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2022.11.29
映画上映禁止及び損害賠償請求控訴事件 new
LEX/DB25593461/知的財産高等裁判所 令和 4年 9月28日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第10024号
控訴人らが、被控訴人F及び被控訴人会社らは、控訴人らに対する取材映像等並びに控訴人B及び控訴人Dが作成した映像等を利用して本件映画を製作し、これを上映することにより、控訴人らに対する取材映像等について控訴人らが有する著作権及び著作者人格権を侵害し、控訴人B及び控訴人Dが作成した映像等について控訴人B及び控訴人Dが有する著作権並びに控訴人Bが有する著作者人格権を侵害したと主張して、被控訴人らに対し、本件映画の上映等の差止めを求めるとともに、控訴人らの肖像権、名誉権、控訴人Aのパブリシティ権を侵害したと主張して、それぞれ、各不法行為による損害賠償請求権に基づき、被控訴人らに対し、損害の一部としての賠償金等の支払等を求めたところ、原判決が控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2022.11.29
保護責任者遺棄致死、詐欺、窃盗被告事件 new
「新・判例解説Watch」刑法分野 令和5年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593462/福岡地方裁判所 令和 4年 9月21日 判決 (第一審)/令和2年(わ)第1494号 等
当時5歳の被害者の幼児が餓死した事件で、十分な食事を与えないよう被害者の母親Bに指示したとして保護責任者遺棄致死などの罪に問われた、いわゆる「ママ友」の被告人に、懲役15年を求刑された事案で、3人の子どもを愛情深く養育し幸せな家庭生活を送っていたBが、独断専行で子どもに食事を与えずに餓死させる理由は全く見当たらず、Bの生活全般を支配し、巧妙かつ悪質な手口で事件を主導したのは被告人であり、これだけの罪を犯しながら、客観的な証拠や事実関係が明らかにされても、なお不合理な弁解やBに責任を転嫁する供述を繰り返し、自らの責任に全く向き合っていないなどとして、被告人を求刑通り懲役15年に処した事例(裁判員裁判)。
2022.11.22
損害賠償請求事件
LEX/DB25593553/札幌地方裁判所 令和 4年10月19日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第295号
被告が開設し経営する被告病院において、入院治療中に死亡したP4の配偶者であるP1(令和4年7月20日に死亡し、原告がその訴訟上の地位を承継)及び子である原告が、被告に対し、〔1〕亡P4は、敗血症にり患し、急性腎不全の状態にあったから、造影剤を投与すべきではなかったにもかかわらず、造影CTを行うために造影剤を投与した注意義務違反があり、これにより急性腎不全を重篤化させるとともに、心原性ショックを生じさせ、その結果、乏尿状態となったのであるから、〔2〕大量の輸液投与をすべきではなかったにもかかわらず、これを行った注意義務違反があり、これらにより、亡P4に高カリウム血症を生じさせ、うっ血性心不全により死亡させたと主張し、被告に対し、診療契約上の債務不履行に基づき、それぞれ、損害金の支払等を求めた事案で、造影剤投与行為及び大量輸液行為によって、亡P4が死亡したとは認められず、造影剤投与行為及び大量輸液行為が注意義務違反であるとはいえないとして、原告の請求を棄却した事例。
2022.11.22
裁決取消請求事件
LEX/DB25593481/東京高等裁判所 令和 4年10月12日 判決 (第一審)/平成31年(行ケ)第8号
原告が船長として操船する第二●丸(●丸)が、未明に、きびなご刺し網漁のため、甲板員2名(兄2名。うち1名はP4)を乗せて、無灯火のまま航行して鹿児島県南さつま市坊津町所在の坊泊漁港泊地区の泊所在の船だまり(泊船だまり)から出港し、P5船長が操船する▲丸と、港口付近で衝突し、これにより、●丸の右舷船尾部に圧潰等を、▲丸の船首部及び船底部に破口、亀裂等をそれぞれ生じさせ、原告が入院加療約2箇月を要する右外傷性気胸等の傷害を負った海難事故(本件海難)についての海難審判事件において、門司地方海難審判所が、原告の小型船舶操縦士の業務を1箇月停止する一方、P5を懲戒しないとの裁決をしたところ、原告が、本件海難は、原告の職務上の過失によって生じたものではなく、P5の過失(見張り懈怠、安全な速力違反等)により生じたものであると主張して、本件裁決のうち原告の小型船舶操縦士の業務を1箇月停止した処分の取消しを求めた事案で、本件衝突と原告の無灯火との間には、因果関係があり、本件裁決における業務停止期間が法定の最短期間である1箇月であることも考慮すれば、やむを得ない範囲のものと認められ、本件裁決には裁量権を逸脱した違法はないとして、原告の請求を棄却した事例。
2022.11.15
各認知請求控訴事件
LEX/DB25572339/東京高等裁判所 令和 4年 8月19日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第1585号
いずれも提供精子を用いた生殖補助医療により生まれた控訴人A(長女)及び控訴人B(二女)が、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき女性への性別の取扱いの変更の審判を受けた被控訴人に対し、認知を求めた事案の控訴審において、同審判前に出生した控訴人Aの認知請求を認容し、同審判後に出生した控訴人Bの認知請求は棄却した事例。
