注目の判例

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2021.08.10
損害賠償請求事件
LEX/DB25590217/東京地方裁判所 令和 3年 6月30日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第31895号
原告が、ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれる140文字以内のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)において被告がしたツイートにより名誉を毀損され、また、名誉感情を侵害された旨主張して、不法行為に基づく損害賠償金220万円の一部である60万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、本件各ツイートの記載内容に加えて、本件各ツイートの前提となる原告のツイートにおいて、原告自身が過去の自らの「炎上」について記載していることなどに照らすと、本件各ツイートの投稿が、社会通念上許される限度を超える侮辱行為であると認めるに足りず、原告の人格的利益としての名誉感情を違法に侵害するものということはできないとして、請求を棄却した事例。
2021.08.03
移送決定に対する即時抗告事件
LEX/DB25569781/千葉地方裁判所 令和 3年 6月21日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和3年(ソ)第13号
放送法により設立された法人である抗告人が、抗告人のテレビジョン放送を受信することのできる受信設備を設置した相手方に対し、放送受信契約の申込みに対して承諾する義務を負うとして、承諾の意思表示をすべきことを求めるとともに、当該承諾を命ずる判決の確定を条件として、平成26年11月分から令和3年3月分までの受信契約に基づく受信料合計の支払を求める基本事件を千葉簡易裁判所に提起したところ、同裁判所が、基本事件を民事訴訟法18条に基づき職権により千葉地方裁判所に移送するとの原決定をし、それに対して抗告人が抗告した事案で、現時点で、基本事件が複雑な争点を含む、あるいは審理に時間を要する見込みであり、社会に与える影響が大きいなどといった事情も認められず、加えて、原審は、職権で原決定をするに際し、当事者の意見聴取(民事訴訟規則8条2項)をしていないため、相手方が、地方裁判所における審理及び裁判を希望していることをうかがわせる事情もないから、基本事件について地方裁判所における審理及び裁判が相当であるといえる事情が認められない現時点において、基本事件を千葉地方裁判所に移送した原決定は、民事訴訟法18条に基づく移送をすべきかどうかの判断が簡易裁判所の合理的裁量に委ねられていることを前提としても、同判断の際に考慮すべき事情を考慮したものであるとはいえず、裁量の範囲を逸脱したものというべきであるとして、原決定を取り消した事例。
2021.08.03
移送決定に対する即時抗告事件
LEX/DB25569780/千葉地方裁判所 令和 3年 6月18日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和3年(ソ)第12号
基本事件は、放送法に基づいて設立された抗告人が、相手方が衛星系によるテレビジョン放送を受信することができるテレビジョン受信機を設置したことにより、相手方は、抗告人に対し、受信契約を締結し、本件受信契約に基づき受信料を支払う義務を負うなどと主張して、相手方に対し、放送法64条1項に基づき、本件受信契約締結の申込みに対する承諾の意思表示を求めるとともに、当該意思表示により成立する本件受信契約に基づき、令和2年10月分から令和3年3月分までの受信料の合計の支払を求めたところ、原審簡易裁判所が、事案の性質に鑑み、地方裁判所における審理が相当であるとして、民事訴訟法18条に基づき、職権で基本事件を千葉地方裁判所に移送する旨の決定をしたことから、抗告人がこれを不服として、即時抗告申立てをした事案で、本件においては、原決定がされた当時、いまだ基本事件について第1回期日の指定も相手方に対する訴状の送達もされておらず、抗告人の請求に対する相手方の答弁も不明であって、相手方の答弁次第では、簡易裁判所における簡易かつ迅速な審理により終局することも十分想定し得るところであり、現時点で、地方裁判所において審理した方が適切な解決となるような複雑な事件であることはうかがわれず、その他、現時点で、基本事件を地方裁判所に移送するのが相当というべき事情は認めるに足りないとして、原決定を取り消した事例。
2021.08.03
投稿記事削除仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25569760/東京高等裁判所 令和 3年 6月17日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和3年(ラ)第791号
