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2022.05.06
横領被告事件
LEX/DB25572096/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 4月18日 判決 (上告審)/令和2年(あ)第131号
被告人は、Aが取締役を務める有限会社BがC所有の茨城県の本件土地を購入するに当たり、本件土地の農地転用許可を得るために本件土地の登記簿上の名義人を一旦被告人とし、農地転用等の手続及び資材置場として使用するための造成工事終了後にBに本件土地の所有権移転登記手続をする旨Aの兄であるDと約束し、被告人が代表理事を務めるE組合に前記Cが本件土地を売却する旨の合意書を作成し、その際、Dに土地代金500万円を支払わせ、同組合を登記簿上の名義人として本件土地をBのために預かり保管中、D及びBに無断で本件土地を売却しようと企て、株式会社Fに、本件土地を代金800万円で売却譲渡した上、本件土地について同社への所有権移転登記手続を完了させ、横領したとして起訴され、第1審判決は、本件土地の買主はBであるとして被告人の主張を排斥し、訴因変更後の公訴事実どおりの犯罪事実を認定して被告人を懲役1年6月に処したため、被告人が控訴し、事実誤認を主張したところ、原判決は、職権で、農地を転用する目的で所有権を移転するためには、農地法所定の許可が必要である以上、この許可を受けていないBに本件土地の所有権が移転することはないから、本件土地に関してBを被害者とする横領罪は成立し得ず、第1審判決には、横領罪の解釈、適用を誤った点について判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるので、第1審判決を破棄して被告人を無罪としたことに対し、検察官が上告した事案で、農地の所有者たる譲渡人と譲受人との間で農地の売買契約が締結されたが、譲受人の委託に基づき、第三者の名義を用いて農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された場合において、当該第三者が当該土地を不法に領得したときは、当該第三者に刑法252条1項の横領罪が成立するものと解されるとして、原判決を破棄し、高等裁判所に差し戻した事例。
2022.04.26
共有持分権確認請求事件
LEX/DB25572093/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 4月12日 判決 (上告審)/令和3年(受)第919号
上告人は、本件建物の建築時に上告人及び被上告人を含む3町内会の間で本件建物をその3町内会の共有とする旨の合意がされた旨主張したが、これに対し、被上告人は、本件合意がされた事実はないから、上告人は本件建物の共有持分権を有しない旨主張したところ、第1審は、本件合意の存否が本件の争点であり、本件合意があったと認められるとして、本件請求を認容する判決をし、被上告人が控訴し、原審は、本件請求は本件建物の共有持分権が上告人自体に帰属することの確認を求めるものであるところ、権利能力のない社団である上告人が所有権等の主体となることはできないとして、本件請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、原審が、上告人の請求につき共有持分権の構成員全員への総有的帰属の確認を求める趣旨か否かについて、釈明権の行使を怠った違法があるとし、原判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2022.04.26
公金支出差止等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和4年6月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25591999/東京高等裁判所 令和 3年12月15日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第246号
日野市が、都市計画公園である北川原公園の予定地内に、近隣の可燃ごみ処理施設に出入りする廃棄物運搬車両の通行路を整備することとし、設計業務委託契約、工事請負契約及び工事監理業務委託契約を締結したことについて、日野市の住民である被控訴人らが、当時の日野市長であったP3市長による本件各契約の締結が違法であると主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、控訴人(日野市の執行機関である日野市長)を相手方として、P3市長に対して損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟で、原判決は被控訴人ら並びに第1審原告P1及び第1審原告P2の請求を全部認容したため、控訴人が原判決の全部を不服として控訴した事案において、被控訴人らの請求は理由があるからこれを認容すべきであり、これと同旨の原判決は正当であり、控訴人の被控訴人らに対する本件控訴は理由がないから棄却し、原判決中、第1審原告P1及び第1審原告P2の請求に係る部分を取り消した事例。(なお、本件訴訟のうち、第1審原告P1の請求に係る部分は、令和2年6月28日に第1審原告の死亡により、第1審原告P2の請求に係る部分は平成30年10月27日に第1審原告の死亡により、それぞれ訴訟終了の宣言をした。)
2022.04.19
国家賠償請求事件(第1事件、第2事件)
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年6月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25591984/札幌地方裁判所 令和 4年 3月25日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第2369号 等
