注目の判例

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2018.12.25
詐欺,覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25449862/最高裁判所第二小法廷 平成30年12月14日 判決 (上告審)/平成28年(あ)第1808号
第1審判決は、覚せい剤取締法違反の罪(使用)のほか,詐欺罪の犯罪事実を認定し、被告人を懲役2年6月に処したため、被告人が、第1審判決に対して量刑不当を理由に控訴し、原判決は、詐欺の事実につき、職権で判示し、詐欺の故意は認められないとして第1審判決を破棄し、無罪を言い渡したことにより、検察官が上告した事案で、被告人は、捜査段階から、荷物の中身について現金とは思わなかった、インゴット(金地金)、宝石類、他人名義の預金通帳,他人や架空名義で契約された携帯電話機等の可能性を考えたなどと供述するとともに、荷物の中身が詐欺の被害品である可能性を認識していたという趣旨の供述もしており、第1審及び原審で詐欺の公訴事実を認め、被告人の供述全体をみても、自白供述の信用性を疑わせる事情はない。それ以外に詐欺の可能性があるとの認識が排除されたことをうかがわせる事情も見当たらないとし、被告人は自己の行為が詐欺に当たるかもしれないと認識しながら荷物を受領したと認められ、詐欺の故意に欠けるところはなく、共犯者らとの共謀も認められる。それにもかかわらず、これらを認めた第1審判決に事実誤認があるとしてこれを破棄した原判決は、詐欺の故意を推認させる外形的事実及び被告人の供述の信用性に関する評価を誤り、重大な事実誤認をしたというべきであり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められ、原判決を破棄し、訴訟記録に基づいて検討すると、被告人を懲役2年6月に処した量刑判断を含め、第1審判決を維持し、被告人の控訴を棄却した事例。
2018.12.25
覚せい剤取締法違反、詐欺未遂、詐欺被告事件 
LEX/DB25449854/最高裁判所第三小法廷 平成30年12月11日 判決 (上告審)/平成29年(あ)第44号
覚せい剤取締法違反の罪(使用・所持)、詐欺並びに詐欺未遂事件につき、第1審判決は、被告人を懲役4年6月に処したため、被告人が事実誤認を理由に控訴し、原判決は、第1審判決を破棄し、無罪を言い渡した。このため、検察官が上告した事案で、被告人は、Gの指示を受けてマンションの空室に赴き,そこに配達される荷物を名宛人になりすまして受け取り、回収役に渡すなどし、加えて、被告人は、異なる場所で異なる名宛人になりすまして同様の受領行為を多数回繰り返し、1回につき約1万円の報酬等を受け取っており、被告人自身、犯罪行為に加担していると認識していたことを自認していることから、荷物が詐欺を含む犯罪に基づき送付されたことを十分に想起させるものであり、本件の手口が報道等により広く社会に周知されている状況の有無にかかわらず、それ自体から、被告人は自己の行為が詐欺に当たる可能性を認識していたことを強く推認させるものといえ、原判決のいうような能力がなければ詐欺の可能性を想起できないとするのは不合理であって是認できないとし、原判決が第1審判決を不当とする理由として指摘する論理則、経験則等は、いずれも本件詐欺の故意を推認するについて必要なものとはいえず、また、適切なものともいい難いとし、そして、被告人は、荷物の中身が拳銃や薬物だと思っていた旨供述するが、荷物の中身が拳銃や薬物であることを確認したわけでもなく、詐欺の可能性があるとの認識が排除されたことをうかがわせる事情は見当たらず、被告人は、自己の行為が詐欺に当たるかもしれないと認識しながら荷物を受領したと認められ、詐欺の故意に欠けるところはなく、共犯者らとの共謀も認められ、原判決が第1審判決の故意の推認過程に飛躍があり、被告人の詐欺の故意を認定することができないとした点には、第1審判決が摘示した間接事実相互の関係や故意の推認過程に関する判断を誤ったことによる事実誤認があるとして、原判決を破棄し、第1審判決の事実誤認を主張する被告人の控訴は理由がないことに帰するとして、控訴を棄却した事例。
2018.12.25
傷害致死被告事件
LEX/DB25561710/大阪地方裁判所 平成30年11月20日 判決 (第一審)/平成29年(わ)第3167号
