注目の判例

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2021.10.05
制汗スプレー衣服変色損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25590658/東京高等裁判所 令和 2年 9月 3日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第476号
控訴人(原告)が、被控訴人(被告。化粧品等の製造及び販売等を業とする株式会社)に対し、被控訴人が製造販売するスプレータイプの本件制汗剤等を使用したことにより控訴人が着用した各肌着が変色するという被害を受けたとして、製造物責任法3条に基づき、各肌着の購入代金相当額の損害金1万2652円、債務不履行に基づき、本件制汗剤等の購入代金相当額の損害金3324円の合計1万5976円の支払を求め、原判決は、本件制汗剤等の使用と各肌着の変色との間に相当因果関係があると認めるに足りず、控訴人に損害が生じたとも、控訴人と被控訴人の間に契約関係があるともいえないとして、控訴人の請求を全部棄却したため、控訴人は、これを不服として、控訴した事案において、本件制汗剤等の使用と本件各肌着の変色との間に相当因果関係を認めるには十分ではないと判示し、控訴人の本件請求を棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2021.09.28
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、暴行被告事件
LEX/DB25590567/東京高等裁判所 令和 3年 9月 2日 判決 (控訴審)/令和3年(う)第256号
原判決は、被告人が、〔1〕2回にわたり、犯罪収益の一部である現金を、その情を知りながら、Bから受け取って、犯罪収益を収受した、〔2〕被害者の首付近を締め付ける暴行を加えたという事実を認定し、被告人を懲役1年6月及び罰金30万円に処したため、被告人が控訴した事案において、被告人の行為が、いずれも「収受」に該当するとした原判決の判断は維持することはできず、これらを認定した部分を破棄し、公訴事実中、組織的犯罪処罰法違反の点については、犯罪の証明がないので刑事訴訟法336条により無罪を言い渡し、本件暴行の点については、原判決も指摘するとおり突発的なものであり、前科も暴力を内容とするようなものでないことを踏まえ、また、組織的犯罪処罰法違反の点については上記のとおり処罰されないことを前提とすると、一方的で軽微とはいえない態様を考えても、懲役刑を選択するべき事案とまではいえず、かろうじて罰金刑を相当とする範囲にとどまるといえるから、被告人に対して、罰金30万円の刑に処した事例。
2021.09.28
保険金請求事件
LEX/DB25590566/山口地方裁判所 令和 3年 7月15日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第52号
原告と損害保険会社である被告が,茨城県神栖市所在の建物について火災保険を含む損害保険契約を締結していたところ、保険期間中である平成29年3月26日、本件建物が火災により全焼したとして、原告が、被告に対し、本件保険契約による保険金請求権に基づき、約定保険金8800万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件火災発生までの間に、本件建物は「建物の使用目的を変更し、居住用ではなくなった」ということができるので、被告は、原告に対し、本件約款第4章第8条4項に基づき、本件保険契約を解除することができるとし、原告の請求を棄却した事例。
2021.09.21
窃盗被告事件
LEX/DB25571712/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 9月 7日 判決 (上告審)/令和3年(あ)第1号
被告人が、スーパーマーケットで食料品10点を窃取し窃盗の罪で起訴された事件で、第1審判決は、被告人が、本件犯行時、心神耗弱の状態にあったとして、被告人を懲役4月に処したことに対し、検察官が控訴し、原判決は、完全責任能力を認め、被告人を懲役10月に処したため、被告人が上告した事案において、被告人は行動制御能力が著しく減退していた合理的疑いが残るから心神耗弱の状態にあったとした第1審判決について、その認定は論理則、経験則等に照らして不合理であるとして、事実誤認を理由に破棄し、原審において何ら事実の取調べをすることなく、訴訟記録及び第1審裁判所において取り調べた証拠のみによって、直ちに完全責任能力を認めて自判をした原判決は、刑事訴訟法400条ただし書に違反するとして、原判決を破棄し、高等裁判所に差し戻した事例。
2021.09.21
執行停止申立についてした決定に対する抗告事件
LEX/DB25571687/大阪高等裁判所 令和 3年 7月15日 決定 (抗告審)/令和3年(行ス)第36号
