注目の判例

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2018.08.28
納税告知取消請求控訴事件
LEX/DB25560843/東京高等裁判所 平成29年 1月19日 判決 (控訴審)
破産会社が、本件匿名組合を組織し、破産会社を営業者として匿名組合員との間で締結した匿名組合契約において、これを締結した匿名組合員に対して利益の分配として支払った金員につき、所轄税務署長から源泉所得税の納税の告知及び不納付加算税の賦課決定を受けたことに関し、破産会社の破産管財人である控訴人(原告)が、被控訴人(被告。国)に対し、本件匿名組合員に対する上記各支払は出資の払戻しであって「匿名組合契約に基づく利益の分配」に該当せず、源泉所得税の納付義務を負わないと主張して、(1)ア 平成26年10月1日付け納税の告知の取消し、イ 上記アの告知処分に係る納付済みの源泉所得税1億1241万円につき、国税通則法56条1項に基づく還付及びこれに対する同法58条に基づく還付加算金の支払、(2)ア 平成26年10月1日付け納税の告知のうち、匿名組合利益の分配金に対する源泉所得税合計2327万円及びこれに対する不納付加算税合計232万7000円の取消し、イ 上記アの納税の告知記載の租税債務のうち、匿名組合利益の分配金に対する源泉所得税合計2327万円及び不納付加算税合計232万7000円につき、それぞれ支払義務が存在しないことの確認を求め、原判決は、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴した事案において、原判決は相当であるとし、本件控訴を棄却した事例。
2018.08.21
発信者情報開示仮処分命令申立事件
LEX/DB25560844/東京地方裁判所 平成30年 6月12日 決定 (第一審)/平成30年(ヨ)第1076号
債権者(歯科医院を開設・運営する医療法人)が、債務者(地図及び位置情報を提供するほか、地図上に表示される店舗・施設等に対する評価(口コミ)の投稿・閲覧ができるウェブサイトを管理・運営する法人)に対し、債務者が管理・運営するウェブサイトに投稿された記事によって債権者の名誉権が侵害されたと主張し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)4条1項に基づき、発信者情報を仮に開示することを求めた事案において、本件発信者が意見・感想を述べる表現方法も穏当で、社会的に相当な範囲内であり、社会的評価の低下は受忍限度の範囲内であるとして、本件申立てを却下した事例。
2018.08.21
情報開示仮処分申立事件 
LEX/DB25560846/神戸地方裁判所尼崎支部 平成30年 5月25日 決定 (第一審)/平成29年(ヨ)第88号
債権者が、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)4条1項による開示請求権に基づき、債務者(インターネットの地図情報サービス上に表示される口コミ投稿機能を管理・運営もしているウェブサイト検索システムの運用等サービス提供会社)に対し、前記口コミ投稿機能を利用して、何者かが行った本件書込における発信者情報の開示を命ずる仮処分命令を申し立てた事案において、本件書込が債権者に対する信用毀損に当たらないとして、本件申立てを却下した事例。
2018.08.21
損害賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」環境法分野 10月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25560627/高松地方裁判所 平成30年 4月27日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第86号
被告の経営するホームセンターにおいてカラーボックス6個を購入した原告が、カラーボックスに使用されている有機系塗料から放散されたホルムアルデヒド等の化学物質により化学物質過敏症を発症し後遺障害を負ったと主張して、被告に対し、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償として、治療費等の合計7897万3750円のうち7021万9000円の支払等を求めた事案において、被告には、多量のホルムアルデヒドを放散する本件カラーボックスを原告に販売したことにつき過失があり、このような本件カラーボックスの販売は、不完全履行に当たると認め、原告の請求を一部認容した事例。
2018.08.15
人身保護請求事件(ハーグ条約 米国在住の父へ息子引き渡し認める)
LEX/DB25560800/名古屋高等裁判所 平成30年 7月17日 判決 (差戻第一審)/平成30年(人ナ)第4号