2022.11.15
特許権侵害差止等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」知的財産法分野 令和5年2月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25572334/知的財産高等裁判所 令和 4年 7月20日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第10077号
名称を「表示装置、コメント表示方法、及びプログラム」とする特許第4734471号に係る特許権(本件特許権1)及び特許第4695583号に係る特許権(本件特許権2)を有する控訴人が、被控訴人FC2が提供する原判決別紙「被告らサービスの概要」記載の各サービスに用いられている別紙被控訴人らプログラム目録記載の各プログラムは本件特許1の請求項9及び10に係る各特許発明並びに本件特許2の請求項9ないし11に係る各特許発明の技術的範囲に属し、被控訴人ら各プログラムがインストールされた情報処理端末である別紙被控訴人ら装置目録記載の各装置は本件特許1の請求項1、2、5及び6に係る各特許発明並びに本件特許2の請求項1ないし3に係る各特許発明の技術的範囲に属し、被控訴人らによる被控訴人ら各装置の生産及び使用並びに被控訴人ら各プログラムの生産、譲渡、貸渡し及び電気通信回線を通じた提供並びに譲渡等の申出は本件各特許権を侵害すると主張し、被控訴人らに対して、〔1〕特許法100条1項に基づき、被控訴人ら各装置の生産及び使用並びに被控訴人ら各プログラムの生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止めを求め、〔2〕同条2項に基づき、被控訴人ら各プログラムの抹消を求め、〔3〕民法709条及び同法719条に基づき、損害賠償金等の連帯支払を求め、原審は、控訴人の請求を全部棄却したところ、控訴人は、これを不服として本件各控訴した事案で、原判決を変更し、控訴人の請求は被控訴人らに対し被控訴人らプログラム1の生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止め、被控訴人ら各プログラムの抹消並びに損害賠償金の連帯支払を求める限度で一部認容し、その余の請求は棄却した事例。
2022.11.08
選挙無効等請求事件
LEX/DB25572393/最高裁判所第二小法廷 令和 4年10月31日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第78号 等
東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)に基づいて令和3年7月4日に行われた東京都議会議員一般選挙について、江東区選挙区の選挙人である上告人が、本件選挙当時、本件条例のうち、〔1〕大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村及び小笠原村の区域を合わせて1選挙区(島部選挙区)とする規定(2条3項。本件島部選挙区規定)が公職選挙法271条、憲法14条1項等に違反するとともに、〔2〕各選挙区において選挙する議員の数を定める規定(3条。本件定数配分規定)が公職選挙法15条8項、憲法14条1項等に違反すると主張して、これらに基づき行われた本件選挙の江東区選挙区における選挙を無効とすること等を求めた上告審の事案において、本件選挙当時、本件島部選挙区規定及び本件定数配分規定が憲法の上記各規定に違反していたものとはいえないことは、当裁判所大法廷判決(最高裁平成11年(行ツ)第7号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1441頁等)の趣旨に徴して明らかというべきである(最高裁平成30年(行ツ)第92号、同年(行ヒ)第108号同31年2月5日第三小法廷判決・裁判集民事261号17頁参照)とし、本件請求を棄却した原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.11.08
審決取消請求事件((株)トーモクほか1名による審決取消請求事件)
「新・判例解説Watch」経済法分野 令和4年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593484/東京高等裁判所 令和 4年 9月16日 判決 (第一審)/令和3年(行ケ)第12号 等
被告(公正取引委員会)が令和3年2月8日付けでした平成26年(判)第139号ないし第142号排除措置命令及び課徴金納付命令審判事件に係る本件審決について、段ボール原紙を加工して段ボールシートを製造するとともに、段ボールシートを加工して段ボールケースを製造する事業者の原告らが、本件審決の基礎となった事実を立証する実質的な証拠に欠けるとともに、法令の解釈を誤るものであるなどと主張して、同審決の取消しを求めた事案で、本件審決に独占禁止法82条1項1号及び2号に該当する取消事由はないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2022.11.01
音楽教室における著作物使用に関わる請求権不存在確認請求事件
LEX/DB25572370/最高裁判所第一小法廷 令和 4年10月24日 判決 (上告審)/令和3年(受)第1112号
