注目の判例

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2020.10.13
傷害、強盗、窃盗被告事件
LEX/DB25571089/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 9月30日 決定 (上告審)/令和1年(あ)第1751号
A及びBは、被害者に対し暴行を加えることを共謀した上、被害者のいるマンションの部屋に突入し、被害者に対し、カッターナイフで右側頭部及び左頬部を切り付け、多数回にわたり、顔面、腹部等を拳で殴り、足で蹴るなどの暴行を加え、被告人は、Aら突入の約5分後、自らも同部屋に踏み込んで、被告人は、被害者がAらから激しい暴行を受けて血まみれになっている状況を目にして、Aらに加勢しようと考え、台所にあった包丁を取出し、その刃先を被害者の顔面に向け、この時点で,被告人は被害者に暴行を加えることについてAらと暗黙のうちに共謀を遂げ、その後、同部屋で、被告人及びAは、脱出を試みて玄関に向かった被害者を2人がかりで取り押さえて引きずり、リビングルームに連れ戻し、こもごも、背部、腹部等を複数回蹴ったり踏み付けたりするなどの暴行を加え、また、Aらは、被害者に対し、顔面を拳で殴り、たばこの火を複数回耳に突っ込み、革靴の底やガラス製灰皿等で頭部を殴り付け、はさみで右手小指を切り付けるなどの暴行を加え、Aが、千枚通しで被害者の左大腿部を複数回刺した結果、被害者は、全治まで約1か月間を要する傷害を負ったとした事案において、被告人が共謀加担した前後にわたる一連の暴行は、同一の機会に行われたものであるところ、被告人は、右第六肋骨骨折の傷害を生じさせ得る危険性のある暴行を加えており、刑法207条の適用により同傷害についての責任を免れないと判示し、原判決には、被告人が同傷害についても責任を負うと判断した点で、同条の解釈適用を誤った法令違反があるといわざるを得ないが、この違法は判決に影響を及ぼすものとはいえないとして、本件上告を棄却した事例。
2020.10.06
管理費等反訴請求事件
LEX/DB25571065/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 9月18日 判決 (上告審)/平成31年(受)第310号
本件マンションの団地管理組合法人である上告人が、本件マンションの専有部分(本件建物部分)を担保不動産競売によって取得した被上告人に対し、上記競売前に本件建物部分の共有者であった者(本件被承継人)が滞納していた管理費、修繕積立金、専用倉庫維持費等及びこれらに対する遅延損害金の支払義務は建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法8条に基づき被上告人に承継されたとして、上記管理費等及びこれらに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、本件配当要求債権は時効消滅したとして、上告人の請求の一部を認容し、その余を棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、法定文書により上告人が区分所有法66条で準用される区分所有法7条1項の先取特権を有することが本件強制競売の手続において証明されたか否かの点について審理することなく、本件配当要求債権及びこれらに対する遅延損害金の支払請求に関する部分を棄却すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上記部分は破棄し、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2020.10.06
損害賠償請求事件
LEX/DB25566571/さいたま地方裁判所 令和 2年 8月 5日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第2769号
死刑確定者である原告Aとその再審請求に係る弁護人又は国家賠償請求訴訟の訴訟代理人である弁護士らとが原告Aとの間で行った各面会に関し、東京拘置所長が各面会時間を制限したことが、原告らの接見交通権などを侵害して違法であるなどと主張して、被告・国に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、東京拘置所長が面会時間を制限したことは、刑事施設の管理運営上の必要性の判断として、必ずしも合理的なものとはいえず、また、死刑確定者である原告Aが本件再審請求に係る弁護人らから援助を受ける機会を実質的に保障するという観点から必ずしも十分なものではなかったことからすると、面会時間の制限は、その態様に関する裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用し、原告らの再審面会における接見交通に係る利益を侵害したものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法であり、かつ、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったものとして過失があったというべきであるとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2020.10.06
地位確認請求事件
LEX/DB25566572/名古屋地方裁判所 令和 2年 7月20日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第5158号