強制わいせつの被疑事実により逮捕され、その後不起訴になった抗告人が、インターネット関連のサービスを提供・運営する相手方法人に対して、氏名不詳者が公開しているブログ上に投稿した本件逮捕事実に関する画像付きニュース記事が、抗告人の更生を妨げられない利益を侵害している旨主張して、人格権に基づき、本件各投稿記事を仮に削除するよう求め、原審が抗告人の申立てを却下したところ、抗告人が即時抗告した事案で、本件逮捕事実は、社会における正当な関心事として公共の利害に関する事項であり、本件各投稿記事の公益性を否定することはできないのであり、抗告人が、会社に迷惑が及ぶことを懸念して会社役員を辞任していること、被害者と示談し不起訴処分となっていることなどの事情を考慮しても、本件逮捕事実を公表されない利益が、本件逮捕事実を公表する理由に明らかに優越するというのは困難であるところ、抗告人の申立てを却下した原決定は正当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.08.03
地位確認等請求控訴事件
LEX/DB25569736/札幌高等裁判所 令和 3年 4月28日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第310号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス事業所としての指定を受けた施設において勤務していた控訴人ら(従業員であるb及び同aと本件施設で勤務していた施設利用者ら8名)が、本件施設を運営していた被控訴人会社及びその代表取締役である被控訴人cによる控訴人らの解雇は無効であり、被控訴人らの不法行為に当たるほか、被控訴人cには任務懈怠があったなどと主張して、被控訴人らに対し、地位確認及び損害賠償金等の連帯支払を求め、原審が、被控訴人らに対し、施設利用者ら8名にそれぞれ1人につき損害賠償金の連帯支払を求める限度で請求を一部認容し、施設利用者らのその余の請求並びに控訴人b及び同aの請求をいずれも棄却したところ、控訴人b及び同a並びに施設利用者らのうち4名(控訴人利用者ら)が控訴した事案で、控訴人らに対する本件解雇については、本件施設の閉鎖、これに伴う人員削減の必要性及び人選の合理性については肯定することができるものの、控訴人利用者ら及び控訴人bらのいずれに対する解雇についても、その解雇手続は相当とはいえず、控訴人らに対する解雇は、いずれも客観的に合理的な理由を欠き、無効であると言わざるを得ず、本件解雇は控訴人らに対する不法行為に当たり、被控訴人らは、本件解雇によって控訴人らが受けた損害を賠償すべき責任を連帯して負担すべきであるとされるところ、これと異なる判断をした原判決は相当ではないとして、原判決を変更し、控訴人b及び同aの請求を一部認容し、控訴人利用者らへの支払額を増額した事例。
2021.08.03
措置命令取消請求事件
LEX/DB25590216/大阪地方裁判所 令和 3年 4月22日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第73号
通信販売事業者である原告は、平成29年12月にお節料理である本件7商品の取引について、原告各ウェブサイトに歳末特別価格により販売する旨の本件各広告表示を掲載したところ、消費者庁長官は、本件各表示が不当景品類及び不当表示防止法5条2号(有利誤認表示)に該当するとして、景品表示法7条1項に基づき、原告に対し、平成31年3月6日付けで本件各表示が景品表示法に違反するものであることを一般消費者に周知徹底するなどの措置を講ずることを命ずる旨の措置命令をしたため、原告が本件命令の取消しを求めた事案において、本件各表示はいずれも景品表示法5条2号に該当するものであり、また、本件命令に平等原則、適正手続等に反する違法があるとはいえないから、本件命令は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2021.07.27
損害賠償請求事件
LEX/DB25571651/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 7月19日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1968号
株式会社である上告人が、その監査役であった被上告人に対し、被上告人がその任務を怠ったことにより、上告人の従業員による継続的な横領の発覚が遅れて損害が生じたと主張して、会社法423条1項に基づき、損害賠償を求めたところ、原審は、被上告人はその任務を怠ってはいないとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、会計限定監査役は、計算書類等の監査を行うに当たり、会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでない場合であっても、計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば、常にその任務を尽くしたといえるものではないと判示し、これと異なる見解に立って、被上告人はその任務を怠ってはいないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人が任務を怠ったと認められるか否かについては、上告人における本件口座に係る預金の重要性の程度、その管理状況等の諸事情に照らして被上告人が適切な方法により監査を行ったといえるか否かにつき更に審理を尽くして判断する必要があり、また、任務を怠ったと認められる場合にはそのことと相当因果関係のある損害の有無等についても審理をする必要があるから、本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。