被上告人(音楽教室の運営者)らが、上告人(著作権等管理事業者)を被告として、上告人の被上告人らに対する本件管理著作物の著作権(演奏権)の侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権等が存在しないことの確認を求めた上告審の事案において、音楽教室の運営者と演奏技術等の教授に関する契約を締結した生徒のレッスンにおける生徒の演奏に関し、音楽教室の運営者らが本件管理著作物の利用主体であるということはできないとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.11.01
労働委員会命令取消請求事件(セブン-イレブン・ジャパン事件)
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和5年1月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593425/東京地方裁判所 令和 4年 6月 6日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第460号
コンビニエンスストア加盟店で組織する労働組合である原告が、全国においてコンビニエンスストアのフランチャイズ・チェーンを運営している参加人が原告による団体交渉の申入れに応じなかったことが不当労働行為に当たるとして、これに対する救済を申し立て、岡山県労働委員会が救済命令(本件初審命令)を発したところ、参加人がこれを不服として再審査を申し立て、中央労働委員会が初審命令を取り消したうえ、救済申立てを棄却する命令を発したことについて、原告が、本件命令の取消しを求めた事案で、参加人と本件フランチャイズ契約を締結する加盟者は、参加人との交渉上の対等性を確保するために労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められるかという観点からみて、同法上の労働者に当たるとは認められないところ、本件各団交拒否は同法7条2号所定の不当労働行為に当たるとはいえず、本件命令は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2022.11.01
損害賠償請求事件
LEX/DB25593434/東京地方裁判所 令和 4年 5月16日 判決 (第一審)/令和3年(ワ)第10253号
原告らが、〔1〕共同親権を有する父母の親権行使に関する意見対立が生じ、子が憲法上保障されている幸福追求権、生存権及び教育を受ける権利を実質的に行使することができなくなっている場合において、子の利益のために必要な決定を司法機関等が代わって行うための制度が存在しないこと、〔2〕父母が別居し、その子が一方親と同居している場合において、他方親が、その子に対する親権の行使における意思決定から事実上排除された場合であっても、これについて救済を求める制度が用意されていないこと等が、憲法24条2項に違反すると主張して、上記制度に係る立法措置を20年以上とらなかった立法不作為の違法を理由に、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告らそれぞれに対し慰謝料の支払等を求めた事案で、原告Aと婚姻関係にあるが別居中のCが「親権を行うことができないとき」(民法818条3項ただし書)に該当せず、原告AとCの子である原告Bの訴えは、適法な代理権を欠くため不適法であるとして却下し、原告Aの請求は、本件立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上、違法ではないとして棄却した事例。
2022.10.25
財産開示手続実施決定に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572361/最高裁判所第一小法廷 令和 4年10月 6日 決定 (許可抗告審)/令和3年(許)第16号
執行力のある債務名義である養育費支払等契約公正証書の正本を有する金銭債権の債権者である抗告人が、民事執行法197条1項2号に基づき、債務者である相手方について、財産開示手続の実施を申し立てたところ、原審が、本件債権は弁済により消滅したとして、原々決定を取消し、本件申立てを却下したため、抗告人が許可抗告した事案で、民事執行法197条1項2号に該当する事由があるとしてされた財産開示手続の実施決定に対する執行抗告においては、請求債権の不存在又は消滅を執行抗告の理由とすることはできないとし、これと異なる見解の下に、本件申立てを却下した原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2022.10.25
国家賠償請求事件
LEX/DB25593422/水戸地方裁判所 令和 4年 9月16日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第552号
カメルーン国籍の男性Aの母である原告が、東日本入管センターを設置していた被告(国)に対し、被告の公務員であった東日本入管センターの職員らは、Aの容態が急変した時点でAを救急搬送するべき義務があったのに、これを怠り、Aを救急搬送しなかったことにより、Aを死亡させたなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害金の一部である1000万円の支払等を求めた事案で、被告は、被告の公権力の行使に当たる公務員である上記職員らがその職務を行うについて、救急搬送を要請し、医療機関に救急搬送するべき注意義務があったのに、これを怠り、Aが心肺停止の状態で発見されるまで救急搬送を要請しなかった過失によって違法にAに加えた損害について、賠償する責任を負うとして、原告の請求は、被告に対し、損害金165万円の支払等を求める限度で一部認容した事例。
