注目の判例

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2021.02.09
殺人,殺人未遂,傷害被告事件
LEX/DB25571265/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 1月29日 判決 (上告審)/令和2年(あ)第96号
被告人は、傷害罪のほか、Aに対する殺人罪、B、C、D及びEに対する各殺人未遂罪で起訴され、被告人は、上記5名に対する殺意を争い、第1審判決は,各殺意を認定し、上記各罪により被告人を懲役24年に処したため、これに不服の被告人が控訴し、控訴審判決は、事故の相手方であるB及びEに対する殺意を認めた第1審判決には事実誤認があるとして第1審判決を破棄し、本件を地裁に差戻しを命じたことにより、検察官側、被告人側の双方が上告した事案で、被告人が、A及びDに対し、ひそかに睡眠導入剤を摂取させて自動車を運転するよう仕向けたことにより、同人らが走行中に仮睡状態等に陥って自車を対向車線に進出させて対向車に衝突させ、対向車の運転者であるB及びEに傷害を負わせたという殺人未遂被告事件について、B及びEに対する殺意を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決は、第1審判決について、論理則、経験則等に照らして不合理な点があることを十分に示したものとは評価することができず、第1審判決に事実誤認があるとした原判断には刑事訴訟法382条の解釈適用を誤った違法があり、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められ、検察官の上告趣意第5は、第1審判決に事実誤認があるとした原判断を前提とするものであるから、この点について判断するまでもなく、刑事訴訟法411条1号により原判決を破棄することとし、Aに対する殺人罪並びにB、C、D及びEに対する各殺人未遂罪の成立を認めた第1審判決の判断は是認することができ、また、訴訟記録に基づいて検討すると、本件各犯行時における被告人の完全責任能力を肯定し、懲役24年に処した判断を含め、第1審判決を維持するのが相当であり、被告人の控訴を棄却した事例。
2021.02.02
裁決取消等請求事件
LEX/DB25571251/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 1月22日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第393号
被上告人が、上告人を相手に、いずれも知事を上告人の代表者として、(1)本件裁決は権限のない者がした違法なものであるとして、本件裁決の取消しを求め(請求1)、(2)本件知事不作為は違法であるなどとして、その違法の確認を求め(請求2)及び知事が本件審査請求を認容する裁決をすることの義務付けを求め(請求3)、(3)本件管理者不作為を理由として、国家賠償法1条1項に基づく慰謝料の支払を求め(請求4)、原審は、第1審判決を取消して本件を第1審に差し戻したため、上告人が上告した事案で、本件訴えのうち請求1及び請求4に係る部分は、被告の代表者を誤って提起された訴えが不適法であり、その不備はもはや補正することができないとし、また、本件訴えのうち請求2及び請求3に係る部分は、誤った行政庁に宛てて審査請求書を提出することによりされた審査請求に係る不作為の違法確認の訴え及び義務付けの訴えが不適法であり、その不備を補正することができないとし、これと異なる原審の判断には、明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、本件訴えを不適法として却下した第1審判決は是認できるとして、被上告人の控訴を棄却した事例。
2021.02.02
取立債権請求事件
LEX/DB25571252/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 1月22日 判決 (上告審)/令和1年(受)第861号
土地の売買契約の代金債権を差し押さえた上告人が、第三債務者である被上告人らに対し、売買代金として各1250万円余り及びこれに対する各訴状送達の日の翌日である平成28年9月29日からの遅延損害金の支払を求める取立訴訟で、被上告人らは、売買契約の売主に対する債務不履行等に基づく損害賠償債権を有するとし、同債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張するなどして、上告人の請求を争い、原審は、弁護士報酬について、被上告人らは本件会社に対して債務不履行に基づく損害賠償債権を有すると判断し、上記弁護士報酬の額は972万8600円を下らず、これにその他被上告人らが負担した費用である7727万1400円を加えた額は、本件売買契約の残代金額である8700万円以上であるから、債務不履行に基づく損害賠償債権による相殺により本件売買契約の残代金債権は消滅したとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件各事務に係る弁護士報酬972万8600円につき、被上告人らが本件会社に対して債務不履行に基づく損害賠償債権を有するとして同債権による本件売買契約の残代金債権との相殺を認めた原審の前記判断には、明らかな法令の違反があり、原判決を主文第1項のとおり、被上告人らに対してそれぞれ上記の額の2分の1である486万4300円及びこれに対する平成28年9月29日からの遅延損害金の支払を求める限度で認容することに変更し、上告人のその余の請求を棄却した事例。
