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2024.07.23
認知請求事件 new
「新・判例解説Watch」民法(家族法)分野 令和6年10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573598/最高裁判所第二小法廷 令和 6年 6月21日 判決 (上告審)/令和5年(受)第287号
いずれも提供精子を用いた生殖補助医療により生まれた第一審原告A及び第一審原告B(上告審上告人)が、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき女性への性別の取扱いの変更の審判を受けた第一審被告(上告審被上告人)に対し、認知を求めたところ、第一審が、第一審原告らと第一審被告との間に法律上の親子関係を認めることは現行法制度と整合しないから、本件各認知を認めることはできないというべきであるなどとして、第一審原告らの請求をいずれも棄却したため、第一審原告らが控訴し、控訴審が、同審判前に出生したAの認知請求を認容する一方、同審判後に出生したBの認知請求を棄却したことから、Bが上告した事案で、嫡出でない子は、生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し、その者の法的性別にかかわらず、認知を求めることができると解するのが相当であり、そして、本件事実関係等によれば、上告人Bは、被上告人に対し、認知を求めることができるというべきであるところ、それと異なる控訴審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるから、論旨は理由があり、控訴審判決中、上告人に関する部分は破棄を免れず、上告人の請求は理由があるとして、控訴審判決中、上告人に関する部分を破棄し、同部分につき第1審判決を取り消し、上告人が被上告人の子であることを認知した事例(補足意見あり)。
2024.07.23
電子計算機使用詐欺被告事件 new
「新・判例解説Watch」刑法分野 令和6年9月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25620093/広島高等裁判所 令和 6年 6月11日 判決 (控訴審)/令和5年(う)第24号
被告人が、被告人口座に振り込まれた本件誤振込金が被告人に無関係なものであることを認識しながら財産権の得喪、変更に係る不実の電磁的記録を作るなどして財産上不法の利益を得た行為をしたとして電子計算機使用詐欺の罪で懲役4年6か月を求刑された事案において、原審が被告人を懲役3年に処し、5年間その刑の執行を猶予したところ、(1)刑法246条の2の解釈の前提となる事実を誤認して同条の解釈適用を誤り、被告人に電子計算機使用詐欺罪の成立を認めた原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認ないし法令適用の誤りがある、(2)原審には、審理を尽くさないまま不意打ち的な認定をするなど、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があるとして、被告人が控訴した事案で、事実誤認ないし法令適用の誤りをいう論旨は理由がなく、また、訴訟手続の法令違反をいう論旨も理由がないとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.07.16
監護者性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件 
「新・判例解説Watch」刑法分野 令和6年7月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25620060/広島高等裁判所松江支部 令和 6年 5月31日 判決 (控訴審)/令和5年(う)第38号
被告人が、監護者性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の罪で懲役9年を求刑され、原審が、被告人を懲役6年に処したところ、被告人が控訴した事案で、被告人は、Bを現に監護する者であるAと共謀し、現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてBと性交をしたと認められるから、被告人に対し、刑法65条1項により、監護者性交等罪の共同正犯の成立を認めた原判決に誤りはなく、判決に影響を及ぼすような法令適用の誤りもないとし、また、原判決の量刑事情に関する認定、評価に論理則、経験則等に照らして不合理な点はなく、量刑判断も不当とはいえないとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.07.16
所得税更正処分取消等請求控訴事件 
「新・判例解説Watch」租税法分野 令和6年8月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25620054/東京高等裁判所 令和 6年 1月25日 判決 (控訴審)/令和5年(行コ)第105号
