2018年1月号Vol.109

【トレンドビュー】本格運用が始まった 「情報連携」への期待

茨城県五霞町 政策財政課 政策グループ 主幹 矢島征幸氏
民間企業勤務を経て、1994年茨城県五霞町役場入庁。社会体育、地籍調査、交通・防犯・防災担当を経て2009年より現職。「電子自治体の取組みを加速するための10の指針」フォローアップ検討会、地方公共団体が保有するパーソナルデータの効果的な活用のための仕組みの在り方に関する検討会などの委員を歴任。

 11月13日、いよいよマイナンバー制度における「情報連携」が本格運用となりました。2013年5月に番号法が成立してから4年、さまざまな準備作業を重ねて、ようやくここまで辿り着きました。しかし、これはゴールではありません。番号法第3条(基本理念)に掲げられた、「住民の利便性向上および行政運営の効率化」の実現に向けた“スタートライン”に立ったに過ぎないのです。

目指すのは、住民の利便性向上と行政運営の効率化

 五霞町は人口1万人を切る小規模自治体ながら、総務省の「情報連携移行支援チーム」メンバーとして、自治体に共通する課題解決へ取り組んできました。しかし、五霞町は決して先進団体ではありません。13年7月にプロジェクトチームを設置して以来、途中に自治体クラウドの本稼働を挟みながら、番号制度という新たな社会インフラの実現のため、試行錯誤を繰り返し無我夢中で突き進んできました。

 その一つが小規模自治体のメリットを最大限に生かした「草の根ローラー作戦」です。自治体では制度対応と並行して、マイナンバーカードの普及・利用促進の取り組みが欠かせません。そのため五霞町では、住民に①見てもらう②知ってもらう③分かってもらう④申請してもらう⑤活用してもらう、の五つのステップに沿った活動を展開しています。特徴的なのが独自の「行政区交付方式」です。これは町内15カ所の行政区へ職員が出向き、タブレット端末を使って写真撮影やWeb申請の補助を行うとともに、カードも交付するというものです。この方式はいま全国各地に広がっています。

 当町における9月末時点のカード申請率は32.6%(写真)と、まだ道半ばの状況ですが、今年度末には当初目標(申請率40%)の達成を目指します。また、「もってうれしいマイナンバーカード」を合言葉に、利用促進の取り組みもスタートしました。

 マイナンバーカードはさまざまな可能性を秘めており、今、多くの市区町村が普及促進に取り組む一方で、職員の取得率はまだまだ低いといわざるをえません。「まず隗より始めよ」の格言のとおり、カードの取得・利活用を促進する上でも、われわれ自身がカードを持つことが大切です。

情報連携はさらなる進化へ地方と国、関係者の協力を!

地方自治情報化推進フェアの講演には多くの受講者が詰め掛けた。(写真提供 地方公共団体情報システム機構)

地方自治情報化推進フェアの講演には多くの受講者が詰め掛けた。(写真提供 地方公共団体情報システム機構)

 情報連携が実現することで、添付書類の省略と書面照会の電子化が可能となる──まさに住民の利便性向上、行政の業務効率の向上につながります。しかし、そのためには“やるべきこと”が多々あります。添付書類を省略するために職員の手作業が増えるようでは本末転倒です。また、従来の業務フローをそのままシステム化しても業務効率は向上しません。情報連携の将来を見据えた見直しが必要なのです。

 マイナンバー制度に伴い、自治体には新たな業務が次々と登場しています。加えて、安全管理措置の運用や特定個人情報保護評価の見直しも実施していかなければなりません。そうした中で、マイナンバー制度を“持続可能な仕組み”として運用していくには、情報連携に関わる業務の簡素化・効率化とともに、全ての自治体がスムーズに連携できるようにする必要があります。

 そこで、①データ標準レイアウトの完成度の向上②基幹業務システムの機能面の強化③職員の習熟度の向上──の三つの課題改善を提案します。

 最初の「データ標準レイアウトの完成度の向上」は、今後の情報連携のあり方を考える上で最も重要なテーマです。市区町村だけではなく、国や都道府県、関係機関、システムベンダーが一緒になってデータ標準レイアウトのデータ項目の充足や共通解釈を話し合い、共通認識の下で適正な更新を図っていく必要があると考えています。

 二つ目の「基幹業務システムの機能面の強化」は、特に全国のシステムベンダーに期待しています。便利で簡単な行政手続きの実現、システムでできることは自動化する、業務に不慣れな職員でも迷わず処理できる──など、住民と職員の視点からの機能強化をお願いしたいと考えています。例えば、中間サーバー接続端末を活用して手作業で情報照会を行った場合、そのデータを業務システムで利用するにはUSBメモリーなどを介在しなければなりません。これは業務効率が悪いだけでなく、情報セキュリティー上のリスクも発生します。これを回避するため、すでに一部の基幹業務システムには情報照会にかかる照会条件の判定や、業務システムとの連携(照会結果の取り込み)を自動化する仕組みが標準搭載されています。

 また、市区町村(特に小規模自治体)としても、基幹業務システムの更新・選定の際に「情報連携の負担を軽減できるかどうか」を十分留意すべきでしょう。

 最後が「職員の習熟度の向上」です。システムですべてを解決できるわけではなく、それを使う側の“人”も職員ごとの習熟度のばらつきをなくし業務品質を高める努力が必要だと考えます。それには他団体と協力し合うのも有効です。実際、五霞町でも「いばらき自治体クラウド基幹業務運営協議会」に参加する4市町(常陸大宮市、那珂市、かすみがうら市、大子町)との情報交換を通じて、職員の習熟度・スキル向上などの効果を感じています。

 情報連携が本格運用となり、これからは動かしながらこれを進化させていかなければなりません。そのためにも国や地方、関係機関、システムベンダーがともに“自分事”と捉えて取り組んでいくことを期待しています。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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