被告人は、平成28年10月3日午後1時30分頃から同日午後1時59分頃までの間、被告人宅で、次男(当時生後約1か月半)が泣きやまないことにいら立ち、その頭部を複数回揺さぶるなどの暴行を加え、同人に急性硬膜下血腫、くも膜下出血及び左右多発性眼底出血等の傷害を負わせ、病院において、同月15日午後2時47分頃、前記傷害に基づく蘇生後脳症により死亡させたとして傷害致死罪で起訴された事案で、被告人が午後1時30分頃の妻の外出後の状況につき、公判廷で本件当日にした供述と異なる内容の供述をしていることなどその他の事情を踏まえても(なお、午後1時30分頃の妻の外出時までに受傷をうかがわせる事情がなかったといえるかについては、必ずしも明らかでないと判断した。)、被告人が公訴事実記載の犯行に及んだことについて、常識に照らして間違いないといえるほどの立証がされているとはいえないとし、被告人に無罪を言い渡した事例。
2018.12.18
不当利得返還等請求事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 2月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449849/最高裁判所第二小法廷 平成30年12月 7日 判決 (上告審)/平成29年(受)第1124号
上告人(控訴人・原告。中小企業等への融資等を主たる事業とする金融機関)が、被上告人(被控訴人・被告。自動車部品等の製造、販売等を主たる事業とする会社)に対し、金属スクラップ等の引揚げ及び売却が上告人に対する不法行為に当たるとして5000万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払を請求し、選択的に、これによって被上告人が得た利益は不当利得に当たるとして同額の不当利得金の返還及び民法704条前段所定の利息の支払を請求し、上記の不法行為及び不当利得の成否に関して、本件動産につき、上告人が被上告人に対して本件譲渡担保権を主張することができるか否かが争われ、1審判決は上告人の請求を棄却したため、これを不服として上告人が控訴し、控訴審判決は、本件動産譲渡担保の範囲は、目的物の種類、数量及び保管場所により特定されており、被上告人自認超過部分(一部の各品目を除いたもの)について留保所有権の消滅が認められる以上、その品目及び数量に係る損害が発生したものと認め、上告人に対する不法行為を構成するとして、1審判決を変更し、上告人の請求を一部認容した。しかし、上告人は、本件売買契約で、目的物の所有権は、上記代金の完済をもって、被上告人からM社に移転するという本件条項に基づき被上告人が本件動産の所有権を留保することは本件動産の所有権を被上告人からM社に移転させた上でM社が被上告人のために担保権を設定したものとみるべきであるにもかかわらず、本件動産につき、その所有権が被上告人からM社に移転しておらず、上告人が被上告人に対して本件譲渡担保権を主張することができないとした原審の判断には、法令解釈の誤り、判例違反がある旨を主張し、上告した事案において、本件動産の所有権は、本件条項の定めどおり、その売買代金が完済されるまで被上告人からM社に移転しないものと解するのが相当であるとして、本件動産につき、上告人は、被上告人に対して本件譲渡担保権を主張することができないとし、本件上告を棄却した事例。
2018.12.18
不正競争防止法違反被告事件
LEX/DB25449846/最高裁判所第二小法廷 平成30年12月 3日 決定 (上告審)/平成30年(あ)第582号
自動車の開発、製造、売買等を業とするA社(自動車の開発、製造、売買等を業とする会社)の商品企画部の従業員として勤務し、同社のサーバーコンピュータに保存された情報にアクセスするためのID及びパスワードを付与されて、同社が秘密として管理している同社の自動車の商品企画に関する情報等で公然と知られていないものを示されていた被告人が、同社が保有する自動車の商品企画等に関する営業秘密に当たるデータファイルを、不正の利益を得る目的で、あらかじめ同社のサーバーコンピュータにアクセスして、被告人が同社から貸与されていたパーソナルコンピュータに保存していた番号1から8までのデータファイル8件等が含まれたフォルダを、同パーソナルコンピュータから自己所有のハードディスクに転送させて、複製を作成(判示1)し、同パーソナルコンピュータを使用して同社サーバーコンピュータにアクセスして、番号9から12までのデータファイル4件等が含まれたフォルダを同サーバーコンピュータから自己所有のハードディスクに転送させて、複製を作成(判示2)し、その営業秘密の管理に係る任務に背き、それぞれ営業秘密を領得した不正競争防止法違反事件で、1審判決は、被告人に対し、判示1につき懲役1年(執行猶予3年)、判示2につき無罪を言い渡したため、双方が控訴し、控訴審判決は、1審判決を維持し、双方の控訴を棄却した。このため、被告人が上告した事案において、被告人は、当該複製が被告人自身又は転職先その他の勤務先以外の第三者のために退職後に利用することを目的としたものであったことは合理的に推認できるとし、被告人には不正競争防止法21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があったとして、同旨の第1審判決を是認した原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2018.12.18