2021.01.26
遺言無効確認請求本訴、死因贈与契約存在確認等請求反訴事件
LEX/DB25571246/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 1月18日 判決 (上告審)/平成31年(受)第427号 等
本件の本訴請求は、亡Aが作成した平成27年4月13日付け自筆証書(本件遺言書)による遺言について、被上告人ら(亡Aの妻であるX1及び同人とAとの間の子ら)が、本件遺言書に本件遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているなどと主張して、上告人ら(亡Aの内縁の妻であるY2及び同人とAとの間の子ら)に対し、本件遺言が無効であることの確認等を求めたところ、原審は、被上告人らの本訴請求を認容し無効としたため、上告人らが上告した事案で、Aが、入院中の平成27年4月13日に本件遺言の全文、同日の日付及び氏名を自書し、退院して9日後の同年5月10日に押印したなどの本件の事実関係の下では、本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに本件遺言が無効となるものではないというべきであり、原判決中本訴請求に関する部分を破棄し、本件遺言のその余の無効事由について更に審理を尽くさせるために、原審に差し戻した。そして、本件の反訴請求は、上告人Y2らが、被上告人らに対し、本訴請求において本件遺言が無効であると判断された場合に、予備的に、死因贈与契約の成立の確認等を求めるものであるところ、本訴請求について原判決が破棄差戻しを免れない以上、反訴請求についても当然に原判決は破棄差戻した事例。
2021.01.26
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25567304/大阪高等裁判所 令和 2年 9月18日 判決 (控訴審)/令和1年(う)第1206号
覚せい剤取締法違反の事案において、原判決が、本件捜索で押収された覚せい剤在中のチャック付きポリ袋3袋は、麻薬取調官が持ち込んだものであり、その持ち込みを直接の契機とする現行犯逮捕には重大な違法があり、現行犯逮捕後に採取された尿の鑑定書もこれと密接に関連する証拠であるから、これらの証拠能力は認められるべきでないとする弁護人の主張を容れて本件鑑定書等の取調請求を却下した本件証拠決定について、麻薬取締官が捜索開始直後に洗面所付近で写真撮影をしており、その際に本件パケ(上記3袋のうちの2袋。)があった洗面台の前を往来していたことは間違いなく、本件パケが洗面台の上に容易に発見できるような状態で置かれていたことや麻薬取締官が9人で本件捜索に従事していたことも併せ考えれば、捜索開始から約1時間半もの間本件パケが発見されなかったという経緯にはやはり不審な点が残るなどとして、被告人を無罪としたため、検察官が控訴した事案で、本件捜索に当たって麻薬取締官が本件覚せい剤を発見現場に置いた疑いが払拭できないとした原裁判所の判断に不合理なところはなく、その捜査の違法性が重大であることは当然であり、本件鑑定書等はこれと密接に関連するものであって証拠として許容することは将来における違法捜査抑止の見地から相当でないから、その証拠能力を否定して検察官の証拠調べ請求を却下した原審の訴訟手続に法令違反はないとし、また、検察官の挙げる各証拠をもって、被告人の自白の真実性を保障する補強証拠になるとはいえないとして、本件控訴を棄却した事例。
2021.01.19
損害賠償等請求事件
LEX/DB25571240/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 1月12日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1166号
