注目の判例

環境法

2024.03.26
工作物の建築等の不許可処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和6年5月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597844/高知地方裁判所 令和 6年 1月23日 判決 (第一審)/令3年(行ウ)第10号 
原告らが四万十川流域における太陽光発電設備の建築等の許可申請をしたところ、四万十市長(処分行政庁)が、原告らの許可申請をいずれも不許可とする旨の処分をしたため、原告らが、被告(四万十市)に対し、本件各不許可処分の取消しを求めた事案において、本件太陽光発電施設には、四万十川の本件土地が浸水した場合には、設備が流出するなどして、水害を発生させる具体的なおそれが存在しているとし、本件太陽光発電施設について高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例13条2項に定めるおそれがあるとした処分行政庁がした判断に裁量の逸脱濫用があるとは認めることはできないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2024.03.19
廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和6年5月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597541/横浜地方裁判所 令和 5年 7月11日 判決 (第一審)/令2年(わ)第1424号 等
被告人P3(被告会社の実質的経営者で業務全般の統括管理者)及び被告人P2(被告会社の代表取締役で中間処理施設の業務の統括管理者)は、被告会社の業務に関し、被告会社の従業員であるP4、P5及びP6と共謀の上、中間処理施設において、同施設から公共下水道内に産業廃棄物である汚泥及び一般廃棄物である汚水合計約3万6849.58トンを放流させ、廃棄物を捨てた(判示第1)、被告人P3及び被告人P2は、被告会社の業務に関し、P4と共謀の上、中間処理施設において、被告会社が他社から中間処理の処分を受託した産業廃棄物である汚泥の運搬をP10有限会社ほか2社に委託し、同産業廃棄物を引き渡すに当たり、その都度、産業廃棄物管理票合計406通に虚偽の内容を記載し、同管理票を前記P10ほか2社に交付した(判示第2)、被告人P3及び被告人P2は、被告会社の業務に関し、P4と共謀の上、被告会社が社会福祉法人P13ほか1社から中間処理の処分を受託した産業廃棄物である汚泥につき、有限会社P14ほか1社から同汚泥の運搬を受けるとともに産業廃棄物管理票の回付を受けていたところ、同産業廃棄物である汚泥の中間処理の処分が終了していないのに、同産業廃棄物の中間処理の処分が終了した旨の内容が記載された産業廃棄物管理票写し合計81通を、前記P14ほか1社を介し、排出事業者であるP13ほか1社に送付した(判示第3)として、被告会社に対し罰金1億円、被告人P3に対し懲役4年及び罰金1000万円、被告人P2に対し懲役3年を求刑された事案で、不法投棄行為を3年半余りもの長期にわたって継続的に実行し、廃棄した廃棄物の量は合計で約3万6800トン余りと大量であるばかりか、適正に処理していないことを隠ぺいするために、産業廃棄物管理の柱となるマニフェストについて虚偽の内容を記載して関係業者に交付又は送付を継続したり(判示第2及び第3の犯行)、行政当局への発覚を免れるための種々の工作をしたりしていたのであって、巧妙かつ組織的な犯行で、廃棄物の適正な処理を図るという廃棄物処理法の趣旨を蔑ろにすること甚だしいというほかなく、犯情は相当悪質であるなどとして、被告会社を罰金5000万円に処し、被告人P3及び被告人P2をそれぞれ懲役3年に処し、被告人P3に対し5年間、被告人P2に対し4年間の刑の執行を猶予するとした事例。
2023.12.26
損害賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和6年2月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573135/大阪地方裁判所 令和 5年 9月27日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第9280号
不知火海沿岸地域等にかつて居住し、本件共通診断書検診によって水俣病に罹患していると診断された者又はその承継人である原告らが、本件患者らは、被告チッソが排出したメチル水銀化合物を含む廃水により汚染された上記地域の魚介類を摂食したことにより、水俣病(慢性水俣病)に罹患したとして、被告チッソに対しては、上記排出をした不法行為に基づき、被告国及び被告熊本県に対しては、同被告らが各規制権限を行使して水俣病の発生及び拡大を防止し、又は水俣病に関する健康調査を実施すべき義務があったのにこれを怠ったとして、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求めた事案において、期間の起算点について、慢性水俣病において損害の全部又は一部が発生したと認めることができるのは、神経学的検査等に基づいて水俣病と診断された時、すなわち本件患者らについては共通診断書検診が行われた時であると示して、一部原告の一部請求を認容した事例。
2023.08.01
