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公益法人会計・税務Q&A

公益法人会計でよくある質問と回答をご紹介

公益法人会計・税務Q&A

税務、区分経理

非収益事業から収益事業の資金異動

【質問】
当法人は移行認可を受けている非営利型法人である一般社団法人です。
会計は、実施事業等会計、その他会計(収益事業/共益事業)、法人会計の三つに区分しております。
その他会計の共益事業に利用する預金口座Aがあります。その他会計の収益事業に利用する預金口座Bがあります。A、Bとも預金名義は同じで、法人内で、収益、共益の事業別に分けて利用しています。資金融通するため、AからBへ500万円を移した場合(寄付)、
共益事業:寄付金/預金 500万円
収益事業:預金/雑収入 500万円
となり、移動するだけで、500万円が収益事業の課税所得となるでしょうか。
【回答】

非営利型法人に該当した場合には、法人税の申告のため、実施事業等会計・その他会計・法人会計という3つの区分以外に、収益事業とそれ以外の二つに区分経理した計算書(正味財産増減計算書・貸借対照表)を作成する必要があります。 したがって、法人会計のような共通費用は、合理的な基準で収益事業とそれ以外とに按分(配賦)する必要があります。

まず、正しい会計処理は、以下のとおりとなります。
 共益事業:他会計振替額/預金500万円
 収益事業:預金/他会計振替額500万円

非営利型法人の場合は、収益事業のみが法人税の課税対象となります。ご質問の収益事業が法人税法上の収益事業でもある場合、収益事業以外の事業である共益事業からの預金の振替額は法人税法上、寄付ではなく元入金として扱います。つまり、法人税法上の収益事業の所得金額を構成しません。
ちなみに、法人内部の資金移動が会計間の貸し借りであれば、次のような処理になります。

 共益事業:他会計貸付金/預金 500万円
 収益事業:預金/他会計借入金 500万円

【根拠となる法令等】
法人税基本通達15-2-3(収益事業に属するものとして区分された資産等の処理)
法人税基本通達15-2-4(公益法人等のみなし寄附金)
法人税基本通達15-2-5(費用又は損失の区分経理)

※当Q&Aの内容は、個別の質問に対する回答であり、TKC全国会公益法人経営研究会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。