相続対策・遺産整理
遺言書作成による効果
争族防止のための遺言書を作成する場合、どのような点に留意しておけばよいでしょうか。
ポイント
特定遺贈により作成し、公正証書遺言などによることが望ましいと思われます。
- 争族防止のための遺言書等の作成のポイントを以下に掲げておきます。
- 1.特定遺贈により作成し、すべての財産について遺言する
- 2.分割困難な不動産や支配権に影響する自社株は、相続後に利害が対立することがないように配慮した遺言にする
- 3.未登記の不動産等について遺言書に記載漏れのないように注意する
- 4.遺言書を書き換える場合には、従前の遺言書を撤回する旨を記載し、あらためてすべての遺産について遺言する
- 5.遺言書の作成に抵抗がある場合、死因贈与により特定の財産だけでも遺志を明確にしておく
- 6.遺言者執行者を定めておく
- 7.推定相続人に対して遺言する場合には「相続させる」と記載する
- 8.「財産」に関する遺言だけでなく、「お墓や祖先の供養」及び「父母の扶養看護」についても遺言しておく
- 9.安全確実な公正証書による遺言書作成が望ましい
- 10.遺留分に配慮した遺言書を作成する。
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なお、民法改正により自筆証書遺言の方式緩和が平成31年1月13日から行われ、自筆証書遺言に財産目録を添付する場合には、その目録については自書でなくてもよいことになりました。また、令和2年7月10日から自筆証書遺言書を法務局で保管する制度が開始されています。法務局で遺言書を保管してもらうことで、遺言書の紛失・改ざん、隠匿などの問題は生じないことになります。また、検認手続きも不要とされています。
遺言書保管制度の利用状況(保管件数)は、令和2年7月~12月は12,576件、令和3年は16,954件、令和4年は16,766件、令和5年は19,303件となっています。