2022.10.18
取立金請求事件
LEX/DB25572355/最高裁判所第一小法廷 令和 4年10月 6日 判決 (上告審)/令和2年(受)第1462号
補償金の支払請求権を差し押さえた上告人が、被上告人(マンション建替事業の施行者)に対し、本件補償金及びこれに対する遅延損害金を供託の方法により支払うことを求めた取立訴訟で、原審は、上告人の請求を棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案で、被上告人は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項に基づく本件補償金の供託義務を負うところ、本件補償金の支払請求権に対して、上告人、北おおさか信用金庫及び近畿信用保証の各申立てに基づき、複数の差押命令が発せられ、差押えの競合が生じたのであるから、被上告人は、本件補償金について、同項及び民事執行法156条2項を根拠法条とする混合供託をしなければならないとし、被上告人は、本件供託をもって上告人に対抗することができないことになり、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、これを棄却した第1審判決を取消し、上記請求を認容した事例。
2022.10.18
開発許可差止請求事件(第1事件、第2事件)
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和4年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25593366/神戸地方裁判所 令和 4年 8月23日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第90号 等
原告P1、原告P2及び原告P3が、R社は、兵庫県丹波篠山市に所在する各土地上にホテルの新築工事の計画を進めており、本件新築工事を含む開発行為等につき、丹波篠山市まちづくり条例10条に基づく開発行為等の許可の申請をし、丹波篠山市長が同条に基づく許可をする蓋然性があるところ、本件許可処分により、原告らのまちづくりに参画する権利及び景観利益並びに原告P3の生活環境利益が侵害され、重大な損害を生ずるおそれがあるなどと主張して、被告(丹波篠山市)に対し、行政事件訴訟法3条7項に基づき、本件許可処分の差止めを求めた事案において、原告らについては、重大な損害を生ずるおそれがあるとは認められないとし、原告らの本件訴えはいずれも不適法であるとして却下した事例。
2022.10.11
業務上過失往来危険、業務上過失致死被告事件
LEX/DB25593276/神戸地方裁判所 令和 4年 8月 8日 判決 (差戻第一審)/令和3年(わ)第164号
被告人は、漁船Y丸(総トン数1.7トン)の船長として同船の操船業務に従事していたものであるが、平成29年10月14日午後8時2分頃、兵庫県淡路市α地先西防波堤南東端所在のB港西防波堤東灯台から真方位340度、約95メートル付近海上を、真針路152度、速力約20ノットで航行するに当たり、前方左右の見張りを十分に行い、自船針路上の他船の早期発見に努め、航路の安全を確認しつつ航行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、他船はいないものと軽信し、航行先である右前方に気を取られ、左前方の見張りを十分に行わず、航路の安全確認不十分のまま漫然前記速力で航行した過失により、その頃、前記灯台から真方位29度、約17メートル付近海上において、左前方から航行してきた漁船X丸(総トン数1.5トン)に気付かないまま、自船船首部を前記X丸船尾部に衝突させるなどして前記X丸の右舷船尾外板に亀裂等の損傷を与え、もって艦船の往来の危険を生じさせるとともに、自船船首部を前記X丸に乗船中のC(当時77歳)に衝突させるなどし、同人に右側頭部頭蓋冠骨折及び中頭蓋底横断骨折等の傷害を負わせ、同人を前記傷害による外傷性脳くも膜下出血及び脳挫滅・脳挫傷により死亡させたとして、業務上過失往来危険、業務上過失致死の罪で起訴され、差戻前第1審は無罪を言い渡したため、検察官が控訴し、差戻前控訴審は、本件事故発生時点において、被害船のローラー部分が前向きであったとの事実が認められないとした差戻前第1審には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして、同判決を破棄し、第1審に差戻しを命じことに対し、弁護人が上告したが、上告審は上告棄却の決定をした。その後の差戻後第1審判決の事案で、被告人は、被告船の進路前方左右の見張り等を十分行っていれば、遅くとも本件衝突の約8秒前よりも若干衝突時に近い時点(衝突位置の約85メートル手前の位置よりも若干衝突位置寄りの位置)から本件衝突までの間、被害船(その両色灯)を視認することが可能だったと認められ、被告船を一定針路かつ速力約20ノットで航行させた際の最短停止距離が約35.5メートルであったことに照らすと、前記の時点(位置)で直ちに制動(全速後進)措置を講じていれば、被害船に衝突する前に被告船を停止させることが十分に可能であったと認められ、被告人には前方左右の見張り等の注意義務を怠った過失が認められ、業務上過失往来危険及び業務上過失致死の各罪が成立することは明らかであるとして、被告人を禁錮1年2月に処し、この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予するとした事例。