原告らが、街頭演説に対して路上等から「P1辞めろ」、「増税反対」などと声を上げたところ、北海道警察の警察官らに肩や腕などをつかまれて移動させられたり、長時間にわたって付きまとわれたりしたと主張して、被告(北海道)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金の支払等を求めた事案で、原告らに対する警察官らの本件行為の一部について、国家賠償法1条1項の適用上、違法であるとし、また、原告らの表現の自由は、警察官らによって侵害されたものとし、原告2の移動・行動の自由、名誉権及びプライバシー権の侵害についても、警察官らによって侵害されたものとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2022.04.19
国家賠償請求控訴事件
LEX/DB25591851/東京高等裁判所 令和 4年 3月11日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第2936号
平成8年法律第105号による改正前の優生保護法に基づいて強制不妊手術(本件優生手術)を受けさせられたと主張する控訴人(原告)が、被控訴人(被告。国)に対し、国家賠償法1条1項に基づく慰謝料の支払、また、民法723条の法意に照らし、優生手術を受けた者に対する社会的評価を回復させる義務があるなどとして、被控訴人に対し謝罪広告を求めたところ、原判決が控訴人の請求をいずれも棄却したため、これを不服として控訴人が控訴した事案において、控訴人が本件優生手術を受けたことが認められ、本件優生手術時、控訴人は未成年者であり、これが控訴人の同意によるもの(優生保護法3条の定める「医師の認定による優生手術」)でないことは明らかであるから、本件優生手術が優生条項に基づくものであり、憲法13条、14条1項で保障される人権を侵害するものであることが認められるとし、控訴人の請求を全部棄却した原判決は失当であり、本件控訴は一部理由があるから、原判決を取消し、慰謝料請求について一部認容した事例。
2022.04.12
損害賠償請求事件
LEX/DB25572056/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 3月22日 決定 (上告審)/令和2年(オ)第1413号
上告人(控訴人・原告)の夫となるべき者であるAとともに、上告人は上告人の氏を、AはAの氏をそれぞれ称するものとして婚姻届を提出したが、同婚姻届は、民法750条の規定及び戸籍法74条1号の規定に違反することを理由に受理されなかったことについて、控訴人が、本件各規定は憲法14条1項、24条1項及び2項、我が国が批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約2条1項及び3項(b)、3条、17条1項、23条各項並びに女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約2条、16条1項(b)及び(g)に違反するものであるから、これを改廃して夫婦同氏制に加えて夫婦別氏制という選択肢を新たに設けない立法不作為は国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けると主張して、被上告人(被控訴人・被告。国)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として慰謝料の支払を求め、1審判決は上告人の請求を棄却し、控訴審判決も、結果として1審判決は相当であるとして控訴を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件上告の理由は、違憲及び理由の不備・食違いをいうが、その実質は単なる法令違反を主張するもの又はその前提を欠くものであり、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとして本件上告を棄却した事例(意見がある)。
2022.04.12
損害賠償請求事件
LEX/DB25591862/大阪地方裁判所 令和 4年 3月11日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第3251号
刑事事件(いわゆる和歌山カレー事件)の被告人であった原告が、当該刑事事件において鑑定書を提出するなどした被告らに対し、〔1〕被告らによる虚偽の鑑定書の提出等が不法行為に該当し、〔2〕被告らによる記者会見での発言が原告の名誉を毀損するなどと主張して、共同不法行為に基づき、損害賠償金等の連帯支払を求めた事案において、本件各鑑定等が虚偽鑑定ないし偽証である違法である旨の原告の主張については、鑑定人等のその行為が著しく正義に反し、刑事裁判手続の法的安定の要請を考慮してもなお容認し得ないような特別の事情が認められないし、損害及び因果関係の観点からも原告の主張は認められないとし、また、本件記者会見に係る原告の主張についても、仮に、被告らの本件記者会見における本件説明が名誉毀損に該当する違法な行為と評価されるものであったとしても、本件訴え提起までに消滅時効が完成しており、被告らの時効の援用により、原告の被告らに対する名誉毀損を理由とした共同不法行為に基づく損害賠償請求権は消滅したといえるから、原告の主張は認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2022.04.12
認知請求事件(甲事件、乙事件)
「新・判例解説Watch」家族法分野 解説記事が掲載されました
LEX/DB25591787/東京家庭裁判所 令和 4年 2月28日 判決 (第一審)/令和3年(家ホ)第500号 等