亡Eの相続人である1審原告らは、亡Eの本件銀行に対する債務を相続し、その後、同債務について亡Eと本件銀行との間で成立していた一定額の分割金を支払った場合には残部について債務免除をするとの裁判上の和解に基づき、本件銀行から上記債務の分割金支払後の残部(本件債務)について免除を受けたが、その免除益に関する所得を申告せずに平成28年分の確定申告を行ったところ、本件債務の免除によって得た利益は一時所得に係る総収入金額に当たり、そこから所定の方法で算出した一定の金額を総所得金額に算入すべきであるとして、処分行政庁から所得税及び復興特別所得税の更正及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定を受けたことから、1審原告らが、1審被告・国に対し、本件各処分の違法を主張して、その取消しを求め、原審が、1審原告らの請求のうち、原判決記載の課税標準及び税額を超える部分についてのみ本件各処分を取り消し、その余を棄却したところ、1審原告ら及び1審被告が、それぞれ控訴した事案で、本件債務免除益は、被相続人の亡Eから1審原告らが承継した本件銀行に対する債務であって、本件和解の約定により免除を受ける可能性が極めて高いことから相続税の修正申告の際の課税価格の算定にあたって相続税法14条1項の「確実と認められるもの」に当たらないとして相続財産から控除されなかった本件債務が、その後に本件和解の約定に基づき本件銀行により免除された場合における債務免除に係る1審原告らの利益であるといえ、そして、本件においては、特段の事情は見当たらないから、本件債務免除益に所得税の課税をすることは、所得税法9条1項16号に反して許されず、本件各処分は、取り消されるべきであって、1審原告らの請求は理由があるから、これを全部認容すべきであるとして、1審原告らの控訴に基づき、原判決を変更し、1審被告の控訴を棄却した事例。
2024.07.09
出願却下処分取消請求事件 
「新・判例解説Watch」知的財産法分野 令和6年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573535/東京地方裁判所 令和 6年 5月16日 判決 (第一審)/令和5年(行ウ)第5001号
原告は、特願2020-543051に係る国際出願をしたうえ、特許庁長官に対し、特許法184条の5第1項所定の書面に係る提出手続をし、そして、国内書面における発明者の氏名として、「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」と記載したが、これに対し、特許庁長官は、原告に対し、発明者の氏名として自然人の氏名を記載するよう補正を命じたものの、原告が補正をしなかったため、同条の5第3項に基づき、本件出願を却下する処分をしたところ、原告が、被告に対し、特許法にいう「発明」はAI発明を含むものであり、AI発明に係る出願では発明者の氏名は必要的記載事項ではないから、本件処分は違法である旨主張して、本件処分の取消しを求めた事案で、本件処分をしたことは、適法であると認めるのが相当であり、自然人を想定して制度設計された現行特許法の枠組みの中で、AI発明に係る発明者等を定めるのは困難であり、原告は、民法205条が準用する同法189条の規定により定められる旨主張するものの、同条によっても、果実を取得できる者を特定するのは格別、果実を生じさせる特許権そのものの発明主体を直ちに特定することはできないというべきであるなどとして、原告の請求を棄却した事例。
2024.07.09
各工事実施計画認可取消請求控訴事件 
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和6年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25620029/東京高等裁判所  令和 5年11月28日 判決(控訴審)/令和3年(行コ)第19号
(1)甲事件は、参加人が、国土交通大臣に対し、中央新幹線(品川・名古屋間)の建設のうち土木構造物関係分の工事に関する工事実施計画(本件計画(その1))の認可の申請をしたところ、国交大臣が、全国新幹線鉄道整備法9条1項に基づく認可(9条認可)として、本件計画(その1)の認可をしたことについて、本件事業が実施されることが予定されている地域を含む東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、長野県、岐阜県、愛知県の7都県等に居住する甲事件原審原告らが、本件認可(その1)は違法であると主張して、その取消しを求め、乙事件は、参加人が、国交大臣に対し、本件事業のうち本件計画(その1)に係る工事以外の工事に関する工事実施計画(本件計画(その2))の認可の申請をしたところ、国交大臣が、9条認可として、本件計画(その2)の認可(本件認可(その2))をしたことについて、本件7都県のうち東京都、静岡県、長野県、岐阜県、愛知県に居住する乙事件原審原告らが、本件認可(その2)は違法であると主張して、その取消しを求めたところ、原審が、原審原告らの各訴えはいずれも原告適格を欠き不適法であるとして、同原告らの各訴えを却下する判決をしたことから、原審原告らの一部(控訴人ら)が控訴した事案で、控訴人らのうち一部は、工事の進行に伴う建設機械の稼働等に起因する水質の汚濁による健康又は生活環境に係る被害を受けない利益を根拠として、それぞれ、本件各認可の取消しを求める訴訟における原告適格を有するものというべきであるから、原審において本案につき更に弁論を尽くさせるべきであるとして、原判決中、控訴人らのうち一部に対し各訴えを却下した部分を取り消し、上記取消しに
2024.07.02
強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制性交等未遂、強制性交等被告事件 
