2025.06.10
懲戒免職処分取消等請求事件
★「新・判例解説Watch」労働法分野 令和7年8月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
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★「新・判例解説Watch」行政法分野 令和7年8月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25574225/最高裁判所第一小法廷 令和 7年 4月17日 判決(上告審)/令和6年(行ヒ)第201号
上告人・京都市が経営する自動車運送事業のバスの運転手として勤務していた被上告人が、運賃の着服等を理由とする懲戒免職処分を受けたことに伴い、京都市公営企業管理者交通局長から、京都市交通局職員退職手当支給規程(昭和57年京都市交通局管理規程第5号の2)8条1項1号の規定により一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分を受けたため、上告人を相手に上記各処分の取消しを求め、第一審が本件全部支給制限処分の取消請求は理由がないとして請求を棄却したところ、被上告人が控訴し、控訴審が本件全部支給制限処分の取消請求を認容したことから、上告人が上告した事案で、本件着服行為の被害金額が1000円でありその被害弁償が行われていることや、被上告人が約29年にわたり勤続し、その間、一般服務や公金等の取扱いを理由とする懲戒処分を受けたことがないこと等をしんしゃくしても、本件全部支給制限処分に係る本件管理者の判断が、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできず、本件全部支給制限処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとした控訴審の判断には、退職手当支給制限処分に係る管理者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきであるとして、控訴審判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の控訴を棄却した事例。
2025.06.10
国家賠償請求控訴事件
LEX/DB25622400/名古屋高等裁判所 令和 7年 3月 7日 判決(控訴審)/令和5年(ネ)第570号
戸籍上の性別が同性の者同士である控訴人(原告)らが、同性間の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定は、憲法24条及び14条1項に違反するにもかかわらず、被控訴人(被告)・国が必要な立法措置を講じていないため、婚姻をすることができない状態にあると主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被控訴人に対し、各慰謝料及び遅延損害金の支払を求め、原審が、同性婚を認めていない民法及び戸籍法の諸規定は、同性カップルに対して、その関係を国の制度によって公証し、その関係を保護するのにふさわしい効果を付与するための枠組みすら与えていないという限度で、憲法24条2項及び14条1項に違反するが、上記諸規定が憲法24条2項及び14条1項に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠っていたと評価することはできないから、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとして、控訴人らの請求をいずれも棄却したところ、控訴人らが控訴した事案で、本件諸規定が憲法24条及び14条1項に違反するかについて(争点1)、本件諸規定が同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別をしていることは、憲法14条1項に違反するとともに、憲法24条2項に違反するに至ったというべきであるとし、本件諸規定を改廃しないことが国家賠償法上違法であるかについて(争点2)、原判決を一部補正するほかは、原判決の「事実及び理由」に記載のとおりであるとしたうえで、原判決は結論において相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないとして、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2025.06.03
性別の取扱いの変更申立事件
★「新・判例解説Watch」憲法分野 令和7年5月2日解説記事が掲載されました★
LEX/DB25622260/京都家庭裁判所 令和 7年 3月19日 審判(第一審)
性同一性障害の診断を受けた生物学的には男性である申立人が、妻との婚姻関係を維持したまま性別の取扱いを男から女に変更することを求め、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項に基づき、男から女への性別の変更を申し立て、申立人は、同項2号の「現に婚姻をしていないこと」の要件(非婚要件)は、憲法13条及び24条に違反するから無効であり、非婚要件を除いた同項の要件をすべて満たす申立人については、性別の取扱いを変更する旨の審判がされるべきであると主張した事案で、非婚要件の存在により、憲法上保障された婚姻の継続という法的利益又は人権が制約を受けるとしても、あるいは二者択一として、性自認に従った法令上の性別の取扱いを受ける法的利益に制約を受けるとしても、国会において定められるべき婚姻関係を含めた法律関係の整合性の担保として非婚要件が定められている趣旨に照らせば、非婚要件が、直ちに憲法13条、24条に反して無効となると解することはできず、本件申立ては、非婚要件を欠くものであって、理由がないことに帰するといわざるを得ないとして、本件申立てを却下した事例。