2022.10.11
社員除名請求事件
「新・判例解説Watch」会社法分野 令和4年12月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25601488/東京地方裁判所 令和 3年11月29日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第28629号
合同会社である原告が、原告の業務執行社員である被告には会社法859条3号及び5号所定の除名事由があるとして、被告を原告の社員より除名することを求める事案において、会社法859条によれば、訴えをもって社員の除名を請求するためには、当該社員以外の社員の過半数の決議を要するものとされているところ、この要件は社員が3名以上である通常の場合を想定したものと解されることや、会社法においては社員が1名となったことが持分会社の解散事由とはされていないこと(会社法641条参照)などに照らせば、社員が2名の合同会社においても、このうち1名の社員の意思に基づき訴えをもって他の社員の除名を請求することができるものと解するのが相当であるとし、原告の請求を認容した事例。
2022.10.04
(三ッ星新株予約権無償割当差止仮処分命令申立事件)
LEX/DB25593190/最高裁判所第二小法廷 令和 4年 7月28日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第12号
抗告人の株主である相手方が、抗告人において取締役会の決議に基づき現に手続中の株主に対する新株予約権の無償割当てについて、〔1〕株主平等の原則に違反する法令違反がある、〔2〕著しく不公正な方法によるものである旨主張して、会社法247条1号及び2号の類推適用に基づき、本件新株予約権の無償割当てを仮に差し止めることを求めた基本事件において、大阪地方裁判所が相手方の本件申立てに理由があると認め、相手方に代わり第三者に3億円の担保を立てさせて、これを認容する仮処分決定をしたところ、これに対し、抗告人が保全異議の申立てをして、原々決定の取消しを求めたが、原審裁判所が原々決定を認可する旨の決定をしたため、抗告人が本件保全抗告をし、抗告審が、現経営陣による本件新株予約権の無償割当てによって相手方が著しい損害を被るおそれがあることが認められ、本件において、保全の必要性についての疎明があるといえるとして、本件保全抗告を棄却したことから、抗告人が許可抗告した事案で、本件の事実関係の下において、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができるから、抗告人の論旨は採用することができないとして、本件抗告を棄却した事例。
2022.10.04
賃借権不存在等確認請求控訴事件
LEX/DB25593194/東京高等裁判所 令和 3年 9月 9日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第421号
被控訴人会社との間で、本件土地につき建物所有を目的として賃貸借契約を締結している控訴人会社が、被控訴人から本件賃貸借契約には同契約を更新することなく当然に終了させる旨の合意があるなどと主張されていることから、本件賃貸借契約が借地借家法5条及び6条の適用のある賃貸借契約であることの確認を求める利益があると主張して、被控訴人との間でその確認を求め、原審が、本件の確認の訴えは即時確定の利益があるとはいえず、不適法であるとして却下したため、控訴人が控訴した事案で、本件借地権が借地借家法5条及び6条の適用を受けるものであるか否かは、本件借地権及び本件受益権の現在の財産的価格並びに本件土地及び本件建物に係る控訴人の権利関係全般に影響を及ぼす権利内容ということができるのであって、本件賃貸借契約の賃貸人である被控訴人が本件借地権につき上記各規定の適用による更新の余地を否定していることに照らせば、これにより控訴人の権利及び法的地位に危険又は不安が現存するものと評価すべきであり、その危険又は不安を除去するためには、本件の確認請求について判決をすることが必要かつ適切であると認めるのが相当であるところ、控訴人の訴えを却下した原判決は相当でないとしてこれを取り消し、本件を東京地方裁判所に差し戻した事例。
2022.09.27
分限免職処分取消請求事件
LEX/DB25572318/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 9月13日 判決 (上告審)/令和4年(行ヒ)第7号
普通地方公共団体である上告人(被告・控訴人)の消防職員であった被上告人(原告・被控訴人)が、任命権者である長門市消防長から、地方公務員法28条1項3号等の規定に該当するとして分限免職処分を受けたのを不服として、上告人を相手に、その取消しを求め、第一審は、本件処分を取消し、控訴審も第一審を維持したため、上告人が上告した事案で、免職の場合には特に厳密、慎重な判断が要求されることを考慮しても、被上告人に対し分限免職処分をした消防長の判断が合理性を持つものとして許容される限度を超えたものであるとはいえず、本件処分が裁量権の行使を誤った違法なものであるということはできないとし、本件処分が違法であるとした原審の判断には、分限処分に係る任命権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決を破棄し、事実関係等の下においては、本件処分にその他の違法事由も見当たらず、被上告人の請求は理由がないから、第1審判決を取消し、同請求を棄却した事例。