産業廃棄物処理施設設置許可処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和6年1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25595453/広島地方裁判所 令和 5年 7月 4日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第24号
原告らにおいて、本件土地を設置場所とする産業廃棄物最終処分場につき、訴外組合の申請に対して広島県知事(処分行政庁)が令和2年4月23日付けでした廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条1項に基づく産業廃棄物処理施設設置許可処分には、(1)本件申請が廃棄物処理法15条の2第1項各号に適合していないのにこれを許可した違法性、(2)廃棄物処理法15条3項に違反してこれを許可した違法性、(3)廃棄物処理法15条の2第3項に違反してこれを許可した違法性、(4)廃棄物処理法15条5項、6項に違反してこれを許可した違法性がある旨主張して、被告(広島県)に対し、本件許可処分の取消しを求めた事案で、原告番号1、7、8及び12には本件許可処分の取消しを求める法律上の利益を欠き、原告適格が認められず、同原告らの訴えは不適法であるとして却下し、その余の原告らの請求については、生活環境影響調査項目の一つである地下水と水質の2点をめぐる処分行政庁の調査や審査及び判断の過程には看過しがたい過誤、欠落があると認められるから、処分行政庁の判断に不合理な点があり、その判断に基づく本件許可処分は違法であるとして、認容した事例。
2023.05.23
納骨堂経営許可処分取消、納骨堂経営変更許可処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和5年7月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25572835/最高裁判所第三小法廷 令和 5年 5月 9日 判決 (上告審)/令和4年(行ヒ)第150号
大阪市長が、宗教法人であるA寺に対し、墓地、埋葬等に関する法律10条の規定により、納骨堂の経営の許可及びその施設の変更の許可をしたところ、同納骨堂の周辺に居住する被上告人らが、上告人を相手に、本件各許可の取消し(被上告人X5及び同X6にあっては本件変更許可の取消しを除く)を求め、原審は、本件納骨堂からおおむね300m以内の人家に居住する被上告人らは本件各許可の取消しを求める原告適格を有すると判断し、第1審判決のうち被上告人らの訴えを却下した部分を取消して、同部分につき本件を第1審に差し戻したため、上告人が上告した事案で、被上告人らは、いずれも、本件納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住している者に当たるから、大阪市墓地、埋葬等に関する法律施行細則8条を根拠として、本件各許可の取消しを求める原告適格を有するものということができるとし、原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見、及び、意見がある)。
2023.05.16
石炭火力発電所建設等差止請求事件 
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和5年6月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25594806/神戸地方裁判所 令和 5年 3月20日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第1551号
本件新設発電所の建設予定地の近隣に住む原告らが、〔1〕本件新設発電所の建設予定地は、住宅地から至近の場所にあり、また従来からNOx、PM2.5等の影響が指摘され、大気汚染物質に係る様々な規制対象となっている場所であるにもかかわらず、本件新設発電所が稼働すれば、NOx、SOx、ばいじん、水銀及びPM2.5が大気中に放出されることとなり、大気汚染が進み原告らに健康被害をもたらすおそれがある、また、〔2〕温室効果ガスの削減については国際合意がされているにもかかわらず、石炭という使用燃料の特性上、大量のCO2が排出されるから、石炭火力発電所の新設は許されず、これが稼働すれば地球温暖化が進み気候変動が生じ災害をもたらすおそれがあるとして、原告らの伝統的人格権又は人格権の一内容である健康平穏生活権若しくは安定気候享受権が受忍限度を超えて違法に侵害されるおそれがあるなどと主張し、人格権に基づく妨害予防又は妨害排除請求として、(1)主位的に、新設発電所を建設・所有することになる被告コベルコパワーに対し、新設発電所の稼働の準備行為としての建設行為の差止め(請求〔1〕)を、新設発電所を稼働することになる被告コベルコパワー及び同社が本件新設発電所の操業を委託すると考えられる被告神戸製鋼に対し、新設発電所の稼働全部の差止め(請求〔2〕)を、新設発電所の発電する電力を全量買電し、その稼働についても指示を行う予定である被告関西電力に対し、発電指示全部の差止め(請求〔3〕)を、(2)予備的に、被告コベルコパワー及び被告神戸製鋼に対し、新設発電所の稼働の割合的な差止めを(請求〔2〕に係る予備的請求)、被告関西電力に対し、その稼働の指示行為の割合的差止め(請求〔3〕に係る予備的請求)をそれぞれ求めた事案で、本件訴訟のうち、別紙2死亡当事者目録記載の者による訴えは、同人らが本件訴訟の提起後、本判決言渡し前である同別紙記載の各死亡日に死亡したことにより訴訟の終了の宣言をし、その余の原告らの請求は、本件新設発電所の稼働により原告らの生命、身体、健康が侵害される具体的危険が存在すると認めることはできず、また、温暖化に起因する気候変動による気象・気候災害の激甚化によって原告ら個々人に生ずるおそれのある被害との間に相当因果関係があると認めることもできないなどとし、本件新設発電所の建設及び稼働の差止めを求めることはできないとして、請求を棄却した事例。