米国に居住する請求者(被拘束者の父。日本人)が、日本に居住する拘束者(被拘束者の母。日本人)に対し、被拘束者(請求者と拘束者の二男。アメリカ合衆国で出生し、日本との二重国籍を保有)は、法律上正当な手続によらないで拘束者により身体の自由を拘束されていると主張して、人身保護法に基づき、被拘束者を釈放することを求め、差戻前第1審は、請求者の請求を棄却し、請求者が上記第1審判決に対し上告受理の申立てをし、最高裁は、拘束者の被拘束者に対する監護は、人身保護法及び同規則にいう拘束に当たり、本件請求は、被拘束者の自由に表示した意思に反してされたものとは認められず、また、拘束者による被拘束者に対する拘束には顕著な違法性がある旨を判示し、上記原判決を破棄し、高裁に差し戻しを命じ、差戻後第1審の事案において、拘束者は、本件返還決定に基づいて子の返還の代替執行の手続がされたにもかかわらずこれに抵抗し、本件返還決定に従わないまま被拘束者を監護していることが明らかであるとし、米国への返還のために拘束者の被拘束者に対する監護を解くことが著しく不当であると認められるような特段の事情が認められない限り、拘束者による被拘束者に対する拘束には、顕著な違法性があるとして、被拘束者を釈放し、請求者に引き渡すこととした事例。
2018.08.15
人身保護請求事件
(平成30年7月17日名古屋高等裁判所(平成30年(人ナ)第4号)の第一審)
LEX/DB25560799/名古屋高等裁判所金沢支部 平成29年11月 7日 判決 (第一審)/平成29年(人ナ)第1号
米国に居住する請求者(被拘束者の父。日本人)が、日本に居住する拘束者(被拘束者の母。日本人)に対し、人身保護法に基づき、被拘束者(請求者と拘束者の二男。アメリカ合衆国で出生し、日本との二重国籍を保有)の釈放を求めた事案において、被拘束者が拘束者によって身体の自由を拘束されているとは認められず、請求者の本件請求は被拘束者の自由に表示した意思に反するから、被拘束者の監護権の帰属が問題となることはないのであり、請求者の主張するように別件米国裁判によって拘束者が被拘束者の監護権を失い、請求者が監護権を有するとしても、本件の結論は左右されないとし、また、拘束者による監護状況や13歳という年齢(自己の置かれた状況を理解してその意思を表明し得る年齢)にある被拘束者の意向などを考え、拘束者による監護が被拘束者の福祉に反するとはいえず、監護(拘束)の違法性が顕著であるとも解せられないとして、本件請求を棄却した事例。
2018.08.15
損害賠償請求控訴事件(プロデュースに対する粉飾決算損害賠償請求控訴事件)
「新・判例解説Watch」商法分野 10月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25560526/東京高等裁判所 平成30年 3月19日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第3882号
株式会社P社の株式を取得した1審原告らが、P社が関東財務局長に提出した有価証券届出書及び有価証券報告書につき、重要な事項に虚偽の記載等があったため損害を被ったとして、旧証券取引法21条、22条、24条の4又は金融商品取引法21条、22条、24条の4に基づき、当該有価証券届出書及び有価証券報告書に係る財務計算書類について監査証明をしたD監査法人を吸収合併した被告に対し、損害賠償及び遅延損害金の支払を求めたところ、原判決は、第1審原告らの請求を全部棄却したので、これを不服とする第1審原告らが控訴した事案において、第1審原告らの請求をいずれも全部棄却した原判決は失当であり、本件控訴の一部は理由があるから、原判決を変更することとし、訴訟費用については第1審原告らの第1審における請求額がほとんど全額認容されるべきものであったことや、第1審被告の訴訟活動の内容その他本件訴訟の全経過に照らしてこれを全部第1審被告に負担させることとした事例。
2018.08.07
再審請求事件(日野町事件第2次再審請求開始決定)
LEX/DB25560764/大津地方裁判所 平成30年 7月11日 決定 (再審請求審)/平成24年(た)第1号
被告人が、かねて客として出入りしていた酒類小売販売店経営者(当時69歳)を殺害して金品を強取しようと企て、同店内で、客として飲酒した際、応対していた同女の背後からいきなり頸部を両手で絞め付け、頸部圧迫に基づく窒息により即死させて殺害した上、同女所有の現金5万円及び手提金庫等を強取したとして起訴され、第1審判決は無期懲役を言い渡し、第2審判決も第1審判決に違法はないとして控訴を棄却し、上告審でも上告棄却したことで、有罪を確定した強盗殺人事件で、被告人である申立人が再審請求をしたが、申立人の自白は、その任意性に疑いはなく、信用性も十分あり、さらに、申立人が犯人であることを示すいくつかの間接事実が存在し、また、申立人のアリバイは成立せず、その他、申立人が犯人ではないことを示す事情は存在せず、確定判決の認定した犯罪事実は優に認められ、その他、弁護人の主張をすべて検討しても、これを覆すことはできないとして、再審の請求を棄却したため、申立人が抗告したが、申立人の死亡により終了した。その後、再度、申立人の遺族が請求人として再審請求をした事案において、当審で取り調べた各新証拠が確定審の審理中に提出されていたならば、被告人を本件犯行について有罪と認定するには、合理的な疑いが生じたものと認められ、本件再審請求は、刑事訴訟法435条6号所定の有罪の言渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したときに該当するとして、再審を開始する決定をした事例。
