TKC法律事務所実務セミナー2019 会社救済は人生の救済!企業の私的再建実践法
~会社再建に情熱を注ぐ弁護士の仕事の流儀~
開催のご報告

令和元年7月5日(金)、村松謙一弁護士(光麗法律事務所)を講師にお招きし、「会社の再建」をテーマとして、「TKC法律事務所実務セミナー2019」を開催しました。村松先生はこれまで企業再生専門の弁護士として、35年以上、100を超える会社の再建に携わった経歴をお持ちです。その活躍は2007年のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」などで取り上げられたほか、2019年7月からは村松先生をモデルにした連続ドラマ(ドラマBiz「リーガル・ハート ~いのちの再建弁護士~」)がテレビ東京にて放送されます。

当日は、村松先生のご経験に基づき、会社再建を実践する上での取り組み方や先生の熱い思いを若手弁護士、司法修習生の皆様にお伝えいただきました。

弁護士としての本質
~大切なことはなにか?“ノブレス・オブリージュ”~

光麗法律事務所 村松  謙一 先生

私は弁護士になって40年ほど経ちますが、「1日1日を大切に生きる」ということを常に心掛けています。
“今なぜ自分がここにいるのか”ということは誰にとっても一番大事ではないかと思います。弁護士に限定すれば、何のために自分が生まれてきて、何のために自分が弁護士になったのか。それをもう一度自分の頭の中で繰り返して、考えていただきたいと思います。

弁護士法1条には「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」と書かれていますね。
根本的には、他人のために(for others)というのが、我々弁護士に与えられた仕事であると私は捉えています。
サブテキストにも“ノブレス・オブリージュ”という言葉が出てきますが、これは「高貴は義務を強制する」という意味です。弁護士という、ある意味では一般の人よりも特殊で少し高い位置にいる皆さんにとっては 、それは「社会的に奉仕をする」「社会に対して還元する」という意味で理解すべき言葉だと私はいつも感じています。
神様が司法試験に受からせてくれて弁護士という職業に就いた、そういう我々にとってはあくまでも“ノブレス・オブリージュ”という精神、つまりは、自分の命を捨ててでも他人を守るという気概・心構えが最も大切だと強く思います。

倒産事件を扱うにあたっての心構え
~会社を救うということ=多くの人の人生を救うこと~

「地域密着型モデルで勝ち抜く 実践!法律事務所経営マニュアル」(ぎょうせい刊・定価2,500円/税別)

【サブテキスト】
「本物の再建弁護士の道を求めて――村松謙一の仕事の流儀」
(商事法務刊・定価2,800円/税別)

会社再建というのは会社の「経済的」「数字的」「金銭的」な損得勘定ではなく、そこで働く従業員や家族、取引先、その全ての利害関係にある皆さんを救うということです。そして本当に窮地を救うのは「正直さ」です。

一般に再生の手段としては「民事再生」と「私的再建」の2種類ありますが、私は債権を金融機関にだけもってもらい、コスト削減により財政再建をはかる「私的再建」の手法を利用します。具体的には負債を元々の会社に置いておき、新会社を設立して負債の返済を図ろうとするもので、その方が負債の返済額が増やせるうえ従業員の雇用も維持することができるからです。

これまでの私の経験を踏まえ、これから皆さんが倒産事件を取り扱うにあたって3つの力を養っていただきたいと思います。

「説得する力」
倒産事件は交渉でもなければ駆け引きでもありません。相手を説得する力が重要です。「説得力」=「心」です。自分が一生懸命にやれば、相手も必ず自分の心に共感してくれます。利害が対立する銀行員・債権者も人間です。法的な根拠を元に説得することで、利害関係者との相互理解も深まります。

「メリット・デメリットを正確に説明する力」
人は損得を考えます。そのため、メリット・デメリットを説明すれば必ず目先の利益の出る方に行動します。依頼者にも、銀行や債権者にも会社再建の手法についてのメリット・デメリットを正確に把握してもらい、長い目で判断してもらう説明が必要です。

「経営者の心に寄り添う力」
会社再建に悩む経営者の心の中は死と隣り合わせです。倒産事件で依頼者と話すとき、弁護士は「頑張りましょう」という言葉は使ってはいけません。それまでも必死で頑張ってきた経営者は弁護士から「頑張りましょう」と言われることで突き放されたと感じてしまいます。経営者の心に寄り添い、「ここまでよく頑張ったね。もう安心していいよ。」と伝えることが必要です。相手の心に寄り添うことができなければ弁護士という職に就いていても人を助けられないと私は思います。

ひとつの会社を救うということは、取引先を含めると何百人何千人を救済するということに繋がります。多くの方々に、そしてその人生(命)に影響を与えるということが私たち弁護士には出来るのです。会社再建を行うにあたっては必ず考えていただきたいことです。

参加者の声

  • 再建に必要な知識もさることながら、弁護士の矜持を学び、有意義な時間となりました。
  • 法曹としてこれから仕事をする中でとても大事なこととして心にとどめようと思いました。
  • テレビで村松先生を知り、法律家になりたいと思ったきっかけの一つになりました
    感動して、胸が熱くなったことを思い出しました。情熱に満ちたお話を拝聴でき、とても光栄でした。
  • 自分も魂のこもった熱い弁護士になれるよう頑張りたいと改めて気が引き締まりました。
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