2022.05.24
情報不開示決定取消等請求控訴事件
LEX/DB25592204/東京高等裁判所 令和 4年 4月 7日 判決 (差戻控訴審)/令和3年(行コ)第171号
東京拘置所に未決拘禁者として収容されていた控訴人が、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(令和3年法律第37号による廃止前)に基づき、処分行政庁である東京矯正管区長に対し、控訴人が収容中に受けた診療に関する別紙記載の保有個人情報の開示を請求したところ、同法45条1項所定の保有個人情報に当たり、開示請求の対象から除外されているとして、本件情報の全部を開示しない旨の決定を受けたことから、本件決定が違法であると主張してその取消しを求めるとともに、本件決定により精神的苦痛を受けた等として、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料及び弁護士費用相当額の支払等を求め、第1審は、被収容者の医療情報である本件情報は、開示等に係る規定の適用除外となる行政機関個人情報保護法45条1項所定の保有個人情報に当たるとし、これを開示しない旨の本件決定は適法であるとして、控訴人の請求をいずれも棄却したところ、控訴人は控訴し、差戻し前の控訴審も控訴を棄却したが、上告審は、被収容者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は、行政機関個人情報保護法45条1項所定の保有個人情報に当たらないと解するのが相当であるとし、本件情報は上記保有個人情報に当たらないから、同法12条1項の規定による開示請求の対象となるとし、これと異なる差戻前の控訴審を破棄し、更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻しを命じた。その後、差戻後の控訴審の事案において、控訴人の請求のうち、本件決定の取消しに係る部分の訴えは訴えの利益を欠き不適法であるから却下し、国家賠償請求については一部認容し、その余の請求を棄却した内容で、第1審判決を変更した事例。