上告人が、被上告人に対し、上告人が本件差押転付命令により取得した本件各損害賠償請求権に基づき、4822万3907円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、上告人が被上告人に対して本件示談において合意された損害賠償金の額である4063万2940円(本件示談金額)を超える額の請求をすることができるか否かが争われ、原審が、上告人の請求を、本件示談金額から本件相続人らが支払を受けた3000万1100円を差し引いた1063万1840円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却した判決したことに対し、上告人が上告した事案において、上告人が被上告人に対して本件示談金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件各損害賠償請求権の金額等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき原審に差し戻した事例。
2021.01.19
株主総会開催禁止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25567503/東京高等裁判所 令和 2年11月 2日 決定 (抗告審)/令和2年(ラ)第1851号
P社の監査役である抗告人(原審債権者)が、P社の株主である相手方(原審債務者)が裁判所の招集許可決定に基づいて総会開催日時を令和2年11月6日午前11時からとして招集した臨時株主総会の開催には違法があるなどと主張して、会社法385条類推適用による監査役の招集株主に対する違法行為差止請求権に基づき、本件臨時株主総会の開催の禁止を求める旨の訴えを本案として、本件臨時株主総会の開催を禁止する旨の仮処分命令を求めたところ、原審は、本件臨時株主総会の招集の手続や決議の方法について、法令若しくは定款に違反し、又はそのおそれがあるものとは認められず、被保全権利を認めることができないとして、抗告人の申立てを却下する旨の決定をしたため、抗告人は、これを不服として抗告した事案において、委任状による議決権行使をする株主に対する相手方のクオカードの贈与の表明を理由として、保全処分として本件臨時株主総会の開催禁止を求める旨の抗告人の申立てについては、保全の必要性を認めることはできないとし、本件申立てを却下した原決定は、その結論において正当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.01.12
相続税更正処分等取消請求控訴事件
LEX/DB25567300/札幌高等裁判所 令和 2年12月11日 判決 (控訴審)/平成31年(行コ)第9号
被相続人の相続人である控訴人らが、被相続人に係る相続により取得した土地及び建物(被相続人所有不動産)並びにH社の株式につき、被相続人所有不動産の課税価格を不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて算定するとともに、H社の所有する所有不動産についての不動産鑑定士の鑑定評価を前提に本件株式の課税価格を算定して相続税の申告を行い、その後、別の不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて又はこれを前提として被相続人所有不動産及び本件株式の課税価格を算定して、控訴人Aは更正請求を控訴人B及び控訴人Cは修正申告をそれぞれ行ったのに対し、札幌北税務署長が、土地及び建物の評価は特別の事情がない限り財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56、直審(資)17国税庁長官通達)によるべきであって、不動産鑑定士による不動産鑑定評価に基づいて評価を行うのは相当ではないとして、控訴人らに対し、それぞれ更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたことから、控訴人らが、本件各更正処分等には本件各不動産の価額について時価を超える評価をした違法があるほか、本件各更正処分等は行政手続法の要請する理由の提示を欠き違法であると主張して、被控訴人・国に対し、本件各更正処分のうち修正申告ないし更正の請求に係る課税価格及び納付すべき税額を超える部分についての取消し及び本件各賦課決定処分の取消しを求め、原審が、本件各更正処分等は適法であるとして控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、本件各更正処分等はいずれも適法と認められるとして、本件控訴を棄却した事例。
2021.01.12
発信者情報開示請求控訴事件
LEX/DB25567236/東京高等裁判所 令和 2年11月26日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第1555号
