2026.03.03
行政文書不開示決定取消請求事件
★「新・判例解説Watch」行政法分野 令和8年4月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25574756/最高裁判所第三小法廷 令和 8年 1月27日 判決(上告審)/令和7年(行ツ)第72号
上告人(第一審原告)が、行政機関の保有する情報の公開に関する法律3条に基づき、Bに関する死刑執行上申書の一切及び同書の添付資料の一切の開示を請求したところ、法務大臣から、同文書の存否を答えることにより同法5条1号及び4号所定の情報が開示されることと同様の効果が生じることを理由として、同法8条に基づき、本件対象文書の存否を明らかにしないで不開示とする旨の不開示決定を受けたことから、被上告人(第一審被告)に対し、同決定が違法であると主張して、その取消しを求め、第一審が、本件不開示決定は適法であり、請求は理由がないとして棄却したところ、上告人が控訴し、また、行政事件訴訟法7条、19条2項、民事訴訟法143条1項に基づき、行政事件訴訟法37条の3第5項の請求に係る訴え(本件対象文書の開示の義務付けを求める訴え)を追加し、控訴審が、第一審判決は相当であるとして控訴を棄却し、追加された訴えを不適法却下したことから、上告人が上告した事案で、控訴審は、本件文書に記録されている情報は、情報公開法5条1号及び4号所定の不開示情報に該当するから、本件決定は適法であるとして、上告人の本件決定の取消請求を棄却すべきものとし、本件文書の開示決定の義務付けを求める訴えを却下したが、本件文書の存否を答えるだけで、同各号所定の不開示情報を開示することとなるかについて判断をしておらず、そして、本件決定が適法であるというためには、この点に係る上告人の主張を排斥することが必要であることは明らかであり、原判決には、理由の不備の違法があるといわざるを得ないとして、原判決を破棄し、本件を名古屋高等裁判所に差し戻した事例。
2026.03.03
北朝鮮帰国事業損害賠償請求事件
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LEX/DB25625688/東京地方裁判所 令和 8年 1月26日 判決(差戻第一審)/令和5年(ワ)第30330号
原告らが、原告A、原告B、原告C及び訴訟承継前原告Dは、昭和35年から昭和47年までに、在日朝鮮人及びその配偶者等を対象として実施された集団帰還事業に参加して日本から朝鮮民主主義人民共和国に渡航したところ、被告・朝鮮民主主義人民共和国が、原告Aら4名に対し、北朝鮮は十分な生活物資に恵まれた国であり、十分な衣食住を享受できるなどと虚偽の宣伝をして北朝鮮への帰還を勧誘し、これに欺罔されて誤信に陥った原告Aら4名を北朝鮮へ渡航させ、渡航後は出国を許さず、最低限の食糧すら提供せずに人権抑圧状態に留め置いて、原告Aら4名の人生をいかなる場所・体制下で送るかについての自己決定権及び移動の自由を侵害した旨主張して、被告・朝鮮民主主義人民共和国に対し、不法行為に基づく損害賠償として、それぞれ慰謝料及び遅延損害金の支払を求めたところ、差戻前第1審が、(1)本件訴えのうち、〔1〕原告Aら4名が、被告に対し、被告が、原告Aら4名を被告国内に強制的に留置した行為によって原告Aら4名の居住場所及びそれに伴う国家体制を自ら選択する権利を侵害したとして不法行為に基づき損害賠償金の支払を求める訴え、〔2〕原告Aが、被告に対し、被告が原告Aの子らの出国を妨害したことによって原告Aが同人の子らと面会し交流する権利を侵害したとして不法行為に基づき損害賠償金の支払を求める訴えをいずれも却下し、(2)原告Aら4名のその余の請求を棄却する旨の判決をしたことから、原告Aら4名が控訴し、控訴審が上記差戻前原判決を取り消し、本件を当審に差し戻した事案で、本件訴えについては日本の裁判所に管轄権があるといえるとしたうえで、被告については、ことさらに事実と異なる情報を流布して原告Aら4名及びその家族を誤信させて北朝鮮に渡航させ、渡航後は自由な出国を許さずに北朝鮮に在留させることにより居住地選択の自由を侵害し、過酷な状況下で長期間生活することを余儀なくさせたという継続的不法行為が成立するとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2026.02.24
固定資産税及び都市計画税賦課決定処分取消請求事件
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LEX/DB25574751/最高裁判所第二小法廷 令和 8年 1月26日 判決(上告審)/令和5年(行ヒ)第339号
宗教法人である被上告人(第一審原告)が、大阪市長から、被上告人が所有する各土地に係る固定資産税及び都市計画税の賦課決定を受けたところ、上記各土地のうち一部は本堂に至る参道として用いられており、地方税法348条2項3号の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当するから、上記固定資産税等は当該部分につき非課税とされるべきであるなどと主張して、上告人・大阪市(第一審被告)に対し、本件賦課決定のうち年税額合計に相当する金額を超える部分の取消しを求め、第一審が被上告人の請求を棄却したことから、被上告人が控訴し、控訴審が、被上告人の請求は、本件賦課決定のうち年税額合計を超える部分の取消しを求める限度で理由があるとして認容し、その余を棄却すべきであり、これと異なる第一審判決は相当でないとして、第一審判決を変更したところ、上告人が上告した事案で、68番5土地は、本件賦課期日当時、訴外会社に賃貸されてその全体が本件建物の敷地となっていたものであり、68番5土地のうち被上告人の本堂への参道として用いられていた部分についてみても、同部分は、宗教法人法3条3号に掲げる土地として、同条に規定する境内地に該当するものといえるが、その上に賃貸用商業施設である本件建物の4階から17階までの一部が存在していたものであるから、上記部分は、参道の用に供されていただけでなく、それ以外の用にも供されていたというべきであり、したがって、68番5土地は、上記部分を含め、地方税法348条2項3号の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当するものということはできないとし、以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、控訴審判決中、上告人敗訴部分を破棄し、当該部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見、反対意見あり)。