2025.10.07
婚姻費用の合意無効確認請求事件 
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LEX/DB25574514/最高裁判所第一小法廷 令和 7年 9月 4日 判決(上告審)/令和6年(受)第239号
上告人と被上告人は、婚姻後別居し、平成29年1月、上告人が被上告人に対し婚姻費用として同月以降月額16万円を支払う旨の本件合意をし、以後、上告人は、令和4年8月までの間、被上告人に対し、毎月同額を支払っていたが、被上告人は、令和2年11月、上告人を相手方として、婚姻費用分担審判の申立てをし、東京家庭裁判所立川支部は、本件合意は上告人の当時の年収につき実際の額よりも低廉な額を前提としていたところ、このことは本件合意に基づく婚姻費用の分担額を変更すべき事情に当たるとして、変更後の分担額と既払額との差額及び令和4年9月以降月額29万円の婚姻費用の支払を上告人に命ずる旨の審判をしたことから、被上告人が、上告人に対し、上告人の年収について錯誤があったとして本件合意の無効確認を求め、第一審が本件訴えを不適法として却下したため、被上告人が控訴し、控訴審が第一審判決を取り消し、本件を第一審に差し戻したところ、上告人が上告した事案で、本件合意の無効を確認することは、当事者間の現在の権利又は法律的地位を直接に決することにならないことはもとより、前提事実記載の本件の経過も踏まえると原告の権利又は法律的地位についての現在の危険ないし不安を除去するために有効適切であるとも解されないから、本件訴えは確認の利益を欠くものとして却下することが相当であるとして、原判決を破棄し、被上告人の控訴を棄却した事例。