2018.08.07
建築確認処分取消等請求事件
LEX/DB25560531/大阪地方裁判所 平成30年 3月22日 判決 (第一審)/平成29年(行ウ)第126号
本件建築主は、大阪市の一部である別紙図面のA区画(本件土地)に地上5階建ての賃貸マンション(本件建物)の建築を計画し、平成28年7月15日付けで建築確認申請をしたところ、大阪市建築主事は、同年8月8日付けで、本件計画につき建築確認をしたが、本件土地の周辺に居住する原告らが、本件土地につき都市計画法29条1項の開発許可を経ていないから本件建築確認は違法であるなどと主張して、被告(大阪市)に対し、その取消しを求めるとともに、本件建築確認に係る原告らの審査請求を棄却した裁決の取消しを求めた事案で、本件建築確認取消請求において、本件建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有するとし、本件土地につき開発許可は不要であるとした本件不要判定は適法であり、本件計画は都市計画法29条1項に違反しないとし、他に本件建築確認を違法とすべき事由も見当たらないから、本件建築確認は適法であるとし、これを適法として原告らの審査請求を棄却した本件裁決はその結論において正当であり,本件裁決にこれを取り消すべき瑕疵があるとはいえないとし、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2018.08.07
シリア難民不認定処分無効確認等請求事件(第1事件~第4事件)、訴えの追加的併合請求事件(第5事件)
「新・判例解説Watch」国際公法分野 10月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25560659/東京地方裁判所 平成30年 3月20日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第158号 等
シリア国籍を有する外国人である原告らが、それぞれ出入国管理及び難民認定法61条の2第1項に基づき難民認定の申請をしたが、処分行政庁から難民の認定をしない旨の処分を受けたため、被告(国)に対し、原告P3においては同処分の取消しを求めるとともに、難民認定の義務付けを求め、その余の原告らにおいてはそれぞれ同処分の無効確認を求めるとともに、難民認定の義務付けを求めた事案において、原告P1及び原告P2の訴え並びに原告P3及び原告P4の義務付けの訴えは不適法であるとして、これらをいずれも却下し、原告P3及び原告P4のその余の請求を棄却した事例。
2018.08.07
損害賠償請求事件
LEX/DB25551060/東京地方裁判所 平成29年12月13日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第32019号
総合病院の副院長であった原告が、厚生労働省の官僚による不当な圧力等について記載した厚生労働大臣宛の文書案を厚生労働大臣政務官に送付したところ、当時厚生労働省の課長であった被告Bがこれを入手し、千葉県の医療整備課の課長である被告Cに送付するとともに、同文書案を総合病院を経営する医療法人の理事長に送付して原告を懲戒解雇するよう求めることを指示し、被告Cにおいて同理事長に同文書案を送付して原告を懲戒解雇するように求めて、原告の言論活動を妨害しようとしたため、精神的損害を被ったと主張して、被告らに対し、共同不法行為に基づき、損害賠償金等の連帯支払を求めた事案において、本件文書の内容は、国家公務員法100条1項にいう「秘密」に当たるものではないから、仮に、被告Bが被告Cに本件文書を送付したとしても、その行為が不法行為を構成するものということはできず、また、被告CがD理事長に本件文書を送付した行為も不法行為を構成するものということはできないとして、請求をいずれも棄却した事例。
2018.07.31
未払賃金請求控訴,同附帯控訴事件
LEX/DB25449586/最高裁判所第一小法廷 平成30年 7月19日 判決 (上告審)/平成29年(受)第842号
