすなど、「個人を特定した、個人に向けた付加価値サービス」としての強化が必要だと考えています。

 また、カードを使って利用者が積極的にサービスを利用したくなるような、動機付けにつながる部分の充実も必要だろうと感じています。

 そこで、町では今回構築した仕組みを活用し、より社会とのつながりを感じられるようにするとともに、脳トレや体操動画の配信など、外出できない高齢者でも家に居ながらにして健康づくりに役立つサービスの実証を続けています。これらの取り組みにより、まずは高齢者向けの見守りサービスから実用化していきたいと考えています。

 マイナンバーカードに限らず、こうしたICTは地域づくりを進める上での重要なツールといえます。南部町では、今後も医療分野や福祉分野などへ「ぬくもりのあるICT」を地域包括ケアシステムの構築のために、活用していきたいと思います。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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