相手方が、「表現の不自由展かんさい」の開催を目的として大阪府立労働センターのギャラリーの利用承認を受けた後、一転して利用承認の取消処分及び利用不承認処分を受けたため、これらの処分の取消しの訴えを提起するとともに、本件取消処分及び本件利用不承認処分の執行停止(効力の停止)を申し立てたところ、原決定において上記取消処分の執行停止が認められたことから、抗告人が、本件抗告を申し立てた事案において、本案事件の第1審判決の言渡しまでの間、本件取消処分の執行停止を認めた原決定は相当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.09.21
傷害被告事件
LEX/DB25590540/東京地方裁判所立川支部 令和 3年 6月16日 判決 (第一審)/平成30年(わ)第1471号
被告人が、東京都立川市内のアパートで、B(当時49歳)に対し、その顔面及び腹部を拳で多数回殴るなどの暴行を加え、同人に高次脳機能障害、質性精神障害、症候性てんかんの後遺症を伴う全治まで約3か月間を要する脳挫傷等の傷害を負わせた事案において、被告人は本件犯行当時、精神障害の影響で、事物の是非善悪を弁識する能力及びこれに従って行動を制御する能力が欠けていたものであり、心神喪失の状態であったと認め、刑事訴訟法336条により被告人に対して無罪を言い渡した事例。
2021.09.14
群馬の森追悼碑設置期間更新不許可処分取消等請求控訴事件、附帯控訴事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年月12上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25590539/東京高等裁判所 令和 3年 8月26日 判決 (控訴審)/平成30年(行コ)第88号 等
戦時中に労務動員され、群馬県内で死亡した朝鮮人(大韓民国及び朝鮮民主主義人民共和国の人々を指す)を追悼する追悼碑の控訴人・附帯被控訴人(被告)群馬県が管理する県立公園における設置許可を受けた団体から本件追悼碑に関する権利義務を承継したと主張している権利能力なき社団である被控訴人・附帯控訴人(原告)が、上記設置許可の期間満了に当たり、群馬県知事に対し、都市公園法5条1項に基づき、本件追悼碑の設置期間の更新申請をしたところ、同知事から設置期間の更新不許可処分を受けたため、本件更新不許可処分の取消しとともに、群馬県知事に対する本件更新申請の許可の義務付けを求め、原審は、本件追悼碑が都市公園の効用を全うする機能を喪失していたということはできず、本件更新不許可処分は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものであるから、裁量権を逸脱した違法があると判断して、本件取消しの訴えに係る請求を認容したが、本件更新申請を許可しないことが法令の規定に反することが明らかであり、又はその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となるということまではできないと判断して、本件義務付けの訴えに係る請求を棄却したため、控訴人が本件取消しの訴えに係る請求認容部分を不服として控訴し、被控訴人が本件義務付けの訴えに係る請求棄却部分を不服として附帯控訴した事案で、本件更新不許可処分は適法であり、本件取消しの訴えは理由がないから、控訴人の本件控訴に基づいて、原判決中、本件更新不許可処分の取消しに係る請求認容部分を取消した上、当該部分に係る請求を棄却し、本件義務付けの訴えは不適法であるとして、原判決中、本件義務付けの訴えに係る請求棄却部分を取り消した上、本件義務付けの訴えを却下し、また、本件附帯控訴は理由がないとして棄却した事例。
2021.09.14
不当利得返還等請求事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 令和3年11月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571662/札幌地方裁判所 令和 3年 5月13日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第916号
日本育英会から第2種奨学金を借り受けた元奨学生の保証人であった原告らが、日本育英会の承継団体である被告の請求により、自己の保証債務額(貸金返還債務の各2分の1)を超える金額の支払を余儀なくされたと主張して、被告に対し、不当利得の返還等を求めた事案において、保証人が、分別の利益を有していることを知らずに自己の負担を超える部分を自己の保証債務と誤信して債権者に対してした弁済は非債弁済として無効であるが、分別の利益を有する原告らから負担限度を超える支払を受けた被告が当然に悪意の受益者であったということはできないとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2021.09.07
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対する抗告の決定に対する再抗告事件
LEX/DB25571705/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 8月30日 決定 (再抗告審)/令和3年(医へ)第13号