保険調剤薬局の運営を主たる業務とする上告人に雇用され、薬剤師として勤務していた被上告人が、上告人に対し、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する賃金並びに付加金等の支払を求め、原審は、被上告人の賃金及び付加金の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、本件業務手当の支払により被上告人に対して労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断には、割増賃金に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分は破棄し、被上告人に支払われるべき賃金の額、付加金の支払を命ずることの当否及びその額等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2018.07.31
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」憲法・行政法分野 10月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449587/最高裁判所第一小法廷 平成30年 7月19日 判決 (上告審)/平成28年(受)第563号
都立高校の教職員であった被上告人(原告・被控訴人)ら又はその被承継人らは、その在職中、各所属校の卒業式又は入学式において国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱することを命ずる旨の職務命令に従わなかったところ、東京都教育委員会(都教委)は、このことを理由として、東京都公立学校の再任用職員、再雇用職員又は非常勤教員の採用候補者選考において、上記の者らを不合格とし、又はその合格を取り消して、定年又は勧奨による退職後に再任用職員等に採用しなかったことを踏まえ、都教委が上記の者らを不合格とし、又はその合格を取り消したことについて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるなどとして、被上告人らが上告人(被告・控訴人。東京都)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め、第1審判決は、東京都教育委員会の裁量権の範囲の逸脱又は濫用を認め、被上告人らの請求を一部認容したため、上告人が控訴し、控訴審判決も第1審判決を維持しため、上告人が上告した事案において、任命権者である東京都教育委員会が、再任用職員等の採用候補者選考に当たり、従前の勤務成績の内容として本件職務命令に違反したことを被上告人らに不利益に考慮し、これを他の個別事情のいかんにかかわらず特に重視すべき要素であると評価し、そのような評価に基づいて本件不合格等の判断をすることが、その当時の再任用制度等の下で、著しく合理性を欠くものではなく、本件不合格等は、いずれも、都教委の裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものとして違法であるとはいえないとして、原判決を破棄し、第1審判決中上告人敗訴部分を取消し、同部分につき被上告人らの請求をいずれも棄却した事例。
2018.07.31
固定資産評価審査決定取消請求事件
LEX/DB25449580/最高裁判所第三小法廷 平成30年 7月17日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第406号
京都市所在の4筆の土地に係る固定資産税の納税義務者であったAが、上記の各土地につき、京都市長により決定され土地課税台帳に登録された平成21年度の価格を不服として京都市固定資産評価審査委員会に対し審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の決定を受けたため、上告人(Aは、第1審係属中に死亡し、Aの子である上告人が本件訴訟を承継した。)が、被上告人を相手に、本件各決定の取消しを求め、原審は、本件各土地の西側に接する街路(本件街路)が建築基準法42条1項3号所定の道路(3号道路)に該当することを前提とする本件登録価格の決定は適法であるとし、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件街路が3号道路に該当するための要件を満たすか否かは明らかでないとしながら、本件道路判定がされていること等を理由に、建築確認を受けることができないために本件各土地上に建築物を建築することができない事態となる可能性はないとして、本件街路が3号道路に該当することを前提とする本件登録価格の決定は適法であるとした原審の判断には、固定資産の評価等に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決を破棄し、本件街路が3号道路に該当すると認められるか否か、本件登録価格が評価基準によって決定される本件各土地の価格を上回らないか否か等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2018.07.31