2021.07.27
保全異議申立事件の決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告申立て事件
LEX/DB25569666/名古屋高等裁判所 令和 3年 5月14日 決定 (許可抗告審)/令和3年(ラ許)第33号
申立人・会社が、保全異議申立事件の決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告を申し立てた事案で、高等裁判所の決定に対しては、特別抗告のほか、最高裁判所の判例と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合であるとして、高等裁判所が許可したときに限り、最高裁判所に抗告をすることができるところ(民事訴訟法337条1項、2項)、申立人が本件抗告許可申立ての理由として主張するところを検討しても、申立人が差止めを求めていた本件新株予約権無償割当ての効力が既に発生していることは公知の事実であり、もはや当該無償割当てを差し止める余地はないから、結局、原決定についてその結論を左右するような許可抗告事由を含むものとは認められず、本件申立ては、民事訴訟法337条2項所定の抗告を許可すべき場合に該当しないとして、本件抗告を許可しなかった事例。
2021.07.27
窃盗被告事件
LEX/DB25569719/大阪高等裁判所 令和 3年 3月 3日 判決 (控訴審)/令和2年(う)第900号
被告人が、a株式会社b店において、アルコールチェッカー2点等4点(販売価格合計1万6156円)を窃取したとして、窃盗の罪で懲役3年を求刑され、原審が、京都府警察本部刑事部科学捜査研究所職員dによる鑑定は十分信用でき、それによれば、犯人と被告人の同一性が相応に強く推認され、合理的な疑いを差し挟むことのない程度に犯人と被告人の同一性を強く推認することができるとして、被告人を懲役1年10か月に処したところ、事実誤認を主張して被告人が控訴した事案で、d鑑定の信用性に関する原判決の証拠評価は不合理であり、d鑑定により犯人と被告人の同一性が相当に強く推認できるという原判決の判断は不合理であること、d鑑定及び他の証拠により認められる類似点は犯人と被告人の同一性を推認させる力が高いものとはいえず、また質店における売却の事実の推認力が限定的なものに過ぎず、そして、推認力の高くない上記2つの事実を総合しても、被告人が犯人でないとしたならば合理的な説明が極めて困難な事実関係があるとまではいえず、被告人が犯人であると認定することには合理的な疑いを差し挟む余地があるというべきであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2021.07.20
地方自治法251条の5に基づく違法な国の関与(是正の指示)の取消請求事件
LEX/DB25571629/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 7月 6日 判決 (上告審)/令和3年(行ヒ)第76号
沖縄防衛局は、普天間飛行場の代替施設を沖縄県名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立てに関し、沖縄県漁業調整規則41条(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)に基づき、上告人に対し、埋立区域内に生息する造礁さんご類を埋立区域外に移植することを内容とする採捕の許可を求める2件の申請をしたが、上告人は何らの処分もせず、被上告人は、本件各申請を許可する旨の処分をしない沖縄県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反するなどとして、同県に対し、地方自治法245条の7第1項に基づき、本件各許可処分をするよう求める是正の指示(本件指示)をした。上告人が、本件指示は違法な国の関与に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件指示の取消しを求め、原審は、上記法定受託事務の処理が法令の規定に違反し,本件指示は適法であるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件指示の時点で、上告人において本件各申請の内容に必要性を認めることができないと判断したことは、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると判示し、これと同旨の原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2021.07.20
株主総会議事録閲覧謄写請求事件
LEX/DB25571628/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 7月 5日 判決 (上告審)/令和1年(受)第2052号