アルコール依存にり患している対象者について、検察官が、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)33条1項により申立てをし、原々審は、医療観察法42条1項1号により、対象者を同法による医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定をしたが、対象者は、医療観察法による医療の必要はないか、入院によらない医療が相当であるとして、抗告を申し立てたところ、原決定は、対象者のアルコール依存について医療観察法による医療を受けさせる必要があることを理由として入院決定をした原々決定には、重大な事実の誤認があるとして、原々決定を取消し、本件を地方裁判所に差し戻す旨の決定をしたため、再抗告をした事案で、入院決定をした原々決定の判断に重大な事実誤認があるとして原々決定を取り消した原決定には、医療観察法42条1項、64条2項の解釈適用を誤った違法があるとして、医療観察法71条2項により、原決定を取り消し、対象者につき入院決定をした原々決定に重大な事実誤認があるとは認められず、それに対する対象者の抗告は理由がないことに帰するとし、原々決定に対する抗告を棄却した事例。
2021.09.07
各覚醒剤取締法違反、関税法違反被告事件
LEX/DB25590270/東京高等裁判所 令和 3年 7月13日 判決 (控訴審)/令和2年(う)第1596号
被告人両名が、国際的な密輸組織による覚せい剤密輸に被告人両名が運び屋として関与したとして、各覚せい剤取締法違反、関税法違反の罪で起訴され、原審が、被告人両名につき、それぞれ罪となるべき事実を認定し、被告人両名をそれぞれ懲役6年及び罰金200万円に処し、被告人両名から、それぞれ保管中の覚せい剤及び現金のうち4万円に相当する部分を没収する旨判決したところ、被告人両名がそれぞれ控訴した事案で、被告人両名が、日本への渡航時に、運搬する荷物の中に違法薬物等が含まれているとの具体的、現実的な可能性を認識していたとの事実は、原審証拠に照らして検討しても、合理的な疑いを容れない程度に証明されているとはいえず、被告人両名に覚せい剤輸入の故意があったと認めるには合理的疑いが残るのに、これがあったと認定した原判決には事実の誤認があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって、原判決は破棄を免れないとして、刑事訴訟法397条1項、382条により原判決を破棄し、被告人両名に対しいずれも無罪を言い渡した事例。
2021.09.07
損害賠償(国賠)請求控訴事件
LEX/DB25590468/東京高等裁判所 令和 3年 6月 3日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第4120号
一審原告が、一審被告千葉市の設置する本件小学校の5年生に在学中に、一審被告D及び一審被告Eの子であるHからいじめを受け、かつ,、審原告及びHが在籍していたクラスの学級担任であったJ教諭を始めとする本件小学校の校長及び教員がHの言動に関して適切な措置をとらなかったことにより肉体的、精神的苦痛を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したと主張して、一審被告らに対し、当時Hの監督義務者であった一審被告Dらについては民法714条1項に基づき、一審被告千葉市については国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償として1404万5820円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求め、原審は、一審原告の請求を一審被告Dらに対し33万円及びこれに対する上記遅延損害金の連帯支払を求める限度で認容し、一審被告Dらに対するその余の請求及び一審被告千葉市に対する請求をいずれも棄却したところ、一審原告及び一審被告Dらは、それぞれ敗訴部分を不服として控訴した事案で、原判決を変更し、一審原告の請求は一審被告らに対し388万5778円及びこれに対する上記遅延損害金の連帯支払を求める限度で認容し、その余の請求はいずれも棄却した事例。
2021.08.31
損害賠償請求事件 
LEX/DB25590341/東京地方裁判所 令和 3年 6月16日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第12521号
損害保険会社である原告が、株式会社ユニソクとの間で締結した貨物海上保険契約の目的物である貨物を英国から日本まで航空運送した被告に対し、ユニソクの被告に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権を保険代位により取得したこと、または、実行運送契約の荷受人である日本通運株式会社の被告に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権を譲り受けたことに基づき、保険金支払額相当の損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の主張する本件貨物のうち1個の木箱の側面に破損した(本件木割れ)及びそれに起因する科学研究用機器の損傷が、被告による航空運送中に生じたとは認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2021.08.31
