2025.06.17
生物学上の親調査義務確認等請求事件
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LEX/DB25622506/東京地方裁判所 令和 7年 4月21日 判決(第一審)/令和3年(ワ)第28700号
昭和33年○月に本件産院にて出生し、本件産院内において他の新生児と取り違えられたために生物学上の親とは異なる夫婦の下で育てられた原告が、本件産院を設置・管理していた被告・東京都に対し、〔1〕主位的には、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)及び児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の各規定に基づき(主位的調査請求)、予備的に分娩助産契約(予備的請求1)、更に予備的に医療事故に準ずる重大な問題事案におけるてん末報告義務(予備的請求2)、更に予備的に上記取り違えを先行行為として条理上認められる原状回復義務(予備的請求3)に基づき、いずれも原告の生物学上の親を特定するための調査の実施等を求め、また、〔2〕主位的調査請求と選択的に、被告が自由権規約及び子どもの権利条約の各規定に基づく調査義務を負うことの確認を求めるとともに、〔3〕被告が調査義務を怠ったことを理由として、主位的には不法行為に基づき、損害賠償として慰謝料等及び遅延損害金の支払を求め、予備的には分娩助産契約の債務不履行に基づき、損害賠償として慰謝料及び遅延損害金の支払を求めた事案で、本件訴えのうち本件調査請求に係る部分が不適法であるとはいえず、また本件訴えのうち本件義務確認請求に係る部分について、直ちに不適法であるとは認められないとしたうえで、本件各条約の各規定に基づき本件調査請求ないし本件義務確認請求に係る具体的な権利が原告に付与されていると解することはできないから、本件調査請求のうち、主位的調査請求は理由がなく、また、本件義務確認請求についても理由がないが、原告の本件分娩助産契約に基づく本件調査請求(予備的請求1)は、一部理由があるとして、請求〔1〕を一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2025.06.17
平群町メガソーラー林地開発許可処分取消請求事件
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LEX/DB25622468/奈良地方裁判所 令和 7年 3月25日 判決(第一審)/令和5年(行ウ)第20号
参加人が奈良県知事から森林法10条の2による林地開発許可を受けて生駒郡平群町に大規模太陽光発電所(いわゆるメガソーラー)を建設していることにつき、開発区域の下流域に居住する原告らが、被告・奈良県を相手に、林地開発許可処分の取消しを求めた事案で、原告らは、本件許可処分に係る開発行為に起因する水害等の災害が発生した場合に直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住するものと認められるから、本件許可処分の取消しを求める原告適格を有すると認められるとしたうえで、本件各調整池の計画容量が森林法10条の2第2項1号及び同項1号の2の要件に係る審査基準に適合するとした処分行政庁の判断は、その審査に用いた審査基準の設定につき処分行政庁の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとは認められず、当該審査基準への当てはめに誤りがあるとも認められないから、本件許可処分に違法があるとは認められないなどとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2025.06.10
懲戒免職処分取消等請求事件
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LEX/DB25574225/最高裁判所第一小法廷 令和 7年 4月17日 判決(上告審)/令和6年(行ヒ)第201号
上告人・京都市が経営する自動車運送事業のバスの運転手として勤務していた被上告人が、運賃の着服等を理由とする懲戒免職処分を受けたことに伴い、京都市公営企業管理者交通局長から、京都市交通局職員退職手当支給規程(昭和57年京都市交通局管理規程第5号の2)8条1項1号の規定により一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分を受けたため、上告人を相手に上記各処分の取消しを求め、第一審が本件全部支給制限処分の取消請求は理由がないとして請求を棄却したところ、被上告人が控訴し、控訴審が本件全部支給制限処分の取消請求を認容したことから、上告人が上告した事案で、本件着服行為の被害金額が1000円でありその被害弁償が行われていることや、被上告人が約29年にわたり勤続し、その間、一般服務や公金等の取扱いを理由とする懲戒処分を受けたことがないこと等をしんしゃくしても、本件全部支給制限処分に係る本件管理者の判断が、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできず、本件全部支給制限処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとした控訴審の判断には、退職手当支給制限処分に係る管理者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきであるとして、控訴審判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の控訴を棄却した事例。