2023.01.17
事務管理費用償還等請求控訴事件、同附帯控訴事件
LEX/DB25593981/名古屋高等裁判所金沢支部 令和 4年12月 7日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第109号 等
福井県敦賀市内に設置された廃棄物の最終処分場に多量の廃棄物が処分され、その周辺の河川に汚染水が流入するなどの生活環境保全上の支障ないしそのおそれが生じたとして、同処分場をその区域内に有する地方公共団体である控訴人兼被控訴人(附帯被控訴人・一審原告。敦賀市)が、廃棄物処理業者への委託により一般廃棄物を同処分場に処分した被控訴人兼控訴人(一審被告組合)らに代わって上記支障等を除去するための工事等を行い、そのための費用の支出を余儀なくされたと主張して、一審被告組合らに対し、事務管理に基づく有益費償還請求権、不当利得返還請求権、国家賠償法1条1項、民法715条1項及び同法709条に基づく損害賠償請求を求め、原審は、事務管理に基づく有益費償還請求権の成立を認め、請求を一部認容、一部棄却をしたため、一審原告が控訴し、一審被告組合らが附帯控訴した事案において、一審原告の請求はいずれも理由がなく棄却し、これと異なる原判決は相当でないから、一審被告組合らの各控訴並びに一審被告組合の附帯控訴に基づき、一審被告組合らの各敗訴部分を取消し、一審被告組合らに対する請求をいずれも棄却し、一審原告の控訴をいずれも棄却した事例。
2022.10.18
開発許可差止請求事件(第1事件、第2事件)
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和4年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593366/神戸地方裁判所 令和 4年 8月23日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第90号 等
原告P1、原告P2及び原告P3が、R社は、兵庫県丹波篠山市に所在する各土地上にホテルの新築工事の計画を進めており、本件新築工事を含む開発行為等につき、丹波篠山市まちづくり条例10条に基づく開発行為等の許可の申請をし、丹波篠山市長が同条に基づく許可をする蓋然性があるところ、本件許可処分により、原告らのまちづくりに参画する権利及び景観利益並びに原告P3の生活環境利益が侵害され、重大な損害を生ずるおそれがあるなどと主張して、被告(丹波篠山市)に対し、行政事件訴訟法3条7項に基づき、本件許可処分の差止めを求めた事案において、原告らについては、重大な損害を生ずるおそれがあるとは認められないとし、原告らの本件訴えはいずれも不適法であるとして却下した事例。
2022.08.16
臨時総会決議無効確認請求控訴事件
LEX/DB25592407/高松高等裁判所 令和 4年 4月28日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第135号
漁業協同組合である被控訴人の組合員であった控訴人らが、被控訴人に対し、四国横断自動車道阿南四万十線新設工事に関し、西日本高速道路株式会社から被控訴人に支払われた漁業補償金の配分に係る被控訴人の臨時総会でされた決議が、恣意的ないし著しく不公平なものとして無効であることの確認を求めたところ、原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、認定された経緯による本件決議は、控訴人らの考慮されるべき事情が考慮されなかった結果、控訴人らの被る損失を十分に補償するものにはなっておらず、これらの事情が考慮されなかったのは、多数派である底びき網漁業に過度に配慮したため、十分に議論が尽くされなかったためであり、短期間に多数決の濫用によって採決されたものであるというほかないから、恣意的ないし著しく不公平なものと認められ、本件決議は無効であると認めざるを得ないとして、原判決を取り消し、控訴人らの請求を認容した事例。
2022.06.28
原子力発電所運転差止等請求事件
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LEX/DB25592518/札幌地方裁判所 令和 4年 5月31日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第3265号 等
