2025.10.21
自由権規約に基づく損害賠償請求事件
★「新・判例解説Watch」国際公法分野 令和7年解説記事の掲載を予定しております
★
LEX/DB25623374/東京地方裁判所 令和 7年 6月17日 判決(第一審)/令和4年(ワ)第528号
出入国管理及び難民認定法の規定に基づき、複数回にわたって入国者収容所等に収容された原告らが、同法の規定は市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)9条1項及び4項に反して無効であり、原告らの各収容はいずれも違法であるなどと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項又は自由権規約9条5項に基づき、各収容の慰謝料及び弁護士費用として、原告P1、原告P2それぞれについて金員及び遅延損害金の支払を求めた事案で、入管法は、自由権規約9条1項が禁じる恣意的拘禁を許容するものでも、同4項が保障する権利を否定するものでもなく、同法52条等について、自由権規約9条1項及び4項に違反し、無効であるとはいえないとしたうえで、本件各収容のうち、原告P1収容3、原告P2収容3及び同4は、いずれも比例性の要件(当該目的を達成する必要性が収容による個人の自由の剥奪という措置の重大性を上回っていること)を欠き、自由権規約9条1項、入管法52条5項に反し、違法であるというべきであり、また、国賠法1条1項の適用上違法であるとして、原告らの損害を算定し、原告らの請求を一部認容した事例。
2025.10.21
地位確認等請求控訴事件(日本郵便(住居手当)事件)

LEX/DB25623394/東京高等裁判所 令和 6年12月12日 判決(控訴審)/令和6年(ネ)第3124号
被控訴人(被告)会社と有期労働契約を締結し時間制契約社員として勤務していた控訴人(原告)らが、無期労働契約を締結して勤務している労働者(正社員)との間で、住居手当や病気休暇等の待遇に相違があることについて、労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前)又は短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条(平成30年法律第71号による改正後)に違反するなどとして、被控訴人に対し、損害賠償金等の支払を求め、原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したことから、控訴人らが控訴した事案で、被控訴人による正社員に対する住居手当を廃止する就業規則の改定が、労働契約法10条の要件を充足していないとは認められず、同法20条を潜脱する目的でされたとも認められないし、有給の病気休暇の日数についての新一般職と時給制契約社員との労働条件の相違についても不合理であるとはいえないところ、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2025.10.14
損害賠償請求事件
★「新・判例解説Watch」民事訴訟法分野 令和8年2月中旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25574518/最高裁判所第三小法廷 令和 7年 9月 9日 判決(上告審)/令和5年(受)第2207号
上告人が被上告人Y1に対しその占有する不動産の明渡しを求めて提起した本件明渡訴訟において、被上告人Y1に対し本件不動産の明渡しを命ずる判決が確定したところ、被上告人Y1は、弁護士である被上告人Y2を代理人として、京都地方裁判所に対し、本件確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、同年4月、これを本案とする民事執行法36条1項の強制執行の停止の申立てをし、同裁判所は、本件執行停止の申立てに基づき、被上告人Y1に担保を立てさせたうえ、本件確定判決による強制執行の停止を命ずる決定をしたうえで、被上告人Y1の請求を棄却する判決をしたことから、上告人が、被上告人Y1が本件執行停止の申立てをしたことは不法行為に当たるなどと主張して、被上告人らに対し、強制執行の遅延により生じた損害等の賠償を求め、控訴審が、上記事実関係の下において、本件執行停止の申立てに係る損害賠償請求につき、被上告人らが損害賠償責任を負うものではないとして、上告人の被上告人らに対する請求をいずれも棄却したため、上告人が上告した事案で、債権者が事実上又は法律上の根拠を欠くにもかかわらずされた強制執行の停止の申立てにより上記利益を侵害されることを受忍しなければならない理由はないのであって、強制執行の停止の申立てをする者は、上記利益が不当に侵害されることがないように、異議の事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査、検討する注意義務を負うものというべきであるところ、本件において上記注意義務違反があったか否かなどについて更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻すこととするとして、原判決中、被上告人らに対する強制執行の停止の申立てに係る損害賠償請求に関する部分を破棄し、本件を控訴審に差し戻すとともに、上告人のその余の上告を棄却した事例。