「新・判例解説Watch」刑法分野 令和6年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573543/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 5月21日 判決 (上告審)/令和5年(あ)第1032号
被告人が、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制性交等未遂、強制性交等の罪で起訴され、第1審が被告人を懲役7年に処したところ、被告人が控訴し、控訴審が、児童ポルノ法7条5項を適用した第1審判決を支持し、控訴を棄却したことから、被告人が上告した事案で、同法が、処罰対象となる児童ポルノ製造の範囲を拡大するために制定されたという立法の趣旨及び経緯、並びに、同条4項、5項の各児童ポルノ製造罪の保護法益及び法定刑に照らせば、児童に姿態をとらせ、これをひそかに撮影するなどして児童ポルノを製造したという事実について、当該行為が同条4項の児童ポルノ製造罪にも該当するとしても、なお同条5項の児童ポルノ製造罪が成立し、同罪で公訴が提起された場合、裁判所は、同項を適用することができると解するのが相当であり、本件各児童ポルノ製造の事実について児童ポルノ法7条5項を適用した第1審判決を是認した原判断は正当であるから、刑事訴訟法410条2項により所論引用の判例を変更し、原判決を維持するのを相当と認めるから、所論の判例違反は、結局、原判決破棄の理由にならないとし、その余の上告趣意について、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でないか、引用の判例が所論のような趣旨を示したものではないから前提を欠くものであり、その余は、単なる法令違反、量刑不当の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらないとして、本件上告を棄却した事例。
2024.07.02
占有回収等請求控訴事件 
LEX/DB25599733/東京高等裁判所 令和 6年 5月15日 判決 (控訴審)/令和5年(ネ)第4755号
控訴人(原告)は、本件建物を購入し、妻である被控訴人(被告)及び長男であるCと居住していたが、本件建物を出て被控訴人及び長男と別居したものの、その後も本件建物を度々訪れて長男の世話をしていたところ、被控訴人は、本件建物の鍵を控訴人に無断で交換したことから、控訴人が、被控訴人に対し、(ア)被控訴人による鍵の交換は占有の侵奪に当たる旨主張して、占有回収の訴えによる物の返還及び損害賠償請求(民法200条1項)として、〔1〕本件建物の引渡し及び控訴人との共同占有を、〔2〕引渡済みまで1か月15万円の割合による金員の支払をそれぞれ求め、(イ)長男との人格的交流の機会を奪われたと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料等の支払を求め、(ウ)占有侵奪の不法行為及び長男との人格的交流の機会を奪われた不法行為に基づく損害賠償請求として、弁護士費用等の支払を求めたところ、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案で、被控訴人の主張する占有権喪失の抗弁は理由がなく、控訴人は別居後もなお本件建物を占有していたものと認められるところ、被控訴人は、本件建物の鍵を控訴人に無断で交換し、もって控訴人による本件建物の占有・利用を妨げたのであって、控訴人は本件建物の占有を侵奪されたというべきであるとし、また、本件において、被控訴人は本件建物の鍵を控訴人に無断で交換し、もって控訴人の本件建物に対する占有を侵奪したものであるから、かかる占有侵奪については不法行為が成立し、また被控訴人が本件建物の鍵を無断で交換するなどし、もって控訴人と長男との父子交流を妨げた行為については、不法行為が成立するとして、原判決を変更し、控訴人の請求を一部認容した事例。
2024.06.25
窃盗、道路交通法違反、殺人被告事件 
LEX/DB25573554/最高裁判所第一小法廷 令和 6年 5月27日 判決 (上告審)/令和5年(あ)第292号
被告人が、無差別に狙った2名の被害者にトラックを衝突させて殺害したとして、殺人、窃盗、道路交通法違反の罪に問われ、第一審が被告人に死刑を言い渡したため、被告人が控訴し、控訴審が、第一審判決が死刑の選択をやむを得ないと認めた判断には、具体的、説得的な根拠が示されているということはできず、不合理な判断をしたものといわざるを得ないとして、第一審判決を破棄し、被告人を無期懲役に処したところ、検察官が上告した事案で、検察官の上告趣意は、判例違反をいう点を含め、実質は量刑不当の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとしたうえで、本件は被害者2名に対する殺人を含む事件であり、その動機は身勝手かつ自己中心的であるというほかなく、被告人の刑事責任は誠に重いものの、犯情を総合的に評価すると、死刑を選択することが真にやむを得ないとまではいい難く、第一審の死刑判決を破棄し、被告人を無期懲役に処した控訴審判決が、刑の量定において甚だしく不当であってこれを破棄しなければ著しく正義に反するものということはできないとして、本件上告を棄却した事例。
2024.06.25
覚醒剤取締法違反(変更後の訴因覚醒剤取締法違反、関税法違反)被告事件 
LEX/DB25599348/東京地方裁判所 令和 6年 3月12日 判決 (第一審)/令和4年(合わ)第49号