控訴人が、いずれも氏名不詳者である発信者がした、インターネット上の短文投稿サイトであるツイッターへの本件各投稿によって名誉感情を侵害され、また、同1の固定ツイートを削除しなかったという不作為によってプライバシーを侵害されたので、発信者に対する損害賠償請求権行使のために、本件発信者情報の開示を受ける正当な理由がある旨を主張して、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、経由プロバイダである被控訴人ら各自に対し、それぞれ保有する本件発信者情報の開示を求めたところ、原審が、本件各投稿のいずれについても、社会通念上許される限度を超える侮辱行為であることが明らかとは認められず、また、固定ツイートを削除しなかったという不作為が不法行為責任を構成するものとは認め難いとして、控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案で、本件発信者情報2は、侵害情報である本件投稿2との関係で、「当該権利の侵害に係る発信者情報」に当たるものと認められ、また、本件投稿2は、被控訴人N社を経由プロバイダとして発信されたことも推認されるから、被控訴人N社は、同項の「開示関係役務提供者」に当たるものと認められるとして、原判決中被控訴人N社に関する部分を取り消し、被控訴人N社は、控訴人に対し、情報を開示せよと命じた事例。
2021.01.05
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」会社法分野 令和3年3月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571218/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月22日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1961号
東京証券取引所マザーズに上場された本件会社の株式を取得した者又はその承継人である上告人らが、本件会社が上場に当たり提出した有価証券届出書に架空売上げの計上による虚偽の記載があったなどと主張して、本件会社等と元引受契約を締結していた金融商品取引業者のうち主幹事会社であったM証券株式会社を吸収合併した被上告人に対し、当該株式のうち募集又は売出しに応じて取得したものにつき金融商品取引法21条1項4号に基づく損害賠償を請求し、原審は、本件有価証券届出書には、金商法193条の2第1項に規定する「財務計算に関する書類」に係る部分(財務計算部分)に、重要な事項について本件虚偽記載が存在したところ、被上告人は本件虚偽記載の事実を知らなかったなどとして、被上告人の金商法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責を認め、募集又は売出しに応じて取得した本件会社の株式についての被上告人に対する同条1項4号に基づく損害賠償請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、被上告人は、金商法21条1項4号の損害賠償責任につき、同条2項3号による免責を受けることはできないとして、募集又は売出しに応じて取得した本件会社の株式についての被上告人に対する損害賠償請求を棄却した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、上記請求を棄却した部分は破棄を免れないとし、上告人らの損害額について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2021.01.05
再審開始決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件(袴田事件第2次再審請求(特別抗告審))
LEX/DB25571224/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月22日 決定 (特別抗告審)/平成30年(し)第332号
確定判決が認定した罪となるべき事実の要旨は、Aは、昭和41年6月30日午前1時過ぎ頃,静岡県清水市(当時)所在のみそ製造販売会社専務であった男性の居宅に侵入して金員を物色中、同人に発見されるや金員強取の決意を固め、殺意をもって、所携のくり小刀で同人の胸部等を突き刺し、物音に気付いて起きてきた同人の妻、長男、次女の頸部等をそれぞれくり小刀で突き刺し、店の売上金等を強取した上、さらに、上記4名を住居もろとも焼いてしまおうと考え、混合油を4名の身体に振りかけてマッチで点火して放火し、4名を殺害して金員等を強取するとともに住宅1棟を焼損したというもので、原決定は、確定判決においてAの犯人性を推認させる最も中心的な証拠は、5点の衣類に関する証拠である一方、それ以外の証拠は犯人性を推認する上では補助的なものにすぎないとし、5点の衣類は犯人が犯行時に着ていた衣類であること、5点の衣類はAのものであることの2点について、確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるような新証拠であれば、刑訴法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」といい得るとし、B鑑定及びみそ漬け実験報告書は、いずれもそのような新証拠には当たらないとして、再審開始を認めた原々決定を取り消したため、抗告人が特別抗告した事案で、確定判決において5点の衣類が犯人性の認定における核となる証拠とされたという