日本国内又は国外に居住する原告ら1201名が、北海道古宇郡泊村に所在する原子力発電所である北海道電力株式会社泊発電所を保有している被告に対し、同発電所が地震、津波、火山事象等に対する安全性を欠いており、これらが生じた場合に予測される事故によって生命、身体等に対する重大な侵襲を受ける危険があると主張して、人格権に基づく妨害排除請求権又は妨害予防請求権の行使として、〔1〕本件各原子炉の運転を差止めること(運転差止請求)、〔2〕本件各原子炉の建屋に存在する使用済み核燃料を同建屋から撤去すること(核燃料撤去請求)、〔3〕本件各原子炉の廃炉(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律上の廃止措置のこと)を行うこと(廃炉請求)をそれぞれ求めた事案で、原告らの本件各請求のうち、一審認容原告らの運転差止請求については認容し、一審認容原告らのその余の請求および一審全部棄却原告らの各請求については、いずれも棄却した事例。
2022.06.14
損害賠償請求事件
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LEX/DB25572164/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 6月 3日 判決 (上告審)/令和3年(受)第1125号 等
建物の解体作業等に従事した後に石綿肺、肺がん等の石綿(アスベスト)関連疾患にり患した者又はその承継人である被上告人らが、建材メーカーである上告人らに対し、当該疾患へのり患は、上告人らが、石綿含有建材を製造販売するに当たり、当該建材が使用される建物の解体作業等に従事する者に対し、当該建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等(本件警告情報)を表示すべき義務を負っていたにもかかわらず、その義務を履行しなかったことによるものであるなどと主張して、不法行為等に基づく損害賠償を求め、原判決は、被上告人らの不法行為に基づく損害賠償請求を一部認容したため、上告人らが上告した事案において、上告人らが、石綿含有建材を製造販売するに当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、本件警告情報を表示すべき義務を負っていたということはできないとして、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、被上告人らの請求に関する上告人ら敗訴部分は破棄し、上記破棄部分のうち、被上告人X1の請求に関する部分については、原審の確定した事実関係によれば、同被上告人が石綿含有建材を使用する建設作業に従事していた時期があることから、損害の額等について更に審理を尽くさせる必要があるので、本件を原審に差し戻すこととし、また、その余の被上告人らの請求は、第1審判決は結論において正当であり、上記破棄部分のうち、同被上告人らの請求に関する部分につき、同被上告人らの控訴を棄却し、同被上告人らの原審で拡張した請求を棄却した事例。
2022.04.26
公金支出差止等請求控訴事件
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LEX/DB25591999/東京高等裁判所 令和 3年12月15日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第246号
日野市が、都市計画公園である北川原公園の予定地内に、近隣の可燃ごみ処理施設に出入りする廃棄物運搬車両の通行路を整備することとし、設計業務委託契約、工事請負契約及び工事監理業務委託契約を締結したことについて、日野市の住民である被控訴人らが、当時の日野市長であったP3市長による本件各契約の締結が違法であると主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、控訴人(日野市の執行機関である日野市長)を相手方として、P3市長に対して損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟で、原判決は被控訴人ら並びに第1審原告P1及び第1審原告P2の請求を全部認容したため、控訴人が原判決の全部を不服として控訴した事案において、被控訴人らの請求は理由があるからこれを認容すべきであり、これと同旨の原判決は正当であり、控訴人の被控訴人らに対する本件控訴は理由がないから棄却し、原判決中、第1審原告P1及び第1審原告P2の請求に係る部分を取り消した事例。(なお、本件訴訟のうち、第1審原告P1の請求に係る部分は、令和2年6月28日に第1審原告の死亡により、第1審原告P2の請求に係る部分は平成30年10月27日に第1審原告の死亡により、それぞれ訴訟終了の宣言をした。)
2022.02.22
宅地造成等規制法に基づく変更許可決定取消請求事件(第一事件)、宅地造成等規制法に基づく許可決定の無効等確認請求事件(第二事件、第三事件)
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和4年4月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25591494/静岡地方裁判所 令和 3年12月24日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第32号 等
