2017年4月号Vol.106

【インタビュー2】さらに導入しやすくなったコンビニ交付サービス

総務省 自治行政局住民制度課長 阿部知明氏

──コンビニ交付サービスは、ワンストップ・カードプロジェクトにおいて全団体で速やかに取り組むことが求められています。現在の導入状況を教えてください。

向井治紀(むかい・はるき)

阿部知明(あべ・ともあき)
1990年、自治省(現、総務省)入省。2007年札幌市財政局長、2011年内閣官房社会保障改革担当室参事官などを経て、2016年より現職。

阿部 1月4日時点のサービス実施団体は306団体で、対象人口は6123万人となりました。また、2016年度末には382団体・7200万人を突破する見込みです。
 また、昨年1月からコンビニ交付サービスで利用できるようになったマイナンバーカードは、3月16日時点で申請件数は約1333万件、交付枚数は約1084万枚となりました。これまでの状況を見ると、コンビニ交付サービスをきっかけにカードの申請件数も増える傾向があるようです。
 サービス実施団体の増加とともに、コールセンターへ寄せられる問い合わせ内容もより具体的なものへと変化しており、コンビニ交付サービスに対する社会の認知度も確実に高まっていると実感しています。
 サービスは国民の6割近くをカバーするまで着実に普及してきた一方、実施予定がないという市区町村が673団体(2016年地方公共団体情報システム機構/J-LIS調べ)もあります。このうち約86%(578団体)が人口規模3万人未満の団体で、コンビニ交付サービスのさらなる導入拡大には小規模団体が取り組みやすい環境整備が重要といえます。

「コスト」と「利便性向上」の二つの推進支援策を公表

──アクションプログラムで示された具体的な推進策を教えてください。

阿部 小規模団体にとって最大のネックとなっているのがコストの問題です。そこでアクションプログラムでは「コスト縮減策」を打ち出すとともに、「住民の利便性向上に向けた新たな方策」を示しました。
 第一のコスト縮減策が、コンビニ交付システムを町村が安価に利用できる「廉価版クラウド」です。これは発行できる証明書を住民票の写しと印鑑登録証明書に限定したクラウド型システムで、最大5割程度の導入費用の削減が期待できます。同様に「廉価版戸籍コンビニ交付サービスシステム」も予定しており、いずれも2017年度からのサービス開始を見込んでいます。
 第二が、J-LISへの運営負担金の減額です。これも同年度から人口規模が小さな団体ほど減額率を高くし、町村では3割の減額となるほか、「5万人未満の市」の区分を設け費用負担を軽減します。
 第三が、導入団体がコンビニ事業者に対して支払う手数料の改定で、2017年度からは証明書1通当たり123円の手数料が115円となります。

──その他にはいかがですか。

阿部 住民の利便性向上に向けた方策としては、先述した廉価版システムによる戸籍証明書の発行サービスの導入促進に加え、郵便局へのキオスク端末設置を推進します。
 なお、郵便局への端末設置については、①郵便局の場所を借りて市区町村が端末を設置する、②日本郵便の取り組みとして端末を設置する──の2通りのケースがあります。前者の場合、日々の維持・管理業務を郵便局が無償提供することで、市区町村の職員に負担がかからないようにします。また、後者については2017年度上期中をめどに全国10局程度でサービスを開始し、利用状況などを見ながら設置局の拡大も検討する予定です。
 これらに加えて、財政措置も拡充します。「マイナンバーカードの多目的利用に要する経費に係る特別交付税措置」の期限(現行2018年度まで)を1年間延長し、2019年度までにサービスを導入した団体には導入後3年間の措置を実施することとしました。さらに措置の上限額を5000万円から6000万円に引き上げます。

カード普及の相乗効果を考え大局的な視点でサービス導入を

──今後、市区町村に期待することは何でしょうか。

阿部 アクションプログラムによりさまざまな支援策を打ち出しましたが、特に小規模団体の場合はコンビニ交付サービスだけで見ると「住民の利用は少ない」「費用対効果が見込めない」と考える方はまだ少なくないでしょう。しかし、最終的な目標は “すべての国民にマイナンバーカードの利便性を実感してもらう”ということです。そのためには、すべての市区町村がコンビニ交付サービスを早期に実現することが欠かせません。
 実は、市区町村にとってもカードが普及することで新たな住民サービスの実現や既存施策の充実につなげていくことができます。
 例えば、交通機関の敬老パス。これをマイナンバーカードでできるようにすれば発行の手間が省け、その運営にかかっていた費用も軽減できます。住民のほとんどがマイナンバーカードを持ってくれれば、さまざまなサービスに活用できるでしょうし、事務の効率化にも役立ちます。削減できた時間やコストを、さらなる住民サービスに充てるといった好循環も期待できるのではないでしょうか。
 そのためには、ぜひ市区町村が率先してカードの活用を進めていただきたいですね。国ではすでに昨年からマイナンバーカードを入館証として利用しています。私も毎日首からぶら下げていますが慣れてしまいました。
 コンビニ交付サービスは、カードを活用した“便利なサービス”の選択肢の一つにすぎません。しかし、これは未来に向けた大きな第一歩です。市区町村には、地域にとらわれず “全ての国民を便利に”という大局的な視点からも、早急なサービス導入をお願いします。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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