2026.04.21
行政処分取消請求事件
★「新・判例解説Watch」行政法分野 令和8年6月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25574887/最高裁判所第三小法廷 令和 8年 3月27日 判決(上告審)/令和7年(行ヒ)第25号
上告人(原告・被控訴人)が、その所持する本件ライフル銃をヒグマの駆除のために発射したところ、本件ライフル銃の所持についての許可を取り消す旨の処分を受けたため、被上告人(被告・控訴人)・北海道を相手に、本件処分の取消しを求め、第一審が上告人の請求を認容したところ、被上告人が控訴し、控訴審が、本件発射行為は、「建物等に向かってする銃猟行為」に当たるというべきであるとし、また、公安委員会の判断が、重要な事実を欠くか、又は社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものとして認めることはできないから、同公安委員会の判断が裁量権の逸脱・濫用に該当するとはいえないとして、第一審判決を取り消し、上告人の請求を棄却したことから、上告人が上告した事案で、上告人は、市から出動の要請を受けて赴き、一旦はヒグマを逃がすことを提案したものの、職員から住民が強く要望していることなどを理由として駆除を依頼されたものであり、本件発射行為に際し、安土の確保等に関する基本的な判断を誤った可能性も否定できないが、本件発射行為は、非常勤の公務員によって、周辺住民等の生命、身体、財産及び生活環境の保護に資するという重要な意義を有する活動の一環として行われたものということができ、その経緯に不適切な点は見当たらないとしたうえで、上告人が個人として受けている本件許可を取り消すことは、上告人に酷な面があるのみならず、鳥獣被害対策実施隊員が有害鳥獣の捕獲等の活動を行うことや、さらには民間人が同隊員に任命されること自体をちゅうちょさせるなど、周辺住民等の利益の保護に資する同隊員の職務の遂行に萎縮的な影響を及ぼし、ひいては、上記特措法の趣旨に沿わない事態を招くおそれを生じさせるものと考えられるから、本件発射行為を理由として本件許可を取り消すべきとした北海道公安委員会の判断は、重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き、本件処分は裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法というべきであり、以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決は破棄を免れないとして、原判決を破棄し、被上告人の控訴を棄却した事例(意見、補足意見あり)。
2026.04.21
在外被爆者損害賠償請求事件(第1事件、第2事件)

LEX/DB25626363/広島地方裁判所 令和 8年 1月28日 判決(第一審)/令和5年(ワ)第654号 他
第1事件及び第2事件は、いずれも、昭和20年8月6日に広島市に投下された原子爆弾により被爆した者の相続人で、大韓民国に居住する同国の国民である原告らが、原告らの被相続人ら(本件被爆者)は、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により被爆者健康手帳の交付を受けることができ、これに基づき、健康管理手当を受給することができたのに、被告(厚生省公衆衛生局長)が、日本国の領域を越えて居住地を移した被爆者には原爆特別措置法は適用されないとの解釈を示した通達を発出し、その解釈に基づく取扱いを継続したために、被爆後間もなく朝鮮半島に帰還していた本件被爆者は被爆者健康手帳の交付及び健康管理手当の支給を受けることを妨げられたのであり、上記の通達の発出及びそれに基づく取扱いが不法行為を構成すると主張して、国家賠償法1条1項に基づき、本件被爆者の損害賠償請求権のうち原告らがそれぞれ相続した分に係る損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めた事案で、本件失権取扱いは、法律上の根拠を有するものではなく、国家賠償法上違法であるというべきであり、本件被爆者は、本件失権取扱いがされなければ、被爆者健康手帳の交付を受け、健康管理手当を受給する意向を有していたと認められるところ、本件失権取扱いによりこれを違法に妨げられたのであるから、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償を請求する権利を有していたと認めることができるとしたうえで、本件損害賠償請求権については、消滅時効が完成するまでの間に、債権者である本件被爆者及び原告らによる権利行使を期待することを困難にさせる事情があったといえ、その事情を踏まえると、本件損害賠償請求権について被告が消滅時効を援用することは、権利の濫用に該当し、許されないというべきであるとして、原告らの請求をいずれも認容した事例。
2026.04.14
譲受債権等請求控訴事件
LEX/DB25626671/東京高等裁判所 令和 7年 8月27日 判決(控訴審)/令和6年(ネ)第5795号
被控訴人(原告)は、A信金において、控訴人(被告)会社に対し2億円を貸し付け、控訴人(被告)Y2が、A信金に対しこれを連帯保証し、被控訴人が、A信金から、これらに係る各債権を譲り受けたところ、最終弁済日の後である令和6年9月2日時点で、その残元金が6471万0257円、既発生の遅延損害金が4億4855万6899円であったとして、控訴人会社に対しては本件消費貸借契約に係る貸付残元金等返還請求権に基づき、控訴人Y2に対しては本件連帯保証契約に係る連帯保証債務履行請求権に基づき、貸金残元金及び遅延損害金の連帯支払を求めたところ、原審が被控訴人の各請求を全部認容したことから、控訴人らが各控訴を提起した事案で、A信金と控訴人会社との間で本件消費貸借契約は成立していない旨の控訴人らの各主張について、いずれも採用することができないとし、また、控訴人会社において、被控訴人から本件返還請求権を行使されることはないと信頼を抱く合理的根拠はないというべきであり、改正前民法93条ただし書が類推適用されることとなるとはいえないなどとし、被控訴人の各請求はいずれも理由があるあるとして、控訴人らの本件各控訴をいずれも棄却した事例。