N社の従業員である原告らが、被告会社は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(平成24年法律第27号による改正前の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」)及びこれが準用する労働基準法等の適用を免れる目的で、かねてよりN社との間で業務委託の名目で契約を締結し、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律26条1項各号に掲げる事項を定めずに原告らによる労働者派遣の役務の提供を受けていたから、同法40条の6第1項5号に基づき、原告らに対して労働契約の申込みをしたものとみなされ、原告らも被告に対してこれを承諾する意思表示をしたと主張して、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認をそれぞれ求めた事案で、被告は、原告らが主張するとおり、適用潜脱目的で労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律40条の6第1項5号に該当する行為を行ったものと認められるが、原告らは、被告に対し、上記みなし申込みに対して承諾の意思表示をしているものの、これはその効力が存続する期間終了後に行われたものであって、申込みの効力は消滅したとされるから、原告らは、被告に対し、被告との間に直接の労働契約関係が成立したことを主張することができないことになるなどとして、原告らの請求を棄却した事例。
2020.09.29
医師法違反被告事件
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LEX/DB25571066/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 9月16日 決定 (上告審)/平成30年(あ)第1790号
医師でない被告人が、業として、平成26年7月から平成27年3月までの間、大阪府吹田市内のタトゥーショップで、4回にわたり、3名に対し、針を取り付けた施術用具を用いて皮膚に色素を注入する医行為を行い、もって医業をなしたとして、医師法17条違反に問われ、第1審判決は、医行為とは,医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為をいうと解した上で、被告人の行為は、医師が行うのでなければ皮膚障害等を生ずるおそれがあるから医行為に当たる旨判示して、被告人を罰金15万円に処したため、被告人が控訴し、控訴審判決は、医行為とは,医療及び保健指導に属する行為の中で,医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為をいうと解した上で,被告人の行為は,医師が行うのでなければ皮膚障害等を生ずるおそれはあるが、医療及び保健指導に属する行為ではないから、医行為に当たらない旨判示し、刑訴法397条1項、380条により第1審判決を破棄し、無罪を言い渡したところ、検察官が上告をした事案において、被告人の行為は、社会通念に照らして、医療及び保健指導に属する行為であるとは認め難く、医行為には当たらないとした原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2020.09.29
地位確認等請求事件
LEX/DB25566573/東京地方裁判所 令和 2年 8月28日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第33866号
被告に常務執行役員として務めていた原告が、被告から、部長に降格をさせられるなど降格・降級を受け、これに伴い賃金を減額されたが、その降格・降級は無効であるなどと主張して、〔1〕原告が、雇用契約上の地位として、年俸制従業員の等級を有し、かつ、基本給月額120万円の支払を受ける地位にあることの確認を求めるとともに、〔2〕被告に対し、雇用契約に基づき、差額賃金として、平成29年6月から本判決確定の日まで、毎月26日限り、月額69万7000円の、平成30年6月から本判決確定の日まで、賃金支給日である毎月26日限り、月額11万円の各割合による金員及びこれらに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告が人事権の行使に係る裁量を逸脱し、これを濫用したということもできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2020.09.23
請負代金請求本訴、建物瑕疵修補等請求反訴事件
LEX/DB25571053/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 9月11日 判決 (上告審)/平成30年(受)第2064号
被上告人から建物の増築工事を請け負った上告人が、被上告人に対し、請負代金及びこれに対する遅延損害金の支払等を求めた事案(本件本訴)、被上告人が、上告人に対し、上記建物の増築部分に瑕疵があるなどと主張し、瑕疵修補に代わる損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払等を求めた事案(本件反訴)で、原審が、同時履行の関係に立つ本訴請求債権と反訴請求債権については遅延損害金が発生しないとして、上告人の本訴請求を一部認容し、被上告人の反訴請求を一部認容したため、上告人が上告した事案で、請負契約に基づく請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし、他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴が係属中に、本訴原告が、反訴において、上記本訴請求債権を自働債権とし、上記反訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは許されるとし、本件相殺の抗弁を主張することは許されないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を変更した事例。