損害賠償請求事件(接見交通権一部認容判決)
LEX/DB25561606/鳥取地方裁判所 平成30年11月26日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第95号
弁護士である原告が、原告と勾留中の被告人との間の裁判所構内における接見を裁判所が許可したにもかかわらず、被告の設置運営する刑務所の職員らがこれを実施させないまま同刑務所に被告人を連れ帰ったことなどが違法であり、そのため弁護人としての接見交通権を侵害されたなどと主張して、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金の支払等を求めた事案において、裁判所構内における接見許可がされた場合に、刑務所職員は、面会の場所が戒護上の支障が生じないような設備のある部屋等かどうかに関し、裁判所と異なる見解を持ったとしても、裁判所の許可を前提として、その接見の実施に当たり、刑事収容施設法77条1項に基づく何らかの措置を執る必要があるかどうかを検討するにとどめなければならず、その接見の実施を妨げる措置を執ることは、接見配慮義務に反し、許されないものといわなければならないとし、請求を一部認容した事例。
2018.12.11
賃金等請求事件(中国人実習生に「残業代未払い」 雇用農家に残業代支払い命令)
LEX/DB25561578/水戸地方裁判所 平成30年11月 9日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第390号
原告P1の請求に係る部分は、中華人民共和国の国籍を有する女性の技能実習生である同原告が、監理団体である被告組合を介して、実習実施機関であり大葉の栽培を営む被告P3との間で雇用契約を締結していたところ、〔1〕雇用契約に基づき、大葉巻き作業を行ったとして、被告P3に対し、同作業に係る未払の残業代の支払等を求め、〔2〕被告P3に対し、主位的に、被告P3の責めに帰すべき事由により原告P1の労務提供が不能になったとして、雇用契約に基づき、各月の賃金の支払等を、予備的に、被告P3の不正行為により原告P1の就労継続が不可能となったとして、不法行為に基づき、上記の期間の賃金相当額の支払等を求め、〔3〕被告P4から原告P1がセクハラを受け、同セクハラについて被告組合に対応を求めたにもかかわらず何らの措置もとらなかったなどとして、被告P4に対しては不法行為に基づき、被告P4の使用者である被告P3に対しては被用者に対する安全配慮義務違反の債務不履行、被告P4との共同不法行為又は使用者責任に基づき、被告組合に対しては被告P3及び被告P4との共同不法行為に基づき、連帯して慰謝料及び弁護士費用の支払等を求めた事案、及び、原告P2の請求に係る部分は、同原告は被告組合との間で雇用契約を締結していたところ、被告組合が平成26年12月15日付けでした原告P2の解雇が無効であるとして、被告組合に対し、雇用契約上の地位の確認を求めるとともに、雇用契約に基づき、解雇日以後本判決確定の日までの各月分の賃金並びに賞与の支払等を求めた事案で、原告P1の未払残業代請求につき一部認容し、原告P2の請求については棄却した事例。
2018.12.11
損害賠償請求事件(東住吉女児焼死事故 車メーカへの請求棄却)
LEX/DB25561588/大阪地方裁判所 平成30年10月26日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第724号
原告が、平成7年に原告の自宅で発生した火災により原告の子が焼死した事故に関し、本件火災の原因は、被告会社が設計・製造し、販売した軽乗用自動車が通常備えるべき安全性を備えておらず、同車から漏出したガソリンに原告宅の風呂釜の種火が引火したものである旨主張して、被告会社に対し、不法行為に基づく損害賠償として、原告が相続した子の損害(逸失利益及び死亡慰謝料の各2分の1に相当する3237万1578円)、原告固有の損害(慰謝料1500万円)及び弁護士費用の合計5210万8735円の支払等を求めた事案において、原告が本件被害者から相続した損害賠償請求権について、除斥期間の経過により権利行使をさせないことが著しく正義・公平の理念に反するとは未だ認められないというべきであり、本訴請求権は、いずれも除斥期間の経過により消滅したと認められ、原告の請求を棄却した事例。
2018.12.11
損害賠償請求事件
LEX/DB25561577/神戸地方裁判所 平成30年 5月10日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第1327号