(東京電力福島第一原発群馬訴訟第2審判決) 
LEX/DB25571648/東京高等裁判所 令和 3年 1月21日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第2620号
一審原告らが、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う津波により、一審被告東電が設置し運営する福島第一原子力発電所(本件原発)から放射性物質が放出される事故が発生したことにつき、一審被告東電は、本件原発の敷地高を超える津波の発生等を予見しながら、本件原発の安全対策を怠り、また、経済産業大臣は、一審被告東電に対して平成24年法律第47号による改正前の電気事業法に基づく規制権限を行使すべきであったにもかかわらずこれを行使しなかった結果、本件事故が発生したと主張し、一審被告東電に対し、主位的に民法709条に基づき、予備的に原子力損害の賠償に関する法律3条1項に基づき、一審被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、精神的苦痛に対する損害賠償として、一人当たり2000万円及び弁護士費用200万円のうち,慰謝料1000万円及び弁護士費用100万円並びにこれに対する遅延損害金の連帯支払を求め、原審が、一審原告らの一部について請求を一部認容し、その余の請求をいずれも棄却したため、一審原告らは、敗訴部分を不服として控訴し、一審原告らは、不服の範囲を330万円及びこれに対する遅延損害金の部分に限定して控訴し、(なお、原告番号79、80は、当審において請求を拡張した。)、一審被告国及び一審被告東電は、それぞれ敗訴部分を不服として控訴した事案で、一審原告らの一審被告国に対する請求及び一審被告東電に対する主位的請求はいずれも理由がないから棄却し、一審被告東電に対する予備的請求は別紙認容額一覧表の「当審における認容額」欄記載の各金額の限度で理由があるから認容し、その余の予備的請求は理由がないから棄却するのが相当であるとし、原判決を一部変更した事例。
2021.08.24
移送決定に対する即時抗告事件
LEX/DB25590021/千葉地方裁判所 令和 3年 6月22日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和3年(ソ)第10号
抗告人・日本放送協会が、相手方が遅くとも平成25年10月21日までに抗告人のテレビジョン放送を受信できる受信機を設置したと主張して、相手方に対し、〔1〕相手方には抗告人の放送受信契約の申込みに対する承諾義務があるとして、同申込みに対する承諾の意思表示をすることを求めるとともに、〔2〕〔1〕の判決確定を条件として、同意思表示により成立する放送受信契約に基づき、未払放送受信料の支払を求めた基本事件について、原決定が、民事訴訟法18条に基づき、基本事件を千葉簡易裁判所から千葉地方裁判所に職権で移送したところ、抗告人がこれを不服として抗告した事案で、本件において、現時点で基本事件を地方裁判所で審理することが相当であるとうかがわせる事情は認められず、基本事件を地方裁判所に移送した原決定は、簡易裁判所に与えられた合理的な裁量を逸脱したものといわざるを得ないとして、原決定を取り消した事例。
2021.08.24
移送決定に対する即時抗告事件
LEX/DB25590022/千葉地方裁判所 令和 3年 6月22日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和3年(ソ)第14号
抗告人・日本放送協会が、相手方が遅くとも平成26年10月までに抗告人のテレビジョン放送を受信できる受信機を設置したと主張して、相手方に対し、〔1〕相手方には抗告人の放送受信契約の申込みに対する承諾義務があるとして、同申込みに対する承諾の意思表示をすることを求めるとともに、〔2〕〔1〕の判決確定を条件として、同意思表示により成立する放送受信契約に基づき、未払放送受信料の支払を求めた基本事件について、原決定が、民事訴訟法18条に基づき、基本事件を千葉簡易裁判所から千葉地方裁判所に職権で移送したところ、抗告人がこれを不服として抗告した事案で、本件において、現時点で基本事件を地方裁判所で審理することが相当であるとうかがわせる事情は認められず、基本事件を地方裁判所に移送した原決定は、簡易裁判所に与えられた合理的な裁量を逸脱したものといわざるを得ないとして、原決定を取り消した事例。
2021.08.24
行政措置要求判定取消、国家賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25569720/東京高等裁判所 令和 3年 5月27日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第45号