本件の証拠関係、5点の衣類に付着した血痕のDNA型及び色調をめぐり、原々審及び原審において長期間にわたり審理が重ねられ、原々決定においては再審開始決定がされ、これが原審において取り消されて本件再審請求が棄却されたという審理経過、さらに、原審に至ってH意見書において血液中のたんぱく質とみそ中の糖との間で生じ得るとされているメイラード反応がみそ漬けされた血液の色調に影響を及ぼす要因として初めて主張され、5点の衣類がみそ漬けされた状況を客観的に再現する工夫がされたF実験も、この点に関する専門的知見に基づく検討の必要性を認識させるものであったことなどの原審における審理状況をも併せ考えると、上記の違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するというべきであり、原決定を取消し、メイラード反応その他のみそ漬けされた血液の色調の変化に影響を及ぼす要因についての専門的知見等を調査するなどした上で、その結果を踏まえて、5点の衣類に付着した血痕の色調が、5点の衣類が昭和41年7月20日以前に1号タンクに入れられて1年以上みそ漬けされていたとの事実に合理的な疑いを差し挟むか否かについて判断させるため、本件を原審である東京高等裁判所に差し戻すこととした事例(反対意見、補足意見がある)。
2020.12.29
貸金返還請求事件
LEX/DB25571198/最高裁判所第三小法廷 令和 2年12月15日 判決 (上告審)/令和2年(受)第887号
亡Aは、平成16年10月17日、長男である被上告人に対し、253万5000円を貸し付け(本件貸付け〔1〕)、Aは、平成17年9月2日、被上告人に対し、400万円を貸し付け(本件貸付け〔2〕)、Aは、平成18年5月27日、被上告人に対し、300万円を貸し付け(本件貸付け〔3〕)、被上告人は、平成20年9月3日、Aに対し、弁済を充当すべき債務を指定することなく、貸金債務の弁済として、78万7029円を支払った(本件弁済)、Aは、平成25年1月4日に死亡し、三女である上告人は、本件各貸付けに係る各債権を全て相続した。上告人は、平成30年8月27日、被上告人に対し、本件各貸付けに係る各貸金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、本件弁済は法定充当(民法489条)により本件貸付け〔1〕に係る債務に充当されたとした上で、上告人の本件貸付け〔2〕及び〔3〕に係る各請求を棄却すべきものとし、上告人の請求を本件貸付け〔1〕に係る残元金174万7971円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容した第1審判決に対する上告人の控訴を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件弁済がされた当時、Aと被上告人との間には本件各貸付けに係る各債務が存在し、借主である被上告人は弁済を充当すべき債務を指定することなく本件弁済をしているのであり、本件弁済が本件債務〔2〕及び〔3〕の承認としての効力を有しないと解すべき特段の事情はうかがわれず、本件弁済は、本件債務〔2〕及び〔3〕の承認として消滅時効を中断する効力を有するとして、上告人が本件訴訟を提起した平成30年8月27日の時点では、本件債務〔2〕及び〔3〕の消滅時効はまだ完成していなかったことになり、本件債務〔2〕及び〔3〕の時効消滅を認めた原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、上告人の本件貸付け〔2〕及び〔3〕に係る各請求は、本件貸付け〔2〕及び〔3〕に係る各貸金及びこれに対する平成30年9月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとし、上告人のその余の請求を棄却した事例。
2020.12.29
損害賠償請求事件
LEX/DB25567285/長崎地方裁判所 令和 2年12月 1日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第3号
原告において、本件労働審判事件の労働審判委員会が、原告に口外禁止条項を付した内容での調停を試みたところ、原告からこれを拒否されたにもかかわらず、労働審判法20条1項及び2項に違反して、口外禁止条項を含む労働審判を行ったことにより、原告の表現の自由(憲法21条)、思想良心の自由(同19条)及び幸福追求権(同13条)を侵害し、原告に精神的損害を生じさせたと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として、被告に対し、慰謝料140万円及び弁護士費用10万円の合計150万円及び遅延損害金の支払を求めた事案で、本件口外禁止条項は、労働審判法20条1項及び2項に違反すると認められるが、本件口外禁止条項を付した本件審判が、国家賠償法1条1項にいう違法な行為といえないとして、請求を棄却した事例。
2020.12.22