被告人が、氏名不詳者らと共謀のうえ、営利の目的で、みだりに、アラブ首長国連邦において、覚醒剤であるフェニルメチルアミノプロパンを含有する固形物約14万8210.8グラムを隠し入れた航空小口急送貨物1個を、埼玉県春日部市「B」宛てに発送し、もって覚醒剤を本邦に輸入するとともに、東京税関成田航空貨物出張所において、同出張所職員による検査を受けさせ、もって関税法上の輸入してはならない貨物である覚醒剤を輸入しようとしたが、同職員に発見されたため、その目的を遂げなかったとして、覚醒剤取締法違反(変更後の訴因 覚醒剤取締法違反、関税法違反)の罪で懲役18年及び罰金800万円、覚醒剤8個の没収を求刑された事案で、検察官が指摘する事情をみても、被告人が本件貨物内に違法な物が入っているかもしれないと認識していたといえる決定的な事情はなく、また、検察官が指摘する事情の中には、そのような認識を有していた方向で理解できるものもあるが、被告人の供述等を踏まえると、別の見方もできるものでもあり、その推認力は乏しいから、検察官が指摘する事情を総合しても、被告人が本件貨物内に違法な物が入っているかもしれないという認識があったと推認することはできず、本件で取り調べた証拠によっては、被告人において、本件貨物内に覚醒剤を含む違法薬物はもとより違法な物が入っているかもしれないという認識があったと認めるには合理的な疑いが残るとして、被告人に無罪を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2024.06.18
損害賠償請求事件 
LEX/DB25599625/函館地方裁判所 令和 6年 5月 8日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第175号
原告P1が、被告八雲町が運営する病院の産婦人科で被告P3ら医師から処方を受けていた経口避妊薬であるアンジュ28錠の服用により脳静脈洞血栓症を発症し、重度の身体障害等を負ったとして、(1)原告P1が、主位的に、被告P3に対しては不法行為に基づき、被告八雲町に対しては使用者責任に基づき、連帯して金員の支払を求めるとともに、予備的に、被告八雲町に対し、債務不履行に基づき、上記と同額の損害賠償金等の支払を求め(原告P1の主位的請求及び予備的請求1)、(2)原告P1が、更に予備的に、被告P3には、本件薬剤を投与する前に原告P1の血圧を測定しなかった過失があり、これにより、原告P1への投与は本件薬剤が適正に使用された場合に当たらないとされ、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から副作用救済給付を受けられなかった旨主張し、被告らに対し、不法行為に基づき、連帯して、損害賠償金等の支払を求め(原告P1の予備的請求2)、(3)原告P1の夫である原告P2が、原告P1に対する被告P3の前記の不法行為によって自身も精神的苦痛を被った旨主張し、被告P3に対しては不法行為に基づき、被告八雲町に対しては使用者責任に基づき、損害賠償金等の支払を求めた(原告P2の請求)事案で、本件処方には、添付文書上要求される血圧測定等を行わずに漫然と本件薬剤を処方した注意義務違反が認められ、原告P1と被告八雲町との間の診療契約に基づいて行われたものであるから、説明義務違反の有無等について判断するまでもなく、被告八雲町には債務不履行に基づく損害賠償責任が認められるとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2024.06.18
各電子計算機使用詐欺被告事件 
「新・判例解説Watch」刑法分野 解説記事が掲載されました
LEX/DB25599425/大阪地方裁判所 令和 6年 5月 8日 判決 (第一審)/令和5年(わ)第589号 等
被告人3名が、それぞれ電子計算機使用詐欺で起訴され、被告人Aにつき懲役1年6か月、被告人Bにつき懲役1年、被告人Cにつき懲役10か月を求刑された事案で、本件ETCシステムにおいて、本件ETCカードを使用するのは名義人本人のみであり、名義人である被告人Cが同乗していない状態で、被告人Aと被告人Bが本件ETCカードを使用することは、「虚偽の情報」を与えたといえるとし、また、被告人Cは、本件ETCカードを被告人Aらが使用することを認識しながら、被告人Aらに貸したのであるから、電子計算機使用詐欺罪の共謀があったと認められ、また、被告人らの行為は、共謀による電子計算機使用詐欺罪の構成要件を充足するものと認められるから、被告人らは電子計算機使用詐欺罪の共同正犯の罪責を負うものと判断するとしたうえで、被告人Aは、異種とはいえ累犯前科があるのに本件各犯行に及んでおり、実刑とせざるを得ないが、被告人Bには考慮すべき前科はなく、被告人Cには前科がないことなどを踏まえると、両名については、それぞれ懲役刑を科したうえで、刑の執行を猶予するのが相当であるとして、被告人3名をそれぞれ懲役10か月に処し、被告人B及び被告人Cに対し、3年間、それぞれその刑の執行を猶予した事例。
2024.06.11
難民不認定処分取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」国際公法分野 令和6年10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25599424/名古屋地方裁判所 令和 6年 5月 9日 判決 (第一審)/令和3年(行ウ)第38号