一審原告は、国家公務員で、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律2条に定める性同一性障害者で、性別適合手術を受けておらず、戸籍上の性別変更をしていないトランスジェンダーで、一審原告は外見上女性と同様であるのに、本件トイレに係る処遇によって省庁舎内の女性用トイレを自由に使用することができず、性別適合手術を受けて戸籍上の性別変更をしない限り、将来の異動先で女性トイレを使用するには性自認についての説明会を要するなどと言われたなどとして、人事院に対し戸籍上の性別及び性別適合手術を受けたかどうかに関わらず、他の一般的な女性職員との公平処遇を求める要求をし、人事院から本件各措置要求はいずれも認められない旨の判定を受けたことから、一審原告が、本件判定はいずれも違法である旨を主張し、本件判定に係る処分の取消しを求め(第1事件)、また、一審原告が上記各制限を受けていることは、職員らがその職務上尽くすべき注意義務を怠ったもので、一審原告はこれにより精神的損害を受けたと主張して、一審被告・国に対し、慰謝料等及び遅延損害金の支払を求め(第2事件)、原審は、第1事件につき、本件判定のうち、一審原告が女性トイレを使用するためには性同一性障害者である旨を女性職員に告知して理解を求める必要があるとの当局による条件を撤廃し、一審原告に職場の女性トイレを自由に使用させることとの要求を認めないとした部分を取り消すとともに、第2事件につき、一審被告に対し、132万円及び年5パーセントの割合による金員の支払を命じた。このため、原審の判断を不服とする一審原告及び一審被告がそれぞれ控訴をし、一審原告が当審において、A調査官が一審原告のプライバシー情報を暴露したと主張して、慰謝料請求額を50万円増額し、全体の請求額を拡張した事案で、原判決を変更して、第1事件に係る一審原告の請求を棄却し,第2事件に係る一審被告の請求を11万円及びこれに対する遅延損害金の支払を認める限度で一部認容し、その余の請求については棄却し、一審原告の控訴を棄却し、また、一審原告の当審における国家賠償請求に係る拡張請求も棄却した事例。
2021.08.24
株主総会決議取消請求事件(第1事件、第2事件)(乾汽船の株主総会決議取消請求事件)
LEX/DB25590307/東京地方裁判所 令和 3年 4月 8日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第24145号 等
被告の株主である原告が、被告に対し、令和元年6月開催の定時株主総会における取締役選任議案、買収防衛策導入議案等を可決する各決議には、無効な委任状に基づく議決権行使、違法な投票用紙に基づく議決権行使、招集通知等における虚偽記載ないし重要事項の不記載、議決権行使書面の不適切集計等の瑕疵があり、招集手続又は決議方法に法令違反若しくは著しい不公正があるとして、会社法831条1項1号(平成17年法律第86号)に基づき、各決議の取消しを求めた事案(第1事件)、原告が、被告に対し、令和2年6月の定時株主総会における取締役選任議案、情報提供要請承認議案等の各議案を可決する各決議には、招集通知の発送日の期間制限違反、招集通知等における虚偽記載ないし重要事項の不記載、議決権行使書面の不適切集計の瑕疵があり、招集手続又は決議方法に法令違反若しくは著しい不公正があるとして、同法831条1項1号に基づき、各決議の取消しを求め、また、情報提供要請承認議案については特別利害関係人による議決権行使によって著しく不公正な決議がされたとして、同項3号に基づき、当該決議の取消しを求めた事案(第2事件)において、本件訴えのうち、令和元年総会の取締役選任議案の取消しを求める部分はその利益を欠くから却下し、その余の請求についてはいずれも棄却した事例。
2021.08.17
住居侵入被告事件
LEX/DB25590287/大阪高等裁判所 令和 3年 7月16日 判決 (控訴審)/令和2年(う)第1303号
被告人が、正当な理由がないのに、平成30年10月18日午後9時57分頃から同日午後10時10分頃までの間に、神戸市内に所在する被害者方敷地内に同敷地北西側駐車場出入口から同人方浴室付近外側まで侵入したとして被告人を有罪としたため、被告人が控訴した事案で、原判決は、長方形をなす被害者方敷地の1辺の一部にしか囲障が存在しないにもかかわらず、これをもって敷地全体について被害者方の利用のために供されている土地であることが明示されていると認めているが、その理由は実質的には何ら示されておらず、その趣旨を本件駐車スペースに限って上記のとおり認められるというものと理解したとしても、その理由は不合理なものであって是認できないとし、また、被告人が立ち入った場所に限ってみても、囲障によって被害者方の利用に供し、部外者の立入りを禁止するという居住者の意思が明示されている場所であるとは認められないとし、被告人が立ち入った場所が被害者方住居に当たると認めて被告人を住居侵入罪で有罪とした原判決には、事実の誤認があり、それが判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄し、被告人に対し無罪を言い渡した事例。
2021.08.17
損害賠償等請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25590268/福岡高等裁判所 令和 3年 7月12日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第16号 等