原告が、停車中の被告P2運転の普通乗用自動車の開放された運転席ドアの内側に行ったところ、同車が運転席ドアを閉めずに急後退したため、運転席ドアに引きずられて転倒し、原告に人身損害及び物的損害が発生したとして、被告P2に対し、不法行為及び自賠法3条に基づく損害賠償として、1345万8009円の支払等を、被告P2が自動車保険を付保していた被告P3に対し、対人・対物賠償保険金の直接請求として、原告の被告P2に対する判決が確定したときは、原告に対し、1345万8009円の支払等を、原告が自動車保険に無保険車傷害特約を付保していた被告P4に対し,同特約に基づく保険金請求として、1079万7810円の支払等をそれぞれ求めた事案において、原告は、被告P2に対し、不法行為に基づく損害賠償として130万7043円の限度で一部認容し、原告の被告P3に対する対人・対物賠償保険金の直接請求及び原告の被告P4に対する無保険車傷害特約に基づく保険金請求は棄却した事例。
2018.12.04
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 1月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25561484/東京高等裁判所 平成30年 9月12日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第1183号 等
被控訴人(原告)は、控訴人(被告)とペアを組んでバドミントンのダブルス競技を行っていた際に控訴人のラケットが被控訴人の左眼に当たった事故について、控訴人に過失があると主張して、控訴人に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害1534万1527円の支払等を求め、原審は、被控訴人の請求を789万3244円の支払等を求める限度で認容し、その余の請求を棄却したところ、控訴人がその敗訴部分につき本件控訴を提起し、被控訴人がその敗訴部分につき本件附帯控訴を提起した事案で、控訴人の控訴を棄却したうえで、被控訴人の附帯控訴に基づき、原審の認容額を1319万0378円に増額した内容で一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2018.12.04
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25561483/東京高等裁判所 平成30年 7月19日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第1024号
控訴人(原告。身長159cm、体重50kg程度の体格の40歳代の女性)が被控訴人(被告。身長180cm、体重85kg程度の体格の40代の男性)に対し、A地区合同運動会における自転車リングリレー競技中に発生した衝突事故は被告の注意義務違反によるものであるとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、休業損害90万4512円及び通院慰謝料119万円の合計209万4512円の支払等を求めたところ、原審は、被控訴人が、本件事故について、控訴人に対し、道義的責任を負うことは明らかというべきであるが、法的責任があるということはできないとし、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴した事案で、原判決を変更し、競技者が対向して走行する方式である本件競技の下でも、被控訴人が本件事故を回避することは十分可能であったといえ、主催者の責任と競技者の責任とは、一方のみが成立して他方が成立しないといった択一的な関係にはないから、主催者の損害賠償責任の有無にかかわらず、本件事実関係において、加害者である被控訴人は、その責任を免れないというべきであるとして、原判決を変更し、控訴人の請求を一部認容した事例。
2018.12.04
損害賠償請求事件(神奈川県弁護士会に賠償命令 個人情報を不当漏えい)
LEX/DB25561550/横浜地方裁判所 平成30年 7月19日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第5128号
原告が、被告の弁護士法23条の2に基づく報告の請求(弁護士会照会)に際して照会先に原告の戸籍全部事項証明書等が送付されたことによって、プライバシーを違法に侵害されたなどと主張して、被告に対し、不法行為に基づき、慰謝料140万円の支払等を求めた事案において、原告は、被告の本件送付行為により、本件原戸籍に記載された原告の個人に関する情報が本件照会先に開示されたことにより、相応の精神的苦痛を受けたものと認められるが、一方で、情報が本件照会先以外の者に伝播したことを認めるに足りる証拠は存在せず、これらの事情を総合すると、原告の精神的苦痛に対する慰謝料の金額は、10万円とするのが相当であるとし、原告の請求を一部認容した事例。