上告人の株式4万4400株(本件株式)を有していた被上告人が、上告人に対し、被上告人は本件株式の価格の支払請求権を有しており上告人の債権者に当たるなどと主張して、会社法318条4項に基づき、その株主総会議事録の閲覧及び謄写を求めた事案の上告審において、会社法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は、同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても、上記株式の価格につき会社との協議が調い又はその決定に係る裁判が確定するまでは、同法318条4項にいう債権者に当たると判示し、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2021.07.20
薬事法違反被告事件
LEX/DB25571620/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 6月28日 決定 (上告審)/平成30年(あ)第1846号
被告人が、医薬品等の製造・販売等を営む被告会社の業務に関し、サブ解析の結果を被告会社の広告資材等に用いるため、医薬品であるX剤の効能又は効果に関して、虚偽の記事を記述したとして起訴され、第1審判決は無罪を言い渡したため、検察官が控訴し、原判決も第1審判決を維持したため、検察官が上告した事案で、本件各論文の本件各雑誌への掲載は、特定の医薬品の購入・処方等を促すための手段としてされた告知とはいえず、薬事法66条1項の規制する行為に当たらないとし、被告人に薬事法66条1項違反の罪は成立せず、被告会社にもその両罰規定は適用されないと判示し、これと同旨の原判決の結論は正当であるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2021.07.20
損害賠償請求控訴事件(SMBC日興証券インサイダーを巡る執行役員に対する損害賠償請求控訴事件)
LEX/DB25590025/東京高等裁判所 令和 3年 3月25日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第1325号
控訴会社(証券会社)の執行役員で投資銀行本部副本部長であった被控訴人が、株式公開買付けが実施される予定の会社3社についてのその実施に関する情報を、その公表前に控訴会社内の会議で知ったところ、3社の株式公開買付け実施に関する情報(本件インサイダー情報)を、知人のBに漏洩し、Bが知人のF名義でそれらの会社の株式を購入したとして金融商品取引法167条3項違反の罪で逮捕され、地方裁判所で懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を受け、控訴審の高等裁判所は控訴棄却の判決をし、最高裁判所は上告棄却の決定をして、被控訴人に対する有罪判決が確定したことから、控訴会社が被控訴人に対し、不法行為(又は債務不履行)に基づき、控訴会社が被ったと主張する6億1191万1411円の損害の一部である5991万1411円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、被控訴人の犯罪行為の事実を否定し、控訴会社の請求を棄却したため、控訴会社が控訴した事案で、原判決を取消し、控訴会社の請求は、被控訴人に対し、1500万円及びこれに対する不法行為又は債務不履行の後である平成24年8月7日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で一部認容し、その余の控訴人の請求は棄却した事例。
2021.07.13
報酬等請求本訴,不当利得返還請求反訴,民訴法260条2項の申立て事件
LEX/DB25571614/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 6月29日 判決 (上告審)/令和2年(受)第205号 等
本件本訴は、被上告人が、上告人に対し、無免許者が宅地建物取引業を営むために宅地建物取引業者からその名義を借り、当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の本件合意に基づいて被上告人に支払われるべき金員の残額として1319万円余りの支払を求めるなどするものであり、本件反訴は、上告人が、被上告人に対する1000万円の支払は法律上の原因のないものであったと主張して、不当利得返還請求権に基づき、その返還等を求めたところ、原審は、本件合意の効力を否定すべき事情はなく、本件合意の効力が認められると判断して、被上告人の本訴請求を認容し、上告人の反訴請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、本件合意は、公序良俗に反し、無効であるとし、原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、本件合意の効力等について更に審理を尽くさせるため、上記部分及び上告人の民訴法260条2項の裁判を求める申立てにつき、本件を原審に差し戻した事例。
2021.07.13
常習特殊窃盗被告事件
LEX/DB25571619/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 6月28日 決定 (上告審)/令和2年(あ)第919号
