2025.09.16
事務管理費用償還等請求事件
★「新・判例解説Watch」環境法分野 令和8年1月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
★
LEX/DB25574442/最高裁判所第一小法廷 令和 7年 7月14日 判決(上告審)/令和5年(受)第606号
福井県敦賀市内に設置された廃棄物の最終処分場に多量の廃棄物が処分され、その周辺の河川に汚染水が流入するなどの生活環境保全上の支障ないしそのおそれが生じたとして、同処分場をその区域内に有する地方公共団体である上告人(一審原告敦賀市)が、廃棄物処理業者への委託により一般廃棄物を同処分場に処分した被上告人(一審被告組合)らに代わって上記支障等を除去するための工事等を行い、そのための費用の支出を余儀なくされたと主張して、一審被告組合らに対し、事務管理に基づく有益費償還請求権、不当利得返還請求権、国家賠償法1条1項、民法715条1項及び同法709条に基づく損害賠償請求を求め、第一審が請求を一部認容、一部棄却をしたところ、一審原告が控訴し、一審被告組合らが附帯控訴し、控訴審が、一審原告の請求はいずれも理由がなく、これと異なる原判決は相当でないとして、一審被告組合らの各敗訴部分を取り消し、一審被告組合らに対する請求をいずれも棄却し、一審原告の控訴をいずれも棄却したことから、一審原告が上告した事案で、立地市町村が廃棄物の処理及び清掃に関する法律19条の7第1項に基づきその支障の除去等の措置を講じた場合には、その措置は当該立地市町村の事務としての性質を有するところ、この場合であっても、上記委託をした市町村が本来的にその支障の除去等の措置を講ずべき地位にあるものとしてこれを講ずる法的義務を負うことに変わりはなく、事務管理の成立が否定されるものではなく、そして、上記委託をした者が一般廃棄物の処理に関する事務を共同処理するために市町村によって設置された一部事務組合であっても異なるものではないとしたうえで、上告人の事務管理に基づく費用償還請求を棄却すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、本件を名古屋高等裁判所に差し戻した事例。
2025.09.16
産業廃棄物処理施設変更許可処分取消請求事件
★「新・判例解説Watch」環境法分野 令和7年10月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
★
LEX/DB25623080/千葉地方裁判所 令和 7年 6月27日 判決(第一審)/平成31年(行ウ)第8号
P1株式会社は、「P2センター」との名称の管理型最終処分場を運営しているところ、本件処分場の第1期埋立地の地下水の観測井戸から高濃度の塩化物イオンが検出されたことから、第1期埋立地への廃棄物の搬入は現在も停止されたままであるにもかかわらず、P1が、第2期埋立地の運用を開始し、次いで、処分行政庁に対し、埋立地を更に増設する内容の産業廃棄物処理施設変更許可申請をし、処分行政庁が、P1に対し、本件変更許可申請を許可する旨の処分をしたことは、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令等で定める許可の基準に適合していないにもかかわらずされた違法なものであると主張して、本件処分場の周辺に居住する原告らが、処分行政庁が属する被告・千葉県に対し、本件変更許可処分の取消しを求めた事案で、前記増設分の埋立地における遮水工等の設備は、いずれも基準省令の要件に適合するものであるから、本件変更許可処分には取り消されるべき違法はないと認められるとしたうえで、本件環境影響調査書の調査対象地域に居住等する原告らについては、本件変更許可処分の取消しを求める原告適格を有するものと認めることができるが、その他の原告らについては原告適格を有するものと認めることはできないとして、これらの原告らの訴えを不適法却下し、その余の原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2025.09.09
消極的確認請求事件、損害賠償請求反訴事件
★「新・判例解説Watch」知的財産法分野 解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25574340/東京地方裁判所 令和 7年 5月15日 判決(第一審)/令和5年(ワ)第70527号 他
本訴は、原告製品を製造販売する原告が、発明の名称を「環状タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤」とする発明に係る本件特許の特許権者である被告に対し、存続期間の延長登録を受けた本件特許権の効力は、原告製品の生産、譲渡及び譲渡の申出に及ばない旨を主張して、主位的にはその旨の確認を求めると共に、予備的に、被告が原告に対して本件特許権に基づく差止請求権及び本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権をいずれも有しないことの確認を求め、反訴は、被告が、本件特許権侵害の不法行為による損害賠償を求めた事案において、原告の本訴請求に係る訴えはいずれも確認の利益を欠くとして却下し、原告製品は、「成分、分量、用法、用量、効能及び効果」によって特定された「物」たるスプリセル錠と医薬品として実質同一であると認めることはできないから、延長登録された本件特許権の効力が原告製品の製造等に及ぶとはいえないとして、被告の反訴請求を棄却した事例。