2020.09.23
請負代金請求事件
「新・判例解説Watch」倒産法分野 令和2年11月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571045/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 9月 8日 判決 (上告審)/平成31年(受)第61号
破産管財人である被上告人(控訴人・原告)が、上告人(被控訴人・被告)に対し、破産者と上告人との間の複数の請負契約に基づく各報酬等の支払を求め、被上告人の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案で、本件各違約金債権の取得は、破産法72条2項2号に掲げる「支払の停止があったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たり、本件各違約金債権を自働債権、本件各報酬債権を受働債権とする相殺は、自働債権と受働債権とが同一の請負契約に基づくものであるか否かにかかわらず、許されると判示し、本件相殺のうち、自働債権である違約金債権と受働債権である報酬債権とが同一の請負契約に基づかないものは許されないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の請求を棄却した第1審判決は正当であるから、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.09.23
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25566581/名古屋高等裁判所 令和 2年 7月30日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第203号
控訴人ら及び原審原告q2が、その所有ないし居住する土地の付近で被控訴人が施工した高速道路建設工事により日照権が侵害されるなどして精神的苦痛を被り、また、所有地の価格が下落したなどと主張して、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審が控訴人ら及び原審原告q2の請求をいずれも棄却したところ、控訴人らが控訴の範囲を限定して控訴した事案で、原判決中控訴人q3らに関する部分につき、控訴人q3らの請求は、それぞれ55万円及びこれに対する遅延損害金の限度で理由があるとして変更した事例。
2020.09.15
特許権侵害による損害賠償債務不存在確認等請求事件
LEX/DB25571043/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 9月 7日 判決 (上告審)/平成31年(受)第619号
被上告人(原告・控訴人)が、発明の名称を「樹脂フィルムの連続製造方法及び装置及び設備」とする本件各特許権の特許権者であった上告人(被告・被控訴人)として、上告人の被上告補助参加人に対する本件各特許権の侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権が存在しないことの確認等を求めたところ、原審は、本件訴えのうち本件損害賠償請求権の不存在確認請求に係る部分につき、確認の利益を認め、第1審判決のうち同部分を確認の利益がないとして却下した部分を取消し、同部分につき本件を第1審に差し戻したため、上告人が上告した事案で、本件確認請求に係る訴えは、確認の利益を欠くものというべきであるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中本件確認請求に関する部分を破棄し、本件訴えのうち本件確認請求に係る部分は不適法で、これを却下した第1審判決は正当であるから、同部分につき被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.09.15
総会決議無効確認等請求事件
LEX/DB25571033/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 9月 3日 判決 (上告審)/平成31年(受)第558号
上告人(事業協同組合)が、被上告人(組合員)に対し、〔1〕平成28年5月16日に行われた被上告人の役員選挙について、中小企業等協同組合法54条において準用する会社法831条1項1号に基づき、その取消しを求めるとともに、〔2〕上記選挙中の理事の選出に関する部分を取り消す旨の判決の確定を条件に、平成30年5月28日に行われた被上告人の役員選挙の不存在確認を求め、原審は、本件各取消請求及び本件各不存在確認請求に係る訴えを却下したため、上告人が上告した事案で、事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しを求める訴えに、同選挙が取り消されるべきものであることを理由として後任理事又は監事を選出する後行の選挙の効力を争う訴えが併合されている場合には、特段の事情がない限り、先行の選挙の取消しを求める訴えの利益は消滅しないと判示し、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、本件選挙の取消事由の存否等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2020.09.15