伊東市長が、訴外会社に対し、太陽光発電所(メガソーラー)の建設を目的とする宅地造成等規制法8条1項に基づく宅地造成工事の許可(本件処分)をし、同法12条1項に基づく本件工事の変更許可(本件変更処分)をしたのに対し、被告(伊東市)に住居を有し、又は居住している者である原告番号1から9及び同11から42の第一事件原告らが、本件変更処分の取消しを求め(第一事件)、原告番号9及び同40の第二事件原告ら並びに原告番号18、同37及び同39の第三事件原告らが、本件処分の無効等確認を求めた事案(第二事件、第三事件)において、第一事件原告らが本件変更処分の取消しを求める原告適格を有するとは認められず、また、第二事件及び第三事件原告らが本件処分の無効等の確認を求める原告適格を有するとは認められないとして、本件訴えをいずれも却下した事例。
2022.01.25
行政処分取消請求事件
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LEX/DB25591359/札幌地方裁判所 令和 3年12月17日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第7号
原告が、北海道公安委員会から銃砲所持の許可を取り消す旨の処分を受けたところ、当該処分は銃砲刀剣類所持等取締法所定の要件を満たさず、また裁量権を逸脱・濫用したものであると主張して、被告(北海道)に対し、その取消しを求めた事案において、市の要請でヒグマ1頭を駆除するため、ライフル銃から弾丸1個を発射した原告の行為が、鳥獣保護管理法38条3項に違反し、もって銃砲刀剣類所持等取締法10条2項1号に違反したものと判断する余地があるとしても、これを理由にライフル銃の所持許可を取り消すというのは、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くというべきであり、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものといわざるを得ないとし、本件処分を取り消した事例。
2021.11.30
障害補償給付不支給決定等取消請求控訴事件
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LEX/DB25590917/札幌高等裁判所 令和 3年 9月17日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第10号
回転寿司店の事業所に勤務していた控訴人が、本件事業所内のトイレに散布された殺菌剤の原液を拭き取る業務に従事した際、当該業務に起因して化学物質過敏症を発症したとして、労働者災害補償保険法による障害補償給付の請求をしたところ、処分行政庁から、〔1〕これを支給しない旨の処分、〔2〕療養補償給付の支給決定を取り消す旨の変更決定処分、及び〔3〕同日付けで休業補償給付の支給決定を取り消す旨の変更決定処分を受けたため、本件各処分の取消しを求めたところ、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案で、控訴人の化学物質過敏症は、本件拭き取り作業に起因したものと認められるから、これは、労基則別表第1の2第4号9ないし第11号に該当する業務上の疾病ということができ、控訴人の化学物質過敏症の発症及びこれと本件拭き取り作業との相当因果関係を否定したうえでされた本件各処分は違法であるとして、原判決を取り消し、本件各処分をいずれも取り消した事例。
2021.07.20
地方自治法251条の5に基づく違法な国の関与(是正の指示)の取消請求事件
LEX/DB25571629/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 7月 6日 判決 (上告審)/令和3年(行ヒ)第76号
沖縄防衛局は、普天間飛行場の代替施設を沖縄県名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立てに関し、沖縄県漁業調整規則41条(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)に基づき、上告人に対し、埋立区域内に生息する造礁さんご類を埋立区域外に移植することを内容とする採捕の許可を求める2件の申請をしたが、上告人は何らの処分もせず、被上告人は、本件各申請を許可する旨の処分をしない沖縄県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反するなどとして、同県に対し、地方自治法245条の7第1項に基づき、本件各許可処分をするよう求める是正の指示(本件指示)をした。上告人が、本件指示は違法な国の関与に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件指示の取消しを求め、原審は、上記法定受託事務の処理が法令の規定に違反し,本件指示は適法であるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件指示の時点で、上告人において本件各申請の内容に必要性を認めることができないと判断したことは、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると判示し、これと同旨の原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2021.05.18
建設工事差止等仮処分命令申立事件
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LEX/DB25569325/広島地方裁判所 令和 3年 3月25日 決定 (第一審)/令和2年(ヨ)第78号