放送受信料請求事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 10月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449581/最高裁判所第三小法廷 平成30年 7月17日 判決 (上告審)/平成29年(受)第2212号
被上告人(NHK)が、遅くとも平成7年6月末までに被上告人の放送の受信についての契約を締結した上告人に対し、同契約に基づき、平成23年4月分から平成29年5月分までの受信料の支払等を求め、上告人は、被上告人が同契約に基づく受信料の支払を20年間請求しなかったことから、民法168条1項前段所定の定期金債権の消滅時効が完成したと主張して争った事案の上告審において、受信契約に基づく受信料債権には、民法168条1項前段の規定は適用されないと解するのが相当であるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2018.07.24
強盗殺人被告事件
LEX/DB25449578/最高裁判所第二小法廷 平成30年 7月13日 判決 (上告審)/平成29年(あ)第837号
被告人は、本件ホテル新館2階事務所で、金品を物色するなどしていたところ、同ホテル支配人(当時54歳)に発見されたことから、金品を強取しようと考え、同人に対し、殺意をもって、その頭部を壁面に衝突させ、頸部をひも様のもので絞め付けるなどしてその反抗を抑圧し、同所にあった同人管理の現金約43万2910円を強取し、その際、前記暴行により、同人に遷延性意識障害を伴う右側頭骨骨折、脳挫傷、硬膜下血腫等の傷害を負わせ、前記遷延性意識障害による敗血症に起因する多臓器不全により、入院中の病院で死亡させて殺害したとする事件で、第1審判決は、被告人を本件の犯人と認定した上で、強盗の故意を否定して殺人罪及び現金約26万8000円の窃盗罪を認定し、被告人を懲役18年に処したところ、被告人と検察官の双方が控訴し、第2審判決は、被告人が犯人であることを示す事情は、被告人に犯行の機会があったということしかなく、犯罪の証明が十分ではないとして、第1審判決を事実誤認により破棄し、被告人を無罪とした。これに不服の検察官が上告した事案において、原判決は、全体として、第1審判決の説示を分断して個別に検討するのみで、情況証拠によって認められる一定の推認力を有する間接事実の総合評価という観点からの検討を欠いており、第1審判決の事実認定が論理則、経験則等に照らして不合理であることを十分に示したものと評価することはできないとし、第1審判決に事実誤認があるとした原判断には刑事訴訟法382条の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄し、本件を高等裁判所に差し戻した事例。
2018.07.24
未払給与請求控訴事件
LEX/DB25560640/名古屋高等裁判所 平成30年 6月26日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第346号
被控訴人(被告。NHK)の従業員(職員)であった控訴人(原告)が,精神的領域における疾病による傷病休職の期間が満了したことにより解職となったところ、同期間満了前に精神疾患が治癒していたと主張して、解職が無効であり、被告との間の労働契約が存続しているとして、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、傷病休職中に行った被告のテスト出局(一般に、試し出勤、リハビリ出勤などと称され、心の健康の問題ないしメンタルヘルス不調により、療養のため長期間職場を離れている職員が、職場復帰前に、職場復帰の可否の判断等を目的として、本来の職場などに一定期間継続して試験的に出勤をするもの)により、労働契約上の債務の本旨に従った労務の提供をし、途中でテスト出局が中止され、これにより労務の提供をしなくなったのは被控訴人の帰責事由によるものであるとして、テスト出局開始から傷病休職満了までの期間について、労働契約に基づき、職員給与規程(職員就業規則)による賃金の支払を、テスト出局の中止や解職に至ったことに違法性があると主張し、不法行為に基づく損害賠償金(慰謝料)の支払を求め、原審は、控訴人の各の請求をいずれも棄却したため、控訴にあたり、仮にテスト出局中に控訴人の行った作業が労働契約上の本来の債務の本旨に従った労務の提供に該当しないとしても、労働基準法及び最低賃金法上の労働に該当し、最低賃金額以上の賃金が支払われるべきであるとして、テスト出局開始から傷病休職満了までの期間について、労働契約に基づき、最低賃金額相当の賃金の支払を求め、予備的請求原因を追加主張し、控訴人が控訴した事案において、控訴人の請求のうち、本件テスト出局期間中について賃金の支払を求める請求は、職員給与規程による賃金の支払は認められないものの、最低賃金額相当の賃金の支払を求める限度で理由があるとして、原判決を変更し一部認容し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに休職期間経過後の賃金及び賞与を求めた請求、本件テスト出局の中止や解職に至ったことについての不法行為に基づく損害賠償金の支払を求めた請求については、棄却した事例。