(1)一審被告鳥栖市の設置した中学校の生徒であった一審原告P1が、〔1〕同じ学校の一審被告生徒らが、一連一体となって一審原告P1に対するいじめを行い、これにより一審原告P1は精神的苦痛を受け、後遺障害が生じ、かつ、金銭を喝取されたことなどによって経済的損害を被った、〔2〕当時一審被告生徒らの親権者であった一審被告保護者らは、一審被告生徒らが上記いじめ行為に及んだことに関して監督義務違反があり、また、仮に一審被告生徒らの中に、上記いじめ行為に及んだ時点で責任無能力者であった者がいる場合、その生徒の親権者は民法714条1項本文に基づく責任を負う、〔3〕一審被告生徒らによる上記いじめ行為が発生したこと及び発生後の対応に関し、上記中学校の教諭及び校長並びに鳥栖市教育委員会に安全配慮義務違反等の義務違反があり、これらの義務違反と一審原告P1が上記いじめ行為により被った損害との間には相当因果関係があるから、一審被告鳥栖市は国家賠償法1条1項に基づき損害賠償責任を負うと主張し、一審被告生徒らに対しては民法719条1項、709条に基づき、一審被告保護者らに対しては同法709条又は714条1項本文に基づき、一審被告鳥栖市に対しては国家賠償法1条1項に基づき、連帯して、損害の一部である1億1123万6078円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、(2)一審原告P1の父である一審原告家族が、それぞれ、一審原告P1がいじめを受けたことにより、独自の損害を被ったと主張し、被告生徒らに対しては民法719条1項、709条に基づき、一審被告保護者らに対しては同法709条又は714条1項本文に基づき、一審被告鳥栖市に対しては国家賠償法1条1項に基づき、連帯して、各賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を、それぞれ求め、(3)一審原告らが、一審被告生徒ら及び一審被告保護者らに対し、一審原告P1の人格権に基づき一審原告らへの接触等の行為の禁止を求め、原判決は、一審原告P1の請求のうち、一審被告生徒らに対し、原判決別紙認容額一覧表の総額欄記載の金額及びうち原判決別紙遅延損害金起算日一覧表記載の金員に対する同一覧表の遅延損害金起算日欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で請求を認容し、一審原告P1のその余の請求並びに一審原告家族の請求をいずれも棄却した。一審原告P1及び一審被告P8がそれぞれ原判決中敗訴部分を不服として控訴し、一審原告家族が原判決を不服として控訴し、一審被告P9が原判決中敗訴部分を不服として附帯控訴した事案で、一審原告P1の一審被告生徒らに対する請求については、別紙2認容額一覧表の各一審被告の「総額」欄記載の金額及びこれに対する不法行為の後である平成24年10月23日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余の請求は理由がないから棄却すべきであるところ、これと異なる原判決は一部不当であり、一審原告P1の一審被告P2、一審被告P3、一審被告P4、一審被告P5、一審被告P6及び一審被告P7に対する控訴並びに一審被告P8の控訴及び一審被告P9の附帯控訴は一部理由があり、一審原告P1の一審被告P8及び一審被告P9に対する控訴は理由がなく、一審原告P1の一審被告鳥栖市及び一審被告保護者らに対する請求並びに一審原告家族の請求はいずれも理由がないから棄却すべきであるところ、これと同旨の原判決は相当であるとした事例。
2021.08.10
覚醒剤取締法違反,大麻取締法違反,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律違反被告事件
LEX/DB25571667/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 7月30日 判決 (上告審)/令和2年(あ)第1763号
第1審裁判所は、本件ビニール袋が本件車両内にはもともとなかったものであるとの疑いは払拭できないから、警察官が、本件ビニール袋は本件車両内にもともとなかったにもかかわらず、これがあることが確認された旨の疎明資料を作成して本件車両に対する捜索差押許可状及び強制採尿令状を請求した事実があったというべきであり、本件薬物並びに本件薬物及び被告人の尿に関する各鑑定書(本件各証拠)の収集手続には重大な違法がある旨の判断を示した上、本件各証拠の証拠能力を否定した。これに対し、原判決は、本件各証拠の証拠能力を否定した第1審裁判所の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある旨の検察官の控訴趣意をいれ、第1審判決を破棄し、本件を地方裁判所に差し戻しを言い渡したため、被告人が上告した事案で、本件各証拠の証拠能力を判断するためには、本件事実の存否を確定し、これを前提に本件各証拠の収集手続に重大な違法があるかどうかを判断する必要があるというべきであり、原判決は、本件ビニール袋がもともと本件車両内にはなかった疑いは残るとしつつ、その疑いがそれほど濃厚ではないなどと判示するのみであって、本件事実の存否を確定し、これを前提に本件各証拠の収集手続に重大な違法があるかどうかを判断したものと解することはできないとし、本件各証拠の証拠能力の判断において本件事実の持つ重要性に鑑みると、原判決には判決に影響を及ぼすべき法令の解釈適用の誤りがあるとして、原判決を破棄し、本件を高等裁判所に差し戻した事例(補足意見がある)。