シリア国籍を有する外国人男性である原告が、出入国管理及び難民認定法61条の2第1項の規定に基づき本件難民申請をしたところ、名古屋入管局長から難民の認定をしない旨の本件不認定処分を受けたため、同法61条の2の9第1項に基づく本件審査請求をしたが、法務大臣から本件審査請求を棄却する旨の本件棄却裁決を受けたことから、被告・国を相手として、本件不認定処分及び本件棄却裁決の各取消し並びに難民の認定の義務付けを求めた事案で、原告は、その政治的意見(それに基づく兵役忌避)を理由として、シリア政府から通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃又は圧迫であって、生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を受けるおそれがあるという恐怖を抱くような個別的かつ具体的な事情が認められるから、「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」と認められるというべきであり、また、原告が「国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの」であることも明らかであるから、原告は難民に該当するものと認められるなどとして、原告の請求をいずれも認容した事例。
2024.06.11
罷免訴追事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年7月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25599459/裁判官弾劾裁判所 令和 6年 4月 3日 判決 /令和3年(訴)第1号
平成6年4月13日、判事補に任命され、その後、平成31年4月1日仙台高等裁判所判事兼仙台簡易裁判所判事に補せられ、今日に至っている被訴追者は、平成9年頃からホームページを作成し、法律に携わる人に有益な情報提供をするための媒体にしていったが、コメント欄への不適切な書き込みによりそのサイトは平成18年に閉鎖せざるを得なくなり、平成20年、法律情報を法律関係の方々に伝達する手段として被訴追者の実名が付されたアカウントによるツイッターを始めたところ、被訴追者は、裁判官であることが他者から認識することができる状態で当該投稿等を行い、不特定多数の者が閲覧可能な状態にしたとして、訴追委員会が、被訴追者を罷免することを求めた事案で、被訴追者による刑事事件投稿等行為群(〔3〕〔10〕を除く)につき、裁判官弾劾法31条2項但書に基づき、本件審理に関与した裁判員の3分の2以上の多数意見により、同法2条2号を適用するとして、被訴追者を罷免した事例。
2024.06.04
法人税青色申告承認取消処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和6年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」租税法分野 令和6年7月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573500/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 5月 7日 判決 (上告審)/令和5年(行ツ)第334号
上告代理人の上告理由のうち憲法31条違反をいう部分について、税務署長が上告人に対してした、上告人の平成30年7月1日から令和元年6月30日までの事業年度以後の法人税に係る青色申告の承認の取消処分(本件処分)につき、事前に防御の機会が与えられなかったことをもって、本件処分が違憲であるとの論旨で、法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、その処分により制限を受ける権利利益の内容、性質等に照らし、その相手方に事前に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反するものとはいえないなどとして、本件上告を棄却した事例(反対意見、補足意見がある)。
2024.06.04
虐待認定違法確認等請求控訴事件
LEX/DB25599317/東京高等裁判所 令和 6年 4月18日 判決 (控訴審)/令和5年(行コ)第255号
障害児通所支援事業(放課後等デイサービス)を行う事業所を運営する控訴人(原告)が、被控訴人(被告)・大田区から、同事業所に通所していた児童に対する控訴人代表者の行為が心理的虐待及びネグレクトに該当する旨の認定(本件虐待認定等)、並びに、上記控訴人代表者の行為に関する改善案等の提出による報告の求め(本件報告の求め)を受けたことにつき、本件虐待認定等は前提とする事実を誤り、その評価も不合理なものであって違法であり、また、本件虐待認定等が適法であることを前提とする本件報告の求めに従う義務もないなどとして、本件虐待認定等が違法であることの確認を求める(本件各違法確認請求)とともに、本件報告の求めに応じる義務がないことの確認を求め(本件義務不存在確認請求)、併せて、被控訴人から本件虐待認定等及び本件報告の求めを受けたことにより控訴人の事業に多大な損害が生じたなどとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金等の支払を求め、原審が本件訴えのうち、本件各確認請求に係る部分をいずれも却下し、控訴人のその余の請求を棄却したところ、控訴人がこれを不服として控訴した事案で、本件各違法確認請求が控訴人の有する権利又は法律的地位に存する危険又は不安を除去するために必要かつ適切であるということはできず、同請求に係る訴えには確認の利益がないとし、被控訴人の担当職員らによる本件虐待認定、及び、本件ネグレクト認定が国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとして、原判決は結論において相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.05.28