いずれも提供精子を用いた生殖補助医療により生まれた原告A及び原告Bが、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき女性への性別の取扱いの変更の審判を受けた被告に対し、認知を求めた事案で、原告らと被告との間に法律上の親子関係を認めることは現行法制度と整合しないから、本件各認知を認めることはできないというべきであるなどとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2022.04.05
損害賠償請求事件
LEX/DB25572047/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 3月24日 判決 (上告審)/令和2年(受)第1198号
信号機による交通整理が行われていない交差点である本件事故現場で、上告人(1審原告)車両が直進中、上告人から見て左方向の交差道路から進入してきた被上告人(1審被告)車両と側面衝突した交通事故によって傷害を受けた上告人が、加害車両の運転者である被上告人に対し、民法709条又は自動車損害賠償保障法3条に基づき、損害賠償を求め、上告人の夫との間で人身傷害条項のある普通保険約款が適用される自動車保険契約を締結していた保険会社が、上記交通事故によって生じた上告人の損害について、自動車損害賠償責任保険から自動車損害賠償保障法16条1項に基づく損害賠償額の支払として金員を受領していることから、上告人の被上告人に対する損害賠償請求権の額から上記金員に相当する額を全額控除することができるか否かが争われた事案の上告審において、人身傷害保険について保険会社が被害者に対して自賠責保険分を含めて一括払することを合意した場合、上告人の被上告人に対する損害賠償請求権の額から、訴外保険会社が本件支払金の支払により保険代位することができる範囲を超えて本件自賠金に相当する額を控除することはできないというべきであるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、上告人の控訴に基づき第1審判決を変更した事例。
2022.04.05
不動産取得税賦課処分取消請求事件
LEX/DB25572039/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 3月22日 判決 (上告審)/令和3年(行ヒ)第62号
上告人が、被上告人を相手に、都税事務所長がした本件不動産取得税の賦課処分の取消しを求めた事案の上告審において、上告人は、共有物の分割により、従前は持分10分の1を有していた本件各土地について、それぞれ、他の共有者から、その余の持分10分の9を取得したというのであるから、本件各取得の全部が持分超過部分の取得に当たるとし、いわゆる一括分割により不動産を取得した場合における本件各取得に対しては地方税法73条の7第2号の3の括弧書きの「分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の有無等は、分割の対象とされた個々の不動産ごとに判断すべきであるとし、原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.03.29
山形大学不当労働行為救済命令取消請求事件
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和4年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572036/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 3月18日 判決 (上告審)/令和3年(行ヒ)第171号
労働組合である上告補助参加人から、使用者である被上告人の団体交渉における対応が労働組合法7条2号の不当労働行為に該当する旨の申立てを受けた処分行政庁が、上告補助参加人の請求に係る救済の一部を認容し、その余の申立てを棄却する旨の命令を発したところ、被上告人が、上告人を相手に、本件命令のうち上記の認容部分の取消しを求め、第1審判決は、処分行政庁による本件命令は、その命令の内容において、処分行政庁の裁量権の範囲を逸脱したものとして、被上告人の請求を認容し、原判決もこれを維持したため、上告人が上告した事案で、本件認容部分は、被上告人が誠実交渉義務に違反する不当労働行為をしたとして、被上告人に対して本件各交渉事項につき誠実に団体交渉に応ずべき旨を命ずる誠実交渉命令であるところ、原審は、本件各交渉事項について、被上告人と上告補助参加人とが改めて団体交渉をしても一定の内容の合意を成立させることは事実上不可能であったと認められることのみを理由として、本件認容部分が処分行政庁の裁量権の範囲を逸脱したものとして違法であると判断したものであり、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、本件各交渉事項に係る団体交渉における被上告人の対応が誠実交渉義務に違反するものとして不当労働行為に該当するか否か等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2022.03.29
措置命令処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572006/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 3月 8日 判決 (上告審)/令和3年(行ツ)第33号
