2025.12.02
損害賠償請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」国際公法分野 令和8年2月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25623485/札幌高等裁判所 令和 7年 9月11日 判決(控訴審)/令和6年(ネ)第229号
先天性の聴覚障害があり、被控訴人・北海道が設置するh学校小学部に在籍し又は在籍していた控訴人らが、〔1〕公務員であるh学校校長が、日本手話を十分に使用することのできない教員を控訴人らの担任として配置し、その後も適切な対応をしなかったことは違法であり、また、〔2〕北海道教育委員会及びh学校が日本手話を基調とした授業を行う旨を入学前に説明していたのに、h学校校長がこれに反して日本手話を十分に使用することのできない教員を配置し、その後も適切な対応をしなかったことは違法であり、これらにより控訴人らが精神的苦痛を被ったと主張して、被控訴人に対し、それぞれ国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金等の支払を求め、原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したことから、控訴人らが控訴した事案で、控訴人らは、h学校校長の行為は控訴人らの憲法上の権利を侵害するものであると主張するが、憲法26条が定める学習権の具体的な内容は法律等によって定められることになり、これを踏まえた教育関係法令によっても、日本手話で授業を受ける権利が具体的に規定されているとはいえないところ、控訴人らのクラスの担任教員らを配置したこと等について、h学校校長の裁量権の逸脱濫用があるとはいえないし、h学校校長の行為が入学前の説明に反することを理由に同法1条1項の適用上違法行為に当たるとも認められないとして、本件控訴をいずれも棄却した事例。
2025.12.02
損害賠償請求事件

LEX/DB25622991/京都地方裁判所 令和 7年 6月26日 判決(第一審)/令和3年(ワ)第1146号
被告大学の教職員で構成される労働組合である原告が、被告大学及び被告京都市に対し、被告大学が設置、運営する本件大学の敷地外構部分に設置されていた立看板に関して、被告市が被告大学に行政指導をし、被告大学が原告の設置した立看板を撤去したことは、違憲、違法であるなどと主張して、共同不法行為に基づき、連帯して損害賠償金等の支払を求めるとともに、被告大学に対しては、上記立看板の撤去及び同立看板を撤去した後、原告との間で一切の調整に応じない対応が不当労働行為に当たると主張して、不法行為に基づく損害賠償金等の支払を求めた事案で、本件行政指導は、被告大学に対して行われたものであり、原告主張に係る利用者、すなわち立看板を掲出し、あるいはしようとする者に対する制約を直截の目的とするものではないこと、原告が、被告大学の管理する本部構内について、これを立看板の設置場所として当然に利用する権原を有するとも認められないことなどに照らすと、本件行政指導が違法とはいえないし、被告大学が、被告大学の敷地の管理権に基づき、本部構内の外構部分に立看板を設置することを禁じる規程を制定し、本件規程に基づき本件両撤去行為をしたことが、原告に対する不当労働行為に当たるともいえず、さらに、被告大学は、原告に対し、外構部分への立看板の設置については許容できないことを明確に伝えつつ、原告に生じる不利益を低減させるように代替措置を提案していたと認められるのであるから、団体交渉に臨む態度が不誠実であったとも認められないとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2025.11.25
破産手続開始決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
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LEX/DB25574559/最高裁判所第一小法廷 令和 7年10月20日 決定(許可抗告審)/令和6年(許)第17号
抗告人の債権者である相手方が、抗告人について破産手続開始の申立てをしたところ、抗告人は、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律7条の2第1項にいう法人である政党等であり、同法10条1項又は2項の規定により解散したものには当たらないが、原審が、抗告人について破産手続開始の決定を受けるべき適格を有し、本件申立てを認容すべきものとして、破産手続開始決定に対する抗告棄却を決定し、これに対し、許可抗告がされた事案で、解散していない法人である政党等が破産手続開始の決定を受けるべき適格を有しないと解すべき法令上の根拠はなく、法人である政党等は、同法10条1項又は2項の規定により解散したものでない場合であっても、破産手続開始の決定を受けるべき適格を有すると解するのが相当であるとして、本件抗告を棄却した事例。