2018.12.04
所得税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25561472/大阪地方裁判所 平成30年 4月19日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第393号
Aの屋号でLPガス、A重油、灯油等の燃料小売業を営む原告が、平成22年分から平成24年分まで(本件各年分)の所得税の確定申告において、原告が代表者を務める本件会社にAの業務を委託したとして、その外注費を事業所得の金額の計算上必要経費に算入したところ、所轄税務署長が、本件外注費を必要経費に算入することはできないとして、原告に対し、本件各年分の所得税の更正及び過少申告加算税の賦課決定をしたため、被告(国)を相手に、本件各更正処分のうち各申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求めた事案において、本件外注費は、原告の事業所得に係る必要経費には該当しないとし、また、本件各通知書に附記された理由は、本件各更正処分の根拠を、行政庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制し、不服申立ての便宜を図るという理由附記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものというべきであり、所得税法155条2項が求める理由の附記として欠けるところはなく、本件各更正処分について理由附記の不備の違法はないとし、本件各処分はいずれも適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2018.11.27
神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
LEX/DB25449809/最高裁判所第二小法廷 平成30年11月16日 判決 (上告審)/平成29年(行ヒ)第404号
神奈川県の住民である被上告人(被控訴人・原告)が、県議会の会派であるB(本件会派)が平成23年度から同25年度まで(本件各年度)に交付を受けた政務調査費及び政務活動費に関し、収支報告書に支出として記載されたものの一部は実際には支出されていないから、本件会派はこれを不当利得として県に返還すべきであるにもかかわらず、上告人はその返還請求を違法に怠っているとして、地方自治法242条の2第1項3号に基づき、上告人(控訴人・被告。県知事)を相手として、上告人が本件会派に対する不当利得返還請求権の行使を怠ることが違法であることの確認を求めた住民訴訟で、被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案で、神奈川県議会政務活動費の交付等に関する条例に基づいて交付された政務活動費等について、その収支報告書上の支出の一部が実際には存在しないものであっても、当該年度において、収支報告書上の支出の総額から実際には存在しないもの及び使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務活動費等の交付額を下回ることとならない場合には、当該政務活動費等の交付を受けた会派又は議員は、県に対する不当利得返還義務を負わないものとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、被上告人の請求を棄却した事例。
2018.11.27
通知処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25561443/大阪高等裁判所 平成30年10月19日 判決 (控訴審)/平成30年(行コ)第21号
破産会社の破産管財人である控訴人が、〔1〕主位的に、本件破産会社の平成7年度から同17年度まで(ただし、同11年度を除く。)