殺人,窃盗,住居侵入,会社法違反被告事件
LEX/DB25571193/最高裁判所第一小法廷 令和 2年12月 7日 決定 (上告審)/令和1年(あ)第1843号
被告人は、自宅で、被害者をその嘱託を受けることなく殺害した後、この事実が捜査機関に発覚する前に、嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の事実を記載したメモを遺体のそばに置いた状態で、自宅の外から警察署に電話をかけ、自宅に遺体があり、そのそばにあるメモを見れば経緯が分かる旨伝えるとともに、自宅の住所を告げ、その後、警察署で、司法警察員に対し、嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の供述をしたことが認められ、被告人は、嘱託を受けた事実がないのに、嘱託を受けて被害者を殺害したと事実を偽って申告しており、自己の犯罪事実を申告したものということはできず、刑法42条1項の自首は成立しないと判示し、これと同旨の第1審判決を是認した原判決は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2020.12.22
損害賠償請求事件
LEX/DB25567114/東京地方裁判所 令和 2年11月13日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第35314号
原告(弁護士)が、東京地検特捜部において任意で取調べを受けていた被疑者について、その妻の依頼により被疑者の弁護人となろうとする者として被疑者との面会を求めたところ、対応した検察官が、上記依頼につき確認ができないとして、被疑者に対し、原告の来訪を伝えず、原告と被疑者との面会を実現するための措置をとらなかったことが違法であると主張して、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払等を求めた事案で、検察官が、午後3時40分頃、原告から、自らへの依頼の経緯と併せて、本件電話番号につき伝達を受けた時点から、本件電話番号自体についての被疑者の認識又は当日午前中の架電の有無及び架電先につき、被疑者本人に確認し、これを前提として、被疑者に対し、原告の来訪につき伝達すべき職務上の義務を負っていたところ、午後4時30分頃までの間、上記の確認を行っていない検察官の不作為は社会通念上相当と認められる範囲を超え、国家賠償法1条1項の適用上違法と評価するのが相当であるとして、請求を一部認容した事例。
2020.12.15
道路交通法違反、電子計算機使用詐欺被告事件
LEX/DB25567115/名古屋高等裁判所 令和 2年11月 5日 判決 (控訴審)/令和2年(う)第141号
2件の無免許運転(道路交通法違反)と自動改札機を介したキセル乗車1件(電子計算機使用詐欺)の事件につき、原判決は、無免許運転2件については有罪としたが、キセル乗車については構成要件該当性がないから無罪とし、被告人を懲役1年2月、3年間執行猶予に処したため、無免許運転2件については、被告人が控訴し、キセル乗車1件については、検察官が控訴した事案において、弁護人の控訴は理由がないとし、検察官の控訴については、原判決が、本件自動改札機が旅客の入場情報それ自体を事務処理の対象としていないことを前提にして、自動改札機による事務処理システムが予定している事務処理の目的を実質的に検討することなく限定的に解するという誤りを犯し、その結果、被告人の行為が、虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供したと認められるにもかかわらず、これを否定するという誤認に至ったものであり、判決に影響を及ぼすことは明らかであるとし、原判決を破棄したうえで、被告人は、利欲的動機からキセル乗車に及んだと推察され酌むべきものはなく、また、平成28年9月及び平成29年4月に無免許運転によりいずれも罰金刑に処せられたのに、その後2回も無免許運転に及んだものであり、無免許運転の常習性及び交通規範意識の薄さは顕著であるとして、被告人に懲役2年に処し、執行猶予4年を言い渡した事例。
2020.12.15
損害賠償請求、共同訴訟参加控訴事件(ユニバーサルエンターテインメント元代表取締役に対する損害賠償請求事件控訴審)
LEX/DB25567119/東京高等裁判所 令和 2年 9月16日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第1081号