債権者らが、本件予定地上に産業廃棄物最終処分場を建設中の債務者に対し、本件処分場の建設、操業により、井戸水、水道水及び河川の水が有害物質によって汚染され、あるいは土砂災害を誘発するおそれがあるとして、人格権等(〔1〕水質汚染による浄水享受権、生命・身体・健康に対する侵害、農業者・漁業者らの生活権に対する侵害、農業者の水利権に対する侵害、〔2〕土砂災害による生命・身体・健康に対する侵害)に基づき、本件処分場の建設、使用、操業を差止めるとの仮処分命令を求めた事案において、債権者らの本件申立てのうち、本件4井戸関係債権者9名の申立ては理由があり、本件事案の性質に照らして同債権者らに担保を立てさせないで、これらを一部認容し、その余の債権者らの申立ては、却下した事例。
2020.11.17
石炭火力発電所運転差止請求事件
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LEX/DB25566855/仙台地方裁判所 令和 2年10月28日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第1175号
石炭火力発電所の本件発電所周辺に居住する原告らが、本件発電所の運転により、原告らの平穏に日常生活を送る権利(平穏生活権)が侵害されていると主張して、被告に対し、平穏生活権に基づき、本件発電所の運転差止めを求めた事案で、現時点において、本件発電所の運転により排出される大気汚染物質の実測値は、環境基準等をいずれも下回るものであり、本件発電所の周辺地域における大気汚染物質の実測値は、本件発電所の運転前と比較しても通常の変動の範囲内で推移していることが認められるとし、本件発電所の運転により環境を汚染する行為は、環境汚染の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くということはできず、平穏生活権を侵害するものとして違法となると認めることはできないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2020.05.19
損害賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25565316/仙台高等裁判所 令和 2年 3月12日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第164号
福島県南相馬市、双葉郡浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、川内村等に居住していた1審原告らが、福島第一原発を設置・運営していた1審被告(東京電力ホールディングス)に対し、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により福島第1原発の事故によって、居住用不動産及び家財に係る財産的損害を被るとともに、避難生活を余儀なくされ、また、地域社会が喪失・変容したことによって精神的損害を被ったと主張し、主位的に民法709条に基づき、予備的に原子力損害の賠償に関する法律3条1項に基づき、各1審原告に係る別紙6「原告基本情報等」「第3表」の「総計」・「原告主張額」欄記載の各金員及びこれらに対する遅延損害金の支払を求め、原告らの原賠法3条1項に基づく予備的請求について、一部認容したため、これに不服の双方が控訴した事案で、1審判決は古里喪失と避難を総合評価して慰謝料を算定したが、控訴審判決は古里喪失の慰謝料を明確に認めた上、避難の発生、継続に関する慰謝料と合わせて計算し、原判決の認容額を増加した内容で一部変更した事例。
2020.04.07
地方自治法251条の5に基づく違法な国の関与(裁決)の取消請求事件
LEX/DB25570827/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月26日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第367号
沖縄防衛局は、沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の代替施設を同県名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立てにつき同県知事から公有水面埋立法42条1項の承認(本件埋立承認)を受けていたが、事後に判明した事情等を理由として本件埋立承認が取り消されたことから、これを不服として被上告人に対し行政不服審査法に基づく審査請求をしたところ、被上告人は、本件埋立承認取消しを取り消す旨の裁決をしたことで、上告人が、本件裁決は違法な「国の関与」に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件裁決の取消しを求めた上告審において、本件本件埋立承認取消しについて、これと別異に解すべき理由は見当たらず、本件埋立承認取消しにつき、国の機関である沖縄防衛局がその「固有の資格」において相手方となったものということはできないとし、本件埋立承認取消しは沖縄防衛局が行政不服審査法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となった処分とはいえないとした原審の判断は、是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。