の各事業年度に係る法人税の確定申告について控訴人が平成27年6月19日付けでした各更正の請求に対して,所轄税務署長が同年9月14日付けで更正すべき理由がない旨の各通知処分をしたことについて、本件破産会社の破産手続において一般調査期間の経過をもって総額555億3373万9096円の過払金返還請求権が破産債権者表に記載されることにより破産債権として確定したことが国税通則法23条1項1号及び同条2項1号に該当するから、これに対応する法人税額が減額更正されるべきであるのに、これを認めなかった本件各通知処分は違法であると主張して、被控訴人に対し、本件各通知処分のうち法人税額合計5億円の範囲での一部取消し(一部請求)を求めるとともに、〔2〕予備的に、本件各通知処分が適法であるとしても、被控訴人は本件各事業年度において益金の額に算入された上記各過払金返還債権に対応する同事業年度の法人税相当額66億5526万3845円を法律上の原因なく利得している旨主張して、不当利得返還請求権に基づき、そのうち5億円の支払等を求め、原審は、控訴人の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却したため、これを不服とする控訴人が控訴した事案(当審で不服の範囲を限定し、法人税額合計2億5000万円の範囲で本件各通知処分の取消しを求め、予備的に同額の不当利得返還を求めた)で、控訴人が本件破産会社についてした本件会計処理は法人税法22条4項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に合致するものであり是認されるべきであったから、結果的に、本件申告に係る納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っておらず、同納税申告書の提出により納付すべき税額が過大であったことになり、国税通則法23条1項1号に該当するところ、本件破産手続で本件破産会社が本件過払金返還債権1に係る不当利得返還義務を負うことが確定判決と同一の効力を有する破産債権者表の記載により確定し、その結果、破産会社に生じていた経済的成果が失われたか又はこれと同視できる状態に至ったと解されることにより、本件申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実と異なることが確定したというべきであるから、同確定の日から2か月以内にされた本件各更正の請求は理由があり、これに理由がないとした本件各通知処分はいずれも違法であると判断し、これと異なる原判決は不当であり、本件控訴は理由があり、控訴人は当審における不服の範囲を本件各通知処分中法人税額合計2億5000万円に関する部分の取消請求に限定していることから、原判決中上記範囲で原判決を取消した上、同範囲で控訴人の主位的請求を認容した事例。
2018.11.27
離婚等本訴請求・同反訴請求控訴事件、同附帯控訴事件
LEX/DB25561398/東京高等裁判所 平成30年 9月27日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第2147号 等
控訴人(兼附帯被控訴人・被告(反訴原告))と夫婦関係にある被控訴人(兼附帯控訴人・原告(反訴被告))が、控訴人に対し、悪意の遺棄及び婚姻を継続し難い重大な事由があると主張して、民法770条1項2号及び5号に基づき離婚を求めると共に、離婚に伴う慰謝料300万円の支払等を求め、これに加えて、長男及び二男の親権者を被控訴人とすること、養育費の支払、財産分与(共有不動産の分与を含む。)、年金分割を求めたのに対し、控訴人が、反訴として、離婚、離婚に伴う慰謝料500万円の支払、親権者を控訴人とすること、相当額の財産分与等を求めたところ、原審は、双方の離婚請求を認容した上で、長男及び二男の親権者をいずれも被控訴人と定め、控訴人に対し、長男及び二男の養育費として、それぞれが満20歳に達する日までの間、各月額6万5000円の支払を命じ、財産分与については、控訴人に対し、本件不動産の控訴人持分全部の譲渡及び財産分与を原因とする同持分全部移転登記手続を命じたほか、59万1631円の支払を命じ、年金分割については、請求すべき按分割合を0.5と定め、被控訴人のその余の本訴請求及び控訴人のその余の反訴請求をいずれも棄却したため、控訴人は、原判決中の親権者指定、財産分与及び慰謝料請求に関する部分を不服として控訴し、被控訴人は、原判決中の養育費,財産分与に関する部分及び慰謝料請求に関する部分を不服として附帯控訴した事案で、原判決は相当であると判断し、本件控訴及び本件附帯控訴を棄却した事例。
2018.11.20
違法公金支出損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449792/最高裁判所第三小法廷 平成30年11月 6日 判決 (上告審)/平成29年(行ヒ)第226号
