2025.11.11
損害賠償請求事件

LEX/DB25623181/福島地方裁判所いわき支部 令和 7年 3月 5日 判決(第一審)/令和4年(ワ)第131号
原告が、平成23年3月11日に福島第一原子力発電所で発生した事故により、原告が所有していた各土地がいずれも使用不能となり、所有権が侵害されたと主張して、本件原発を設置・運営していた被告会社に対し、原子力損害の賠償に関する法律3条1項に基づき、本件各土地の価格相当額の損害賠償金等の支払を求めた事案で、本件事故により本件各土地の所在地は帰還困難区域に指定され、現在全く使用できず、無価値なものとなったというべきであるから、原告の損害については、本件各土地の本件事故当時の評価額を求めたうえで算定すべきであるところ、被告は、直接請求手続及びADR手続を通じて、原告に対し、本件各土地の財物賠償としての賠償金を支払っており、上記既払金を控除した後の残額である金額が原告の損害であると認められるから、原告の請求は前記の限度で理由があるとして、請求を一部認容した事例。
2025.11.11
被告変更許可申立却下決定に対する即時抗告事件(山口県周防大島町)(住民訴訟被告変更許可申立即時抗告事件(山口県周防大島町))

LEX/DB25623517/広島高等裁判所 令和 7年 1月 9日 決定(抗告審(即時抗告))/令和6年(行ス)第2号
抗告人らは、山口県大島郡周防大島町の町立病院に勤務していた医師が、当該病院における診療過程において発生した財産を横領するなどして周防大島町に損害を与え、また、周防大島町病院事業管理者であるCは、上記財産を適正に保管等する義務に違反したのに、相手方が本件医師やCに対して不法行為に基づく損害賠償請求権を行使していないことには、怠る事実の違法があると主張して、相手方・周防大島町長を被告として、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、相手方が本件医師及びCに当該損害賠償の請求をするよう求める基本事件を提起し、相手方が、周防大島町病院等事業に関する損害賠償請求を行う権限は、相手方ではなく、Cにある旨指摘したところ、抗告人らが、基本事件の被告を相手方からCに変更することを許可するよう申し立て、原審が、抗告人らには、同事件の被告を誤ったことにつき重大な過失があったといわざるを得ず、申立人らが「重大な過失によらないで」基本事件の被告を誤ったということはできないとして、本件申立てを却下したところ、抗告人らが抗告した事案で、行訴法15条1項の「重大な過失」とは、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態をいうと解すべきところ、周防大島町長にも権限があるかのような誤解を招く外観的事情が認められることに照らせば、ほとんど故意に近い著しい注意欠如があったとはいえず、抗告人らに行訴法15条1項の「重大な過失」があったとはいえないとして、原決定を取り消し、基本事件の被告を周防大島町長Yから周防大島町病院事業管理者Cに変更することを許可した事例。
2025.11.04
更正処分等取消請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」租税法野 令和7年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25623510/東京高等裁判所 令和 7年 7月23日 判決(控訴審)
Pを持株会社とする企業グループの構成法人の一つであった被控訴人が、Pグループ内の別法人5社を同一日に2段階に分けて合併し、被合併法人の繰越欠損金額を法人税法の規定に従い被控訴人の欠損金額とみなして法人税及び地方法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁が、企業再編税制における一般的否認規定である法人税法132条の2の規定により欠損金額の引継ぎを否認して、法人税及び地方法人税に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたことから、被控訴人が、控訴人・国に対し、本件各更正処分等の違法を主張して、(1)処分行政庁が被控訴人に対してした法人税に係る、〔1〕更正処分のうち連結所得金額24億8078万2256円及び納付すべき税額5億7978万8100円を超える部分、〔2〕過少申告加算税の賦課決定処分、(2)処分行政庁が被控訴人に対してした地方法人税に係る、〔1〕更正処分のうち課税標準法人税額5億7983万円及び納付すべき税額2551万2500円を超える部分、〔2〕 過少申告加算税の賦課決定処分、の取消しを求め、原審が、本件各合併につき法人税法132条の2を適用することはできず、本件各更正処分等は違法であるとして、被控訴人の請求を全部認容したところ、控訴人・国が控訴した事案で、本件各合併が法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当することを前提とした本件各更正処分等は違法であって、被控訴人の請求はいずれも理由があるとして、本件控訴を棄却した事例。