2025.05.20
債権差押命令に対する執行抗告審の取消決定等に対する許可抗告事件
LEX/DB25574163/最高裁判所第二小法廷 令和 7年 3月19日 決定(許可抗告審)/令和6年(許)第12号
抗告人が、子ども・子育て支援法29条1項に規定する特定地域型保育事業者として同項に規定する特定地域型保育を行っている相手方に対し、抗告人の相手方に対する金銭債権を表示した債務名義による強制執行として、相手方の第三債務者熊谷市に対する本件被差押債権の差押えを求める申立てをし、第一審が申立てを認容したため、相手方が抗告し、原審が本件申立てを認容した原々決定を取り消し、本件申立てを却下したことから、抗告人が許可抗告をした事案で、保育事業者債権は、同法17条にいう「子どものための教育・保育給付を受ける権利」に当たらないというべきであるから、原審が、本件被差押債権は、「子どものための教育・保育給付を受ける権利」に当たり、差押えが禁止されると判断したことには、法令の解釈適用を誤った違法があり、そして、その他に保育事業者債権に対して強制執行をすることができないと解すべき理由はないから、原審の判断の上記違法は裁判に影響を及ぼすことが明らかであるとしたうえで、上記の趣旨をいう論旨は理由があり、原決定は破棄を免れないとして、原決定を破棄し、原々決定に対する抗告を棄却した事例。
2025.05.20
死刑の執行告知と同日の死刑執行受忍義務不存在確認等請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」刑事訴訟法分野 令和7年6月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25622230/大阪高等裁判所 令和 7年 3月17日 判決(控訴審)/令和6年(行コ)第69号
死刑確定者である控訴人らが、死刑執行告知と同日にされる死刑執行は違法であるとして、被控訴人に対し、〔1〕行政事件訴訟法4条後段の実質的当事者訴訟として、死刑執行告知と同日にされる死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求めるとともに(本件確認の訴え)、〔2〕死刑執行に関わる公務員らは、死刑確定者に対し死刑執行告知と同日に死刑執行を行うという方法による死刑執行をしてはならない義務を負うにもかかわらず、同義務に違反し、このような死刑執行方法を維持していることにより控訴人らが精神的苦痛を被っている旨主張して、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ、損害金(慰謝料及び弁護士費用)及び遅延損害金の支払を求めた(本件各賠償請求)ところ、原審が、本件確認の訴えはいずれも不適法であるとして却下し、控訴人らのその余の請求はいずれも理由がないとして棄却したことから、控訴人らが控訴した事案で、仮に死刑執行における本件運用が違憲・違法であるならば、これを改め、執行の当日ではなく前日までのしかるべき時期に告知を行うようにすればよいのであって、これにより適法に死刑執行を行うことは十分可能であるから、本件運用が違憲・違法であることをもって、直ちに死刑判決そのものを違法の判決と解さなければならない理由は見当たらず、そうである以上、「もし本件運用が違憲・違法であれば、死刑判決そのものが違法の判決に帰す」という関係は成立せず、結局、本件確認の訴えが、実質上において、行政事件訴訟をもって刑事判決の取消変更を求めることに帰すものということはできないから、本件確認の訴えを行政事件訴訟で争うことは許されるというべきであり、本件確認の訴えには確認の利益があるものと認められ、いずれも適法であるというべきであるとして、原判決中上記〔1〕に対する部分を取り消し、原審に差し戻すとともに、控訴人らのその余の本件控訴をいずれも棄却した事例。
2025.05.13
損害賠償請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」民法(財産法)分野 令和7年5月中旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25574036/大阪高等裁判所 令和 7年 1月20日 判決(控訴審)/令和5年(ネ)第619号
被控訴人(被告)会社の従業員である被控訴人(被告)Eが被控訴人会社の業務の執行中に運転していた小型特殊自動車が、歩行中の被害者(先天性の聴覚障害を有していた児童)に衝突し、被害者が死亡した交通事故につき、被害者の父母である控訴人(原告)らが、被控訴人Eに対しては民法709条に基づき、被控訴人会社に対しては同法715条に基づき、損害賠償を求め、原審は請求を一部認容し、控訴人らが、逸失利益等に係る判断を不服として控訴を提起した事案において、被害者児童の労働能力は、一般に未成年者の逸失利益を認定するための基礎収入とされる労働者平均賃金を、当然に減額するべき程度の制限があったとはいえない状態であったと評価するのが相当であると判断し、原判決を変更した事例。