大竹市による市の土地の譲渡につき、市の住民である被上告人(控訴人・原告)らが、当該譲渡は地方自治法237条2項にいう適正な対価なくしてされたにもかかわらず、同項の議会の議決によるものでないことなどから違法であるとして、同法242条の2第1項4号に基づき、上告人(被控訴人・被告)を相手に、当時市長の職にあった者に対して損害賠償請求をすること等を求めた住民訴訟で、原審が、A市長に対する損害賠償請求をすることを求める被上告人らの請求のうち本件土地の適正な対価の下限であるという金額4億9910万円と本件譲渡価格との差額である1億4910万円に相当する部分を認容したため、上告人が上告した事案において、本件譲渡議決に関しては、市議会で、本件譲渡価格に加えて平成23年鑑定評価額を踏まえた上で、本件譲渡が適正な対価によらずにされたものであったとしてもこれを行う必要性と妥当性についても審議がされており、審議の実態に即して、本件譲渡が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上これを行うことを認める趣旨でされたものと評価することができるから、本件譲渡議決をもって、地方自治法237条2項の議会の議決があったということができ、本件譲渡の方式等についてみても、プロポーザル方式により本件公募をし、エポックワンらを選定した経緯等に関し、A市長が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことをうかがわせる事情は存しないとして、本件譲渡に財務会計法規上の義務に違反する違法はなく、A市長は、本件譲渡に関して、市に対する損害賠償責任を負わないというべきであるとして、原判決中上告人敗訴部分につき破棄し、上記部分に関する被上告人らの請求を棄却した第1審判決は相当であるとし、上記部分につき、被上告人らの控訴を棄却した事例(補足意見あり)。
2018.11.20
停職処分取消請求事件
LEX/DB25449793/最高裁判所第三小法廷 平成30年11月 6日 判決 (上告審)/平成29年(行ヒ)第320号
上告人(加古川市)の男性職員である被上告人は、勤務時間中に訪れた店舗においてその女性従業員に対してわいせつな行為等をしたことを理由に、停職6月の懲戒処分を受けたことにつき、被上告人が本件処分は重きに失するものとして違法であるなどと主張して、上告人を相手に、その取消しを求め、原審は、被上告人の請求を認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件処分が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠くものであるとまではいえず、市長の判断が、懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできないとし、これに反する原判決を破棄し、第1審判決を取消し、被上告人の請求を棄却した事例。
2018.11.20
勾留の裁判に対する準抗告の裁判に対する特別抗告事件
LEX/DB25449783/最高裁判所第二小法廷 平成30年10月31日 決定 (特別抗告審)/平成30年(し)第585号
勾留の裁判に関する準抗告決定(原裁判取消し、勾留請求却下)に対し、検察官が特別抗告した事案において、原決定が、本件勾留の被疑事実である大麻の営利目的輸入と、本件勾留請求に先立つ勾留の被疑事実である規制薬物として取得した大麻の代替物の所持との実質的同一性や、両事実が一罪関係に立つ場合との均衡等のみから、前件の勾留中に本件勾留の被疑事実に関する捜査の同時処理が義務付けられていた旨説示した点は是認できないが、いまだ刑事訴訟法411条を準用すべきものとまでは認められないとし、本件抗告を棄却した事例(補足意見あり)。
2018.11.20
損害賠償請求事件
LEX/DB25561322/東京地方裁判所 平成30年 9月19日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第21485号
死刑確定者として東京拘置所に収容されていた原告X及び弁護士である原告Aが、被告に対し、原告Xに対する信書の発信不許可処分及び面会不許可処分についての各国家賠償請求事件並びに再審請求事件の打合せを目的とする原告らの面会につき、職員を立ち会わせる措置をしてはならない旨の仮の差止めの各決定が東京地方裁判所によってされたにもかかわらず、東京拘置所長が、それらに従わなかったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ、損害賠償金の支払等を求めた事案の上告審において、行政庁である東京拘置所長が、行政事件訴訟における最も基本的な法律である行訴法の規定を把握していなかった上、原告Aによる再三の抗議にもかかわらず、行政事件訴訟法の規定の確認すら怠り、このために違法な本件各処分をしたことは、到底容認し難いものであって、行政庁に対する信頼を失墜させる異常な事態を生じさせたものといわざるを得ないから、東京拘置所長には、本件各処分をすることについて極めて重大な過失があったものというべきであるが、本件各決定に効力が生じていることを認識しながら、あえて、本件各処分をしたものとまでは認められないとし、原告らの請求を一部認容し、その余の請求をいずれも棄却した事例。