上告人(健康食品販売会社)が、サプリメントの広告が優良誤認に該当するとして、措置命令処分を受けたため、被上告人に対し、本件処分の取消しを求めた事案の上告審において、不当景品類及び不当表示防止法7条2項は、事業者がした自己の供給する商品等の品質等を示す表示について、当該表示のとおりの品質等が実際の商品等には備わっていないなどの優良誤認表示の要件を満たすことが明らかでないとしても、所定の場合に優良誤認表示とみなして直ちに措置命令をすることができるとすることで、事業者との商品等の取引について自主的かつ合理的な選択を阻害されないという一般消費者の利益をより迅速に保護することを目的とするものであり、公共の福祉に合致することは明らかであるとし、不当景品類及び不当表示防止法7条2項は、憲法21条1項、憲法22条1項に違反しないとして、本件上告を棄却した事例。
2022.03.29
再審請求棄却決定に対する異議申立て事件(名張毒ぶどう酒事件第10次再審請求棄却決定に対する異議申立て棄却決定)
LEX/DB25591762/名古屋高等裁判所 令和 4年 3月 3日 決定 (異議審)/平成29年(け)第16号
亡被告人が、昭和36年3月28日、公民館において、地元住民らを構成員とする会の総会後に催された懇親会の席上で提供されるぶどう酒に、有機燐テップ製剤(農薬)を混入し、同ぶどう酒を飲んだ女性会員のうち5名を殺害したほか、12名に有機燐中毒症の傷害を負わせたとされる殺人及び殺人未遂被告事件(名張ぶどう酒事件)について死刑を言い渡した確定判決に対し、平成27年11月6日、刑事訴訟法439条1項4号に基づき被告人の妹として再審を請求し(第10次再審請求)、平成29年12月8日、名古屋高等裁判所がこれを棄却する決定をしたため、異議を申し立てた事案で、原審に提出された新証拠について無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たらないとして再審請求を棄却した原決定の判断は是認できるとして、本件異議の申立てを棄却した事例。
2022.03.22
大垣警察市民監視国家賠償請求事件(甲事件)、個人情報抹消請求事件(乙事件)
LEX/DB25591788/岐阜地方裁判所 令和 4年 2月21日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第758号 等
岐阜県警察本部警備部及び岐阜県警各警察署警備課が、原告らの個人情報を長年にわたって収集、保有し、大垣警察署警備課の警察官がそれらの情報の一部を民間企業に提供したことにより、原告らの人格権としてのプライバシー等が侵害されたとして、原告らが、被告県に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金の支払等を求めた事案(甲事件)、また、原告らが、人格権としてのプライバシーに基づき、被告県に対しては岐阜県警等が保有する、被告国に対しては警察庁警備局が保有する、原告らの個人情報の抹消を求めた事案(乙事件)で、乙事件については訴えを却下し、甲事件については、原告らは、必要性もないのに、大垣警察からプライバシーに係る情報を、積極的、意図的に対立の相手方である民間企業にその情報を提供されたことにより、精神的な損害を被ったものであるとして一部認容した事例。
2022.03.22
課徴金納付命令処分取消請求控訴事件
LEX/DB25591763/東京高等裁判所 令和 3年11月24日 判決 (控訴審)/令和3年(行コ)第31号
株式会社M社の取締役である被控訴人(1審原告)が、M社の「業務執行を決定する機関」が株式会社D社との「業務上の提携」を「行うことについての決定」をした旨の重要事実を知りながら、法定の除外事由がないのに、本件重要事実の公表がされた平成27年12月11日よりも前にM社株式(本件株式)合計400株を買い付けたことが金融商品取引法166条1項1号及び同条2項1号ヨの内部者取引に当たるとして、金融庁長官(処分行政庁)から、金融商品取引法185条の7第1項に基づき、課徴金として133万円を国庫に納付することを命ずる決定を受けたことについて、本件納付命令が違法である旨主張して、控訴人(1審被告。国)に対し、その取消しを求め、原判決は、被控訴人が上記買付けをした時までにM社の「業務執行を決定する機関」が「業務上の提携」を「行うことについての決定」をしていたとは認められず、本件納付命令は違法であるとして、これを取消したため、控訴人が、これを不服として控訴した事案において、本件納付命令は違法であり、被控訴人の請求は理由があるものと判断し、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2022.03.15
固定資産評価決定取消請求事件
LEX/DB25571984/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 3月 3日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第323号
ゴルフ場の用に供されている山口県下松市所在の一団の本件各土地に係る固定資産税の納税義務者である被上告人が、土地課税台帳に登録された本件各土地の平成27年度の価格を不服として下松市固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の決定を受けたため、上告人を相手に、本件決定のうち被上告人が適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求め、原判決は、本件決定の全部を取り消すべきものとしたため、上告人が上告した事案で、本件登録価格について、塩田跡地としての取得価額を評定していないことを理由として評価基準の定める評価方法に従って算定されたものということができないとした原審の判断には、固定資産の評価に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄し、本件登録価格が評価基準の定める評価方法に従って算定されたものといえるか否か等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2022.03.15
金融商品取引法違反被告事件