サケ捕獲権確認請求事件
「新・判例解説Watch」国際公法分野 令和6年7月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25599018/札幌地方裁判所 令和 6年 4月18日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第22号
北海道十勝郡浦幌町内に居住するアイヌで構成される団体であって、権利能力なき社団である原告が、被告・国及び被告・北海道に対し、原告はアイヌの集団としての固有の権利である内水面におけるサケ捕獲権(本件漁業権)を有する旨主張するとともに、内水面におけるさけの採捕を原則として禁止する水産資源保護法28条が原告の漁業(本件漁業)に関する限り無効である旨主張して、原告が本件漁業権を有することの確認を求めるとともに、水産資源保護法28条は本件漁業に関する限り無効であることの確認を求めた事案で、現行法上、北海道の内水面においてさけの漁業を営むことはできず、アイヌの人々の文化享有権の行使との関係において、さけの採捕は最大限尊重されるべきものであることを考慮しても、原告が本件漁業権を文化享有権の一環又は固有の権利として有すると認めることはできないところ、原告の本件無効確認の訴えは確認の利益を欠き不適法であるとして却下し、本件漁業権確認の訴えに係る請求は理由がないとして棄却した事例。
2024.05.28
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25599174/東京高等裁判所 令和 6年 1月17日  判決 (控訴審)/令和5年(ネ)第3826号
控訴人(原告)は、かつて、「金融商品取引法」に改題される前の旧証券取引法違反の罪により逮捕及び起訴され、有罪判決を受けて服役したことがある者であるが、被控訴人(被告)会社がそのウェブページに控訴人の実名と共に上記前科等の事実を摘示したことは、控訴人の名誉を毀損し、プライバシーを侵害するものであるとして、控訴人が、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償金等の支払を求め、原審が控訴人の請求を棄却したことから、控訴人が控訴した事案で、本件記述は、控訴人が当該報道をされるような人物であるとの印象を閲覧者に与える面があること自体は否定できず、その意味において、控訴人の社会的評価を低下させる要素を含むものといわざるを得ないが、被控訴人の行為は、被控訴人の株主等に対して投資判断の材料となる情報を迅速かつ的確に提供することを目的としていたものと認められ、閲覧者が本件記述の意味内容、性格等について誤解を生ずる余地はないから、控訴人の社会的評価を違法に低下させる行為には当たらないと解するのが相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.05.21
損害賠償等請求事件
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和6年8月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573488/最高裁判所第二小法廷 令和 6年 4月26日 判決 (上告審)/令和5年(受)第604号
被上告人に雇用されていた上告人が、被上告人から、職種及び業務内容の変更を伴う配置転換命令を受けたため、同命令は上告人と被上告人との間でされた上告人の職種等を限定する旨の合意に反するなどとして、被上告人に対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求等をしたところ、原審は本件損害賠償請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、上告人と被上告人との間には、上告人の職種及び業務内容を本件業務に係る技術職に限定する旨の本件合意があったというのであるから、被上告人は、上告人に対し、その同意を得ることなく総務課施設管理担当への配置転換を命ずる権限をそもそも有していなかったとし、被上告人が上告人に対してその同意を得ることなくした本件配転命令につき、被上告人が本件配転命令をする権限を有していたことを前提として、その濫用に当たらないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中、不服申立ての範囲である本判決主文第1項記載の部分(本件損害賠償請求に係る部分)を破棄し、本件配転命令について不法行為を構成すると認めるに足りる事情の有無や、被上告人が上告人の配置転換に関し上告人に対して負う雇用契約上の債務の内容及びその不履行の有無等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2024.05.21
勾留の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25573490/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 4月24日  決定 (特別抗告審)/令和6年(し)第262号
刑事訴訟法207条の2の規定について、被疑者を勾留するに当たり、その理由を被疑事件を特定して告げるものとはいえず、また、被疑者が弁護人に依頼する権利を侵害するとして、憲法34条違反の主張につき、前提を欠き、刑事訴訟法433条の抗告理由に当たらないとして、抗告を棄却した事例。