2018.07.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25560642/千葉地方裁判所 平成30年 6月20日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第1201号
原告(選定当事者)が、被告(通信教育等を目的とする会社)に対し、(1)被告のシステムの開発及び運用を行っていたS社の業務委託先の従業員(システムエンジニア)が原告及び選定者らに係る個人情報を漏えいした事故のこと、(2)被告には、S社の情報セキュリティシステムの確認等を行う義務があったにもかかわらず、これらを怠り、本件事故を発生させたことが不法行為に当たると主張し、不法行為に基づき、原告のために2万円、選定者B(原告の妻)のために2万円、選定者C(未成年者。原告と選定者Bの子)のために3万円、選定者D(未成年者。原告と選定者Bの子)のために3万円の慰謝料等の各支払を求めた事案において、被告と事故当時、S社の業務委託先の従業員との間に実質的な指揮監督関係があったとの原告の主張はそれ自体失当というべきであるから、本件事故について、被告に民法715条に基づく使用者責任は成立しないとし、また、被告の過失の前提として、被告がいかなる注意義務に違反したかについては、原告が主張立証責任を負うものであり、個人情報保護法20条及び22条は、被告の具体的な注意義務を基礎付けるものではないから、被告がこれらの規定に違反することを内容とする本件勧告を受けたことをもって、直ちに、本件事故について被告に過失があるということはできないとし、被告に民法709条に基づく不法行為責任は成立しないとして、請求を棄却した事例。
2018.07.24
国家賠償請求事件
LEX/DB25560641/東京地方裁判所 平成30年 3月12日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第12113号
外資系証券会社に勤務していた原告が、国である被告に対し、平成18年分及び平成19年分の所得税確定申告で、給与の収入金額として、源泉徴収票に記載された支払金額のみを申告し、株式報酬に係る収入を申告しなかったことなどから所得税法違反の罪として国税局収税官吏による告発及び検察官による起訴がされたものの第1審で無罪判決を受け、これに対し、検察官による控訴がされたものの控訴棄却判決を受け無罪判決が確定したところ、それらの〔1〕告発、〔2〕起訴及び〔3〕控訴並びに〔4〕国税局職員等による報道機関への情報漏えいが違法であるとして、国家賠償法1条1項に基づき、逸失利益及び慰謝料の損害の一部である〔1〕から〔4〕までの各行為ごとの各1億2500万円の合計5億円支払等を求めた事案において、本件告発は、告発時における各種の調査資料を総合勘案して合理的な判断過程により犯則があると思料する程度の嫌疑があったということができ、また、本件起訴は、起訴時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があったということができるから、いずれについても、国家賠償法上違法ではないなどとして、請求を棄却した事例。
2018.07.17
検察官による証人等の氏名等の開示に係る措置に関する裁定決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25449567/最高裁判所第二小法廷 平成30年 7月 3日 決定 (特別抗告審)/平成30年(し)第170号
検察官は、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときには、条件付与等措置も代替開示措置もとることができず、さらに、検察官は、条件付与等措置によっては加害行為等を防止できないおそれがあるときに限り代替開示措置をとることができるとし、裁判所は、検察官が条件付与等措置若しくは代替開示措置をとった場合、加害行為等のおそれがないとき、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき、又は検察官が代替開示措置をとった場合において、条件付与等措置によって加害行為等を防止できるときは、被告人又は弁護人の裁定請求により、決定で、検察官がとった措置の全部又は一部を取り消さなければならないとし、裁定請求があった場合には、検察官は、裁判所からの意見聴取において、刑事訴訟法299条の5第1項各号に該当しないことを明らかにしなければならず、裁判所は、必要なときには、更に被告人又は弁護人の主張を聴くなどすることができるということができ、裁判所の決定に対しては、即時抗告をすることができるとし、刑事訴訟法299条の4、299条の5は、被告人の証人審問権を侵害するものではなく、憲法37条2項前段に違反しないとした事例。