前訴で住居侵入、窃盗につき有罪の第1審判決の宣告を受け、控訴及び上告が棄却されて同判決は確定したが、その後、起訴された本件の常習特殊窃盗を構成する住居侵入、窃盗の各行為は、いずれも前訴の第1審判決後、その確定前にされたものであることが認められ、前訴で住居侵入、窃盗の訴因につき有罪の第1審判決が確定した場合において、後訴の訴因である常習特殊窃盗を構成する住居侵入、窃盗の各行為が前訴の第1審判決後にされたものであるときは、前訴の訴因が常習性の発露として行われたか否かについて検討するまでもなく、前訴の確定判決による一事不再理効は、後訴に及ばないとし、本件について刑事訴訟法337条1号により判決で免訴の言渡しをしなかった第1審判決に誤りはないとした原判決の結論は正当として是認できるとした事例。
2021.07.13
相続税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25571598/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 6月24日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第103号
被上告人が、上告人(国)を相手に、被上告人の本件申告に係る課税価格及び相続税額が本件調停により遺産分割が行われたことを基礎として計算した場合における課税価格及び相続税額と異なることとなるとして、課税価格を49億0410万9000円、納付すべき税額を23億2567万1800円とする増額更正処分のうち、それぞれ納付すべき税額が4億4689万9300円を超える部分の取消しを求め、原審は、本件通知処分に係る請求及び本件更正処分のうち本件申告に係る納付すべき税額を超える部分の取消請求を認容したため、上告人が上告した事案で、本件更正処分がされた時点で国税通則法所定の更正の除斥期間が経過していた本件においては、税務署長は、本件更正処分をするに際し、前件判決に示された本件各株式の価額や評価方法を用いて税額等の計算をすべきものとはいえず、本件申告における本件各株式の価額を基礎として課税価格及び相続税額を計算することとなるから、本件更正処分は適法であると判示し、これと異なる原審の判断には法令違反があるとし、また、相続税法55条に基づく申告の後に遺産分割が行われた場合における特定の相続人による同法32条1号の規定による更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分と当該相続人に対する同法35条3項1号の規定による増額更正は、いずれも当該遺産分割による各相続人の取得財産の変動という相続税特有の後発的事由を基礎としてされた同一相続人に対する処分であり、上記増額更正は、一旦確定していた税額を当該遺産分割が行われたことを理由に増額させて確定する処分であるから、当該遺産分割に伴い税額を減額すべき理由はないという上記通知処分の内容を実質的に包摂するものということができ、加えて、上記更正の請求がされているため、当該相続人は、上記増額更正の取消訴訟において、上記更正の請求に係る税額を超える部分の取消しを求めることが可能であると解され、本件通知処分については、その取消しを求める利益はなく、本件訴えのうち本件通知処分の取消しを求める部分は不適法であるとして、却下すべきであるとした事例。
2021.07.13
詐欺被告事件
LEX/DB25571604/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 6月23日 決定 (上告審)/令和2年(あ)第1528号
被告人が人を欺いて補助金等又は間接補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律2条1項、4項)の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合、被告人の当該行為が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪に該当するとしても、裁判所は当該事実について刑法246条1項を適用することができると解するのが相当であるとして、これと同旨の原判断は正当として是認できるとし、本件上告を棄却した事例。
2021.07.06
市町村長処分不服申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571588/最高裁判所大法廷 令和 3年 6月23日 決定 (特別抗告審)/令和2年(ク)第102号
婚姻届に「夫は夫の氏、妻は妻の氏を称する」旨を記載して婚姻の届出をしたところ、国分寺市長からこれを不受理とする処分(本件処分)が不当であるとして、戸籍法122条に基づき、抗告人らが、同市長に上記届出の受理を命ずることを申し立て、本件処分は、上記届出が、夫婦が婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称するとする民法750条の規定及び婚姻をしようとする者が婚姻届に記載しなければならない事項として夫婦が称する氏を掲げる戸籍法74条1号の規定が憲法14条1項、24条、98条2項に違反して無効であるなどとして、抗告人らが不服申し立てをしたが、原々審は却下決定をし、原審も抗告棄却決定をしたため、抗告人らが特別抗告をした事案で、民法750条の規定が憲法24条に違反するものでないことは、当裁判所の判例とするところであり(最高裁平成26年(オ)第1023号