2020/04/01
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公益法人会計・税務Q&A

公益法人会計でよくある質問と回答をご紹介

公益法人会計・税務Q&A

基本財産・特定資産

公益目的保有財産の貸借対照表上の表示

【質問】
 遊休財産計算上控除対象財産である、公益目的保有財産の貸借対照表上の表示についてご教示下さい。例えば、公益事業で100%使用している車両があります。これを従来は公益事業の「その他固定資産」の部に計上しておりました。しかし、公益目的保有財産として保有する固定資産は基本財産又は特定資産として計上すべきものと考えます。
【回答】
  • 基本財産及び特定資産の範囲
     基本財産は、法人が事業を行うために不可欠なものとして定款において定めた財産をいいます(法人法第172条第2項)。通常は財団法人が定めたものが該当しますが、社団法人にあっても定款で任意に基本財産を定めることができます。一方において、特定資産は特定の目的のために預金、有価証券 等を有する場合に、その資産の保有目的を示す独立の科目をもって貸借対照表に表示するものを指します(公益法人会計基準注解注4 3)。
  • ご質問の事例への当てはめ
     公益事業に100%使用している車両がある場合の考え方としては、基本財産に該当することは、上記の定義から定款でその車両を公益事業に不可欠なものとして規定する場合がありますが、あまり通例では考えられません。本事案では、特定資産に該当するかどうかが問題になります。特定資産は、上記の定義から「預金、有価証券」などの金融資産であることが一般的ですが、現物資産であることもありえます。現物資産として特定資産が生じるのは、指定正味財産として車両を受贈したような場合には、指定正味財産を財源とする財産は特定資産に整理されるとされているためです(公益法人会計基準注解注4 2)。
     問題となるのは「一般正味財産である現物資産」についても、使用目的を定めれば「特定資産」となるかどうかです。公益法人会計基準に関する実務指針Q25の(3)において、「さらに(1)及び(2)以外に、法人の一般正味財産のみを財源として取得した建物等の現物資産等についても、法人の意思により特定資産として設定する場合がある。」とされています。
  • 結論
     ご質問にかかる車両は、指定正味財産を財源としている場合は、特定資産に表示し、一般正味財産を財源にしている場合は原則としてその他固定資産に計上します。
     なお公益目的保有財産である固定資産であっても、現状では多くの法人で当該資産をその他固定資産に計上しています。
     また一般正味財産ではあるが法人の意思により特定資産に計上することは可能ですが、単に「車両を公益事業に使用している」というだけではなく、「当該車両を公益事業に使うべきである」という積極的な意思決定が必要と考えます。
【根拠となる法令等】
公益法人会計基準注解注4、法人法第172条第2項、公益法人会計基準に関する実務指針Q25

※当Q&Aの内容は、個別の質問に対する回答であり、TKC全国会公益法人経営研究会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。