売却許可決定に対する執行抗告棄却決定に対する特別抗告及び許可抗告事件
「新・判例解説Watch」民事訴訟法分野 令和2年12月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571044/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 9月 2日 決定 (特別抗告・許可抗告審)/令和2年(ク)第275号 等
担保不動産競売の手続における期間入札において最高価買受申出人に次いで高額の買受けの申出をした抗告人が、民事執行法71条4号イ(同法188条において準用するもの)に掲げる売却不許可事由を主張して、上記最高価買受申出人が受けた売却許可決定に対して執行抗告をし、抗告棄却決定に対して更に抗告をした事案で、担保不動産競売の手続において、最高価買受申出人が受けた売却許可決定に対し、他の買受申出人は、特段の事情のない限り、民事執行法71条4号イに掲げる売却不許可事由を主張して執行抗告をすることはできないとし、抗告人は、最高価買受申出人から同人が入札することにつきあらかじめ告知を受けていれば自らが最高の価額で入札をした可能性がある旨を主張するものにすぎず、特段の事情が認められないことは明らかであるから、原々決定に対する抗告は不適法であるとして、原決定を破棄し、原々決定に対する抗告を却下した事例。
2020.09.08
裁判官に対する懲戒申立て事件
LEX/DB25571017/最高裁判所大法廷 令和 2年 8月26日 決定 (第一審)/令和2年(分)第1号
被申立人は、フェイスブック上の被申立人の実名が付された自己のアカウントにおいて、自らが裁判官であることが知られている状況の下で、多数のフェイスブックの会員に向けて、本件遺族が被申立人について裁判官訴追委員会に対する訴追請求をしていることなどに言及する投稿をした際、本件遺族が被申立人を非難するよう東京高裁事務局等に洗脳されている旨の表現を用いて本件遺族を侮辱した行為等の各事実につき、被申立人の行為は、裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たるとして、裁判官分限法2条の規定により被申立人を戒告することとした事例。
2020.09.08
殺人被告事件
LEX/DB25571011/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 8月24日 決定 (上告審)/平成30年(あ)第728号
被告人は、生命維持のためにインスリンの投与が必要な1型糖尿病にり患している幼年の被害者の治療をその両親から依頼され、インスリンを投与しなければ被害者が死亡する現実的な危険性があることを認識しながら、医学的根拠もないのに、自身を信頼して指示に従っている母親に対し、インスリンは毒であり、被告人の指導に従わなければ被害者は助からないなどとして、被害者にインスリンを投与しないよう脅しめいた文言を交えた執ようかつ強度の働きかけを行い、父親に対しても、母親を介して被害者へのインスリンの不投与を指示し、両親をして、被害者へのインスリンの投与をさせず、その結果、被害者が死亡に至ったとした事案の上告審において、被告人は、未必的な殺意をもって、母親を道具として利用するとともに、不保護の故意のある父親と共謀の上、被害者の生命維持に必要なインスリンを投与せず、被害者を死亡させたものと認められ、被告人には殺人罪が成立するとし、これと同旨の第1審判決を是認した原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2020.09.08
業務上過失致死被告事件
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LEX/DB25566440/東京高等裁判所 令和 2年 7月28日 判決 (控訴審)/平成31年(う)第791号
特別養護老人ホームに准看護師として勤務し、同施設の利用者に対する看護及び介護業務に従事していた被告人が、食堂で、利用者に間食を提供するに当たり、決められた形態と異なる食事を利用者に提供して摂取させれば、利用者に窒息事故等を引き起こすおそれがあるから、各利用者に提供すべき間食の形態を確認した上、これに応じた形態の間食を利用者に配膳して提供し、窒息等の事故を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、ゼリー系の間食を提供するとされていた被害者(当時85歳)に対し、提供すべき間食の形態を確認しないまま、漫然と常菜系の間食であるドーナツを配膳して提供した過失により、同人にドーナツを摂取させ、喉頭ないし気管内異物による窒息に起因する心肺停止状態に陥らせ、病院で、心肺停止に起因する低酸素脳症等により死亡させたとした事案の控訴審において、原判示の過失の成立を認めた原判決の結論は是認することはできず、本件公訴が提起されてから既に5年以上が経過し、現時点では控訴審の段階に至っている上、有罪の判断を下した原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして原判決を破棄し、被告人が、自ら被害者に提供すべき間食の形態を確認した上、これに応じた形態の間食を被害者に配膳して提供する業務上の注意義務があったとはいえないとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2020.09.08
