2026.03.10
労働契約法20条違反による損害賠償請求事件

LEX/DB25574795/最高裁判所第二小法廷 令和 8年 2月13日 判決(上告審)/令和6年(受)第2399号
上告人(一審被告)・に雇用されていた被上告人(一審原告)らが、上告人・会社が労働契約に基づく一時金を支払わなかったことにより損害を被ったなどと主張して、上告人に対し、不法行為に基づき、一時金相当額及び弁護士費用相当額の損害賠償を求めるなどし、第一審が被上告人らの請求を一部認容したところ、被上告人ら及び上告人の双方が控訴し、控訴審が、本件において、有期雇用契約社員と正社員との間には、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に大きな差異があるのであるから、同一労働ということはできず、同一労働同一賃金の前提自体を欠くものであるなどとして、第一審判決を変更したところ、上告人が上告した事案で、被上告人らが賃金債権を有するのであれば、上告人においてその支払債務を履行しなかったとしても、契約に基づく金銭債務の不履行となるにすぎず、被上告人らは、上告人に対し、上告人による一時金の支払債務の不履行を理由として、一時金相当額を不法行為に基づく損害賠償として請求することはできないというべきであり、以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるから、原判決中、被上告人らの一時金に係る損害賠償請求に関する上告人敗訴部分は破棄を免れないとして、原判決中、一時金に係る損害賠償請求に関する上告人敗訴部分を破棄し、被上告人X39らの控訴を棄却し、上告人の扶養手当及び特別休暇に係る損害賠償請求に関する上告を却下し、上告人のその余の上告を棄却した事例。
2026.03.10
過失運転致死(変更後の訴因危険運転致死(予備的訴因過失運転致死))被告事件
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LEX/DB25626020/福岡高等裁判所 令和 8年 1月22日 判決(控訴審)/令和7年(う)第14号
被告人(当時19歳)が、普通乗用自動車を運転し、最高速度が法定により60km毎時と定められている道路を走行して交差点を直進するにあたり、その進行を制御することが困難な時速約194.1kmの高速度で自車を走行させて同交差点に進入したことにより、折から対向右折進行してきたP1(当時50歳)運転の普通乗用自動車左前部に自車前部を衝突させ、その衝撃により同人を車外に放出させて路上に転倒させ、よって、同人に骨盤骨折の傷害を負わせ、前記傷害に基づく出血性ショックにより死亡させたとして、過失運転致死(変更後の訴因危険運転致死、予備的訴因過失運転致死)の罪で、本位的訴因につき懲役12年、予備的訴因につき懲役5年を求刑され、原審が懲役8年を言い渡したところ、検察官及び被告人がそれぞれ控訴した事案で、原判決が進行制御困難高速度該当性を肯定する根拠として挙げた事実関係を総合してみても、具体的でない抽象的な可能性を指摘し、あるいは、考慮すべきでない事情を考慮するなど、進行制御困難高速度を肯定するに足りる立証がなされたとは認められないから、検察官の通行妨害目的類型に関する事実誤認ないし法令適用の誤りの論旨は理由がない一方で、弁護人の進行制御困難高速度類型に関する事実誤認ないし法令適用の誤りの論旨については、被告人が「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させ」たとは認められないから、進行制御困難高速度類型の危険運転致死罪の成立を認めた原判決の判断は是認することができず、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認ないし法令適用の誤りがあるのであって、原判決は破棄を免れないとしたうえで、本件で問われるべき罪責は、飽くまでも、故意犯である危険運転致死罪ではなく、過失犯である過失運転致死罪であるから、被告人の常軌を逸した身勝手極まりない運転行為によって突然に大切な親族を失った遺族の心情については十分に考慮すべきではあるが、過失運転致死罪のこれまでの量刑傾向、刑の実質的公平の観点をも踏まえたうえで判断するとして、原判決を破棄し、被告人を懲役4年6か月に処した事例。
2026.03.03
行政文書不開示決定取消請求事件
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LEX/DB25574756/最高裁判所第三小法廷 令和 8年 1月27日 判決(上告審)/令和7年(行ツ)第72号
上告人(第一審原告)が、行政機関の保有する情報の公開に関する法律3条に基づき、Bに関する死刑執行上申書の一切及び同書の添付資料の一切の開示を請求したところ、法務大臣から、同文書の存否を答えることにより同法5条1号及び4号所定の情報が開示されることと同様の効果が生じることを理由として、同法8条に基づき、本件対象文書の存否を明らかにしないで不開示とする旨の不開示決定を受けたことから、被上告人(第一審被告)に対し、同決定が違法であると主張して、その取消しを求め、第一審が、本件不開示決定は適法であり、請求は理由がないとして棄却したところ、上告人が控訴し、また、行政事件訴訟法7条、19条2項、民事訴訟法143条1項に基づき、行政事件訴訟法37条の3第5項の請求に係る訴え(本件対象文書の開示の義務付けを求める訴え)を追加し、控訴審が、第一審判決は相当であるとして控訴を棄却し、追加された訴えを不適法却下したことから、上告人が上告した事案で、控訴審は、本件文書に記録されている情報は、情報公開法5条1号及び4号所定の不開示情報に該当するから、本件決定は適法であるとして、上告人の本件決定の取消請求を棄却すべきものとし、本件文書の開示決定の義務付けを求める訴えを却下したが、本件文書の存否を答えるだけで、同各号所定の不開示情報を開示することとなるかについて判断をしておらず、そして、本件決定が適法であるというためには、この点に係る上告人の主張を排斥することが必要であることは明らかであり、原判決には、理由の不備の違法があるといわざるを得ないとして、原判決を破棄し、本件を名古屋高等裁判所に差し戻した事例。