LEX/DB25571977/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 2月25日 決定 (上告審)/令和3年(あ)第96号
証券会社の従業員であった被告人が、知人に利益を得させる目的で、職務に関して知った上場企業の株式の公開買付けに関する情報をその知人に伝達し、インサイダー取引に関与したとして、金融商品取引法違反の罪に問われ、第1審判決は、被告人を懲役2年及び罰金200万円に処し、原判決も、第1審判決を是認したため、被告人が上告した事案で、被告人において本件公開買付けの実施に関する事実を知ったことが金融商品取引法167条1項6号にいう「その者の職務に関し知ったとき」に当たるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.03.15
損害賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25591730/大阪高等裁判所 令和 4年 2月22日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第228号
旧優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの)に基づく不妊手術(人の生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術。優生手術)を受けたという本人又はその配偶者である控訴人らが、旧優生保護法が人の性と生殖に関する権利であるリプロダクティブ・ライツ、自己決定権、平等権等を侵害する違憲なものであるにもかかわらず、〔1〕国会議員が旧優生保護法を立法したこと、〔2〕国会議員が被害救済立法を行わなかったこと、〔3〕厚生労働大臣及び内閣総理大臣が被害救済措置を講じなかったことがいずれも違法であると主張して、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金の支払等を求めたところ、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したため、これを不服の控訴人らが控訴した事案で、控訴人1、控訴人2に対し、旧優生保護法4条の申請に基づく優生手術が実施されたと認定し、被控訴人は、控訴人らに対し、国家賠償法1条1項に基づき、旧優生保護法4条ないし13条に係る違法な立法行為による権利侵害につき損害賠償義務を負うものと判示し、控訴人らの被控訴人に対する国家賠償法1条1項に基づく各損害賠償請求権は、除斥期間の経過によって消滅したものとはいえず、その消滅をいう被控訴人の主張は採用することができないとし、原判決を変更して、控訴人らの請求を一部認容した事例。
2022.03.08
窃盗,窃盗未遂被告事件
LEX/DB25571957/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 2月14日 決定 (上告審)/令和2年(あ)第1087号
被告人が、氏名不詳者らと共謀の上、金融庁職員になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、警察官になりすました氏名不詳者が、被害者宅に電話をかけ、被害者(当時79歳)に対し、被害者名義の口座から預金が引き出される詐欺被害に遭っており、再度の被害を防止するため、金融庁職員が持参した封筒にキャッシュカードを入れて保管する必要がある旨うそを言い、さらに、金融庁職員になりすました被告人が、被害者をして、キャッシュカードを封筒に入れさせた上、被害者が目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替えて同キャッシュカードを窃取するため、被害者宅付近路上まで赴いたが、警察官の尾行に気付いて断念し、その目的を遂げなかったとした原判決の是認する第1審判決判示第15の窃盗未遂罪の成否について、上告審が職権により判断した事案で、被告人が被害者に対して印鑑を取りに行かせるなどしてキャッシュカード入りの封筒から注意をそらすための行為をしていないとしても、本件うそが述べられ、被告人が被害者宅付近路上まで赴いた時点では、窃盗罪の実行の着手が既にあったとして、被告人について窃盗未遂罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.03.08
憲法53条違憲国家賠償請求控訴事件
LEX/DB25591582/広島高等裁判所岡山支部 令和 4年 1月27日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第77号
他の衆議院議員119名と連名で憲法53条後段に基づく臨時会召集決定を要求した衆議院議員である控訴人が、被控訴人・国に対し、内閣を加害公務員として、内閣が合理的期間内に召集を決定すべき義務に違反して本件召集要求後98日が経過するまで臨時会の召集を怠る加害行為をしたことによって、国会議員の権能行使を侵害されたと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、原審が控訴人の請求を棄却したところ、控訴人が一部控訴した事案で、控訴人が主張する国会議員としてなし得たであろう国会活動の内容は、仮定的ないし抽象的な可能性をいうに留まっているといわざるを得ず、同法1条1項は、公務員が個別の国民の権利又は法律上保護される利益を侵害して、国民が具体的な損害を被った場合に、その損害を賠償させることにより当該侵害を救済する趣旨の規定であり、仮定的ないし抽象的な可能性を保護の対象にするものではないから、内閣が仮定的ないし抽象的な国会活動の可能性を有するに留まる控訴人との関係で職務上の法的義務違背を生じることもないというべきであるところ、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。