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2586頁(平成27年大法廷判決))、上記規定を受けて夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載事項と定めた戸籍法74条1号の規定もまた憲法24条に違反するものでないことは、平成27年大法廷判決の趣旨に徴して明らかであり、平成27年大法廷判決以降にみられる女性の有業率の上昇、管理職に占める女性の割合の増加その他の社会の変化や、いわゆる選択的夫婦別氏制の導入に賛成する者の割合の増加その他の国民の意識の変化といった原決定が認定する諸事情等を踏まえても、平成27年大法廷判決の判断を変更すべきものとは認められないとして、本件抗告を棄却した事例(反対意見、補足意見、意見がある)。
2021.07.06
過誤納付金還付等請求事件
LEX/DB25571587/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 6月22日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第337号
市長は、上告人(原告・控訴人)の市民税及び道民税のうち平成21年度分から同23年度分までのもの(本件市道民税)並びにその延滞金等につき、順次、納付を受け又は滞納処分により徴収したが、その後、本件市道民税の税額を減少させる各賦課決定をするとともに、これにより過納金が生じたとして、上告人に対し、過納金の還付及び還付加算金の支払をした。本件は、上告人が、市長による上記過納金の額の計算に誤りがあるとして、被上告人(市。被告・被控訴人)に対し、不足分の過納金の還付及び還付加算金の支払を求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め、原審は、上告人の請求をいずれも棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案で、市長は、複数年度分の市道民税を差押えに係る地方税とする本件各滞納処分において、当該差押えに係る地方税に配当された金銭であって、本件各減額賦課決定がされた結果配当時に存在しなかったこととなる年度分の市道民税に充当されていたものにつき、当該差押えに係る地方税のうちその配当時に存在していた他の年度分の市道民税に充当されたものとせず、それぞれ直ちにその金額に相当する過納金が生じたものとして、本件各減額賦課決定により生じた過納金の額を計算したものであるから、市長の当該計算には誤りがあると判示し、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人が上告人に還付すべき過納金の額等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2021.07.06
売却不許可決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25571597/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 6月21日 決定 (許可抗告審)/令和3年(許)第7号
横浜地方裁判所は、平成25年12月27日、Aが所有する本件土地建物につき、Aを債務者とする根抵当権の実行としての競売の開始決定(本件競売事件)をし、Aは、平成26年6月18日、破産手続開始の決定を受け、同年9月18日、破産手続廃止の決定を受けた。Aは、同日、免責許可の決定を受け、同決定はその後確定した。上記根抵当権の被担保債権は、上記免責許可の決定の効力を受けるものである。その後、Aは、平成27年2月23日に死亡し、その子である抗告人等がAを相続した。執行官は、令和2年12月1日午前9時に開かれた本件競売事件の開札期日において、抗告人を最高価買受申出人と定めた。そして、執行裁判所は、令和2年12月21日、本件競売事件の債務者であったAの相続人である抗告人は上記土地建物を買い受ける資格を有せず、民事執行法188条において準用する同法71条2号に掲げる売却不許可事由があるとして、抗告人に対する売却不許可決定をしたため、抗告人が執行抗告をしたところ、原審は、抗告人の執行抗告を棄却したため、抗告人が許可抗告をした事案で、担保不動産競売の債務者が免責許可の決定を受け、同競売の基礎となった担保権の被担保債権が上記決定の効力を受ける場合には、当該債務者の相続人は被担保債権を弁済する責任を負わず、債権者がその強制的実現を図ることもできなくなるから、上記相続人に対して目的不動産の買受けよりも被担保債権の弁済を優先すべきであるとはいえないし、上記相続人に買受けを認めたとしても同一の債権の債権者の申立てにより更に強制競売が行われることはなく、上記相続人に買受けの申出を認める必要性に乏しいとはいえず、また、上記相続人については、代金不納付により競売手続の進行を阻害するおそれが類型的に高いとも考えられず、上記の場合、上記債務者の相続人は、民事執行法188条において準用する同法68条にいう「債務者」に当たらないと判示し、これと異なる見解の原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、原々決定を取消した上、その他の売却不許可事由の有無につき審理を尽くさせるため,本件を原々審に差し戻すこととした事例。