パチスロ機及びパチンコ機並びにその周辺機器の開発、製造、販売等を行い、東京証券取引所ジャスダック市場に上場している被控訴人会社(原告)が、海外事業統括の業務を委嘱された取締役であり、かつ、海外子会社の代表者であった控訴人(被告)に対し、これらの役職に在任していた当時、控訴人が、〔1〕控訴人及び控訴人の親族の資産管理会社であり、被控訴人会社の親会社でもある香港法人の第三者に対する貸金債権を回収する目的等で、被控訴人会社の海外子会社の代表者として、当該第三者が関与する会社に対して1億3500万香港ドルを貸し付け(本件行為〔1〕)、〔2〕自己の利益を図る目的で、被控訴人会社の海外子会社の代表者として、受取人白地の額面金額1600万香港ドルの小切手を振り出し(本件行為〔2〕)、〔3〕上記資産管理会社が金融機関から借入れを行う際に、被控訴人会社の海外孫会社の取締役に指示をして、当該会社の預金を担保に供させた上で、同資産管理会社が負担すべき利息相当額等を当該会社に支払わせたが(本件行為〔3〕)、控訴人の上記各行為は、被控訴人会社の取締役としての善管注意義務及び忠実義務に反するものであり、被控訴人会社はその調査のために調査委員会を設置してその費用を支払ったところ、控訴人の任務懈怠と被控訴人会社の上記費用の支払との間には相当因果関係が認められるとして、会社法423条1項に基づき、同費用相当額の損害金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、被控訴人会社の株主である被控訴人X2が共同訴訟参加をし、原審は、被控訴人会社の請求を認容したので、これを不服として、控訴人が控訴した事案において、控訴審も被控訴人会社の請求を認容すべきものと判断し、原判決は正当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2020.12.08
出席停止処分取消等請求事件
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LEX/DB25571168/最高裁判所大法廷 令和 2年11月25日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第417号
岩沼市議会の議員であった被上告人が、市議会から科された23日間の出席停止の懲罰(本件処分)が違憲、違法であるとして、上告人を相手に、その取消しを求めるとともに、議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(平成20年岩沼市条例第23号)に基づき、議員報酬のうち本件処分による減額分の支払を求め、原審は、普通地方公共団体の議会の議員に対する地方自治法135条1項3号所定の出席停止の懲罰の適否は、議員報酬の減額を伴う場合には司法審査の対象となり、本件処分の取消し及び議員報酬の支払を求める訴えは適法であるとして、これを不適法とした第1審判決を取消し、本件を第1審に差し戻したため、上告人が上告した事案において、市議会の議員である被上告人に対する出席停止の懲罰である本件処分の適否は司法審査の対象となるから、本件訴えのうち、本件処分の取消しを求める部分は適法であり、議員報酬の支払を求める部分も適法であるとし、本件訴えが適法であるとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2020.12.08
開示禁止処分等請求事件
LEX/DB25571182/最高裁判所第二小法廷 令和 2年11月27日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1900号
被上告人(公認会計士)らは、上告人の設置する品質管理委員会に対し、上場会社監査事務所名簿への登録を申請したところ、本件委員会から上記登録を認めない旨の決定を受けたため、被上告人らが、本件決定が上告人のウェブサイトで開示されると被上告人らの名誉又は信用が毀損されるなどと主張し、上告人に対し、人格権に基づき、上記の開示の差止め等を求め、原審は、上記の開示の差止請求を認容したため、上告人が上告した事案で、被上告人らにつき基準不適合事実に該当する事実があるか否かは、被上告人らが実施した監査手続が、突合を監査対象期間の一部に限定して実施したこと等において、現金等に関する特別な検討を必要とするリスクに個別に対応したものであり、高いリスクの下で十分かつ適切な監査証拠を入手するに足りるものであったといえるか否かの点を検討することなく、被上告人らにつき基準不適合事実に該当する事実があるとはいえないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例(補足意見がある)。
2020.12.08
損害賠償等請求控訴事件
LEX/DB25567029/東京高等裁判所 令和 2年 1月30日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第277号
慢性副鼻腔炎の疑いで診療を受けた大学病院の耳鼻咽喉科で、プロラクチノーマを悪性腫瘍である嗅神経芽細胞腫と誤診され、抗がん剤の副作用及び細菌性髄膜炎による脳の病変を残した患者とその妻が医療過誤に基づく損害賠償請求を求め、同病院の主治医に嗅神経芽細胞腫の疑診例をプロラクチノーマと診断した経験があり、また、誤診し易い両症状の鑑別について多くの報告例があるにも関わらず、患者らの請求を棄却した原判決を維持し、本件控訴を棄却した事例。