LEX/DB25566377/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 7月 3日 決定 (特別抗告審)/令和2年(ク)第254号
抗告人が、別居中の夫である相手方に対し、婚姻費用として相当額の支払を求めたところ、第一審が、抗告人の申立てを認容したことから、相手方が即時抗告し、抗告審が、原審申立人がした金員の引出は、引出合意に基づくものと認められるから、上記金員は婚姻費用の前払と認めるのが相当であり、抗告人には、現時点において未払婚姻費用があるとは認められないとして、第一審の審判を取り消し、抗告人の申立てを却下する決定をしたため、抗告人が、最高裁判所に抗告することの許可を求める申立てをし、原審が、即時抗告審の決定について、家事事件手続法97条2項所定の事由があるとは認められないとして、本件抗告を許可しなかったため抗告人が特別抗告した事案で、本件抗告の理由は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、特別抗告の事由に該当しないとして、本件抗告を棄却した事例。
2020.09.01
各贈賄被告事件
LEX/DB25565997/大阪高等裁判所 令和 2年 6月17日 判決 (控訴審)/平成30年(う)第1000号
a社の常務取締役及び営業部長の被告人両名は、共謀の上、国立大学法人b大学の教授であり、講座専任教授として、同大学と外部機関等との共同研究に関し、同大学の研究代表者として外部機関等と協議し、その受入れの可否を決した上、受け入れた研究を実施するなどの職務に従事していたP3に対し、3回にわたり、a社との共同研究の受入れを決した上、同研究を実施し、その結果について情報を提供してくれたことなど、a社のため有利かつ便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨の下に、a社の経理担当職員を介して、f銀行本店に開設されたa社名義の当座預金口座からf銀行g支店に開設されたP3が管理する株式会社h名義の普通預金口座に、現金合計194万4000円を振込送金し、同人の職務に関して賄賂を供与したとして起訴され、原判決が、被告人両名を有罪としたことに対し、被告人両名が控訴した事案において、原判決には、賄賂ではないものを賄賂と認めた事実の誤認があり、これが被告人両名の関係で、判決に影響を及ぼすことが明らかであるとし、原判決を破棄し、被告人両名に対し無罪を言い渡した事例。
2020.09.01
LEX/DB25566315/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 6月 8日 決定 (特別抗告審)/令和2年(し)第524号
殺人被疑事件について、勾留及び接見等禁止の各請求に関し、令和2年5月30日富山地方裁判所がした各準抗告棄却決定に対し、検察官から特別抗告の申立てがあった事案において、本件各抗告を棄却した事例。
2020.09.01
損害賠償請求事件
LEX/DB25565753/宇都宮地方裁判所 令和 2年 4月16日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第651号
被告厚生農業協同組合連合会の開設する被告病院に入院し、腰部脊柱管狭窄症に対する後側固定手術を受けたq4が、その後に死亡したところ、本件患者の相続人である原告らは、本件患者が血栓性疾患又は播種性血管内凝固症候群(DIC)を発症して、これらの症状の悪化により死亡したものであり、被告病院の医師らは、術後管理としてDICの発生防止措置を取る義務等があるところ、それを怠ったものであると主張して、不法行為(民法715条)ないし債務不履行に基づく損害賠償請求として、被告に対し、それぞれ賠償金及びその遅延損害金の支払を求めた事案で、本件患者は、DICを発症したことにより、本件患者の頭蓋内に出血・血栓を生じたことで、脳ヘルニアを生じ、死亡に至ったものと認めることが相当であり、被告において、発症当日、本件検査を行い、DICに対応する治療を行っていれば、本件患者が以降もなお生存していたと認めることができるから、被告には過失があったといえるとして、原告らの請求を認容した事例。
2020.08.25
財産分与審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25570986/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 8月 6日 決定 (許可抗告審)/令和1年(許)第16号
抗告人が、相手方に対し、財産の分与に関する処分の審判を申し立てたところ、原審は、抗告人名義の本件建物等の財産を相手方に分与しないものと判断した上で、抗告人に対し相手方への209万9341円の支払を命じたが、家事事件手続法154条2項4号に基づき相手方に対し抗告人への本件建物の明渡しを命ずることはしなかったため、抗告人が許可抗告した事案で、家庭裁判所は、財産分与の審判において、当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき、当該他方当事者に分与しないものと判断した場合、その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは、家事事件手続法154条2項4号に基づき、当該他方当事者に対し、当該一方当事者にこれを明け渡すよう命ずることができると解するのが相当であり、これと異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。